ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ベラルーシ

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 こちらによると、このほどベラルーシのI.ペトリシェンコ副首相が現地紙のインタビューに応え、ロシアを中心に5ヵ国から成るユーラシア経済連合の現状を厳しく評価したということである。

 ペトリシェンコ副首相いわく、ユーラシア経済連合を経済同盟と呼びうるのは、将来的なことにすぎない。我々は実質的に、自由貿易圏(FTA)の段階に留まっている。自国の経済主体を優遇する措置を保持したまま、共同市場を形成するのは不可能である。統合の前提となるのは、お互いの商品や企業を自国のそれと同等に扱うということだが、現在のところそうなってはいない。5年間のユーラシア統合の成果を総括すると、我々は高いレベルで達成した課題もあるが、半分しか達成していないもの、まったく凍結されているものもある。ユーラシア域内市場では、各国は相変わらずお互いに非関税制限措置を、衛生検疫措置の名目で課したりしている。政府調達分野では、内国民待遇が反故にされており、当初は例外措置だったのが、恒常化している。ユーラシア域内では200以上の障壁が横行しており、2018年には13の障壁が除去される一方で、19の新たな障壁が登場している。サービス分野では、パイプライン、送電、国際自動車輸送といった重要部門が例外扱いされている。過去5年間で、エネルギー市場、政府調達、産業補助金などの共通化は、実質的に進展しなかった。それでも、ベラルーシは、これは全面的なユーラシア経済連合を形成する過程での一時的な困難であるということを願っている。

 以上がペトリシェンコ・ベラルーシ副首相の発言要旨であった。副首相の言っていることはまったく正しいが、副首相は主にロシアを念頭に置いて現状を批判しているものの、当のベラルーシも様々な障壁を設けている張本人であることは指摘せねばなるまい。


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 このところ、ベラルーシとロシアの間で隙間風が目立ち、それと裏表の現象として、ベラルーシが欧米、特にEUに接近する動きを見せている。この問題に関し、こちらのサイトでI.ザハルキンという論者が論評しているので、大意を以下のとおり整理しておく。

 2月18日にベラルーシのS.ルマス首相は欧州委員会人事・財政担当委員ギュンター・エッティンガーと会談し、ベラルーシ側としてはできるだけ早期に、協力に関するEUとの基礎協定に調印したいということを改めて表明した。しかし、両者の関係には引き続き多くの不一致があり、妥協点を見出すのは容易でない。

 A.ルカシェンコ大統領も、「ベラルーシは常にEUの頼りがいのあるパートナーであり、両者のアプローチが相互的であることを期待する」と述べている。ベラルーシ側はもうだいぶ以前からそのような立場を示しているが、現実には実務作業を開始する必要性を確認するだけで、そこから先には進めていない。

 EU側は、最近は民主化と人権の問題には目をつむるようになりりつあるが、それ以外にも関係の発展を阻害する3つの未解決の問題がある。

 第1に、本来は「2018~2020年のパートナーシップの優先事項」という文書が調印され、それが両者の関係のロードマップになるはずなのだが、現実にはそれが調印されていない。2017年に調印されるはずだったのだが、ベラルーシの原発建設にリトアニアが反発したことで、いまだに検討段階に留まっている。

 第2に、ベラルーシ・EU間で協力関係についての基礎協定が存在しないことである。形式論として言えば、上述の「優先事項」が制定されたことを受けて、ようやく基礎協定を結ぶことができる。想起すべきなのは、1995年にベラルーシとEUがパートナーシップ・協力協定に調印しながら、EU側が1997年に批准手続きを停止したことである。それゆえ、現在ベラルーシとEUの関係を規定しているのはいまだに、1989年に結ばれたソ連とECの協定となっている。この地域でEUとの本格的な関係文書を有していないのは、ベラルーシが唯一である。その結果、ベラルーシは東方パートナーシップに積極的に参加できず、EUの各種プログラムによる資金の恩恵にもあずかれていない。影響を受けているのは政治対話だけでなく、貿易関係も然りである。しかも、ベラルーシが現在盛んに言っている基礎協定とは、EUがジョージア、モルドバ、ウクライナと結んだ連合協定よりも、はるかに低いレベルのものである。

