服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

カテゴリ: モルドバ

 以前、「ウクライナとの領土交換で黒海への出口を得たモルドバ」と題する記事の中で、モルドバのジュルジュレシティ港についてお伝えしたことがある。内陸国であるモルドバは、元々は黒海への出口を持たなかったが、モルドバがウクライナと領土交換条約を結んだ結果、モルドバはドナウ川の河川港を手に入れ、これによりドナウ川経由ではあれ、自国の港を基盤に黒海海運にアクセスできるようになったという話題であった。

 それで、その後ジュルジュレシティ自由港は、まずまず順調に発展を続けているようである。2016年までの自由港の活動実績は、下に見る表のとおりである(出所はこちら)。そして、こちらの記事では、2017年上半期の自由港の活動実績が伝えられている。それによると、2017年上半期の取扱貨物量は35.9万tで、前年同期比4.6%拡大した。輸出では穀物が、輸入では石油製品が多い。これまでに、自由港には6,870万ドルが投資され、その大部分は同港のオペレーターであるDanube Logistics社による投資である。

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 モルドバがドドン大統領の就任以来、大統領の主導でロシアおよびユーラシア経済連合へと舵を切りつつあることは、以前こちらでも報告したとおりである。その後の重要な動きとして、こちらのサイトに見るとおり、4月3日にドドン大統領とユーラシア経済委員会のサルキシャン理事長が「ユーラシア経済委員会とモルドバ共和国間の協力メモランダム」に調印するという動きがあった。メモランダムのテキストはこちらで閲覧することが可能。ただし、ウクライナについて指摘したのと同様で、今回のユーラシアとモルドバのメモランダム調印をもってモルドバがユーラシアのオブザーバーに正式になるわけではない。メモランダムにそのようなくだりは見当たらないし、またあくまでも覚書で国際条約ではないので、拘束力がないということも明記されている。ロシア/ユーラシア側は、ドドン大統領がどれだけモルドバをまとめて方向転換を果たせるのか、お手並み拝見ということなのだろう。なお、ユーラシア経済連合のオブザーバーとは何ぞやという説明を、こちらのサイトで見付けた。


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 こちらの記事によると、ロシアなど旧ソ連5ヵ国から成るユーラシア経済連合、モルドバがオブザーバー参加する方向となった。2月17日にモルドバのドドン大統領がテレビインタビューでその見通しを語った。1月にドドン大統領がプーチン・ロシア大統領との会談後に、モルドバはユーラシアへのオブザーバー参加を希望する旨を表明していた経緯がある。3月にはその希望を正式に書面で伝える予定で、4月3~4日頃にはモルドバとユーラシア経済委員会間で協力枠組み覚書を結ぶ運び、という。


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 こちらの記事が、海外からモルドバへの銀行を通じた送金(個人仕送り)について報じている。2016年には、ロシアからの送金は縮小はしたものの、やはり依然として同国からの送金が最も多い。すなわち、2016年のロシアからの送金額は3億8,748万ドルで、前年比20.6%減だった。2016年にロシアのシェアは35.9%で、前年から7.3%ポイント低下した。


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 トランプ・ハリケーンが吹き荒れる中、当ブログは地味な話題で恐縮。こちらのニュースで知ったのだが、国際ワイン機構というところがあるそうで、そこが発表した2015年の世界ワイン生産国ランキングで、モルドバが20位になったということである。ランキングは上の表に見るとおりである(単位は100万ヘクトリットル、ヘクトリットルとは100リットルのこと)。調べてみたら、原典はこちらだった。

 良く見ると、ロシアが12位に入っているのだが、クリミアをぶんどった割には、生産量が増えていないのはどうしたことか?


