服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

カテゴリ: ウクライナ

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 こちらのページに見るように、世界鉄鋼協会は先日、2016年の全世界の鉄鋼生産動向に関する主要指標を発表した。全世界の生産量は、2015年の減産から一転し、2016年には前年比0.8%拡大して、16億2,850万tとなった。全世界の生産の約半分を占める中国も、2016年には1.2%増を記録した。

 粗鋼生産量ベスト10の顔触れは、下表のとおりである。私の関係国では、ロシアが世界5位で前年比0.1%減。ウクライナはドンバス情勢が落ち着いたことで生産が5.5%上向き、世界十傑に復帰した。なお、この表にはないが、ベラルーシは223万t(前年比11.2%減)、カザフスタンは424万t(8.5%増)、モルドバは7.6万t(前年比82.8%減)であった。

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 こちらによると、欧州委員会は、ウクライナ政府が起草した「2035年までのウクライナ・エネルギー戦略」の草案につき、批判的な見解を示した。欧州委の評価によれば、草案にはコンセプト上の不備が見られる。特に、2019年以降のロシア産ガスのトランジット、ドンバス紛争などに伴うリスク・不確実性を考慮しておらず、サイバーテロなどにも注意を払っていないことが問題である。市場価格への移行、交差補助の廃止などの課題にもしかるべく言及していない。ウクライナは国際公約で2020年までに再生可能エネルギー源を11%以上とする義務を負っているが、それに関しても草案は触れていないほか、大気汚染物質の排出削減目標の問題も扱っていない。さらに、今後19年間GDPが年率4.3%成長するという楽観シナリオしか想定していないことも問題である。


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 2017年1月13~19日付けインターファクス『ロシア&CIS金属鉱山ウィークリー』によると、2016年のウクライナのフェロアロイの生産は前年比16%拡大し、102.8万tとなった。ウクライナ・フェロアロイ生産者協会が明らかにした。

 シリコンマンガンの生産が81.5万t(16.7%増)、フェロマンガンが10.4万t(19.1%増)、フェロシリコンが10.1万t(12.4%増)だった。ただ、マンガン鋼の生産は26.5%減の7,420tだった。

 企業別では、ニコポリ工場が74.6万t(24.1%)増、ザポリージャ工場が品目ごとにまだら模様だったのに対し、スタハーノフ工場はドンバス紛争地にあり操業しなかった。

 ウクライナの2大マンガン鉱石鉱山であるオルジョニキーゼとマルハネツィは、需要の落ち込みで2016年1~2月には操業を停止した。通年では、オルジョニキーゼが73.8万t(18.5%増)を採掘したのに対し、マルハネツィは51.2万t(12.3%減)にとどまった。両鉱山合計のマンガン精鉱の生産は125万tで3.6%増だった。


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 こちらの記事によると、2016年のウクライナの鉄鋼業の生産は、銑鉄2,350万t(前年比8%増)、粗鋼2,419.6万t(同6%増)、完成鋼材2,140万t(同6%増)であった。

 一方、こちらの記事によれば、ウクライナ冶金産業による2016年の天然ガス消費は、2016年に17.4億立米となり、これは前年比14%減であった。また、こちらの記事によれば、ウクライナ冶金産業による2016年の電力消費は前年比4%増の129億kWhであった。


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 こちらに出ているウクライナ石油精製業の動向をごく簡単に整理しておくと、ウクライナでは石油精製業が2000年代半ばから一貫して危機的状況にあり、現時点で実質的に稼働している製油所は2箇所しかない。具体的には、プリヴァト財閥系のウクルタトナフタ傘下のクレメンチューク製油所と、ハルキウ州にあるシェベリンカ・ガス精製工場である。

 2016年1~7月にはウクライナに30.1万t、9,160万ドル分の原油が輸入された。主な輸出国はカザフスタンとルーマニア。クリミアとドンバス占領地を除くウクライナ国内の原油採掘は2016年1~7月に11.9%低下し、95.8万tとなった。2016年1~6月のガスコンデンセートの採掘は5.5%減の31.5万tだった。2015年の原油採掘は11.8%減の180万t、ガスコンデンセートの採掘は6.8%減の65.6万tだった。

 2016年1~7月にはシェベリンカ・ガス精製工場で9.7万tのガソリン(13.2%増)、7.6万tの軽油(20.5%増)、3.2万tの重油(2.9%増)が生産された。2015年にはそれぞれ17.7万t(13.8%減)、10.9万t(8.3%減)、5.5万t(2.4%増)であった。同工場では低品質のユーロ2製品の生産を取りやめ、ユーロ4に移行する作業を進めている。2016年春にはガソリンで、8月には軽油でその転換が終わり、9月からは白油すべてがユーロ4に移行することになっている。

 クレメンチューク製油所では、2016年上半期に、29.7万tのガソリン(24%増)、25.6万tの軽油(10.7%増)、7.8万tのジェット燃料(?、27.6%増)、16.2万tの重油(0.8%減)が生産された。2014~2015年の生産実績は明らかでないが、2015年9月からカザフ原油の供給が始まり、生産増に転じたとされている。プリヴァト傘下の他の2つの製油所は操業を停止している。

 ロシアのロスネフチの傘下にあるルハンシク州のリシチャンシク製油所は、2012年から不採算を理由に操業を停止している。ドンバス紛争の破壊も被った。地元行政では、2016年7月からポリプロピレンの生産が始まるとしていたが、現時点ではまだ実現していない。

 ヘルソン製油所は、コンチニウム財閥の所有となっているが、かなり以前から、生産アセットとは見なされておらず、どちらかというと、ここを基盤に新たな製油所を建設する敷地と見なされている。ナサリク・エネルギー相もウクライナには1箇所か2箇所の新鋭製油所が必要だと発言している。ただし、ヘルソンに新たな精製設備を建設するにも、10億ドル程度が必要である。

 オデッサ製油所は、かつてはロシアのルクオイルに、その後はオリガルヒのクルチェンコに属していた。亡命したクルチェンコの資産は、現在、裁判所によって差し押さえられており、したがってオデッサ製油所で近い将来に石油製品が生産される見通しはない。