 第3に、ビザ体制の簡素化の課題が未解決である。両者はもう何年も本件につき交渉し、2018年には交渉最終段階にあるとされたが、本件が近い将来に実現する可能性について専門家はますます懐疑的になっている。

 上述の諸問題の解決が容易でないのは、それが政治体制にかかわってくるからである。ウクライナ危機後、ベラルーシ当局は政治犯を釈放したり、ビザ免除を打ち出したりしてEUに譲歩を示したが、ベラルーシ当局は相変わらず国内情勢を不安定化しかねない大胆な改革には応じるつもりはない。ベラルーシがEUとの関係正常化で望んでいるのは、制裁の解除、基礎協定の調印、貿易の差別撤廃、定期的な首脳会合などであるのに対し、EUは政治・経済の改革、人権の順守、死刑の廃止などを求めている。しかも、EUはベラルーシ当局と関係を拡大しつつも、同時に野党への支援も行っている。つまり、両者の思惑が食い違っているのだ。EUが硬直的な官僚組織であり、またリトアニアの例のように加盟各国の利害もからむとなると、ベラルーシ・EU関係で突破口を開くのはかなり難しい。


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 ベラルーシの経済成長率は、ロシアのそれとほぼ連動し、なおかつ、石油価格に大きく左右されるということが知られている。このグラフはそれを示したもので、折に触れ更新しているが、今般2018年の数字が出揃ったので、2018年まで伸ばしてみた。2018年も法則どおりの結果となった。


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 こちらの記事によると、ベラルーシは2020年半ばにもWTOに加盟する見通しだという。WTO側のフアン・マルチェッティ氏が記者団に明らかにした。同氏によると、ベラルーシは加盟条件を実質的に満たしつつあり、それにかかわる重要な決定、法整備、法慣行の面で大きな前進を見せていて、現在はすでに交渉の最終段階だ。ベラルーシ当局は2020年半ばまでの加盟ということを掲げているが、交渉完了に要する時間は1年あまりなので、それは充分に可能である。残された問題としては、サービス貿易と、投資政策が挙げられる程度だ。メルチェッティ氏は以上のように述べた。


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 GLOBE+に、「『ロシアがベラルーシを併合?』との怪情報を追う」を寄稿しました。


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 ロシアは、石油産業に由来する税収を、輸出関税から、天然資源採掘税にシフトする税制改革を進めている(それを「税制マヌーバ」と呼ぶ)。ただ、ベラルーシのようなユーラシア経済連合加盟国に対しては、元々輸出関税が課せられていなかったので、それがロシアの国内税に移行すると、ベラルーシがロシアから輸入する石油の価格に天然資源採掘税が上乗せされ割高になり、それでいて輸出関税引き下げの恩恵はない、ということになってしまう。

 本件に関し、こちらの記事によると、ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ロシアの税制改革でベラルーシはこれまでの3年間ですでに35億ドルの損害を受けており、2024年までにはさらにそれが膨らんで108億ドルの損害を被ると指摘した。ロシア記者団との会見の場で述べたもの。その上でルカシェンコ大統領は、ベラルーシ・ロシア統合が崩壊することはない、ロシア大統領と直に会って解決策を見出したいと、プーチン大統領との直接交渉に期待を寄せた。


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 GLOBE+に、「ソ連共産党と中国共産党、それぞれの誕生の地を訪ねる」を寄稿しました。以前別のところに書いた文章を再構成したものですが。


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 ロシアで、闇流通タバコがはびこっているという問題については以前も紹介したことがあるが、こちらの記事によると、問題はその後、さらに悪化しているようである。一連の外資系タバコ会社の発注を受け、このほどNielsenが取りまとめたレポートにより、明らかになった。