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 少々遅れ気味のフォローになってしまうが、個人的に認識があやふやな部分だったので、メモしておく。こちらの記事などが伝えているとおり、EUとモルドバ、EUとジョージアの連合協定(2014年7月27日締結)は、すべての締約国による批准が完了し、本年7月1日に正式に発効したということである。それに対し、EUとウクライナの連合協定は、まだすべての批准手続きが完了していないので、暫定的に適用されるに留まっている。


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 こちらのモルドバのニュースサイトを見ていたら、「日本のメタルプロダクツ社がモルドバに投資」という見出しが躍っており、色めき立った。ただ、メタルプロダクツという会社は日本に限っただけでも何社かあるようで、一体どこの会社のことかと思って探してみたら、山形県最上郡にあるこちらの㈱メタルプロダクツのことであることが判明。主として鉄骨部材における鉄鋼業の総合的なパーツを製作している会社ということである。実際、こちらのページに見るとおり、渡邊進社長が8月16日にフィリプ・モルドバ首相と面談し、経済協力について話し合ったということである。上掲記事によれば、メタプロ社は再生エネ、バイオマスなどの分野で2年ほどモルドバでビジネスを手掛けており、今回はモルドバで鉄骨生産の新たなプロジェクト立ち上げを決定したということである。


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 少々古く、2015年12月に出た情報だが、こちらのサイトに、2014年の欧州各国の国民の消費支出に占める食費の比率のランキングというのが出ているので、抜粋して紹介する。これはいわゆるエンゲル係数のことなので、数字が高いほど貧しいということになる。欧州40ヵ国が対象になっているが、全体の平均は22.9%。私の関係国は、全部Bクラスなので、図の下の方だけトリムして、上掲のようにお目にかける。最下位は、急激に生活水準が低下しているウクライナで56.5%、以下モルドバ、カザフスタン(同国も便宜的に欧州国として扱われている)と続く。


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 こちらの記事によると、ロシア政府はこのほどモルドバに対し、通商関係を回復させるための措置をリストアップした「工程表」を提示したという。ロシア連邦政府の経済発展省のイリヤ・ガルキンCIS諸国経済協力・ユーラシア統合発展局長が、在ロシア・モルドバ大使館に送付した。7月5~6日にドミトリー・ロゴジン副首相(ロシア・モルドバ通商経済協力委員会の共同議長も務める)がモルドバを訪問することになっていたので、その1週間前の6月28日にモルドバ側に伝えられた。『コメルサント』が入手した工程表は14項目から成り、一部はモルドバがEUと結んだ連合協定と抵触するようなデリケートな項目も含んでいる。ロシアはモルドバ側に対し、2011年10月18日付のCIS自由貿易条約や、認証・度量衡・標準・検疫に関する諸協定で負った義務を全面的に履行するよう求めている。


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 こちらの記事によれば、このほどIMFが発表したリリースで、モルドバ経済の苦境が指摘されている。同リリースによると、モルドバ経済の短期的な見通しは引き続き困難なものとなっている。モルドバ経済は貿易パートナーからも、世界情勢からも、打撃を被りやすい。さらに、直近では政治的不安定や、気候変動による悪影響もある。2015年のGDPは0.5%のマイナスだったが、これには干ばつ、弱い内需、海外からの送金の伸び悩み、投資の縮小などが影響した。生産の落ち込みは、2016年上半期も続いている。IMFは以上のように指摘した。


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 モルドバの南部に、トルコ系の正教徒であるガガウス人のガガウス自治区というのがある。こちらの記事によると、ガガウスの最大企業であるTrans Oil Refineryという会社(ひまわりの種から植物油を抽出する工場)が、4月1日から3ヵ月にわたって操業を一時停止し、従業員を一時帰休させたということである。市場の落ち込みによる販売不振が原因。ガガウスで栽培されたひまわりはすべて同社が買い上げており、地域への影響は深刻だという。工場はモルドバで2番目の規模を有し、南モルドバでは唯一の油脂抽出工場、年産15万tのキャパがある。ジュネーブに本部を置くTrans-Oil Group of Companiesという国際グループに属しているが、各生産企業はそれぞれ自立している。なお、ガガウスでは本件に先立ち、アセナ・テクスチリという縫製企業も操業を停止しており、300人が失業したばかりだった。


