服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

カテゴリ: ウクライナ

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 こちらの記事などによると、ウクライナ政府は9月半ばにユーロ債を発行し、2014年以来の国際起債市場復帰を果たした。期間15年、利回り7.375%で、30億ドルを借り入れたもの。ただし、今回のユーロ債発行につき国際的な格付け機関のフィッチは、借り換えのリスクを低下させ外貨準備を拡大するものであり、国際収支の柔軟性という点では評価すべきであるものの、ウクライナが借り手としての信用を完全に回復できない当面の間は、ウクライナにとっての主たる貸し手は今後も公的機関、とりわけIMFに留まるだろうと指摘した。


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 こちらの記事によると、ウクライナに「未来についての対話」というテレビ番組があるそうで、9月21日に出演したナフトガス社幹部のYu.ヴィトレンコ氏が、ロシアからの天然ガスおよび石油の輸入の可能性に言及したということである。同氏いわく、きわめて悪い傾向が生じている。結局、元の木阿弥となり、2030年までに、ウクライナが再びロシアの天然ガスおよび石油を買うようになるかもしれない。確固たる発展の体制がなければ、古く、より根強い体制に逆戻りしてしまう。ウクライナの場合、それはオリガルヒ体制だ。残念ながら、ウクライナではオリガルヒ体制への逆戻りが基礎シナリオである。このモデルの国で、そこから脱却できた国は少ない。ヴィトレンコ氏は以上のように述べた。

 ウクライナがオリガルヒ体質であるがゆえに、ウクライナのロシアからの天然ガス・石油輸入取引が歪曲されたのは事実だと思うが、ではロシアからの天然ガス・石油輸入をやめればウクライナのオリガルヒ体質が治るかというと、だいぶ疑わしい。


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 ウクライナで毎年開催されている「ヤルタ欧州ストラテジー(YES)」という国際フォーラムがあり、3年前のクリミア併合以降はヤルタでは開催できなくなってしまったが、キエフに場所を変えてイベント自体は継続しており、本年も9月14~16日に開かれたということである。こちらのサイトによると、本年のYESに向け欧州7カ国でウクライナのEU加盟とNATO加盟に関し世論調査が行われ、その結果概要がYESの場で発表されたということである。しかし、上掲のようなふざけた動画を制作しているヒマがあったら、結果の一覧表でも淡々と示してくれた方がよほど役に立つと思うのだが、今回のリリースでは世論調査結果のほんのさわりしか発表されていない(後日発表するというようなことが書かれている)。ともあれ、リリースによれば、7ヵ国合計で、ウクライナのEU加盟賛成という意見が48%、NATO加盟賛成という意見が58%だったということである。うち、EU加盟に関して言えば、リトアニアでは68%、ポーランドでは67%が賛成、フランス、ドイツ、英国では半々、最も厳しいオランダでは賛成は27%に留まったということである。もう1ヵ国イタリアがあるのだが、それに関する言及はない。まあ要するに、欧州側のムードとして、ウクライナにはトルコ・シナリオ(NATOには入れるがEUには入れない)を歩んでもらいたいということだろうか。


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 サッカーのウクライナ・プレミアリーグの概況を眺めると、改めて悲惨な現状が浮き彫りとなる。同リーグは、前身の「トップ・リーグ」の時代の最盛期には、18チームから成っていた。しかし、ウクライナ危機以降、クリミアのクラブの喪失、一連のクラブの経営破綻などが続き、参加クラブが減少、2016/17シーズンからは12チームでの開催を余儀なくされている。

 それで、上図が、最新の2017/18シーズンの参加クラブマップなのだが、地理的に随分と偏っている。南東部の企業城下町的なクラブが多く、それにはドンバス占領地の3チームも含まれている。一方、ハルキウにはメタリストという強豪が存在したのだが、同クラブは経営破綻と分裂に見舞われ、現時点ではウクライナ第2の都市であるハルキウにプレミア所属クラブが存在しない状況となっている。また、普通、キエフほどの首都の大都市であれば、プレミア所属のクラブが3つくらいはあっても不思議でないが、現実にはディナモ1チームしかない。さらに言えば、ウクライナという国全体のバランスとしては、地域的には西部、産業的には農業や食品産業の重要性が高まっているが、サッカーの勢力図はそれとはかなり異なっている。