 これによると、2018年第3四半期の時点で、ロシアのタバコ販売に占める闇流通品(非合法にロシアに持ち込まれた製品、模造品、免税店用製品の横流し)の比率は、8.4%に達している。前年同期は4.5%であり、この比率は趨勢的に拡大している。最も多いのはベラルーシからの非合法な持ち込みで、全体の36.7%に及んでいる。アルメニアからの持ち込みが5.4%、キルギスからの持ち込みが5.3%、カザフスタンからの持ち込みが3.0%、模造品が6.6%、などとなっている。ロシアの都市の中で闇流通品の比率が大きいのは、ロストフナドヌーの32.2%、タガンログの30.7%、ミネラリヌィエヴォディの28.3%、ノヴォクズネツクの21.5%、ペンザの15.7%、オムスクの15.1%、等々である。モスクワでは4.1%、サンクトペテルブルグでは3.1%だった。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2018年12月号の中身をいち早くご紹介。12月号は、「ROTOBO会長ミッションとベラルーシ経済」と題する特集号。私自身は、「ベラルーシの通商・産業概論 ―東西架橋型加工貿易という戦略」というレポートに加え、「ベラルーシを学ぶ書籍」、「ブリヤート共和国とザバイカル地方が極東転籍」、「ウクライナの地名表記に関する雑記」といった小文を執筆。11月20日発行予定。


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 こちらの記事によると、ロシアなど5ヵ国から成るユーラシア経済連合では、すでに主要食品につき完全な自給を達成しているということである。同連合の事務局に当たるユーラシア経済委員会がこのほど明らかにした。これによると、すでに2017年に域内の完全自給を達成しているのは、穀物、植物油、卵、砂糖である。これに加えて、本年には、豚肉98%、鳥肉100%、牛乳97%の自給率が見込まれており、これらについても完全自給達成が間近である。2017年の時点で、ユーラシア経済連合の主要農産物の総合自給率は、90%を上回っている。

 以上が記事のあらましである。ただ、ユーラシア経済委員会では、「加盟諸国の共同努力により、ユーラシア経済連合域内の一連の食品についての食糧安全保障が達成されている」と強調しているものの、私の知る限り、各国はバラバラに農政を展開し、またベラルーシの畜産品の流入をロシアがたびたび遮断するなど、とても調和的な共同市場とは言いがたい状況が続いている。そりゃあまあ、ロシア・カザフスタンは穀物の、ロシアは植物油の、ベラルーシは畜産品の、それぞれ大生産・輸出国なので、5ヵ国トータルで収支を見れば自給を達成して余りあるだろうが、「だから何?」というのが偽らざる感想である。


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 というわけで、夏休みにつきロシア情勢フォローは休業し、この間は8月末から9月上旬にかけて出かけたロシア・ジョージア・ウクライナのフォトギャラリーをお届けしてきたけど、夏休みはもうとっくに終わってしまっており、フォトギャラリーもそろそろ終わりにしたい。最後にお目にかける写真は、ミンスク空港にあるロシア・トランジット専門のパスポートコントロール窓口である。

 ロシアとベラルーシが同盟関係にあるので、以前から両国間の国境は、世界でも最も開かれた国境の一つとなっている。また、最近ベラルーシは外国人向けのビザなし制度を拡大している。じゃあ、外国人がベラルーシからロシアに行くのは便利かというと、まったく逆であり、訳の分からない手続きや制度変更に翻弄され、不便なことこの上ないのだ。このあたりについては、機会を改めて論じたいと思う。