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 こちらの記事によると、このほどロシア外務省は、2015年にロシアとモルドバの貿易が縮小したのは、モルドバとEUの連合協定・FTAのせいであるとするコメントを発表した。これはモルドバのアンドレイ・ガルブル副首相・外務欧州統合相が訪ロするのを前に、ロシア外務省がコメントを発表したものである。2015年にロシア側の対モルドバ輸出は30%、輸入は41.2%縮小した。ロシア側は、第三国の製品がモルドバからロシアに再輸出されるリスクを最小化するためと称して、モルドバからの輸入に関税を導入している。また、果実・葡萄関連製品に、植物検疫上の制限を課している。


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 こちらの記事によると、モルドバを訪れる外国人は増加しており、2015年には前年比8%増の1万5,500人(!)に達したということである。うち、65.1%が観光目的、27.1%が商用、3.1%が療養目的だった。国別の内訳は以下のとおりで、意外にも日本が入っていたので、取り上げた次第。1万5,500人のうちの1.8%ということは、279人くらいか。

  1. ルーマニア:20.5%
  2. ウクライナ:11.5%
  3. ロシア:9.8%
  4. トルコ:4.6%
  5. 米国:4.4%
  6. ポーランド:4.1%
  7. ドイツ:3.5%
  8. イタリア:3.4%
  9. 英国:3.3%
  10. イスラエル:3.1%
  11. スウェーデン:3.1%
  12. ブルガリア:2.4%
  13. フランス:1.9%
  14. オランダ:1.9%
  15. 日本:1.8%

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 『コメルサント』のこちらの記事が、モルドバの政治危機に乗じて、隣国のルーマニアがモルドバとの統合をめざし働きかけを強めているという趣旨の記事が出ている。両国の経済概要を比較した図が出ていたので、上記のとおり転載させていただく。


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 モルドバ統計局のデータにもとづきこちらの記事が伝えているところによると、2015年のモルドバの貿易はきわめて低調なパフォーマンスを示した。2015年の輸出は19億6,690万ドルで、前年比15.9%減。輸入は39億8,680万ドルで、前年比25.0%減だった。EU向けの輸出は12億1,760万ドルで、2.3%減、EUからの輸入は19億5,410万ドルで23.9%減。CIS諸国向けの輸出は4億9,230万ドルで33.1%減、同諸国からの輸入は10億1,810万ドルで、29.7%減だった。


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 モルドバでは、左派系野党主導の不信任案可決により、2015年10月29日にV.ストレレツ内閣が退陣に追い込まれていた。わずか3ヵ月の在任期間だった。その後はGh.ブレガ氏が首相代行を務めてきた。

 そして、こちらの記事などが伝えるとおり、1月20日に議会が賛成多数で民主党のD.フィリプ氏を新首相に承認した(101議席のうち57名が賛成)。野党側は議会が突然召集され、わずか30分の審議で採択されたと反発、投票結果の無効化を求め、議事堂前では抗議デモも始まった。しかし、そうした騒然とした雰囲気の中で、フィリプ新首相は大統領府で就任式を強行した。

 こちらによれば、欧州議会はモルドバ新政府の成立に歓迎の意を表したということである。

 なお、モルドバ政局ゴタゴタの背景に関しては、藤森信吉さんのレポートを参照。


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 各国別まとめシリーズで、こちらのサイトに出ている2015年のモルドバ経済の総括というのを簡単に整理しておきたい。