 下図は、ウクライナ・プレミアリーグの1試合当たり平均観客動員数の推移である。つい数年前までは1万人を超えていたが、ウクライナ危機以降は、日本のJ2平均(だいたい7,000人くらい)をも下回っている。

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 こちらの記事によると、このほどIMFのデビッド・リプトン筆頭副専務理事がウクライナのV.フロイスマン首相と会談し、その席でウクライナ経済につき次のようにコメントしたということである。いわく、ウクライナの経済改革の進捗は奇跡的で、経済の安定化はタイムリーであり、それは時期的に世界経済の成長と重なっている。これはウクライナにとって、安定化から、高度成長へと転じる可能性である。過去におけるIMFの支援が有益だったことを願っており、われわれはいかにして今後の改革を前進させるかを議論している。ウクライナは、もしも一層の改革を実施し、経済の安定化を達成すれば、その後には薔薇色の未来が期待できる。リプトン氏は以上のように述べた。

 なお、IMFの拡大信用供与の第3回目のレビューが行われ、IMF側はウクライナに、民営化、農地市場の発展、汚職撲滅、年金改革などの改革の加速を求めている。


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hihou

 最近のウクライナの数少ない明るい話題として、EUとの間でビザなし協定が成立し、6月11日からウクライナ国民がEUにビザなしで短期滞在できることになった、というものがあった。しかし、こちらの記事こちらのサイトによると、2017年上半期にはウクライナ国民がむしろロシアに渡航する回数が増え、上表に見るとおり、ロシア行きは前年同期比56.1%も増えたということである。EU諸国への渡航には目立った増加はない。まあ、ビザなしが発効したのが6月に入ってからだったので、EUへの渡航増はむしろ下半期の統計に反映されるということなのかもしれない。

 PS:なお、上表で、ポーランドが前年同期比45.4%減となっているのは、原典の誤りであり、正しくは15.4%減である。数字を修正した上で画像化したつもりだったのだが、なぜか反映されておらず、そのままになってしまっていて、悪しからず。


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 こちらのサイトに、2016年のウクライナの青果物の生産高というグラフが出ており、何かに使えるかもしれないので、メモしておく。まあ、要するに、ネタに困ったのである。単位は1,000t。上図の果物は、リンゴ、スイカ、ブドウ、スモモ、サクランボ、ナシ、メロンと並んでいる。下図の野菜は、ジャガイモ、トマト、キャベツ、タマネギ、キュウリ、ニンジン、ビートと並んでいる。

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ukai

 以前から、モスクワから鉄道でロシア南部のロストフに行こうとすると、ウクライナ領をかすめる形となり、そこで越境手続きをしなければならないから、不便だということが言われていた。そして、3年前の政変でロシアとウクライナが決定的に対立したことにより、上図に見るとおり、従来ウクライナ領を微妙にかすめていたジュラフカ~ミレロヴォ間の区画の迂回ルートの建設が、2014年から進められていた。そして、こちらの記事によると、近日中にその工事が終わり、10月には貨物列車の運行が始まるということである。ロシア鉄道のO.ベロジョーロフ社長が明らかにした。旅客列車は、ダイヤを編成する必要があるので、追って決定するということである。迂回区間は全長137kmで、その中には150mのものも含め5つの橋が設けられている。


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 ロシアは、ロシア本土と、クリミア半島を隔てるケルチ海峡を橋で結んで、そこに鉄道と道路を通そうとしているわけだが、アゾフ海と黒海を行き来する船舶のために、通過用のポイントを設ける必要がある。そして、8月の末にその通過ポイントの鉄道の橋桁を架ける難工事が行われ、その工事は成功したようだ。上の動画が橋を架ける様子、下の動画がその下を船が通過する様子ということである。こうやって見ると、かなり座高が高く、横幅もそれなりに確保されているように見えるが、どうなんだろうか。なお、鉄道の橋桁の隣には、道路のそれも架けられる予定となっている。まあ、ロシアもこういう工事を自力でできるんだなあと感心する反面、クリミア併合の既成事実化が後戻りできないところまで進んでいることも改めて実感する。