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 いまや欧州最貧となったウクライナという国だが、ソ連時代の名残で、高度産業である航空機製造産業を抱えている。だが、同産業はロシアとの分業関係で成り立ち、なおかつロシアを主要市場としてきた経緯があり、ウクライナの政変後には産業としての存続が危ぶまれる事態となっているわけである。ウクライナの航空機産業につき、こちらの記事が報告しているので、ごく簡単に要点だけまとめておく。

 記事によれば、ユーロマイダン革命後、新たな方向性を模索するウクライナ航空機産業において、やはり焦点となっているのは、アントノフ社であり、同社が中核となって数十のウクライナ関連企業が結集できるかということが鍵となっている。アントノフは、定期的に話題には上るものの、それが実際の契約に結び付いたり、発注が実行されたりといったことは、必ずしも多くない。最近では、2015年6月にAn158をキューバの航空会社に引き渡した程度で、同機の納入は計6機になった。それ以降、何機かの受注が発表されたが、その多くは、サウジアラビアとの契約など、ウクライナ国外での組立を想定している。

 2016年夏、アントノフは、航空機エンジンの世界的大手である米ゼネラル・エレクトリック社と協力覚書に調印した。これに怒りを露わにしたのが、ウクライナの地場航空機エンジンメーカーであるモトル・シチ社のオーナーであり、最高会議議員も務めるヴャチェスラウ・ボフスラエフである。同氏は「ウクライナの声」に寄稿した文章の中で、本件はウクライナの国益、付加価値の高い科学集約産業に対する裏切りだと、アントノフと外資との提携を激しく非難した。

 当面、ウクライナの航空機産業には、2つの主要課題がある。生産および人員を市場条件に合わせて合理化すること、そしてロシア産の部材から国産または欧米産の部材に切り替えていくことである。ただ、輸入代替には時間と資金を要する。アントノフ社では、輸入代替プログラムはすでに80%完了したとしている。


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 上掲動画は、2015年9月にベラルーシ冶金工場(BMZ)で新たな圧延設備が稼働し、その際にルカシェンコ大統領が工場を訪問してセレモニーを行った際の様子である。

 こちらの記事などが伝えるところによると、この近代的な設備により付加価値の向上が可能になり、鉄鋼生産のバランスがとれるようになる。この設備の生産能力は年間70万tで、100万tまで拡張することも可能。すでに2015年3月から試験・調整運転が行われており、9月までに3.6万t、1,500万ドルが輸出された。生産の約75%が輸出されることが想定されており、また線材の完全な輸入代替、鉄筋の90%以上の国内自給が可能になる。輸出はブルガリア、イタリア、リトアニア、ポーランド、米国、フランス、チェコ、スロバキア、ドイツ、オーストリア、ベルギー向けに行われている。同プロジェクトの投資総額は3.3億ユーロであり、「2011~2015年のベラルーシ・イノベーション発展国家プログラム」に沿い、ベラルーシ政府の政府保証を得た上でユーラシア開発銀行およびベラルースバンクの融資により実施された。

 上掲の動画の中でルカシェンコ大統領は、この追加的な設備の建設は必須だった、なぜなら半製品をそのまま販売することは犯罪的ですらあり、付加価値の高い完成品にシフトしなければならないからだ、完成品こそより多くの利益をもたらし、ひいてはより高い賃金と税収に繋がる、今すぐにというわけにはいかないだろうが、将来的にはすべての半製品を加工して完成品を販売するようにしたい、などと発言している。これを見て、私は考え込んでしまった。半製品から完成品へのシフトという課題は、旧ソ連を代表する鉄鋼業立国のウクライナが取り組むべきなのに、独立後四半世紀も放ったらかしになっていた課題だからだ。ウクライナは鉄鉱石と石炭という資源と、ソ連から引き継いだ巨大設備がありながら、製鉄所を傘下に収めたオリガルヒたちは目先の利益を追い求め、延々と付加価値の低い半製品を生産・輸出し続けた。そして、付加価値が低くとも、それなりに利益は挙がったはずだが、そのお金はどこに消えてしまったのだろうか? それに対し、初期条件としては鉄鋼業の基盤が強いとは言えないベラルーシが、大統領の号令の下、設備投資を積み重ね、高付加価値化に取り組んでいる。。。私自身は、ルカシェンコ体制を肯定するつもりはまったくないのだが、こうした明暗を目の当たりにすると、「ウクライナよりもベラルーシの方がまし」と考える人々が少なくないのも、無理はないような気もしてしまう。


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 ウクライナのポータルサイトに掲載された情報にもとづき、同国の産業情報をお届けしているが、今回はこちらの化学工業。ウクライナの化学工業と言えば、窒素肥料産業が花形であり、この資料では窒素肥料メーカーの売上高・利潤指標(上掲)と、その他の化学メーカーの売上高・利潤指標(後掲)という具合に、区分されて掲載されている。ただ、解説文はほぼ窒素肥料に関する話だけとなっている。

 記事によれば、ウクライナの窒素肥料産業の利益率は、2015年にマイナス17~18%だった。もっとも、2014年がマイナス23.4%だったから、それよりは改善した。窒素肥料メーカーの税引き前損失総額は、2014年の360億グリブナに対し、2015年は200億グリブナだった。2016年に関しても、大きく改善する見通しはない。窒素肥料の生産量も連続で低下している。その原因は、2014年5月からドンバス地方に所在するホルリウカのスチロール社とセヴェロドネツィクのアゾト社が操業停止していることである。工場を保有するOstchemでは、国家が安全を保障することが再開の条件としており、特にホルリウカが占領地にあることを考えると、近い将来の再開は期待しにくい。Ostchemの他の2工場、リウネ工場とチェルカスィ工場も、原料となるガスの供給停止を受け、2015年に4ヵ月間操業を停止した。こうしたことから、2015年のOstchemのアンモニア生産は38%減、硝酸アンモニウムは25%減となった。国内需要が優先されたため、輸出はさらに大幅に落ち込んだ。

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 ロシアやウクライナでは、鉄道車両生産はかなり重要な産業である。ウクライナの鉄道車両産業の現況につき、こちらの記事が伝えている。

 記事によれば、ウクライナにおける貨車の生産は、2015年に前年比81.5%も縮小し、1,151台に留まった。企業別では、クリュキウ車両工場が489台、ポパスナ車両工場が350台、鉱山運輸会社が123台などであった。