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 旧ソ連に関係している皆さんなら、モスクワに「全連邦国民経済成果展示場(VDNKh)」という広大な展示会場があったことはご存知だろう。もちろん今でもVDNKhは施設としては残っていて、ただし若干性格を変え、様々な催し物が開催される総合イベント・レジャー施設的な感じになっている。社会主義時代のVDNKhの眼目の一つが、ソ連構成15共和国がそれぞれ経済発展の成果をお披露目し合うというものだったのだが、ソ連解体後、各共和国のパビリオンは放置され荒れ果てている。

 今回の調査出張で私は別件の展示会でVDNKhを訪れたのだが、その際に異彩を放っていたのがベラルーシ館だった。ベラルーシ館は今日ではベラルーシ産品の小売販売場として利用されており、一連の旧連邦構成共和国のパビリオンの中で現在でも唯一活況を呈しているのだ。今日でも、ベラルーシ国民経済の成果をモスクワで誇示し続けるベラルーシは、VDNKh精神を最も正しく継承した共和国だなと感じ入った次第だ。


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 ベラルーシのルカシェンコ大統領は8月18日に、首相をはじめとする政府の幹部を軒並み入れ替える大掛かりな政府改造を実施した。上掲の動画がそれを発表した政権幹部会合の様子であるが、いつも以上に、参加者が神妙な面持ちである。なぜこの局面での閣僚入れ替えなのか、確たることは今のところ分からないが、ルカシェンコ大統領は、「市民社会と対話した上で決めた」というようなことを言っている。ただし、その「市民社会」なるものが何を意味するかというと、女性団体、青年団体、労組、退役軍人団体などだという。要するにソ連時代以来の上から動員された官製団体であり、それを「市民社会」と称するのはなかなか興味深い立場だと感じた。ともあれ、こちらの記事によれば、新たに決まった主要閣僚は、以下のとおりである。

  • 首相:S.ルマス。これまでは「開発銀行」の総裁を務めていた。
  • 第一副首相:A.トゥルチン。これまでは官房長官だった。
  • 副首相:I.リャシェンコ。これまではベルネフチェヒムの総裁だった。従来セマシコ副首相が担当していた石油・ガス、鉱工業を担当する。
  • 副首相:V.クハレフ。これまでは国家統制委員会の副委員長だった。住宅・公営事業、運輸を担当する。
  • 副首相:I.ペトリシェンコ。これまでは駐ロシア大使だった。社会問題、保健、教育、文化、スポーツを担当する。
  • 経済相:D.クルトイ。
  • 産業相:P.ウチュピン。
  • 通信・情報化相:K.シュリガン。
  • 建築・建設相:D.ミクリョノク。

 なお、解任された閣僚たちについては、こちらの情報が詳しい。


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 こちらの記事が、独ザクセン州の代表団がベラルーシを訪問し、M.ミャスニコヴィチ上院議長と会談した際の様子を伝えている。この中でミャスニコヴィチ議長は、デジタル経済分野での共同プロジェクトを実施すべきである、ベラルーシには複数の経済特区があり投資環境は良好だ、その中には工業団地「グレート・ストーン」もある、ドイツ企業がそこで活発に活動してくれることを期待する、などと述べた。ザクセン州代表者は、その提案を支持するとともに、ベラルーシはITで有名である、ベラルーシで開発されたプログラムとIT技術を組み込んだドイツのコンピュータ機器を共同で生産するのも良い考えだろうなどと述べた。なお、2017年10月には初のベラルーシ・ドイツ・ビジネスフォーラムが開催されており、2018年11月にはドイツでそれが開かれる。ミャスニコヴィチ議長が第3回をミンスクで開催することを提案すると、ドイツ側もそれを支持、ドイツ側はベラルーシ議員の代表団にザクセン州を訪問するよう招待した。

 以上が記事のあらましで、それほど一般的な重要度は高くないが、中国が整備した「グレート・ストーン」に中国以外の外国企業が入れるというのは知らなかったので、取り上げた次第。


