服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

カテゴリ: ベラルーシ

 こちらのサイトで、政治学者のアンドレイ・スズダリツェフ氏(写真)がロシア・ベラルーシ関係についてコメントしているので、要旨をまとめておく。

2015_12_25_andrey_suzdaltsev_3551 ロシアとベラルーシの対立は完全に解消したわけではない。対立は2015年末に始まり、2016年1月にガス問題をめぐって先鋭化、それが15ヵ月ほど続いた。そもそもの問題は、ベラルーシがロシアから享受する優遇、融資、ロシア市場へのアクセスが、ベラルーシが自国民を養うのに不充分なレベルだったということである。ベラルーシは、ロシア本国に劣らず、ロシアの財政によって生きており、それには安いエネルギーの供給も含まれる。ベラルーシは、自分たちはより多くを要求する権利があると考え、2016年1月から契約通りにガス代金を払うことを停止したのである。

 ロシア・ベラルーシ関係は、パラダイムが変わった。第1に、ロシア側はベラルーシに対する譲歩をやめた。ロシアはベラルーシに、法律にもとづいて契約を果たすよう求めた。第2に、ロシアは過去四半世紀、ベラルーシへの支援を前払いという形で支払ってきたが、それに対するしかるべき見返りをベラルーシから得られなかった。そこでロシアは支援水準を引き下げたが、ベラルーシ経済はカネを浪費するブラックホールのようなものであり、ベラルーシ指導部はその数倍もの支援を求めた。過去数年で様々な形により20億ドルをつぎ込んだにもかかわらず、その結果としてベラルーシに出現したのは崩壊した経済、より貧しい国民、出稼ぎの横行(3月時点で約50万人がロシアで働いている)、ベラルーシ版オリガルヒの輩出だった。こうした次第なので、今後も対立は続くが、今は一時的に収まったところである。


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 昨日お伝えしたように、1年以上続いてきた石油ガス供給をめぐるベラルーシとロシアの対立が、このほどようやく解決した。そして、明らかにこの両国の歩み寄りを受けた動きになるが、こちらこちらの記事が伝えているとおり、ベラルーシのルカシェンコ大統領は4月11日、ユーラシア経済連合の関税法典に署名を行った。当ブログでも何度か報告してきたとおり、昨年12月に開催されたユーラシア経済連合の首脳会合をルカシェンコはボイコットし、同会合では目玉であったユーラシア経済連合関税法典への署名を、ベラルーシ抜きの4ヵ国首脳だけで行った経緯があった。ユーラシア経済委員会によれば、ルカシェンコの署名はすでに事務局に届いており、近く関税法典はウェブサイトに掲載されることになる、という。

 なお、ユーラシア経済連合の概要をまとめた便利な図がこちらに出ていたので、転載させていただく。

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 こちらなどが伝えているように、1年以上続いてきた石油ガスをめぐるベラルーシとロシアの対立が、このほどようやく解決した。ロシアからベラルーシへの天然ガスと石油の供給条件に関し、両国政府間で妥結し、4月13日に合意文書(複数)に署名したものである。今回の文書署名に先立っては、ガスプロムが、ベラルーシから2016~2017年のガス代金7億2,620万ドルを満額受け取ったと発表していた。

 今回の合意によれば、ロシアはベラルーシ向けのガス価格に、現行の価格決定方式から割引する係数を適用する。また、原油供給は、削減前の水準である年間2,400万tに戻すこととする。ただし、合意の細部は公表はされていない。

 ガス供給価格は、2017年は現行のままで、2018~2019年は13日にガスプロムのミレル社長とベラルーシのセマシコ副首相が調印した覚書に沿って決定される。ただし、詳細は明らかになっておらず、ガスプロムでは単に「従来通りヤマロ・ネネツ自治管区での価格にリンクして決められる」と説明している。ロシアのドヴォルコヴィチ副首相は、2018年からベラルーシ向けの単価は130ドル以下となると言明している。両国が加盟するユーラシア経済連合では、2025年に共同ガス市場を発足させることになっており、両国はそれに向けて2018年までにそれぞれの提案を示すことになった。

 原油供給に関しては、2017年から2024年まで、年間2,400万tをパイプラインで供給することになった。なお、2021年以降、供給を2,400万tよりもさらに拡大する可能性もあるとされている。


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 前のエントリーと同じような話で、今度はベラルーシの主要品目の生産量に占める輸出の比率というグラフがこちらに出ていたので、2011年とやや古いデータではあるが、取り上げさせていただく。小国なので、輸出依存度は全体的に非常に高い(しかも多くの品目でロシア市場に過度に依存)。整理すれば、品目ごとの輸出比率は以下のとおり。