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 こちらの記事が、諸外国および国際機関によるウクライナ支援の状況について伝えているので、内容をメモしておく。ウクライナ経済発展・商業省が発表した情報ということである。2017年上半期に実施された支援の概況であり、金融支援ではなく技術支援に限られるようである。ちょっと定義が分かりづらいが、全体では、415のプロジェクト、53.2億ドルの支援がなされた。実施主体別に見ると、以下のとおりだという。

  • 米国:104プロジェクト:15億ドル
  • 欧州復興開発銀行:39プロジェクト:6.7億ドル
  • EU:139プロジェクト:3.3億ドル
  • ドイツ:26プロジェクト:2.1億ドル
  • カナダ:20プロジェクト:1.5億ドル
  • 日本:7プロジェクト:0.2億ドル

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 個人的に、少々、切羽詰っており、こういう時にはロシアのニュースサイトから図解資料を拝借して転載させていただくというのが、恒例となっている。今回は、こちらに掲載されている、ウクライナ国民のEUへの渡航事情に関する資料を抜粋して見てみよう。5月17日にウクライナとEUのビザなし協定が成立し、これでウクライナ国民は大手を振ってEU圏(正確にはシェンゲン協定圏)に行けることになったわけだが、当のウクライナ国民はEUへの渡航についてどう思っているかという社会調査が本年2月に行われたということであり、今回の図解はその結果を図示したものである。

 右上の設問で、ビザなしを利用して実際にEUに行くつもりがあるかを尋ねたところ、たぶん行く34%、たぶん行かない52%、分からない14%という結果になった。左上の設問では、ビザ廃止でどんな目的の渡航に期待するかが尋ねられており(複数回答だろう)、旅行52%、商用24、就業21%、就学12%、などとなっている。旅行でも、就業でも、ポーランドが行き先の筆頭に挙がっている(これは実績なのか、希望なのか、不明)。下の帯グラフは、ウクライナ国民が外国で働いている形態を尋ねており(実際に出稼ぎに出ている人のみへの質問だろう)、季節労働77%、定職15%、などとなっている。業種別では、建設・修理34%、農業33%、家事13%、高齢者・身障者介護6%、IT5%、等々と続く。

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 ウクライナでは昨年末に、最大手の民間銀行「プリヴァトバンク」が国有化されるという大事件があった。こちらの記事が伝えるところによると、英フィナンシャル・タイムズ紙が、ウクライナ当局の決定を批判するコラムを掲載したということである。ジョン・ミルズという実業家の論客が執筆している。

 ミルズによれば、プリヴァトバンクの国有化は、不適切で不要なものであり、ウクライナ経済に損害を加える。株主の資産を棄損し、さらにウクライナの納税者に追加的なコストを押し付ける。ウクライナ中銀が金融の現実を認めるのを拒んだ結果である。今回の国による非常手段は、ウクライナの銀行界および経済状況をむしろ悪化させ、政府の越権行為の典型例である。ミルズはこのように批判している。


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 先日、ウクライナとカナダの間で自由貿易協定(FTA)が成立し、8月から発効するということである。マニアックな話題だが、こちらが伝えているところによると、それに伴って、ウクライナに輸入されるカナダ産自動車の中古車は、関税率がゼロになるということである。「カナダから持ち込まれる中古車」ではなく、あくまでもカナダ産自動車の中古車が対象ということになる。なお、カナダ産新車の関税率は7%。

 ただ、「カナダに乗用車の工場なんて、あったっけ?」と思って検索したら、こちらのサイトで下に見るような図が出てきた。まあ、米国ほどではないが、カナダにも一部の自動車メーカーが立地しており、トヨタなども工場を持っているようである。もっとも、カナダの工場は北米全体のサプライチェーンに組み込まれているだろうから、ローカルコンテンツの認定とかややこしそうだ。

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 私は先日、「ウクライナの農産物・食品輸出とEU市場」というレポートを発表した。その中で、EUが「関税割当」と称し、一定量まではウクライナ産農産物・食品を無税で輸入する制度があるが、その無税枠があまりにも小さすぎるということで、EU側がウクライナ支援の一環として無税枠を拡大する方向である旨を論じた。