  • 10月16日、モルドバ中央銀行がBanca de Economii、Unibank、Banca Socialaから免許剥奪。
  • 銀行の寡占化が進む。Moldova-Agroindbank、Moldindconbank、Victoriabankという大手3銀行の市場シェアが66.5%まで肥大化。
  • GDPは低下傾向を辿り、通年では2%程度のマイナス成長へ。にもかかわらず大手銀行の収益は拡大。
  • 銀行金利が上昇、融資は低下。
  • 通貨レイ安とインフレが亢進。

 以上。金融部門に話が偏りすぎていて、つまらない内容だった。なお、2015年のモルドバ政治のまとめについては、こちらのサイトが良さそう。


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tomato

 ロシアはトルコからの野菜・果物に結構依存しているのだが、例のロシア軍機撃墜事件への報復として、2016年からロシアは主要な青果物のトルコからの輸入を禁止することになった。

 こちらのサイトに、ロシアがトルコからの供給に特に依存していた品目というのが出ており、中でも依存度が高かったのがトマトである。2014年のロシアのトマト輸入に占めるトルコ産の割合は42%に上ったという。えらいこっちゃ。

 そうした中、こちらの記事によれば、ロシア語系住民がモルドバからの分離独立を唱えている「沿ドニエストル共和国」が、代替のトマト供給地として名乗りを上げているのだとか。沿ドニエストルでは、非常に現代的な温室でトマトが栽培されており、質の良いトマトが供給できるのだという。すでにロシアの小売業者が視察に出かけたりしているということを、この記事は伝えている。


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sumitomo

 モルドバのニュースを眺めていたら、「スミトモがモルドバに工場を建てる」という見出しが目に飛び込んできて、驚いた。読んでみると、住友電装のドイツ子会社であるSumitomo Electric Bordnetze GmbHが、自動車用ワイヤーハーネスを生産する工場を、モルドバのバルツィ(ロシア語ではベルツィ)自由経済地区に建設する計画ということである。2,000万ドルを投資する予定だという。製品は全量を輸出する。バルツィ自由経済地区は2010年3月に期間25年で創設され、すでに40の企業が入居しており、3,100人以上を雇用している。投資総額は4,570万ドルで、モルドバのすべての自由経済地区の受入額の21.3%に相当する。


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 モルドバの運輸部門、環黒海経済圏に関し、ちょっと気になる情報を見付けたので、取り上げる。こちらの記事が、プルート川に橋をかけてモルドバとルーマニアを結ぶという話題につき伝えている。ルーマニアとモルドバは、民族的には同一系統ながら、ソ連時代以来の微妙な関係があり、モルドバがEU参入を目指している今日でも、両国間にはまだ壁がある。それが、橋で結ばれるということは、興味深い動きだ。

 記事によると、両国の国境線となっているプルート川に2本の橋を架ける工事が、来年2016年から始まるということである。地図上で青いマークで示したのが建設地であり、北の方ではモルドバのウンゲニと、ルーマニアのヤーシを結ぶ。南の方では、モルドバのジュルジュレシティと、ルーマニアのガラツィを結ぶ(ジュルジュレシティの自由港に関しては本ブログで先日取り上げた)。また、環黒海環状道路を建設するというプロジェクトがあり、このエリアでは、ルーマニアのトゥルグ・ムレシュ~ヤーシ、モルドバのウンゲニ~キシナウ(キシニョフ)、そしてウクライナのオデッサというルートで幹線道路が整備されるということである。このルートを地図では赤い矢印で示した。良く分からないが、環黒海道路と言いつつ、ルーマニア部分では結構内陸を通るということなのかな。まあ、現在のロシア・ウクライナ関係、ロシア・ジョージア関係を考えれば、実際に黒海をぐるりとめぐる環状道路など、完成するはずもないが。


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koukan

 恥ずかしながら、これまでまったく知らなかった話を、今般初めて知ったので、ここにメモさせていただく。モルドバは黒海圏に位置する国ながら、惜しい形で内陸国であり、その国土は直接には黒海に面していない。しかし、モルドバがウクライナと領土交換条約を結んだ結果、モルドバはドナウ川の河川港を手に入れ、これによりドナウ川経由ではあれ、自国の港を基盤に黒海海運にアクセスできるようになったとのことである。