  • トラック:83.7%
  • トラクター:96.8%
  • バス:70.8%
  • エレベーター:68.7%
  • カリ肥料:88.6%
  • タイヤ:71.9%
  • タイル:75.5%
  • 家庭用冷蔵庫・冷凍庫:78.7%
  • テレビ:67.0%
  • 洗濯機:51.8%

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 こちらこちらの記事によると、EUは4月7日から、テロ対策のために、シェンゲン協定加盟諸国に外国籍人が出入国する際の管理を厳格化した。しかるべきデータベースを用いて、外国籍人の特定と出入国手続きが厳格に行われるようになった。その結果、貨物を輸送するトラックがベラルーシからEU領に入国するにも従来以上に手間と時間を要するようになり、ベラルーシの対リトアニア、ラトビア、ポーランド国境では700台の大型トラックの行列ができている。一方、ベラルーシの対ウクライナ国境では何の問題も発生していない。


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 こちらの記事によると、過去1年ほど続いている石油・ガスの供給をめぐるロシア・ベラルーシ間の対立につき、解決策を探る両国政府間の交渉が3月30日に行われたものの、物別れに終わった。本件は、2016年初めから、ロシアの供給するガスの料金が不公正に高いと主張して、ベラルーシ側が一方的に引き下げた価格での支払を行い、その結果7億ドルの債務が累積、ロシア側はベラルーシへの原油供給を削減するという対抗策を示していたものである。不調に終わった今回の政府間交渉につき、ロシアのノヴァク・エネルギー相は、次のようにコメントした。いわく、残念ながら、紛争の調整につき、最終的な合意は得られなかった。最大のネックは、ベラルーシ側が、大幅な値下げと支払期限の延長がなされなければ、債務を償還しないとしていることである。我が国からすれば、ベラルーシの立場は充分に建設的とは言えないが、この紛争は我が方から始めたのではなく、交渉は続けていくつもりで、ベラルーシ側がより建設的になってくれることを願う。ノヴァク大臣は以上のように述べた。


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 ベラルーシがロシアと石油・ガス供給で揉めて、ロシアの代替の原油供給源模索の動きに出ている。そうした流れで、こちらのニュースによれば、今般イラン産原油8万tを積んだタンカーがウクライナのオデッサ港に到着した。オデッサから鉄道でベラルーシのモズィリ製油所に輸送される。ウクライナ領の鉄道輸送は、オデッサ・ペレスィピ駅から、対ベラルーシ国境のベレジェスチ駅までで、輸送料は1t当たり11.88ドルとなる。


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ichi

 ロシアはなぜゆえにベラルーシを重視するのか? かつて、その一つの要因として挙げられていたものに、飛び地である戦略的要衝=カリーニングラードへの輸送路確保というポイントがあった。ベラルーシとカリーニングラード州が直接地続きになっているわけではないのだが、ロシア本土とカリーニングラードとの鉄道輸送はベラルーシとリトアニアを通るので、カリーニングラードという飛び地を維持するためにも、輸送路としてのベラルーシを押さえておく必要があると、まあそんなような言説があった。ちょっと分かりにくいかもしれないけれど、上掲の図参照。

 しかし、そうした状況が変わりつつあるようである。こちらの記事によれば、ロシアは料金への不満ゆえにリトアニア~ベラルーシの鉄道輸送路を敬遠し、カリーニングラードとロシア本土を結ぶフェリー輸送(自動車だけでなく鉄道車両も運ぶ鉄道連絡船)を強化する方針のようだ。

 記事によると、カリーニングラード州バルチースク港と、本土のレニングラード州ウスチルガ港を結ぶ鉄道連絡船が、強化されることになる。新船の建造と運航のために、官民パートナーシップでプロジェクト会社が設立され、㈱ロシア鉄道が出資する。連絡線の価格競争力を維持するために、ロシア政府はカリーニングラード州とロシア本土を結ぶ鉄道輸送に適用している補助金を撤廃することを検討している。2月22日に当該の準備作業がD.コザク副首相から運輸省に命じられた。国は建設作業に51億ルーブルを支出する構え。当該の鉄道連絡船は2006年から存在し、現在2隻が運航しているが、近く退役予定。それに代わる3隻を新たに建造する方針が、2016年春に決まった。建造費用は総額110億ルーブル。


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minsk

 ベラルーシで反政府デモの動きが広がっているのだが、一体何について揉めているのか、一般の皆さんには分かりにくいと思う。実はベラルーシでは2015年に「穀潰し課税策」とでもいうべき制度が導入された。国民が失業をすれば、日本であれば失業手当を受けられたり、長期的な貧困に陥れば生活保護が受けられたりするところ、ベラルーシではそうした人は働かずに国民経済に貢献していない者だと位置付けられ、課税されることになったのだ。正直、なぜ今になって反対デモが起きているのか、個人的に分からないのだが、とにかくこの政策反対を掲げるデモがミンスク、モギリョフ、グロドノなどの大都市で発生し、逮捕者も多数出ているということのようである。