 しかし、今般、その件について続報があり、私が上掲レポートに書いたのとは若干異なる形で、事態が決着したようである。私が事前に得ていた情報では、ぶどう・りんごジュース、はちみつ、とうもろこし、大麦、オート、穀物のひき割りという6品目に対し無税枠が追加されるということだった。一方、小麦と加工トマトの2品目については、欧州議会の審議段階で却下されたと聞いていたので、レポートにはそのように書いた。ところが、今般出た6月28日のEUのリリースによると、却下されたと伝えられていた小麦と加工トマトも含め、8品目に対して無税枠が追加されるということである。上掲の図は、「ウクライナ分析センター」から拝借して、今回の決定を整理したもの。


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 こちらこちらの記事によると、ウクライナの公営事業利権をめぐり動きがあったようだ。首都キエフ市議会はこのほど、同市への暖房・温水供給に関するキエフエネルゴとの契約を打ち切ることを決定した。キエフエネルゴは、当国随一のオリガルヒ、R.アフメトフ氏傘下の企業である。従来キエフエネルゴが管理していた熱併給火力発電所(第5および第6)等が、16年振りにキエフ市の管轄下に戻る。契約自体は2017年12月31日に切れることになっていたが、次の暖房シーズンへの影響を避けるために、契約を2018年4月27日まで延長し、それ以降、市に移管される。


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 化学肥料は、今書いている論文の題材の一つなので、時々当ブログに登場する。

 こちらの記事の要旨。ウクライナの一連の窒素肥料工場のうち、4箇所をオリガルヒのD.フィルタシ氏が経営するOstchemが傘下に収めている。そのうち3工場、チェルカスィ、リウネ、セヴェロドネツィクの各工場は、3ヵ月にわたって操業を停止していたが、このほど操業を再開した。同社の広報が発表した。現時点では、Ostchemが注力しているのはウクライナ国内市場であり、国内の農業生産者への供給を最優先している。3工場合計の生産能力は月産35万tであり、これは2017年の秋蒔き播種作業の需要を満たすのに充分である。今回の操業再開は、政府の国際貿易省庁間委員会が5月に、ロシア産の窒素肥料、尿素、尿素アンモニア混合にアンチダンピング関税を課す決定をしたことによって可能となった。


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 何でもジブリで例えるのは日本人の悪い癖だが、ウクライナとロシアの対立が、ポルコとカーティスの殴り合いのようになってきた。元々何について揉めていたのかも、もはや分からなくなり、単なる嫌がらせの応酬と化し、周りはみな呆れ顔といった感じだ。

 こちらの記事によれば、ウクライナでロシア産チョコレートおよびその他のカカオ製品に対するアンチダンピング関税が、このほど発効した。税率は31.33%で、5年間適用される。過去数年、ウクライナのロシアからのチョコレート輸入はほぼゼロに近付いていたが、今回の措置で、完全に消滅することが予想される。2013~2015年に実施された調査にもとづいた措置であり、ロシアからのダンピング輸出がウクライナの生産者に深刻な打撃を与えていることを斟酌した。調査によれば、ウクライナの生産量が7.63%低下し、国内販売が20.85%低下し、等々といった被害が認定されたという。

 ちなみに、このニュースからリンクしていたこちらのサイトが、ロシアと欧米およびウクライナとの制裁の応酬クロノロジーをまとめていて、便利だった。


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 こちらによると、ウクライナのひまわり油生産が好調である。2016/17マーケティング年度(2016年9月~2017年8月)の生産は580万tに上ると予想され、前年度のペースを40%以上上回っている。なお、米農務省では、2017/18マーケティング年度(2017年9月~2018年8月)のウクライナのひまわり油輸出を、500万tと予想している。


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 ウクライナに「ミロニウカ・パン製品」という有名な食品会社がある。ユーリー・コシューク氏という富豪が経営しており、旧ソ連最大規模の養鶏業者として君臨している。私は今般初めて知ったのだが、同社傘下の「クルィラ」というファストフードチェーンがあるそうで、これまではウクライナ国内でチェーン展開していたようだ。