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 ロシアやベラルーシといった国々は、強力な大統領制によって、官僚に成果主義を強いるような傾向がある。そして、最近は両国とも輸出促進を重視するようになっており、外国にある出先(大使館、通商代表部)にもそれを推進する役割が課せられている。

 まあ、成果主義も輸出促進も結構なことだが、貿易なんてものは基本的に商品の競争力によって決まるものであり、個々の経済主体が合理的な決定を下したものの積み重ねが輸出額や輸入額といったものに表れるのが基本である。ところが、ロシアやNIS諸国の場合には、「●●市場向けの輸出を●%増やす」といった数値目標が設定され、それが達成されないと、担当者が大統領から叱責されたりするのが、困ったものである。しかも、大使館などが輸出促進に取り組むと言っても、講じられる手段がそんなにあるわけじゃないから、たとえば私どもロシアNIS貿易会にやたらしつこく「我が国のセミナーを開催してくれ」と働きかけたりしてくるのが、困りものである。いや、当会にしてもそれが仕事なので、お手伝いはするけれど、しかるべきテーマや頻度というものがあるわけで、のべつまくなしにセミナーをやれば貿易が増えるというものではなかろう(もしかしたら、先方もそれは承知の上で、いわゆる「やっている感」を出せればそれでいいのか?)。

 前置きが長くなったが、ベラルーシのこちらの記事を眺めて、改めてそんなことを考えさせられた。記事によれば、ベラルーシの各国駐在大使には、輸出拡大の数値目標が設定されており、それが達成されなかった場合には、大使を召還することもありうると、このほどベラルーシ外務第一次官のA.エヴドチェンコが警告した、ということである。まあ、記事では、「大使館自体が貿易をするのではなく、情報面でのサポートを行う」という当たり前のことも書かれているが、ベラルーシの外交官が「大統領に叱られたら困る」とばかりに、外国の団体や企業にしつこくまとわりついたりして、結果的にベラルーシが敬遠されるということは、これまでもあったのだ。


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 FIFAワールドカップ・ロシア大会のマスコットが、オオカミをモチーフにしたものであることにちなみ、本コーナーでもオオカミの紋章を取り上げてきたが、すでに申し上げたとおり、ロシアではオオカミをモチーフとした紋章はごく少ないことが判明した。そこで、先週はベラルーシのヴォルコヴイスクを取り上げたが、今回もベラルーシの街ムスチスラヴリ(ベラルーシ語読みではムスツィスラウ)にご登場願う。上掲のとおり、アカオオカミを描いた紋章である。なお、このムスチスラヴチの紋章は、とても珍しいパターンであり、それについては『ベラルーシを知るための50章』の中で触れたので、よかったらご参照いただきたい。

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 編集を担当している月刊誌の締切で、ブログを書くヒマがないなあと困っていたら、知り合いの中国関係の方から、ベラルーシと中国の首脳会談に関する新華社電を翻訳したものをいただいたので、これでお茶を濁すことにする。なお、ベラルーシは上海協力機構のオブザーバー国となっており、同機構の首脳会談出席のためにルカシェンコ大統領が訪中していたわけである。ちなみに、以下の記事の中にはないが、今回両国は、ビザなし協定に調印しており、本年秋に発効すると伝えられている。

 習近平国家主席は10日、青島でベラルーシのルカシェンコ大統領と会見した。

 習氏は、「双方の努力により、両国の全面的戦略的パートナーシップは相互信頼、協力とウィンウィンという新しい段階を迎えている。私と大統領が確認した協力に関する共通認識は効果的に実行に移され、双方の各分野、様々なレベルの交流と協力は史上最高のレベルに到達し、協力がもたらす成果を両国人民が分かち合う獲得感は絶えず増強されている」と指摘。