 これに対し、2016年上半期の貨車生産は、前年同期比73%増の1,100台に達した。ただし、これはトルクメニスタンからの大型契約750台の賜物である。2016年通年の生産がどうなるかは、トルクメニスタンやウクライナ鉄道から大口の契約を取り付けられるかどうかにかかっている。

 ウクライナ鉄道は、従来も鉄道車両の修理は手掛けていたが、新社長の下、今後は自ら鉄道車両の生産にも乗り出す意欲を示している。

 ウクライナとロシアの関係悪化のため、ロシアへの輸出はまったく期待できない状況にある。しかも、ロシア自体の需要が縮小しており、2016年上半期のロシアの貨車生産は1万500台に留まり、これは2010年以降最悪の数字であった。


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 実は、タバコ産業は知る人ぞ知るウクライナの主要産業の一つである。タバコ産業が「成長産業」になっているという点で、世界の中でも稀有な事例かもしれない。また、ここにはJTIという日系企業(多分に多国籍企業ではあるが)の存在もあり、しかもウクライナから日本にタバコが輸出されているというデータもある(ただし、日本側とウクライナ側で統計データに齟齬が見られ、正確なところは良く分からない)。

 こちらの記事が、そのウクライナのタバコ産業・市場につき報告している。2015年にWHOが実施した国際調査によれば、ウクライナの喫煙率の高さは世界で18番目である。18歳以上の国民の30~35%程度が喫煙者とされている。ただし、以前はベスト10の常連であったのに対し、近年は喫煙率が顕著に低下している。BATによれば、ウクライナ国内市場の規模は、2012年の829億本から、2015年の702億本に縮小した。2008年から2014年にかけてのタバコの値上がり率では、ウクライナが世界のトップだった。その後さらに、物品税の引き上げが実施されている。

 ウクライナのタバコ生産を担っているのは同国に進出した多国籍企業であり、その売上高、純利の数字は表のようになっている。

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 デロイトが発行したウクライナ鉄鋼業に関するこちらのレポートに、興味深い図が載っていたので、そこだけ抜粋して取り上げさせていただく。2009年現在の鉄鉱石資源の埋蔵状況を図示したものである。グラフの縦軸は、鉄鉱石の埋蔵量を示しており、上に位置する国ほど埋蔵量が多いということになる。しかし、鉄鉱石というのは品位にばらつきがあり、鉄を豊富に含有しているものもあれば、わずかしか含んでいないものもある。品位の低い鉄鉱石は、選鉱作業を行って精鉱を得る必要があるので、それだけ商品価値も低いことになる。グラフでは、鉱石の鉄含有割合を横軸にとり、右に行くほど含有量の多く品位の高い鉄鉱石を有していることを表している。

 まあ、鉄鉱石資源については、様々な数字が飛び交う傾向があるように思うが、この資料によれば、図に見るように、ウクライナが世界で一番大量の鉄鉱石資源を抱えている。しかし、その品位は、主要国の中で最も低い部類である。それに比べると、ロシアは、埋蔵量がウクライナに次いで多いことに加えて、品位も一定水準を満たしている。私の理解によれば、円の大きさが、埋蔵量×鉄含有割合によって導き出した、Fe資源の純保有量を表しているのだろう。


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 ウクライナがこれだけ低賃金国家になると、これからますます欧州のアパレル下請け国家として名乗りを上げるようになると予想される。そんなわけで、こちらに出ているウクライナ・アパレル産業の動向について、簡単に骨子をまとめておく。

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 ウクライナの衣料市場において、過去2年ほどの重要なトレンドは、ウクライナの消費者が国産品への関心を強めていることである。

 ウクライナ独立後の25年間で、軽工業の生産量は10分の1に低下してしまった。軽工業が鉱工業生産全体に占めるシェアも、20%から、0.8%へと落ち込んだ。2015年にも軽工業の生産高は8.4%低下した。しかし、品目別に見ると、成長しているものもある。2015年に靴下・ストッキングは20%増、女性衣料は0.8%増だった。

 2015年現在、ウクライナには軽工業企業が2,500社あり、うち1,900が縫製工場である。企業数が多いのはハルキウ州271、リヴィウ州237、フメリニツィキー州152、ドニプロペトロウシク州104、キエフ州97などである。

 過去15年ほどは、ウクライナ軽工業は委託生産に注力している。生産全体に占める委託生産の比率は80~90%に上るという。New Look, Marks & Spencer, Next, Laura Ashley, Top Shop, Zara, Mexx, Triumph, BCBG, Esprit, Hugo Bossといったブランドのアパレルがウクライナで生産されている。それらはドイツ、イタリア、ポーランド、英国などに輸出されている。

 ウクライナの国内市場は、1,200億グリブナほどの市場規模がある。2015年の軽工業製品輸入額は18億ドルで、前年比27.3%減だった。ウクライナ国内メーカーにとって輸入代替生産の余地は大きい。ウクライナ国内生産にとって妨げとなっているのは、税制のまずさ、グレー輸入および生産、密輸である。ウクライナ生産者の80%は闇経済に従事しているので、公正な競争は成立しえない状況である。課税逃れをしている中国製品、トルコ製品の攻勢により、国内生産が圧迫されている。国内市場の67%が闇輸入または闇生産によって占められている。

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 こちらの記事にもとづき、本日はウクライナのコークス生産の動向を整理する。

 ウクルメタルルグプロムのデータによれば、2016年上半期にウクライナのコークス生産は27%伸び、550万tとなった。その結果、ウクライナはコークスの輸入を33%削減し、53.5万tの輸入で済ませることができた(これは統計局のデータ)。アルセロールミタル・クリヴィーリフは伝統的に、ポーランドにあるグループ企業のアルセロールミタル・ポーランドからコークスを輸入しており、2016年上半期にも38.3万tを輸入した。もう一つの大口供給国であるロシアからの輸入は26.9万tだった。

 ロシア産コークスを購入しているウクライナの鉄鋼メーカーは多くなく、購入理由は国内のコークス不足というよりは、ロシア産の高品質である。2016年にロシア産を購入したのは、イリチ記念冶金コンビナート、ザポリジスターリである。