 それで、こちらのニュースによると、そのクルィラがベラルーシとカザフスタンにも進出しようとしているということである。ベラルーシでは20店程度、カザフスタンでは10店程度と、フランチャイズ契約を結ぶ意向。なお、クルィラは2011年からチェーン展開しており、米国のKFCの開拓した市場セグメントに食い込もうとしている。現在までに、ウクライナ国内で約40店舗を数えるということである。

 まあ、購買力や市場規模からして、本当はロシアに出たいんだろうけどな(笑)。コシューク氏のビジネスについては、以前当ブログで取り上げたので、よかったらご参照を。


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hanro

 ウクライナとEUのビザなし協定が施行されたということで、ウクライナのメインストリームの皆さんはご満悦のようだが、私は生来のひねくれものなので、それとはちょっと別角度の情報を取り上げたい。

 こちらのサイトに、ウクライナの「ソフィヤ」という調査機関が実施したウクライナ全国世論調査の結果が出ている。5月26日から6月1日までにクリミアとドンバス占領地を除くウクライナ全土で、1,217人の成人回答者を対象に実施された調査である。この中で、最近ウクライナ当局が推進しているロシアに対抗したりその影響力を排除しようとする一連の政策を、回答者が支持するか否かということが問われている。その回答状況をまとめたのが上図(便宜的に「反ロシア的」政策と銘打っている)。EUとのビザなしで、「これで我々も欧州人」といった浮かれ気分がウクライナの一部に広がっているが、実は国民の半分強は、ロシアとの間でも現状のビザなし体制が続くことを希望している。物議を醸したロシア系SNS「アドノクラスニキ」や「フコンタクチェ」のブロックは、特に反対論が多い。


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dina

 こちらのページに、ウクライナの平均賃金に関する図解資料が掲載されているので、これをちょっとチェックしておく。上掲のグラフの、オレンジの縦棒が平均月額賃金(グリブナ)、グレーの縦棒が最低月額賃金(グリブナ)、そして赤の折線がドル換算の最低月額賃金ということになる。2017年は4月時点の数字で、最低賃金が119ドルであり、図にはないものの、平均賃金6,659グリブナをドル換算すると250ドル程度だろう。賃金は今年に入ってからグリブナの名目でかなり上昇しているようだ。このほか、元の記事では、地域別のデータも表示できる。


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 最近の当ブログ、ちょっとウクライナの話題に偏りすぎか。この間ウクライナは「2035年までのウクライナ新エネルギー戦略:安全保障・エネルギー効率・競争力」と題する政策文書を策定する作業に取り組んできた。そして、こちらのサイトによれば、エネルギー・石炭産業省はこのほど、5月31日付で最終草案を取りまとめたということである。今後は、6月中に内閣がそれを承認する指令を出し、エネルギー戦略は正式に採択の運びとなる。

 ところで、戦略のテキストを紐解いてみると、一連の数値目標が記されており、その中からエネルギー安全保障と関連した項目だけ、下表に簡単にまとめてみた。これを見れば一目瞭然のとおり、ウクライナにとってのエネルギー安全保障とは、対ロシア依存からの脱却と同義であり、対ロシア依存脱却と裏表の事柄として、EUエネルギー市場との一体化の方向性が描かれている。

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 こちらなどが伝えているとおり、EUの議会にあたる欧州議会は6月1日、EU市場に関税なしで輸入できるウクライナ産農産物の枠を、拡大することを可決した。本件は昨年9月に欧州委員会が承認し、議会の審議にかけられていたもので、5月5日に欧州議会の国際貿易委員会が可決、そして今回の本会議の可決を経て、今後は欧州連合理事会が最終的に承認し、発効することとなる。本件については、個人的に以前から注視していたものの、理解していなかった点もあるので、この機会にまとめておく。こちらのサイトで、ウクライナ農業省の欧州統合問題担当次官のO.トロフィムツェヴァが解説しているので、主にそれにもとづいて整理しておく。