 さらに次のように強調した。中国はベラルーシを「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)共同建設の重要なパートナーとしてとらえており、ベラルーシが「一帯一路」建設に積極的に参加していることを評価している。近年、両国の「一帯一路」共同建設協力は全面的に進展し、多くのブレークスルーが実現し、一段と深まり、大きな成果を収めている。双方はさらに努力し、より多くの協力の成果が人民に恩恵をもたらすようにし、ウィンウィンと発展を実現しなければならない。双方は戦略のドッキングと政策面の意思の疎通を強化し、経済貿易、投資協力を深め、中国ベラルーシ工業団地の建設を推進し、関連協力プロジェクトがしかるべき経済効果と社会効果をあげるようにし、人員往来を促し、両国人民の相互理解と友好を増進しなければならない。ベラルーシがSCO協力に参加し、各方面と共に地域国家と人民のためにより多くの幸せをもたらすのを中国は支持する。

 ルカシェンコ氏は、習近平主席がSCO青島サミットを成功裏に主宰したことに祝意を表し、次のように強調した。青島サミットの成功と中国がサミット開催の過程において示した平等と民主の精神は人々から称賛されている。ベラルーシと中国は全天候型のパートナー、友人であり、それぞれが関心を寄せる重大な問題では従来から支持しあっている。ベラルーシは「一帯一路」構想を断固支持し、積極的に参加しており、中国との経済貿易や人文分野の交流と協力を絶えず深めていきたい。

 会見のあと、両国元首は関連協力文書の調印に立ち会った。


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 こちらのツイッターで、ベラルーシに関する興味深いネタが回ってきた。ベラルーシの様々な地域別のパターン図をまとめたものである。大元が良く分からないのだが、こちらのサイトということになるのだろうか。ネタというか自虐的なものも含まれているが、一番最後の地図なんかは、非常に貴重な資料と言えそうである。これは、ベラルーシ人の姓がどのような語尾で終わるかを地域別に示したものであり、私自身もだいたいこういうイメージを描いていたが、資料として明示したものは初めて見た。ポーランドに近い北西部は-skiが多く、ロシアに近い東部は-ovが多く、ウクライナに隣接した西ポレシエ地方は-ukが、東ポレシエ地方は-enkoが多いとされている。

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 CIS空港協会という旧ソ連の国際的な業界団体があり、同協会が毎年、最優秀空港賞という表彰を行っている。評価基準は、路線の充実、運航の安全、インフラの発展、顧客サービスなど。なお、年間利用者が100万人以上、50万~100万人、10万~50万人、10万人以下と規模別に分かれて最優秀賞が決められている。そして、こちらの記事によれば、2017年度の利用者100万人以上の空港部門で、ミンスク国際空港がこのほど最優秀賞に選ばれたということである。


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 ベラルーシの首都ミンスクの郊外に、中国企業専用の工業団地が創設されつつある。こちらがHPであり、英語で「Great Stone」というのが工業団地の名称となっている(中国語では「中白工業園区」)。

 それで、こちらの記事の中で、ベラルーシのコビャコフ首相がGreat Stoneの目標について語っている。首相いわく、2021年までには、第1段階の850haを複合的に開発する計画である。それまでには、累計投資額10億ドル、入居企業100社、生産高10億ドル以上、雇用7,000人を達成したい。有利な地理的条件ゆえに、ロジスティクス面などでの優位があり、中国・EU間の輸送をベラルーシ領を経由して行うトランジット貨物輸送を最適化できる。中国とベラルーシの貨物も増える。これらのことは、工業団地に国際的な地位を与えることになり、一帯一路の枠内でGreat Stoneを中心にした中国~欧州間の輸送回廊を構築することになる。もっとも、工業団地の優先項目はあくまでも、ロジスティクス・貿易ではなく、共同でハイテク生産を構築する点にある。首相は以上のように述べた。


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 ロシアもウクライナもベラルーシも、「デジタル経済化」というスローガンが喧しいが、ベラルーシに至っては、ついに「デジタル経済省」というお役所を創設する方向のようである。こちらこちらの記事が伝えているとおり、3月27日にA.ルカシェンコ大統領がA.トゥルチン内閣官房長(企業活動発展評議会議長も務める)と面談し、その問題が取り上げられた。その結果、具体的な期日は示されなかったものの、本年2018年中にデジタル経済省を新設するという方向性が打ち出された、ということである。