 メトインヴェスト傘下のアウジイウカ・コークス化学工場は欧州最大のコークスメーカーだが、同社はドンバス紛争の軍事境界線に近すぎるという問題を抱えている。時折、インフラ、特に鉄道と送電線が、戦火の被害を受け、そのたびに工場は出荷を停止して復旧作業を余儀なくされる。2016年にも6月と7月に後半にそうした事態が起きたが、数日後には操業は再開されている。

 また、武装勢力の占領地で2016年初夏にコークスの出荷、原料炭の搬入の鉄道輸送に支障が生じたことも、各工場に打撃を与えた。それが特に該当するのが、占領地側にあるアルチェウシク、マキイウカ、ヤシニウカの各コークス化学工場であり、当時は鉄道出荷ができなくなり在庫を積み上げている状態だった。7月に鉄道輸送が再開され、ようやく困難が解消された。

 ウクルメタルルグプロムのデータによれば、2016年上半期にウクライナのコークス化学工場には300万tのウクライナ産原料炭(前年同期比9%増)、610万tの外国産原料炭(同33%増)が供給された。ドンバスの紛争開始以来、ドンバス炭の入手困難により、外国の原料炭への依存度は一層高まった。2013年には1,660万tのコークスを生産するのに1,140万tの輸入原料炭を要したが、2015年には1,160万tのコークスを生産するのに990万tの輸入原料炭を要している。製鉄メーカーが高炉での石炭粉注入にシフトするようになっていることも、より品質の高い外国産を求める要因となっている。ウクライナではコークス生産と発電用の両方に用いられる低品位の石炭がだぶついており、エネルギー石炭政策省としてはコークス化学工場への販売を拡大したいが、単体ではコークス生産には向かないので、より伝統的なKクラスまたはZhクラスと混ぜて使う必要がある。

 2016年に入って鉄鋼市場が改善し、占領地域の情勢もある程度安定したことから、2016年通年ではコークスの生産は前年比20%ほど拡大し、1,400万tレベルになると期待される。そのためには、1,200万tの外国産原料炭が必要である。


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 引き続き、Top-100の情報にもとづき、ウクライナの産業動向につき報告する。本日も昨日と同じこちらのページに出ている鉄鉱石部門の情報。

 製鉄部門と異なり、鉄鉱石の採掘産業は、それほど深刻な状況にはない。事業拠点がドンバスではなく、ドニプロペトロウシク州およびポルタヴァ州に所在しているからである。2015年の鉄鉱石精鉱の生産量は6,680万tで、これは2014年比で1.6%減、2013年比で2.3%減に留まった。同様に、2015年のペレットの生産量は2,170万tで、これは2014年比では1%減、2014年比では10%減だった。減産の原因は、国内需要の低迷と、世界的な市況の悪化である。

 こうしたことから現在各社は、精鉱およびペレットの鉄含有量の向上という製品品位の向上に取り組んでいる。だが、現在のところ数値指標に成果が表れるには至っていない。2015年1~7月のペレット生産は4.2%増だったが、鉄鉱石精鉱は減産が続き2.4%減となった。


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 引き続き、ウクライナ鉄鋼業に関連した情報の整理。2016年10月に出たこちらの記事が、ウクライナ鉄鋼業では危機にもかかわらず意外に投資意欲が旺盛だということを伝えているので、記事の要旨を以下整理しておく。

 2016年8月末にマリウポリを訪問したポロシェンコ大統領は、現在、鉱山・冶金部門で実施されている投資により、輸出増や歳入増が可能になると発言した。業界団体のウクルメタルルグプロムによれば、同団体に加入する製鉄所の設備投資は、2010年45億グリブナ、2015年83億グリブナ、2016年上半期26億グリブナと推移している。また、生産1t当たりのドル換算の投資額を見ると、2010年17.4ドル、2015年20.4ドル、2016年上半期8.8ドルとなっている。

 市況は引き続き厳しいものの、各社は新技術の導入、以前に着手した生産性向上のための投資プロジェクトを継続している。中でも野心的な投資計画を表明しているのはアルセロールミタル・クリヴィーリフで、2020年までに12億ドルを投下して近代化を実施するとしている。2015年に同社は51.7億グリブナ(約2.4億ドル)の設備投資を行った。

 メトインヴェストは、債務リスケとの絡みで、中期的な投資計画を表明するようなことはしていないが、2015年には2.9億ドルの、2016年第1四半期には0.5億ドルの設備投資を行ったということである。同社傘下の工場では、2.2億ドルを要したイリチ記念工場の焼結工場の大規模な近代化が完成段階にある。アゾフスターリの石炭粉注入設備も完成に向かっている。エナキエヴェ工場では2016年初頭に同様の工事が完了した(総工費1.2億ドル)。これらは環境対策の観点から重要な作業である。2016年9月にはイリチ記念工場に連続鋳造設備を導入する契約が結ばれ(総工費1.5億ドル)、これにより粗鋼・鋼材の生産能力が倍増し、従来平炉で生産されていた粗鋼に比べ品質が向上するとともに、環境面でも改善が期待できる。メトインヴェストがその他の投資家と対等出資で経営しているザポリジスターリでは、2015年に13億グリブナを投資し、現在は第3高炉の大規模改修の準備を進めている(15億グリブナを投資する予定)。ザポリジスターリでは、鉄鋼業が資本集約的でエネルギー多消費型であることにかんがみ、まさに省エネに重点を置いていくとしている。ザポリジスターリでは2016年上半期に生産を拡大しつつも天然ガス消費の15%削減に成功した。メトインヴェストでは、環境対策プロジェクトに加え、コスト削減プロジェクトも推進しており、エナキエヴェの石炭粉注入設備稼働、イリチの第4高炉の改修、アゾフスターリの第4高炉の近代化などはまさにその目的である。アゾフスターリのプロジェクトについては、ポロシェンコ大統領がマリウポリ訪問時に、ウクライナ最良の投資プロジェクトの一つと評したほどだ。

 ロシア資本のエヴラズ・ウクライナでは、2015~2016年に5億グリブナ以上の設備投資を行う。特に重要なものは、生産増強、省エネのプロジェクトである。環境対策の大規模プロジェクトもあり、特にドニプロ冶金工場では第1圧延設備で水循環システムが、転炉ではガス浄化システムが稼働する。