 ざっと物色したところ、こちらのサイトの情報が詳しそうだ。上の地図に見るように、モルドバの国土は「むくんだブーツ」みたいな形をしているのだが、モルドバはそのつま先の部分をウクライナから獲得し、これによってモルドバは600mほどとわずかではあるが、ドナウ川の左岸を領土として獲得することができ(ドナウ川にプルート川が注ぐあたり)、そこにジュルジュレシティ港を建設、かくして同港からドナウ川を通じて黒海への出口を確保したわけである。一方、モルドバはむくんだブーツのかかとの先っぽ部分を、ウクライナに割譲した。ウクライナのオデッサ州は、ドニエストル潟をはさんで、領域が北東と南西に分かれてしまっていたのだが、ドニエストル潟の北岸の幹線道路が通る小さな部分がモルドバ領からウクライナ領となり、これによって州都のオデッサ市とイズマイル、レニといった小都市との道路交通が格段に便利になった。このように、それぞれが抱えていた交通上のボトルネックを、ごくわずかな領土の交換によって解消できるという、ウィン・ウィンの取り決めだったわけである。

 下の地図に見る濃いグレーの部分がモルドバが獲得した新領土らしく、このようにちょこっとだけドナウ川に面しているだけではあるが、それが大きいのだ。

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 本件交渉は1995年頃から始まり、1999年に中間的な協定が結ばれたところ、モルドバ側が先走って河川港建設の工事に着手してしまい、その一方でウクライナ側に引き渡すはずだったパランカ村郊外の区画をなかなか明け渡そうとしなかったため、両国間で対立する場面もあったようだ。しかし、こちらの記事によると、ようやく2011年になってモルドバも当該区画を明け渡し、これをもって両国間の領土交換が完了した形になったようである。

 そして、こちらのサイトに見るように、モルドバはジュルジュレシティを中心に自由経済区を創設し、同港は国際自由港というステータスになっている。モルドバにとっての唯一の海への出口であり、なおかつ対ウクライナ、対ルーマニア(すなわち対EU)国境に面するという、興味深い地理的条件を備えている。そのジュルジュレシティ港の取扱貨物量の実績が、下表に見るとおりである。現状で決して大規模とは言えないが、趨勢的に拡大しているし、小国モルドバにとっての意義は小さくないだろう。なお、ウクライナが完成させたドナウ川~黒海運河があり、ジュルジュレシティに出入りする船もその運河を使うことによって(言い換えればルーマニア領を流れるドナウ川スリナ支流を避けることによって)、さらに黒海との行き来がスピードアップしているということである。

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 モルドバからの分離・独立を唱えている非承認国家「沿ドニエストル共和国」に、シェリフ社という筋悪企業があり、手広く商売を手掛けている。従来は、沿ドニ当局とシェリフ社は昵懇というイメージが強かったが、こちらの記事によると、最近になって摩擦が強まっているらしい。記事によれば、沿ドニ政府は先日、「2015年上半期の社会経済情勢に関する速報報告」という資料を公表したが、その中で生活水準低下の元凶がシェリフ社にあるようなくだりがあった。それに対し、今般シェリフ社が政府宛に公開書簡を送付し、我が社に罪をなすりつけないようにと、政府に求めた。シェリフ側の主張によれば、同社による納税が激減しているのは、2014年末にウクライナ領を経由して沿ドニエストルにタバコ・酒を輸入するのが禁止されたのが原因であり、その結果として物品税の納税がゼロになったというのが真相である、ということである。


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 こちらの記事によると、ロシア関税局のデータによれば、2015年1~6月のロシア向けのワイン輸出で、モルドバは第8位となった。ただ、伸び率で見るとモルドバが最も大きく、前年同期比528%増を記録したという。前年同期には、ロシア消費市場監督局の措置により、モルドバからロシア向けのワイン輸出が実質的に行われなかったという経緯がある。モルドバからロシア向けの輸出のうち、70.8%がエルジン社によって担われている。