 まあ、デジタル経済化という方向性自体は分からないでもないが、ベラルーシのような硬直的な国で、個別のお役所を設けることが本当にその促進に繋がるのかというのは、微妙な面もある。


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 先日お伝えした3月25日のベラルーシ人民共和国100周年記念日は、結論から言えば、ほぼ平穏に過ぎ去ったようだ。

 こちらの記事によれば、当局公認の行事として、ボリショイ劇場前の広場で13時から19時にかけて記念集会・コンサートが開催され、延べ5万人ほどが集まったと見られる。コンサートではベラルーシの音楽グループが公演し、また様々なテーマ別コーナーが開設されていた。ここでは大きな騒ぎ、逮捕者などは見られず、警察と主催者により秩序が維持された。主催者は、ベラルーシ人民共和国100周年に関係ないスローガンなどは掲げないよう、釘を刺されていた。他方で、野党政治家で2010年大統領選にも出たN.スタトケヴィチが、無許可の行事を開催しようとして当局に身柄を拘束され、その他にも人権活動家やジャーナリストら30名が拘束された。


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 考えてみれば、本日2018年3月25日は、「ベラルーシ人民共和国」の独立が宣言されてから、100年目の記念日だ。

 おさらいしておけば、1914年に第一世界大戦が勃発すると、ロシアはドイツとの戦争で劣勢に立たされ、ロマノフ王朝による帝政は2017年3月の革命により崩壊した。ロシアは臨時政府と「ソビエト」との二重権力状態に陥り、停戦や土地問題の解決が図られないまま、事態は11月のボリシェヴィキ(のちのソ連共産党)による社会主義革命へと至る。この間、ベラルーシ地域においては、ベラルーシ社会主義会議(グロマダ)を中心とする民族派が自決を模索していた。1917年7月にはソビエトに対抗する「中央ベラルーシ会議」が設置され、12月には「全ベラルーシ大会」が開幕した。大会はボリシェヴィキによって解散させられたものの、参加者たちは場所を替えて審議を続け、執行委員会を選出した。ソビエト・ロシア政府が自分たちの頭越しにブレスト条約を結ぼうとしていることに危機感を抱いた執行委は、ドイツ軍の進撃を好機と見て、1918年3月9日に「ベラルーシ人民共和国」の創設をうたった。同25日には人民共和国の独立を宣言するに至る。

 ベラルーシ人民共和国はドイツの支援に賭け、皇帝のヴィルヘルムⅡ世に独立承認を請う電報を送ったが、ドイツ側はこれを黙殺する。人民共和国は国家機構や軍隊を整備できないなど有名無実だったうえ、指導部の分裂も生じた。1918年後半になると大戦の戦局が変わり、ドイツ革命も起きて、ドイツ軍は1919年1月までにベラルーシ全域から撤退、当地の実権は再びボリシェヴィキの手に渡る。その後、人民共和国の残党は1920年11~12月に最後の武力抵抗を試みたものの(スルツク反乱)、赤軍に鎮圧され、国外に逃れて亡命政権化した(ちなみに、現在に至るまで亡命政権は存続しており、HPはこちら)。

 このように、ベラルーシ人民共和国は国としての実態を備えるには至らず、その試みはきわめて短命に終わった。それでも、現代のベラルーシ・ナショナリストたちは、人民共和国は本物の国家だったのであり、我々は1991年にその独立を回復したのだ、という立場をとる。