 トロフィムツェヴァ次官によれば、EU側が無税枠を拡大するのは、ぶどう・りんごジュース、はちみつ、とうもろこし、大麦、オーツ、穀物の挽き割りに対してである。ジュースとはちみつは従来の上限の50%分が、その他の品目については100%分が、新たな無税枠として追加される。これは3年間の時限的な措置となる。なお、ウクライナ側が枠の拡大を求めていた品目のうち、鳥肉と砂糖は交渉の初期段階で却下され、小麦と加工トマトは欧州議会の審議段階で却下された(注:上の図はまだ小麦と加工トマトが生き残っていた段階のもの)。EUの設定する関税割当は連合協定に数量が明記されており、今回の措置は協定を見直すわけではなく、あくまでもEU側による一方的な追加的優遇措置であり、したがってウクライナ側が何らかの見返りを求められるものではない。ウクライナ農業省の試算によれば、無税枠の拡大によって、年間1.8億ドルを得ることになり、3年間では5億ドル程度の利得となる。今後も、他の品目に対して無税枠が拡大される可能性もないわけではないが、それはもはやEU側による一方的な優遇措置というよりも、EUとのDCFTA発効3年後に見直し交渉をすることになっているので、その一環として交渉されることになろう。連合協定の経済条項が発効したのが2016年1月なので、1年半後にはその交渉に着手することが可能で、我々はその準備を進めておかなければならない。次官は以上のように説明している。


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 以前も取り上げたことがあるが、ウクライナに「ウクライナ分析センター」というシンクタンクがあり、今般そのフェイスブックページに、ウクライナで小売販売されている商品に占める国産品の比率という資料が掲載された。ここではその中から、商品の国産品比率をロシアとウクライナで対比したデータをグラフにしてご紹介する。ロシアの当該指標がここ2~3年拡大基調にあったのに対し、ウクライナはロシアと同じように激しい通貨下落に見舞われたにもかかわらず、輸入代替が進展しているとは言えないと、同センターでは指摘している。


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 ウクライナでは養蜂が盛んであり、最近になって諸外国へのはちみつの輸出が活発化しているようである。ちなみに、日本でも主に業務用として出回っていて、こちらのページに見るように、輸入する業者も現れたし、Amazonで注文することも可能である。ウクライナ=美女=はちみつの効果という図式に訴求しようとしている。

 こちらの記事によれば、2016年のウクライナのはちみつ輸出量は5.7万tで、過去最高だった。これは、2011年と比べると、実に5.8倍の拡大である。輸出増は本年に入っても続いており、2017年1~4月の輸出は2.2万tを記録、これは前年同期比2.3倍の伸びとなっている。1~4月のウクライナ産はちみつの主な輸入国は、米国1,260万ドル(シェア34%)、ドイツ850万ドル(23%)、ポーランド370万ドル(10%)などと続く。通貨グリブナの下落と国民の購買力低下が重なり、2017年の輸出量は大幅増に終わりそうである。

 ところで、「はちみつ ウクライナ」で検索していたら、「差し入れの蜂蜜容器が爆発、兵士4人死傷 ウクライナ東部」という2年前のニュースが目に止まった。


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 ウクライナのオリガルヒにO.ヤロスラウシキー氏(ロシア語ではA.ヤロスラフスキー氏)というハルキウの名士がおり、同氏については以前当ブログで「ウクライナのオリガルヒ14:ハルキウの転売師ヤロスラウシキー」として紹介したことがある。

 それで、こちらの記事によると、そのヤロスラウシキー氏がこのほど、ロシアの鉄鋼グループ「エヴラズ」から、ウクライナに所在する鉄鉱石コンビナート「スハ・バルカ」を、1.1億ドルで買い上げたということである。なお、同コンビナートは、元々はウクライナのプリヴァト財閥が保有していたが、2007年にロシアのエヴラズが他の一連の鉄鋼関連資産とともに買収した経緯がある。以前報告したとおり、ヤロスラウシキー氏は2016年にはハルキウ・トラクター工場を買収しており、業績を回復させたところで高値で転売すると見られ、相変わらず転売ビジネスは盛んなようだ。