 どの企業でも、コスト削減を重視している。その最大の原因は、時には経済的合理性さえ省みない中国の輸出攻勢である。全世界で、自国市場を外国の鉄から守ろうとする保護措置の波が生じている。2016年だけで、EU、ユーラシア経済連合、カナダ、インド、台湾で、ウクライナ産の鋼材に対するアンチダンピング調査または関税導入が実施された。

 ただし、資金調達の困難ゆえに、各社は長期間を要するプロジェクトには慎重にならざるをえず、即効的な、明確な経済効果のあるプロジェクトを重視している。各社とも、投資は自己資金または株主の資金で実施しているということで、ゆえに大手の金融産業グループに属しているメーカーの方が資金調達面で有利である。アルセロールミタル・クリヴィーリフの近代化は、親会社のアルセロールミタルの資金で実施されており、すべてのプロジェクトについて投資効果が厳密にチェックされているという。多くの欧州諸国では年利3~5%程度で融資が受けられるが、ウクライナの銀行は25~30%もの金利を要求する。

 つまり、ウクライナの鉄鋼メーカーが新たな融資を獲得することは、事実上不可能ということである。したがって、より本格的な設備投資は、状況が改善するまで先送りせざるをえない。たとえば、ザポリジスターリでは平炉を全面廃棄して転炉に完全移行したい意向だが、費用は13億ドルを超え、現状ではその実施は困難である。同社はすでに同プロジェクトに自己資金3億グリブナをつぎ込んでいるが、プロジェクトを完遂するためにはどうしても外部資金が必要だという。

 ウクライナ独立後、こうしたプロジェクトの実例は多くない。ドンバス工業連合(ISD)傘下のアルチェウシク冶金コンビナートは、平炉から転炉に移行した。メトインヴェストでは、2015年にイリチ工場の平炉をすべて停止し、転炉への転換を図った。インテルパイプでは、インテルパイプ・スターリが電炉を稼働させ、ドニプロ下流管圧延工場の平炉を置き換えた。アルチェウシク冶金コンビナートとエヴラズ・ドネツィク冶金工場では、条件の良い融資を獲得できないがゆえに、連鋳への移行を実現できないでおり、同様にドネツィクスターリも平炉から電炉への転換を果たせていない。


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 ウクライナで毎年秋に『TOP-100』という刊行物が出ており、同国の産業別の動向が概観されていて大変便利なのだが、今年度は今のところウクライナに出張する機会がないので、入手できないでいる。しかし、こちらのサイトで情報が小出しにされており、ある程度の中身に触れることは可能である。そこで当ブログでは本日から数回に分けて、このサイトの情報に依拠しながら、ウクライナの主要産業の動向について報告してみたい。まず本日は鉄鋼業を取り上げる。なお、それぞれの産業部門につき、下の表に見るような、主要企業の売上高および利潤の数字が示されている。

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 ウクライナ鉄鋼業は、2014~2015年にドンバス地方での戦闘に起因する衝撃を受けた。しかし、2016年に入ってからは徐々に回復に転じている。

 2013年の生産量は、銑鉄2,910万t、粗鋼3,270万tだった。それが、2015年には、銑鉄2,190万t、粗鋼2,290万tに縮小した。その原因は、ドンバスの占領地帯で工場が停止したことである。アルチェウシク冶金コンビナート(ルハンシク州)、エナキエヴェ冶金工場(ドネツィク州)、ドネツィクスターリ(ドネツィク州)が操業を停止した。また、引き続き鉄道輸送に支障が生じているドネツィク州マリウポリ市のアゾフスターリ、イリチ記念工場も、生産が大幅減となっている。ただ、2015年春の和平実現により、鉄鋼業の状況は徐々に安定に向かい、2016年1~10月の生産量は、銑鉄1,400万t(前年同期比16%増)、粗鋼1,450万t(同10%増)だった。

 それでも、ドンバス諸企業の活動が深刻な障害に直面していることに、変わりはない。特に、クリヴィーリフから鉄鉱石を搬入し、完成した製品を域外に出荷することに、障害がある。ウクライナ鉄道が、軍事境界線までの輸送、また軍事境界線を越える輸送を、安定的に実施できていないからだ。これには、やむをえない事情(インフラの破壊など)もあるが、ウクライナ鉄道のトップ交代に2年も要したという人為的な要因もある。2016年4月にポーランド人実業家のヴォイツェフ・バリチュン氏がウクライナ鉄道社長に起用されたことで、事態が好転することが期待されている。


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 こちらのサイトに見るように、世銀が半年に一度発表しているレポート『Global Economic Prospects』の最新版が、1月10日にリリースされた。その中から、私の関係国であるロシア・NIS諸国のGDP見通しの部分を、上掲のとおりお目にかける。足下で油価が回復していることを受けてか、ロシア・NIS諸国の見通しは前回よりも上方修正されているところが目立つ。


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 こちらの記事によれば、ウクライナの金・外貨準備は2016年に17%拡大し、2017年1月1日現在で155億ドルとなっている。

2015年1月1日:75億ドル
2016年1月1日:133億ドル
2017年1月1日:155億ドル

 と推移している。なお、もし仮にIMF融資の第4トランシュが入っていたら、2017年1月1日現在で172億ドルになるはずであったということである。IMFは4ヵ年のプログラムでウクライナを支援しており、2015年3月に50億ドル、8月に17億ドル、2016年9月に10億ドルを実行した。


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 ウクライナ=肥沃な黒土という図式があり、鉱工業の衰退が進む中で、農業が同国を支える度合いが強まっている。

 しかし、こちらに見るように、ウクライナの土壌・農業化学研究所のスヴャトスラウ・バリューク所長はこのほど、ウクライナの黒土が劣化していることを指摘し、警鐘を鳴らした。所長によれば、ウクライナ黒土の養分は、すでに西欧の農地の半分となっている(西欧では化学的な施肥の時代が150年以上続いているので)。過去130年間でウクライナの黒土は腐植質の30~40%を失い、もはやその肥沃さは平均的なレベルにすぎなくなっている。ウクライナ黒土2,600万haのうち、1,500haは劣化した状態にある。米国で行われているように、ウクライナでも土壌保護のための国家機関が必要である。研究所は、農業省と共同で、土壌保護のための法案を起草した。バリューク所長はこのように語った。