 こちらの記事によれば、多くのデモ参加者は特定の野党に属しているのではなく、あくまでもルカシェンコ政権がもたらした今日の経済難がデモ参加の理由だという。デモ隊のプラカードには、「国民にとっての主たる穀潰しは、官僚、政治家、警察だ」といったスローガンが見られる。一方でデモ隊には無政府主義者の一団も含まれており、警察が目を光らせている、という。


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 こちらの記事によると、ベラルーシとロシアのカリ肥料産業が、関係を修復する可能性が出てきた。ベラルーシのベラルーシカリ社と、ロシアのウラルカリ社は、かつては共同販売会社を築いており、往時にはその連合が世界市場の40%を押さえていた。しかし、2013年にその協業関係が崩れ、以降はライバル同士となり、販売競争が世界的な価格下落に繋がった経緯がある。しかし今般ベラルーシのルカシェンコ大統領が、ロシア側と関係を修復して共同販売会社を再興する用意がある旨表明した由である。ルカシェンコ大統領は、「我が国の側が一方的に譲るつもりはないが、相互譲歩であれば応じる用意があり、それは互恵的なものでなければならない」と発言した。ベラルーシのカリ肥料の輸出量は2015年の920万tから2016年の900万tに落ち込み、価格も25%ほど下落している。2017年には1,000万tを輸出したいという意向を有している。


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 これもベラルーシとロシアのエネルギー関係。こちらの記事によると、ロシアのガスプロムがベラルーシにガスを輸出する際の2017年の価格が明らかになった。ガスプロムのゴルベフ副社長が、ノヴァク・ロシア・エネルギー相に1月25日に送付した書簡の内容から判明した。これによれば、2016年通年の価格が1,000立米当たり132ドルだったのに対し、2017年1月1日からは141.11ドルとなり、6.81%上昇する。

 なお、上掲の図はこちらからとったもの。


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 「イジメ、カッコ悪いよ」の公共広告じゃないが、昨年来、ベラルーシがロシアにいじめられたような形になっている。近年ベラルーシ経済の生命線となっているのが石油精製業であり、同産業はロシアから割安な原油を安定的に輸入しなければ成り立たないところ、ロシアがベラルーシによる天然ガス代金の未払いを理由に原油の供給をカットし、ベラルーシが窮地に立っているものである。

 こちらのサイトに、ロシアのベラルーシ向け原油輸出(HSコード2709)の四半期別動向を跡付けた図表が載っていて、有益なので転載させていただく。上が輸出量、下が輸出額であり、いかにラディカルに削られたかが、良く分かる。

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 ミンスク市内に創設された「ベラルーシ・ハイテクパーク」は、ソフト開発の拠点として近年成長を遂げ、今やベラルーシ経済の希望の星のようになっている。こちらの記事によると、このほどハイテクパークのヴァレーリー・ツェプカロ総裁が、2016年の活動実績を明らかにした。それによると、ハイテクパークは2016年に7億9,020万ベラルーシ・ルーブルのソフト開発を行った。これは9億440万ドルに相当し、ドル表示では前年比19%増だった。ツェプカロ総裁は2016年の目標を10億ドルとしていたので、その達成は逃した形だが、いずれにせよ順調な発展が続いている。2016年のドル実績が目標を下回ったのは、ロシアからの発注の減少と、ユーロおよび英ポンドの対ドル・レートの下落である。いずれにせよ、世界全体のIT市場の成長が3%であったことを考えれば、ベラルーシの19%増は上々である。2016年にハイテクパークは世界67ヵ国の発注に応え、輸出の半分は西欧、43%は米国であり、ロシアのシェアは43%に低下した。ハイテクパークには165の入居企業があり、27,000人を雇用している。入居企業でサービス輸出額のトップ5は、EPAM Systems、Game Stream、IBA IT Park、Itransition、iTechArt Groupとなっている。


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 少々入り組んだ話である。情報源はこちらこちらこちら

 記事によれば、2014年12月に、ある事件が起きた。バルト海に面したロシアの飛び地であるカリーニングラード州は、ロシアにおけるテレビ組立産業のメッカとなっており、同地で組み立てられたテレビが、リトアニア~ベラルーシを経由して、ロシア本土に出荷されている。ところが、2014年12月に、テレビおよびテレビチューナーのメーカーであるカリーニングラードの10社以上の貨物を積んだトラック38台が、ベラルーシ税関に拘束され、貨物が没収されるという事件が生じた。ロシア側が被った損害は5億ルーブルに上るとされる。充分な申告がなされていないというのが、ベラルーシ側の主張した没収理由だった。ロシア側が、カリーニングラード州で合法的に生産された商品であるとしたのに対し、ベラルーシの専門家および当局はこれらは付加価値税の支払を逃れる形でユーラシア関税同盟に持ち込まれている中国製品であるとした。