 2015年1~6月のロシアのワイン輸入は前年同期比38.5%低下し、6,800万リットルとなった。主要国では、スペインが1,260万リットル(24.6%減)、イタリアが1,090万リットル(33.8%減)、フランスが1,000万リットル(51.1%減)と、いずれも大きく減らしている。それに次いでアブハジアが4位に食い込んだ(770万リットル、26.3%増)。8位のモルドバは280万リットルを輸出した。


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 最近、仕事で日本とNIS諸国(旧ソ連の新興独立諸国)の貿易データを整理したところ、日本が同諸国から衣料品を結構輸入していることに気付いた。2014年の輸入額は、

モルドバから:7.9億円
アルメニアから:7.1億円
ウクライナから:4.2億円

 といった具合である。なお、ベラルーシからの衣料の輸入は記録されていないが、同国からは糸や繊維がちょこっと輸入されている。

 中でも最も目を引くのが、モルドバからの衣料の輸入である。このアイテムのお陰で、最近日本のモルドバからの輸入総額が急増している(ただし、それでも2014年現在で14.5億円にすぎないが)。それを支えている最重要商品が、衣料品ということになる。

 はて? モルドバ製の衣料とは、一体いかなるものだろうかと思ってググってみると、欧州系(フランスで発祥し現在はミラノに本社)の「モンクレール」というブランドの結構高価なアパレルが、日本に出回っていることが分かった。スポーティーな商品を出しているところで、ダウンジャケットなどが有名らしい。同ブランドの公式HPはこちら、ウィキ記事はこちら、アマゾンで検索した結果がこちらである。ただし、ネット界隈では、モルドバ産は偽物といった風評も流布しているようだ。なお、モンクレールにはアルメニア製の商品もあり、同国からの衣料輸入額にはその数字が反映されているのかもしれない。

 推測するに、これまでルーマニアとかに下請けに出していた西欧のアパレルメーカーが、より賃金の安い旧ソ連の欧州系低所得国であるモルドバあたりに生産をシフトする動きが徐々に生じており、そうした商品が日本にも流入しているということではないだろうか。まだまだ小さい芽だとは思うが、国内製造業が壊滅状態のウクライナやモルドバの現状を思うと、期待したくなる。


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 こちらのサイトに、2014年のモルドバの乗用車販売市場の概況が載っている。これによれば、2014年にモルドバでは4,921台の新車が販売された。前年が4,990台だったから、1.4%減だったことになる。中古車を含めると、2014年の販売台数は29,673台で、19%減だった。

 2014年のブランド別の新車販売台数は上図に見るとおりで、隣国ルーマニアのダチアが1,260台でトップとなっている。以下、2.シュコダ:571台、3.ヒュンダイ:385台、4.トヨタ:382台、5.メルセデス:240台と続く。

 クラス別では、SUV:1,800台、小型:1,213台、コンパクト:596台、中型:324台、ミニバン:129台、その他:859台という内訳となっている。トヨタの売れ筋はRAV4の107台。


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 モルドバは世界でも屈指の出稼ぎ立国である。こちらの記事によると、2014年に海外からモルドバの個人宛に送られた送金のうち、63%強がCIS諸国からで(なぜこういうのを概数にするのか?)、20.2%がEUからだった。CISの内訳では、ロシアが61.6%と圧倒的に大きい。しかし、そのロシアで通貨ルーブルが下落したため、2014年にロシア・ルーブルはモルドバ・レイに対して30.7%も減価した。2014年年初は、2万ルーブルを送金すると7,938レイになったが、年末には5,526レイにしかならなくなってしまった、ということである。