 このバリューク所長の指摘を踏まえたこちらの記事でも、ウクライナでヒマワリ、アブラナ、トウモロコシといった負荷の重い作物を無制限に栽培していることが、土壌の劣化に繋がっているとしている。

 正直言って、ウクライナの黒土が劣化し、その生産性が並みになってしまうなどということは、これまで個人的に考えたこともなかった。そんなことがあるのかと思い、情報を検索してみると、日本語では以下のような情報がヒットした(どこのどなたが書いたものなのかは不明)。

 植物の成長には日光や水以外に燐や窒素といったものが必要です。世界の穀倉地帯、ロシアやウクライナの黒土帯やアメリカのプレーリーバンクでは、草原に長年蓄積された燐や窒素があるので長年大きな収穫を続けることができたのです。しかし、こうした地域は長年の酷使で次第に養分が枯渇しつつあります。例えば、人工的に窒素肥料を作ろうとすると、原料は無尽蔵ですが高温高圧条件で反応させなければならないので莫大なエネルギーが必要です。しかし、昔ながらのやり方、ヨーロッパでよく見られるように畑を一定期間牧草地にすれば地力を回復させることができます。また、大豆を栽培することによっても窒素分を回復させることができます。ところが、残念なことに大豆の作付け面積は大幅に減少しています。(以下省略)


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 こちらに、2016年のウクライナ経済、金融、財政を回顧する記事が出ているので、要旨を簡単に整理しておく。

 中央銀行がウクライナの銀行システムの健全化を推進し、過去3年間で85の銀行が閉鎖され、現在残っているのは99である。ただ、専門家によれば、これで銀行システムが健全化されたと考えるのは早計であり、まだ銀行システム浄化の第2段階に突入しただけであり、第3段階の浄化が生じることもありうる。2016年終盤には、最大銀行「プリバトバンク」がオーナーのコロモイシキーおよびボホリュボフの筋書きに沿って電撃的に国有化されるという大きな事件があった。本件はIMFの支援も得ていた。

 エコノミストのアンドリー・ノヴァクは、2016年に通貨グリブナの下落が続いたのは100%人為的なものであり、経済的な根拠は一切なかったと主張する。目的は2つあり、第1に国家財政の歳入をインフレ効果で満たすこと、第2に輸出を促進することだった。

 2016年のGDP成長率は1.3%程度となる見通しである。2012年第3四半期からマイナス成長を続けていたウクライナ経済が上昇に転じたことは、2016年の最大の出来事だった。

 金外貨準備高は、現在150億ドル程度であり、2年前の65億ドルに比べて正常なレベルにある。これはIMFをはじめとする融資の賜物である。しかし、本来であれば金外貨準備の残高というよりも、それを利用して適正な為替レートを維持することの方が重要なはずである。

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 こちらに、2016年のウクライナの産業動向をまとめた記事が出ているので、主要部分を以下のとおり抄訳しておく。

              ◆

 ウクライナで政変が起きて3年目にして、ようやくウクライナ産業が活気付く兆候が見え始めた。見て取れるのは3つのトレンドである。第1に、産業部門別のクラスターが復活したり、新たに形成されたりしている。第2に、各企業は活発に新たなパートナーや販売市場を模索している。第3に、ウクライナの生産・産業文化はますますグローバルな通商慣行に統合され、世界的な経営およびロジスティクスのスタンダードに移行し、資本市場のルールを受け入れている。

 かつて販売の70~80%をロシア市場に依存していた各企業も、新たな市場を開拓している。「ザポリージャ変圧器」社は、10年のブランクを経て、マレーシアに発電所用のリアクター5器を納入する入札に勝利した。また、同社として初めて、南アフリカに変圧器を輸出する契約を勝ち取った。

 ミコライウのゾリャー・マシプロエクトは、軍用船向けのガスタービン等を生産しているが、中国、イラン、インドなどアジアでの営業を強化しており、インド向けには4隻の軍用船用のタービンを供給した。ガス汲み上げおよびコンプレッサーステーション用のポンプ設備などを生産しているフルンゼ記念スムィ科学生産合同も、アジア市場に重点を置いているが、まだアジア市場でロシア市場の喪失を埋め合わせるには至っていないので、ウクライナ国内市場の復活に期待をかけている。

 他方、問題は、ウクライナでは現在に至るまで、産業政策の調整役となる国家機関が存在していないことであり、過去5年ほどその創設の試みが続けられているが、実を結んでいない。それゆえに、一つの部門が他部門の動きについて情報を持たず、活動に齟齬が生じることがある。ウクルトランスガスが南方面の一連のコンプレッサーステーションを近代化する入札を発表しているが、ロシアがトルコストリームを打ち出したことで、40億グリブナの資金は無駄になった。しかし、フルンゼ記念やゾリャーのような規模の企業には、特に現時点では、このような大型受注が必要である。

 ウクライナ政府はザポリージャ・アルミ・コンビナートを国営に戻したものの、デリパスカのルサールが原料供給に応じないため、その稼働は実現できないでいる。工場の接収後、状況はまったく変わっておらず、工場は再び払い下げられることになろう。

 鉄鋼業は、ウクライナの最大産業に留まっており、外貨収入の3分の1を占めている。2016年1~11月の粗鋼生産量は2,220万t(前年同期比5.6%増)で、世界第10位であった。

 他方でウクライナは鉄鉱石輸出市場を失いつつあり、特に中国市場ではオーストラリアとブラジル勢に駆逐されている。特に輸出を減らしているのは北鉱山、南鉱山、クリヴィーリフ鉱山であり、一方、生産および輸出量が最大なのは引き続きポルタヴァ鉱山である。中国への輸出減は、セルビア、日本、韓国への輸出増によって部分的にカバーされた。また国内供給も増加し、アルセロールミタル、アルチェウシク、エナキエヴェの各製鉄所が消費を拡大した。

 アルチェウシク、エナキエヴェの両工場は武装勢力の占領地域にあり、ドンバス紛争後はほぼ操業停止していた。2016年の前向きな動きとして、占領地域のほぼすべての冶金工場が生産を再開し、大幅な生産増を記録したことが挙げられる。ドネツィクスターリは、銑鉄生産を倍増させ、新製品の生産にも乗り出している。エナキエヴェ、マキイウカの両工場も新たなサイズのL字鋼2種類を生産し、輸出向けに出荷する。