 事件を受け、ロシア司法省は、ユーラシア経済連合裁判所に本件審理を依頼した。ベラルーシはユーラシア経済連合条約、関税同盟関税法典125条、税関相互協力協定11条および17条に違反しているというのが、ロシア側の訴えだった。そしてユーラシア経済連合裁判所はこのほど2月21日に、ロシアの訴えを認める判決を下した。ただし、その際に5名の判事が個別意見を提出した。判決の結果、カリーニングラード州の企業はベラルーシから補償を受ける可能性が生じた。

 なお、こちらのサイトによれば、ユーラシア経済連合裁判所は、2015年1月1日のユーラシア経済連合の発足と同時に設置された。ユーラシア経済連合創設条約をはじめとする国際条約の統一的な適用を図るのが目的。加盟5ヵ国が各2名、計10名の判事を出しており、現在はベラルーシ派遣のアレクサンドル・フェドルツォフが裁判所長官となっている。


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 私の公式HPの方に、「日本とロシアで対照的な財政規律」というエッセイを書いた。普段なら、「よかったら、ご笑覧ください」と言うところだけど、今回は別に読まなくていいです。

 ただ、それに向けて作ったグラフはなかなか良い出来栄えで、我ながらうっとり見とれてしまうので、グラフだけここに転載する次第。


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 ベラルーシにアンドレイ・ヴァルドマツキーという社会学者がおり(上掲写真)、以前はベラルーシ国内でややコマーシャルな調査業務などをやっていたのだが(その意味では社会経済政治独立研究所=IISEPSなどに比べると野党色は薄かった)、それでもベラルーシでは活動できなくなったのか、2012年からはポーランドのワルシャワに拠点を移し「ベラルーシ分析室(BAW)」と称し活動を続けているようである。こちらがそのHPだと思うのだが、更新は2015年で止まっている。

 こちらのニュースによると、2016年12月にそのBAWがベラルーシの対外戦略に関する世論調査をベラルーシ全土で1,048人を対象に実施した。その結果、回答者の64.9%はロシアとの連合関係を選好し、EU加入を望む者は19.1%だけだった(分からないが13.9%、無回答が2.2%)。ただし、ベラルーシとロシアが完全に1つの国に統合されることを望んだり(2016年5月の調査では13.1%)、ベラルーシがロシアの連邦構成主体になることを望む者(同1.7%)は少なく、友好的で開かれた国境の2つの独立国同士であることを望む向きが多い(同73.0%)。


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 2016年秋の動きなので、少々古く、かつマニアックな話題で恐縮である。こちらの記事が、興味深いことを伝えている。ロシアやベラルーシなどから成るユーラシア経済連合は、ウクライナから輸入するフェロアロイ(合金鉄)の一種であるフェロシリコンマンガンに、アンチダンピング関税を導入しようとした。連合の政府に該当するユーラシア経済委員会が、ウクライナのフェロシリコンマンガンに5年間にわたって26.35%の追加関税を導入すると発表したものである。フェロアロイは、製鋼の際に添加物として使用して、特定の性状を得るのために用いられる。ウクライナではI.コロモイシキーのプリヴァト財閥の傘下にニコポリ、ザポリージャ、スタハーノフと3つのフェロアロイ工場があり、2014年にはロシアに2億ドルのフェロアロイを供給していたが、それらがアンチダンピング関税の対象となることになった。しかし、ベラルーシのベラルーシ冶金工場や、ロシアの一連の鉄鋼メーカーは、ウクライナ産のフェロシリコンマンガンのユーザーであるため、ベラルーシ政府がAD関税に反対し、その結果、AD関税導入は当面延期され、政府間の協議に委ねられる旨が7月に発表された。それから数ヵ月が過ぎ、ようやく10月になってベラルーシも納得し、妥協が成立した。ベラルーシがAD関税導入に同意した条件は、ロシアのチェリャビンスク電気冶金コンビナートがベラルーシにフェロアロイを供給する際の価格を20%引き下げるというものだった(こちらによれば、チェリャビンスク電気冶金コンビナートはロシア最大のフェロアロイ生産者であり、そもそも今回のAD導入は同社の発意によるものだった)。AD関税導入後、チェリャビンスク電気冶金コンビナートが損害を受けない水準まで、製品が値上がりすると見られる。これにより、ロシアの鉄鋼メーカーも影響を受けるが、鉄鋼メーカーの生産原価に占めるフェロシリコンマンガンの比率は1~2%程度なので、影響は軽微とされている。