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 こちらのニュースによると、昨年11月に議会選挙が実施されたモルドバでは、1月23日に自由民主党と民主党が連立政権樹立協定を締結した。ただし、自由民主党が23議席、民主党が19議席で、101の定数中、合計で42議席しか保有しておらず、共産党の閣外協力を仰ぐ少数派内閣を形成する方向である。共産党のV.ヴォロニン党首は、入閣はしないものの、条件付きで協力し、中銀総裁、会計検査院長などのポストを要求する考えを示している。新たな連立の名称は、「欧州のモルドバのための連盟」というもの。このほど、与党は連立協定を発表した。協定は49箇条から成り、最優先事項はEUとの統合路線であることをうたうとともに、連立運営のルールを取り決めている。それによれば、自由民主党側は首相、対外政策・欧州統合担当の副首相、外相、国防相、内相、法相、蔵相などを出すことになっている。民主党は経済担当の副首相、運輸相、地域発展相、等々を出す。議会の議長は民主党に割り当てられた。


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 モルドバに関しては、年末に「2014年のモルドバのトップニュースは連合協定」という記事をお届けした。その後、モルドバ版の『コムソモリスカヤ・プラウダ』のこちらのサイトで、重要ニュースで振り返る2014年のモルドバという特集が組まれているのを見付けた。こちらの方が、やや大衆的ながら、詳しくていいかもしれない。それぞれの時点で発表されたニュースへのリンクが貼ってあるだけではあるのだが、重宝する。挙げられている項目のうち、政治・経済関連の主なものだけでも、以下のとおり整理しておくことにする。


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 モルドバについても10大ニュースの類を探しているのだが、なかなか良いものがない。以下に見るのは、こちらのサイトに掲載された、政治10大ニュースというものである。順番は、たぶん重要な順だと思う。

  1. EUとの連合協定調印される。
  2. EUとのビザ体制自由化。
  3. 11月の議会選挙。
  4. ガガウス自治区で住民投票。
  5. 支持率で急浮上したパトリア党が議会選から除外される。
  6. 自由民主党が親欧州路線の大規模デモを組織。
  7. 民主党が議会選に向け市民に候補者推薦を呼びかける。
  8. 共産党のイデオローグM.トカチューク、議席を返上。
  9. 共産党の6月の中央委総会、重鎮が排除され、路線転換印象付ける。
  10. A.カンドゥが経済相として手腕発揮し、民主党浮上の要因に。

 他方、こちらのサイトには、2014年のモルドバ経済の重要ニュースというのが出ているのだが、複数形にもかかわらず、掲げられているのは「EUとの連合協定調印」という1本だけである。有料購読すれば、記事が全部見られるということか? いずれにしても、政治的にも、経済的にも、連合協定が2014年の最重要ニュースだったということのようである。


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 私はモルドバという国に一度しか行ったことがないのだが、その際には知人から紹介されたV.ブマコフさんという現地の有力者にお世話になった。ブマコフさんは私を車に乗せて、地方都市に連れて行ってくれただけでなく、当方のリクエストに応じて、沿ドニエストル共和国まで付き合ってくれた。そんなブマコフさんは現在、農業・食品産業大臣を務めているらしく(新議会が発足した関係で、近く異動があったりもするかもしれないが)、つい先日大臣として訪日したらしい。そして、こちらのページに見るように、モルドバのワインをPRするイベントが東京で開催されたということだ。他方、ブマコフ大臣は、現地メディアのこちらの記事で訪日について語り、日本へのワイン輸出を強化していきたいといった抱負を語っている。動画はルーマニア語なので何言ってるか分からないが、福岡、北海道という地名がすらすら出てくることからして、だいぶ日本に思い入れをお持ちではないかと推察する。

 日本にはすでに「モルドバワインオンラインショップ」なんてのもあり、福岡の会社が販売を手掛けているようである。私は酒を飲まなくなってしまったので無理だが、ご興味のある方はぜひ応援してあげてください。


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