 今日、言論・結社・集会の自由が抑圧されているルカシェンコ体制にあっても、民族・民主系の野党は3月25日を「自由の日」と定め、毎年この日に反政府デモなどを挙行してきた。他方、かつてはエスノナショナリズムとは無縁だったルカシェンコ体制も、最近はご都合主義的にナショナリズム的要素を取り入れている面もあり、かつてのようなルカシェンコ体制VS民族・民主野党という明確な対立構図は薄らいでいる印象もある。

 100周年の本日は、一体どうなるのだろうか? もしも100周年という大きな節目に何も起こらず、平穏無事に過ぎ去るとしたら、それは一時代の終わりを意味するのかもしれない。


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 こちらに、上に見るような、2016~2017年のロシアにおけるメーカー別のトラック販売台数が出ていた。私はロシア市場におけるベラルーシMAZ社の販売動向を注視しているわけだが、2017年にはロシア市場全体の販売が景気回復に伴い50.4%拡大する中で、MAZのそれは17.4%増に留まり、ロシアの国産品優遇が鮮明となった。いっそのこと、MAZもロシアで現地生産するか?


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 この週末は、個人的にサッカーのことを集中的に調べており、その関連の話題が多くなるが、ご容赦を。

 UEFAの最新レポート、The European Club Footballing Landscapeを眺めていたら、面白いことに気付いた。このレポートでは、各国のサッカークラブの活躍度をランキング形式で発表しているのだが、過去10年ほどの国別の栄枯盛衰を見ると、欧州で最も躍進した3国は、ベラルーシ、アゼルバイジャン、カザフスタンとなっている。上図の黄色いラインがその3国である。アゼルバイジャン、カザフスタンは産油国であり、ベラルーシは原油生産量こそ小規模であるもののロシアから輸入した原油を加工する精製ビジネスで食っている国だ。ざっくり言えば、オイルマネーでこれらの旧ソ連3国のサッカーが伸びてきたと理解していいだろう。ちなみに、最新のランキングでロシアが6位、ウクライナは8位であり、この2国はだいたい横這いである。


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 現在ロシアは、ベラルーシの一部事業者からの牛乳を衛生管理上の理由で差し止めており、両国間の摩擦に発展している。それに関連して、こちらのニュースによれば、ロシアのA.ドヴォルコヴィチ副首相が、ロシアの牛乳の輸入依存率は25%であると発言した。ロシア統計局は様々な食品の輸入依存率のデータを定期的に発表しているが、牛乳の数字は見たことがなかったので、書き留めておく次第である。

 ドヴォルコヴィチ副首相は、次のように語ったということである。土地改良、肥料の適切な投入、輪作なども重要だが、畜産が喫緊の課題に浮上している(注:ちょっと文脈が良く分からないが)。ロシアでは、牛乳の消費量が4,000万tであるのに対し、生産は3,100万tで、25%ほど足りない。不足分は、現在ベラルーシから輸入して補っている。我が国の友人たち(ベラルーシ)はむろんそれで喜んでいるが、我が国としては必要量を自給するようにしたい。ここで主導的な役割を果たすのがスタヴロポリ地方である。むろん、穀物にあまり適していない非黒土地帯では畜産が重要なので、そこでも多く生産されることになるだろうが。副首相は以上のように述べた。

 まあ、それにしても、ユーラシア経済連合というのは、一体何のための市場統合なのかと思ってしまう。


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 実は、製糖産業はベラルーシにとって重要産業の一つである。ベラルーシ国内には4箇所の精糖工場があり、国内で生産されるテンサイ(サトウダイコン)を原料に利用するだけでなく、サトウキビ由来の原料糖も輸入し、白糖への加工が行われている。ベラルーシの白糖の輸出余力はユーラシア経済連合で最も大きく、ロシアを中心としたユーラシア域内市場に輸出することで高い稼働率を維持している。

 それで、こちらのサイトに、下に見るように、ベラルーシ砂糖産業の近況を図解で示した資料が掲載されていたので、これをお目にかける。図は上から、テンサイの州別収穫高、砂糖生産高、そして砂糖の輸出相手国を示している。

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