 ユーラシア経済委のこちらのページが、本件に関する公報だろう。なるほど、2016年6月2日に採択された文書が、2016年10月28日に発効したと記されている。


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 こちらの記事によると、原油の供給をほぼ100%ロシアに依存しているベラルーシが、今般初めて、イラン産原油を購入した。国営企業「ベラルースネフチ」の輸出子会社であるBeloil Polskaが、イラン国営石油会社から8万tの原油を購入する契約を結んだもので、ロイターが報じた。2月20日頃にタンカーへの積出が始まると見られ、時期は不明ながら、ウクライナのオデッサ港(黒海)またはラトビアのヴェンツピルス港(バルト海)で陸揚げされ、そこから鉄道でベラルーシに運ばれる。本件に関しては、2016年10月初めにルカシェンコ・ベラルーシ大統領が、原油供給につきイランと交渉している旨を明らかにしていた経緯がある。10月末にはオデッサ港経由でアゼルバイジャン原油が入荷していた。なお、今回イラン原油を調達したことに関し、ベラルースネフチの親会社に当たるベルネフチェヒムは、否定も肯定もしていない。


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 ベラルーシ産業省のこちらのページに、ベラルーシが2017年に株式を売却する予定の国営企業19社の一覧が掲載されている。この中に、ベラルーシとしては大企業に属す重要企業が3社含まれている。サッカーでも有名な「BATE(ボリソフ自動車電装品工場)」、ミンスクの家電メーカー「ゴリゾント」、ゴメリの農機メーカー「ゴムセリマシ」である。ただし、これらの3社については、支配株を売却する際に、投資契約を締結した上で、戦略的投資家に売却することが条件とされている。つまり、大掛かりなテコ入れを実施してくれるような、救世主的な投資家にのみ売却可能ということである。

 本件を伝えているこちらの記事によれば、BATEとゴリゾントについては、以前も同じような条件で株式の売却が表明されたことがあるが、その時は売却は実現しなかった。2016年末に国有資産委の委員長が、中国資本を受け入れるベラルーシ企業のリストを策定すると表明し、その中にBATE、ゴリゾント、ゴムセリマシも含まれていた経緯があった。これまでベラルーシと中国の経済協力は、中国から融資を受け、中国の設備を導入して中国人労働者を受け入れるという方式が主流であり、これはベラルーシが中国の輸出を支援しているに等しいとして、ベラルーシ側は不満を抱いていた。ゆえに、ベラルーシ企業に中国資本を受け入れるという方向に、転換することになった。ゴリゾントについては、LGに売却するという構想が以前からあったが、結局政権がそれに踏み切れなかった。BATEは、ロシアへの輸出が主力で、CIS市場への輸出拠点として西側メーカーにとっても価値があったが、現在ボリソフ近郊で中国系ベルジーの自動車工場が建設されており、同工場での現地化比率を高めなければならないので、BATEと中国企業の提携は充分考えられる。ゴムセリマシは、以前ロシアのロストセリマシが買収を検討したことがあり、ベラルーシ側は逆にロストセリマシを買収する構えを見せたことがあったが、ゴムセリマシは最近は中国との協業に傾斜し、コンバインの共同での組立を始めた。


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 医薬品産業では、臨床試験・認可といった国家規制が重要となるが、ロシアを中心としたユーラシア経済連合ではその国家規制を共通化し、共同市場を創設しようとしている。今般、ユーラシア経済委員会のツイッターで、下図のような情報が回ってきた(原典はこちら)。要するに、ユーラシア経済連合のある加盟国で承認された医薬品が、他の加盟国でも承認されるための手続きや所用日数を図示したものである。ざっと見ると、ある国で認可されたからといって、別の国でも自動認可されるわけではなく、別の国で追加認可されるためには、一定の手続きが必要で(却下されることもありうる)、それには100日間を要する、ということのようだ。

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 どうでもいいような話だが、これまで個人的に認識していなかった件なので、書き留めておく。ルカシェンコ・ベラルーシ大統領の誕生日である。

 従来の公式バイオグラフィでは、ルカシェンコは1954年8月30日生まれとされており、私などもそのように紹介していた。しかし、ルカシェンコは2009年になって突然、「私は本当は8月31日の生まれだ」と言い出したそうである。現に、大統領の公式HPでも、現在は8月31日生まれとされている。そして、どうもそのことは、溺愛する末っ子(婚外子)ニコライ君の存在と関係があるようなのである。

 ロシア語版ウィキペディアによると、2009年の現地紙のインタビューでルカシェンコは、「私も一人の人間で、私には子供たちがおり、特に末っ子のニコライは目に入れても痛くない。彼は今日5歳になり、一方私は55歳である。我々は同じ8月31日に生まれたのだ」と述べたということである。