 イリチ記念コンビナート、ザポリジスターリは、輸入代替の一環として、ボロナイジング鋼板の生産に着手した。農機向けに利用される鋼板であり、従来はフィンランドやポーランドから輸入されていた。

 鉄鋼業界は政府から国内市場の保護措置も取り付けた。9月には大統領が、屑鉄の関税率を1t当たり10ユーロから30ユーロに引き上げる法律に署名、割高な関税は1年有効となる。屑鉄の利用は、粗鋼の生産コストを大きく引き下げる。ウクライナでは過去3年間も屑鉄の不足が続いており、2016年初頭には20%に達した。たとえば屑鉄だけを原料としているインテルパイプ・スターリでは、2ヵ月の操業停止を余儀なくされた。しかも、ウクライナの鉄鋼各社はロシアからの海綿鉄の輸入を4倍も拡大することを余儀なくされた。11月には屑鉄に対する5%の関税を撤廃する法律が成立、これによって屑鉄輸入の拡大が可能になり、鉄鋼業は国から多大な支援を受けた形となった。(注:文意、事実関係など、やや不明瞭)

 化学工業は、オリガルヒに押され、ウクライナ政府にとって2016年に最も上手くいかない産業部門となった。フィルタシのOstchemグループは2006年~2011年に供給されたガス代金の未払いを起していたが、それを取り立てたことに対し、2016年3月に当時ヤツェニューク首相が率いていた内閣はナフトガスおよびガス・ウクライナの幹部に国家勲章を授与した。和平協定調印後、Ostchem傘下のチェルカスィ工場、リウネ工場はナフトガスおよびガス・ウクライナに30億グリブナのガス債務を償還した。セヴェロドネツィクおよびスチロールの債務は、ドンバス停戦後に24ヵ月かけて分割払いされることになった。フィルタシは自社の工場に再びガスを供給できるようになった。

 しかし、フィルタシは徴収された30億グリブナを許容することはなかった。彼は肥料市況を良く知っており、現在の価格動向では肥料を生産しても天然ガスの原価を賄えないので、リウネ工場とチェルカスィ工場は2016年中ほぼずっと操業を停止し、「本格改修」に入った。10月13日、Ostchemは、セヴェロドネツィク工場をロシアから運ばれたアンモニアを原料として稼働再開することを表明、またコジェネ設備を導入してエネルギー依存を解消すると発表した。しかし、12月7日にはセヴェロドネツィク工場が1,700人の従業員を解雇する計画であることを発表。Ostchemは2016年のウクライナの窒素肥料市場におけるロシア産のシェアが51%に達しており、早急にアンチダンピング関税の導入が必要と表明した。農業団体は、Ostchemがロシア産肥料に関する事実を歪めていると批判している。それでも経済発展省は、ウクライナが単一の供給者に依存していることから、ロシア産の窒素肥料に18.8~31.8%の関税を設定することを提案している。ただし、正式決定には議会での立法化が必要である。

 まさにこの時期、ウクライナ最大の肥料工場であるオデッサ臨港工場民営化の2回目の公開入札が失敗に終わったことが明らかになった。1回目の入札は2016年7月に失敗し、価格は5分の2の2億ドルにまで引き下げられた。専門家らによれば、入札が上手く行かなかった主原因は、ウクライナに自由なガス市場が存在していないこと、同社をめぐり腐敗が生じていることだという。その間に、ロシアのトリヤッチアゾトは、オデッサ臨港工場向けのアンモニアのパイプライン輸送の停止を表明した。2016年の輸送量が1t当たり8ドルに引き上げられていたことを無効とするよう裁判所に訴えていたが、敗訴したからである。料金の引き下げと過払い分の返還を提案しており、交渉が行われている。7月25日にストックホルム仲裁裁判所はオデッサ臨港工場がOstchemに2.5億ドルを支払うべきという判決を下しており(この金額は年初にフィルタシが徴収された額の2倍に当たる)、Ostchemは12月27日オデッサ州ユジネ市裁判所に対し同判決を承認し強制執行することを求める訴えを起こしている。


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 こちらによると、ウクライナの省庁間国際貿易委員会は、ロシア産の肥料にアンチダンピング関税を課す決定を下した。ウクライナは2014年にロシア産の硝酸アンモニウムに20.51~36.03%のアンチダンピング関税を課したものの、その時には対象品目が硝酸アンモニウムだけだったので、ウクライナのユーザーは尿素や尿素・アンモニア混合物をはじめとするその他の窒素肥料にシフトしたという経緯がある。そこで今回、より広範に、尿素および尿素・アンモニア混合物に対象を広げることになったわけである。従来はウクライナにロシア産の尿素および尿素・アンモニア混合物を輸入するには5.0~6.5%の関税支払が必要だったが、今後はアンチダンピング関税がそれに加算されることになる。

 もう一つ、肥料・化学関係の話題で、こちらの記事によれば、ウクライナ国営の化学品パイプライン輸送会社は、ロシアのトリヤッチアゾト社のアンモニアをオデッサまでパイプライン輸送する業務を、このほど停止したということである。


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 現在個人的に取り組んでいる研究課題の都合で、これからしばらく鉄鋼業関係の情報が多くなると思うけど、ご容赦を。

 12月初旬のこちらの記事によると、インドはこのほど熱間鋼板に対する保護関税を導入し、途上国からの輸入は例外的に無税となっているが、ウクライナ、中国、インドネシアはそれに含まれず、課税の対象になるということである。厚さ150mm未満、幅600mm以上の熱間鋼板に対し、10%の保護関税を課すというもの。HSコードで言うと7208および7225(72254013, 72254019, 72254020, 72254030, 72259900)が該当する。1t当たり504ドル以下の製品が対象となる。公布後直ちに発効し、1年間有効、1年後に8%に、2年後に6%に引き下げられ、その半年後に撤廃される。

 記事ではインドによるこれ以外の保護措置についても触れられているが、以下省略。


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 ウクライナとEUの連合協定により、EUはウクライナの農産物に「関税割当」を設定し、ウクライナは品目ごとに一定量までは無税でEUに農産物を輸出できるようになった。しかし、畜産品は衛生・検疫基準が厳しく、ウクライナの生産者はその基準をなかなか満たせていないので、せっかくの割当が活かされない状態が続いている。畜産品でEUへの本格的な輸出が実現しているのは、今のところ鳥肉だけに留まっていた。