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 先日、「ウクライナがロシア系ネットサービスを遮断」という話題をお届けしたが、関連情報を追加したい。こちらに、ウクライナで利用率の高いウェブサイトという情報が出ていたので、それを上図のとおり紹介させていただく。赤で示されているサイトがロシア系のサービスであり、ウクライナはこれらを全面禁止しようとしているわけである。

 このベスト25のサイトには、私の知らないものもかなりあった。それらについて調べたところ、olx.uarozetka.com.uaaliexpress.comは、通販サイトのようだ。prom.uaはオークションサイトらしい。gismeteo.uaは天気予報。


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 肥料産業は、地味ながら、現在個人的に取り組んでいる論文の題材の一つなので、時々このブログで取り上げている。以前、こちらおよびこちらのエントリーで報告したように、ウクライナの省庁間国際貿易委員会は2016年12月に、ロシア産の肥料にアンチダンピング関税を課す決定を下したものの、国内の肥料不足を不安視する農業省の意見を受け入れ、2月13日にその導入を当面延期することを決めた経緯がある。

 そして、こちらの記事によると、ウクライナの省庁間国際貿易委員会は5月18日、延期していたロシア産肥料に対するアンチダンピング関税の導入を、再度決定した。今後は、ロシア産のすべての尿素および尿素・アンモニア混合物(HSコード310210、 3102800000)に対し、31.84%のアンチダンピング関税が課せられる。決定は官報掲載の翌日に発効する。

 また、こちらの記事によると、ウクライナ経済発展・商業省は、ロシア以外のすべての国からの窒素肥料輸入に対する関税を全廃する意向を表明した。なお、これまで、ウクライナへの窒素肥料供給の80~90%をロシアが担ってきた。


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 こちらのニュースで知ったのだが、このほどウクライナで同国観光のポータルサイトが開設されたということである。http://zruchno.travelというのが、それだ。タイトルの「ズルチノ」というのは、ロシア語の「ウドーブナ」に相当し、「快適ウクライナ旅」みたいなタイトルなのだろう。ただ、ナショナルなサイトが出来たという触れ込みだったので、ウクライナ観光庁みたいなところの公式サイトなのかと思ったら、ロシア語・ウクライナ語のバイリンガルになっているし、ロシア語の方に優先順位が置かれているということで、どうも民間のプロジェクトのようである。今のところ英語ページはなく、一体誰にウクライナを観光してほしいと思っているのか、若干謎である。

 詳しく閲覧している時間はないが、ウクライナ全土の5万もの観光スポットが掲載されているという。クリミア、ドンバス占領地すらも対象になっている。


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 こちらの記事こちらのサイトによると、このほど5月15日付でポロシェンコ大統領が署名した大統領令により、国家安全保障・国防会議の4月28日付決定が発効した。これにより、対ロシア制裁が拡大されることになった。制裁リストには、1,228の法人、468の個人が加えられた。

 問題は、今回の制裁リストに、ロシアの多くのマスコミだけでなく、ВКонтакте(フ・コンタクチェ)、Одноклассники(アドノクラスニキ)、Яндекс(ヤンデックス)、 Mail.ru(メイル・ル)といったロシア系のSNS、ネットサービスも含まれていることである。これらのサービスは、ウクライナでもユーザーが多く、ウクライナの一般市民の日常的な活動に重大な影響を及ぼすことが予想される(ただし、完全に遮断するとなると2年ほどの時間と数十億ドル単位の費用を要するという)。一例として、2015年現在のウクライナにおける各ネットサービスの利用率は、こちらのサイトからとった上掲図を参照していただきたい。上からグーグル、フ・コンタクチェ、YouTube、メイル・ル、ヤンデックス、フェイスブック、アドノクラスニキと並んでいる。

 かつてベネディクト・アンダーソンは、植民地の住民が宗主国の言語でコミュニケーションすることは何ら問題ではない、むしろ宗主国の言語であってもコミュニケーションが発達することによって植民地の国民意識が形成されるのだといった趣旨のことを喝破したことがある。現下ウクライナにとっても、たとえロシア発のネットサービスであっても、それによってウクライナ国民のコミュニケーションが促されるのであれば、国民形成にとってはプラスのはずである。それを遮断するような愚行を犯す国民に、果たして明るい未来が待っているのか、甚だ心許ない。


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