 歳をとってからの子供は可愛いと言うが、ルカシェンコのニコライ溺愛振りは有名であり(上の写真参照)、後継者に据えようとしているとの見方が有力である。おそらくは、幼い息子可愛さのあまり、自分の誕生日すら息子に合わせることにしたのではないか。しかも、自分の50歳の誕生日に授かった子供となれば、キリも良く、なおさらめでたい、ということで(普通なら、息子の誕生日を自分に合わせそうな気もするが)。


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 若干フォローが遅れてしまったが、こちらの記事などによれば、ベラルーシのルカシェンコ大統領は2月3日、国内で開かれた大掛かりな記者会見の場で、ユーラシア経済連合の枠組みでの統合でベラルーシが不利益を被っている旨主張した。大統領いわく、ベラルーシはユーラシア経済連合が創設されてから、そこにおける不平等な価格と条件により、150億ドルの損失を被った。彼ら(注:実質的にロシアのことだろう)もその数字を認めている。その上で、50億ドルを我が国に貸し付けているが、損失額の3分の1にすぎず、しかもIMFよりも金利が高い。もっとも、遅かれ早かれ、我々は合意に達するだろう。ルカシェンコ大統領は以上のように述べた。

 また、こちらの記事によれば、同じ記者会見でルカシェンコ大統領は、ユーラシア経済連合の関税法典は、盛り込まれて然るべき項目の多くが機能を果たしていないので、自分は署名していないと発言した。しかも、ベラルーシの主要な代表をユーラシア経済委員会から引き揚げることを指示したという。


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 こちらおよびこちらの情報によると、ベラルーシで医療ツーリズムの受入が盛んになっているらしい。2016年には5万人強の医療ツーリストがベラルーシを訪問した。ベラルーシが受け入れている外国人ツーリストは全体でも年間30万人足らずなので、この5万人という数字はとても大きい。周辺国に比べてコストが低く、それでいてベラルーシの医師が優秀であることが、利点となっている。ある関係者によると、医療ツーリストの60~70%はロシア国民で、ベラルーシでロシア語が通用することが大きい。2014年以降のロシア・ルーブル安で、ロシアとベラルーシの料金差は縮まっているものの、ベラルーシ医療の質を求めて来訪するロシア人は依然として多く、カザフスタンやウクライナの利用者も然りだという。また、英語に担当なベラルーシ人医師も多いので、欧米の顧客を受け入れる用意もある。


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 こちらの記事が、米トランプ政権の発足がベラルーシに及ぼす影響について論じているので、骨子をまとめておく。

 トランプの就任演説は、若き日のルカシェンコのそれと似た面があった。ルカシェンコは1994年大統領選で、特権層を押さえ付けて庶民の真の体現者となるということを約束し、庶民の共感を勝ち取ったが、トランプもまた権力をワシントンから庶民の手に取り戻すのだと述べた。

 ちなみに、ルカシェンコは9月の時点でトランプの勝利を予想し、その際に「アメリカ社会はまだ、女性を大統領に選出するところまでは至っていない」と余計なことを述べた。ルカシェンコは、ポピュリストの本能で、米社会はポピュリズムへの大きな需要があるということを見抜いたのだろう。ルカシェンコはトランプに同類としてのものを感じ取り、彼とならばベラルーシと米国の関係改善を期待できると考えたのかもしれない。かつてウーゴ・チャヴェスと意気投合したのと同じである。

 しかし、米国のような民主国家は政策決定過程が透明なので、トランプに対ベラルーシ制裁解除などを個人的に働きかけようとしても、合意をするのは困難だろう。トランプはおそらくベラルーシという国の存在も知らないかもしれないし、彼が近いうちにベラルーシに関係した政策決定をするとは思えない。

 ベラルーシ戦略研究所のデニス・メリヤンツォフも、トランプはベラルーシの行く末にごくわずかな影響しか及ぼさないと指摘する。ベラルーシという国がどこにあり、その情勢を多少なりとも知っている人間は、米国務省には3人しかおらず、米国にとってベラルーシは優先事項ではなく、明確な対ベラルーシ政策もない。現在両国間では外交関係の改善が緩慢に進んでいるだけだというのが、メリヤンツェフの見方である。

 他方、アンドレイ・フョードロフのように、トランプとプーチンが接近すると、新たなヤルタ協定のような事態が生じ、ベラルーシがロシア国家に完全に取り込まれてしまう恐れがあると警鐘を鳴らす専門家もいる。


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 こちらの記事によれば、ベラルーシのONTというテレビ局のニュース番組が、トランプ米新大統領の演説は、ルカシェンコ・ベラルーシ大統領のそれに似ているということを伝えたそうである。上掲がそのテレビ番組の一部を切り取った動画。必ずしも、批判的に取り上げているわけではないようで、両大統領とも国益を守るためには大胆な言動も辞さない、といったニュアンスで伝えているように思われる。