 しかし、こちらこちらのニュースに見るように、12月の初めにウクライナ南部のヘルソン州で鳥インフルエンザが発生し、ウクライナは鳥肉の輸出を停止、EU側もウクライナからの輸入を禁止した。ウクライナで鳥インフルエンザが発生したのは2008年以来である。2016年1~9月のウクライナの鳥肉輸出は17.8万t(2.1億ドル)で、前年同期比26%増だった。うち、CIS市場向けが3.5万t、アジア市場向けが7.9万t、EU市場向けが2.9万tなどとなっている(EUの中ではオランダ1.3万t、ルーマニア0.3万t、ポーランド0.2万tなど)。

 なお、2016年のウクライナの農産物輸出動向を総括したこちらの記事によれば、目覚しかったのはアジアへの輸出増であり、とりわけ鳥肉がそれに貢献したと記されている。EUの設定している関税割当は過小だというのがウクライナ側の不満の種であり、実際、あれだけの大騒ぎをしてEUとの連合協定を結んだ割にはEU向け輸出は伸びず、特別な関係は何もないアジア向け輸出が拡大するというのは皮肉である。


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 自分の研究テーマにかかわる便利な図がこちらに出ていたので、メモがてらお目にかける。2013~2015年のウクライナ各州の輸出相手地域を見たものである。帯グラフの青が欧州向け、赤(というかピンク)がロシア等のCIS向け、薄い茶色のような色がその他の世界向けということになる。そして、地図上では、欧州への輸出比率が高い地域ほど濃い青、CISへの輸出比率が高い地域ほど濃い赤で示されている。なお、ドンバス(ドネツィク州およびルハンシク州)の新しい数字も一応は示されているが、2014~2015年の数字には武装勢力占領地域の経済活動が含まれていないはずなので、むしろ「ドンバスも元々は赤だった」ということの方が重要であろう。

 このように、ウクライナという国はどうしても、経済面でも、西の地域は欧州寄り、東の地域はロシア寄りという股裂き状態になってしまい、これが対外経済路線のコンセンサスを得ることを難しくしている。


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 こちらに、RIAノーヴォスチによる2016年のNIS諸国の主要ニュースというものが出ている。基本的に各国1ネタという感じになっている。項目だけ箇条書きにすると、以下のとおり。

  • ウズベキスタンでカリモフ氏死去し新大統領選出。
  • モルドバで秋に政権交代、親ロシア路線に転換か。
  • ジョージア議会選、サアアシヴィリ元大統領の帰還には繋がらず。
  • ロシアで収監されていたサウチェンコ議員が5月にウクライナに帰国。
  • ナゴルノカラバフで4月に戦闘再燃。
  • カザフスタン、テロと首相交代に揺れる。
  • タジキスタン国民投票、ラフモン一族の「王朝化」に道開く。
  • アゼルバイジャン国民投票、副大統領制など導入する憲法改正を可決。
  • ベラルーシでデノミ実施、硬貨も導入。
  • キルギスで9月に世界遊牧民競技大会。

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 こちらのニュースが伝えているとおり、ウクライナ最高会議は12月21日、2017年の国家予算を可決した。過半数の226の賛成票が必要だったところ、賛成274で可決された。2017年の財政赤字はGDPの3.0%に設定されている。前提とされている2017年の経済指標は、GDP成長率3%、インフレ率8.1%、為替1ドル=27.2グリブナ、等である。ポロシェンコ大統領の意向を受け、国防費は(2015年の?)1,140億グリブナから1,360億グリブナに増額され、これはGDPの5%に相当する。


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 やや突拍子のない話題だが、こちらの記事によれば、かつての地域党の流れをくむウクライナの「野党ブロック」が、EUとの連合協定の経済条項を執行することを少なくとも10年間凍結するよう、政府に対して求めているということである。野党ブロックの共同議長の一人であるボリス・コレスニコフが12月16日に表明した。コレスニコフによれば、CIS諸国およびBRICS諸国との経済関係の再開なしに、ウクライナの経済は成り立たず、すでにそれは成り立っていない。ゆえに、我々は政府に対し、連合協定の経済条項を少なくとも10年間凍結することを求める。我が党は1月に危機対策プランを発表する予定であり、この主張がそれに盛り込まれることになる。同プランは、ウクライナにおける和平の達成、経済発展、社会政策などの問題への回答を与えることになるだろう。コレスニコフは以上のように述べた。


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radio

 人様のフェイスブックの書き込みで知ったのだが、こちらのウェブサイトにアクセスすると、地球儀の上にドットが表示され、そこにカーソルを当てると、その街にあるラジオ局のライブ放送が瞬時に聞けるようになっていて、とても面白い(ただし、スマホでは音声の切り方が分からないといった報告もあるので、注意)。日本などの東アジアでは、登録されているラジオ局の数が少なく物足りないが、欧米が充実しており、そうした諸外国の放送と簡単に繋がる点や、ラジオ局をサーフィンしていくような感覚が面白い。外国のラジオをネットで聴く方法自体は色々あると思うが、このインターフェースはなかなか魅力的である。

 職業柄、ロシア・ウクライナ・ベラルーシ地域にフォーカスしてみたが、大都市ではいくつかのラジオ局が登録されており、現地の言語事情やローカルな感覚などが伝わってくる。たとえば、西ウクライナのリヴィウにアクセスしてみると、なるほどロシア語ではなくウクライナ語ばかりですねえとか、そんなことが確認できる。


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eu

 こちらの記事などが伝えているように、4月のオランダ国民投票で同国民がEU・ウクライナ連合協定の批准を否決して、同国の批准だけが完了せず協定が正式発効できなくなっていた問題で、このほどEUはオランダの求めに応じて譲歩をすることで、発効実現を図ることになった。15日に開催されたEUの首脳会議で、協定はEUにとっての追加的な財政・軍事的義務を伴うことはなく、またウクライナ人が欧州に住んだり働いたりできることを保証するものではないと確約することで、オランダの理解を得た。

 上記と抱き合わせのような形になるのだろうか、こちらに見るとおり、EU首脳らは同日、ウクライナ問題に起因する対ロシア制裁をさらに半年延長し、2017年6月末までとすることを決定した。


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