 ベラルーシも、ロシアと同じく、トランプ歓迎、ということだろうか。


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 ベラルーシ統計委のこちらのページに掲載された速報値によれば、2016年のベラルーシのGDPは現行価格(デノミ後)で943億ベラルーシ・ルーブルとなり、前年比実質2.6%低下した。

 また、こちらのページによると、2016年のベラルーシの鉱工業生産は前年比0.4%減となった。鉱業が0.7%減、製造業が0.1%減、ガス・電力業が0.9%減だった。主要産業の一つである輸送手段(トラック等)が12.6%減となった。


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zhele

 これまで個人的に認識していなかったのだが、実はベラルーシには鉄鉱石の資源が埋蔵されているようである。ベラルーシと言えばとにかく(塩化カリウム以外は)天然資源のない国というのが一般的な位置付けであり、鉄鉱石の採掘もこれまでは行われてこなかったが、資源自体は賦存しているようだ。そのあたりの事情につき、A.ペシチェンコ・D.ムィチコが2009年に発表したこちらの論文が、論じている。

 論文によれば、ベラルーシでは1966~1970年にオコロフスコエ(Околовское)、ノヴォショルコフスコエ(Новосёлковское)という2つの鉄鉱石鉱床が発見された。オコロフスコエはミンスク州ストルプツィ地区、ノヴォショルコフスコエはグロドノ州コレリチ地区に所在している。これらのベラルーシの鉄鉱石資源は、それほど豊かなものとは言えないものの、鉄鋼業の自前の資源基盤を築く上では、有望である。第1に、オコロフスコエの鉄鉱石は選鉱が容易であり、その採掘は坑内掘りで行われる。第2に、これらの鉱石はペレット化が容易である。ベラルーシの鉄鉱石の埋蔵量は磁鉄鉱換算で5億tである。ベラルーシ国民経済の粗鋼需要は最盛期でも400万t以下だったので、ベラルーシは向こう100年の鉄を確保できたようなものである。毎年20~25%の鉄くずが利用されていることを考えれば、その期間はもっと長くなるし、さらに深く掘り進めば資源量はさらに増える。オコロフスコエ鉱床開発の目的で、鉱山・選鉱・ペレット生産の複合体の建設が計画されている。ペレット生産設備は、冶金工場の敷地内に配置され、そこで完成品が生産される。想定される年間生産規模は、鉱石の選鉱が400万t、精鉱の生産が79万t、ペレットが57万tなどとなっている。Midrex製法の第1案と、Corex製法の第2案がある。第1案の優位点はベラルーシ冶金工場(BMZ)およびベラルーシに所在するその他10ほどのメーカーの電炉を利用できることであり、投資費用を節約でき、環境負荷が低く、鉄の品質は高くなる。第2案では高炉を建設しなければならないが、銑鉄生産には天然ガスではなく石炭を利用するので、天然ガス依存度を低下させられる。想定では、ベラルーシでペレット1tを生産するコストは50ドルで、ロシアや米国でそれを購入したら100~120ドルを要するので、その差額によりベラルーシ金属加工産業の赤字を削減できる。かくして、オコロフスコエ鉱床を開発することにより、ベラルーシ国内の鉄鋼需要を満たせるようになるだけでなく、理想的には、原料の輸出も可能になるかもしれない。


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 上掲動画は、2015年9月にベラルーシ冶金工場(BMZ)で新たな圧延設備が稼働し、その際にルカシェンコ大統領が工場を訪問してセレモニーを行った際の様子である。

 こちらの記事などが伝えるところによると、この近代的な設備により付加価値の向上が可能になり、鉄鋼生産のバランスがとれるようになる。この設備の生産能力は年間70万tで、100万tまで拡張することも可能。すでに2015年3月から試験・調整運転が行われており、9月までに3.6万t、1,500万ドルが輸出された。生産の約75%が輸出されることが想定されており、また線材の完全な輸入代替、鉄筋の90%以上の国内自給が可能になる。輸出はブルガリア、イタリア、リトアニア、ポーランド、米国、フランス、チェコ、スロバキア、ドイツ、オーストリア、ベルギー向けに行われている。同プロジェクトの投資総額は3.3億ユーロであり、「2011~2015年のベラルーシ・イノベーション発展国家プログラム」に沿い、ベラルーシ政府の政府保証を得た上でユーラシア開発銀行およびベラルースバンクの融資により実施された。

 上掲の動画の中でルカシェンコ大統領は、この追加的な設備の建設は必須だった、なぜなら半製品をそのまま販売することは犯罪的ですらあり、付加価値の高い完成品にシフトしなければならないからだ、完成品こそより多くの利益をもたらし、ひいてはより高い賃金と税収に繋がる、今すぐにというわけにはいかないだろうが、将来的にはすべての半製品を加工して完成品を販売するようにしたい、などと発言している。これを見て、私は考え込んでしまった。半製品から完成品へのシフトという課題は、旧ソ連を代表する鉄鋼業立国のウクライナが取り組むべきなのに、独立後四半世紀も放ったらかしになっていた課題だからだ。ウクライナは鉄鉱石と石炭という資源と、ソ連から引き継いだ巨大設備がありながら、製鉄所を傘下に収めたオリガルヒたちは目先の利益を追い求め、延々と付加価値の低い半製品を生産・輸出し続けた。そして、付加価値が低くとも、それなりに利益は挙がったはずだが、そのお金はどこに消えてしまったのだろうか? それに対し、初期条件としては鉄鋼業の基盤が強いとは言えないベラルーシが、大統領の号令の下、設備投資を積み重ね、高付加価値化に取り組んでいる。。。私自身は、ルカシェンコ体制を肯定するつもりはまったくないのだが、こうした明暗を目の当たりにすると、「ウクライナよりもベラルーシの方がまし」と考える人々が少なくないのも、無理はないような気もしてしまう。


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 ロシアで、石油の輸出関税を段階的に撤廃し、その分、地下資源採掘税を引き上げて税収を確保しようとするいわゆる「税制マヌーバ」をめぐって、こちらの記事によれば、引き続き論争が続いているようだ。

 記事によれば、財務省が推進しようとしている税制マヌーバに関し、エネルギー省がそれに伴うリスクを指摘する書簡を、12月27日付で取りまとめた。エネルギー省のアナトリー・ヤノフスキー次官によれば、輸出関税の撤廃は、充分に練り上げられておらず、輸出関税面での優遇を受けている鉱床の利益率低下に繋がる恐れがある。さらに、ベラルーシとの関係悪化につながるリスクがある。ベラルーシ向け輸出は元々石油輸出税が免除されているため、マヌーバを実施すると、同国向けの価格が地下資源採掘税の値上げ分だけ上昇することになり、油価40ドルで為替が64.6ルーブルと仮定すると、ベラルーシの損失は960億ルーブルにも上る。ロシア国内の石油精製業にとっても事態は深刻で、1t当たりの石油精製のマージンが2,700ルーブルから1,000ルーブルに低下してしまう。石油会社にとっては、精製するよりも、原油のまま輸出した方が有利というケースが出てくる。ロシアの石油精製量の20%に相当する6,000万tの石油精製が、一気に失われる恐れがある。それは国内の石油製品不足をもたらし、製品の値上げにより社会問題も引き起こすだろう。したがって2017年の税制を2020年までは維持し、石油採掘および精製部門の投資魅力を維持するべきである。エネルギー省は以上のように主張している。

 ロシア政府は、2018年から、地下資源採掘税および輸出関税という石油の数量にもとづいた課税に代えて、「付加所得税」というキャッシュフローにもとづいた税制を導入し、税負担を軽減するとともに柔軟性をもたせようとしている。この点に関する財務省とエネルギー省の立場の隔たりも、輸出関税をめぐる論争の背景にある。


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 当ブログ既報のとおり、年末から年始にかけてベラルーシとロシアの関係が急激に冷却化したのには、石油ガスをめぐる対立、ユーラシア経済連合の関税法典をめぐる対立という、2つの対立要因があった。そのうち後者は、より具体的に言えば、新たな関税法典の成立により、ベラルーシの経済特区からユーラシア経済連合に製品を輸出する上での関税優遇措置が廃止され、企業がベラルーシの特区に入居する上でのメリットが損なわれてしまうという問題だった。

 こうした事態を受け、ベラルーシは特区入居企業への追加的な優遇措置を制定し、企業を繋ぎ止める構えを示していたが、このほどその措置を具体的に制定したベラルーシ大統領令の中身が明らかになった。これは、2016年12月30日付ベラルーシ大統領令第508号であり、そのテキストはこちらのサイトで閲覧ができる。しかし、より分かりやすいのは、ベラルーシ経済省のこちらのサイトに出ている解説かもしれない。追加的な優遇措置は、以下のような内容となっている。

  • 特区入居企業が生産に用いる製品を輸入する際に、付加価値税を免除する。
  • 特区入居企業がベラルーシの国有地を賃貸する際に、地代を免除する。
  • 特区の存続期間を、2049年12月31日まで延長する。
  • 3つの特区、ブレスト、グロドノインヴェスト、ヴィテプスクの領域を拡大する。
  • 特区の入居企業として認定されるための最低投資額を、100万ユーロから、50万ユーロに引き下げる。

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