ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け。

カテゴリ: ウクライナ

 週刊ロシア経済(No.4、2018年12月8日)を配信しました。短くしようと思っているのに、なぜやるたびに長くなっていくのでしょうか???


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 こちらの記事で知ったのだが、ウクライナに「経済戦略センター」というシンクタンクがあり、同センターがこのほど、ウクライナは財政運営のまずさにより年間86億ドルを喪失しているとする分析を発表した。その内容は同センターのこちらのサイトで閲覧することができる。

 これによると、ウクライナは財政運営のまずさにより、年間86億ドルを喪失している。これとは別に、1回限りの喪失が266億ドル生じている。これらを合計すると、5年間で約700億ドルに上り、ウクライナの国家対外債務残高の470億ドルを優に超える規模ということになる。どういう分野で問題が生じているかというと、所得税の課税逃れ、不明朗な農地市場、預金保険、インフラの不効率な運用、輸出入の際の課税逃れ、不効率な民営化、天然資源採取分野の不透明性、などだという。


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 クリミア沖でウクライナ海軍の艦船などがロシア側から銃撃、拿捕された事件。ここでは簡単に、その背景だけ解説させていただく(10月に講演をした時にまとめた資料をリサイクル)。

 アゾフ海に面したウクライナのマリウポリ港は、ドンバス地方の主要港で、R.アフメトフ氏のSCM財閥御用達の港だった。船舶がケルチ海峡を通行してウクライナのアゾフ海港湾に滞りなく寄港できるかというのは、ウクライナ、とりわけドンバスの経済にとって決して無視できない問題である。

 そうした中、ロシアによるクリミア橋の建設以降(5月頃から)、ロシアの保安当局が、ウクライナ港に出入りする商船を停止させ乗組員のパスポートチェックをし、長期間の停泊を余儀なくされるようになり、実質的にウクライナのアゾフ海諸港を封鎖した格好になっていた。

 また、上掲図に見るとおり、クリミア橋のクリアランスは35メートルであり、高さ33メートル以上の船舶はクリミア橋の下を通過できない。クリミア橋が出来てからは、パナマックス級の船舶は、アゾフ海に入れなくなった。

 これらによるウクライナの直接的な損失は月1億グリブナに上るとされている。

 ポロシェンコ大統領は9月の国連総会演説で「ロシアがアゾフ海を占領しようとしている」として非難した。また、ウクライナはアゾフ海沿いのベルジャンスクでの海軍基地建設急いでいる。米国は本件に関してロシアを非難、またEUも欧州議会が10月25日決議で懸念を表明し、ロシアの対応によっては制裁の強化も辞さない構えを示した。

 以上が、今回の事件の背景というか伏線であり、そうした中で銃撃・拿捕事件が起きたというわけである。


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 当ブログでこの手の図解資料に頼るのは、たいてい多忙かつネタがなくて困っている時だが、今回も然り。こちらのページに、1897年に実施された国勢調査にもとづく帝国の30大都市ランキングという図が出ており、ちょっと面白いので、これを取り上げてみる。上図(クリックすると拡大)の赤い円が1897年の人口規模、青い円が今日の人口規模を表している。現代の都市名で箇条書きにすると、以下のとおりである(カッコ内は今日ロシア以外の国に所属している場合の国名)。色々発見があるけど、当時のオデッサの大きさが非常に目立ち、ウクライナというよりはロシアの重要都市だったことが伺われる。逆にドネツクなんかは圏外で、当時まだ小さかったんだねえ。あと、ロシアのシベリア・極東の都市、というかウラルの都市すらも、この時点ではまったく登場しない。

  1. サンクトペテルブルグ
  2. モスクワ
  3. ワルシャワ(ポーランド)
  4. オデッサ(ウクライナ)
  5. ウッジ(ポーランド)
  6. リガ(ラトビア)
  7. キエフ(ウクライナ)
  8. ハルキフ(ウクライナ)
  9. トビリシ(ジョージア)
  10. ヴィルニュス(リトアニア)
  11. タシケント(ウズベキスタン)
  12. サラトフ
  13. カザン
  14. ロストフナドヌー
  15. トゥーラ
  16. アストラハン
  17. バクー(アゼルバイジャン)
  18. ドニプロ(ウクライナ)
  19. キシナウ(モルドバ)
  20. ヘルシンキ(フィンランド)
  21. ミコライフ(ウクライナ)
  22. ミンスク(ベラルーシ)
  23. ニジニノヴゴロド
  24. サマラ
  25. コーカンド(ウズベキスタン)
  26. ヴォロネジ
  27. クルスク
  28. カウナス(リトアニア)
  29. オレンブルグ
  30. ヤロスラヴリ

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 個人的に、カメラを構えても、撮影するのは静止画ばかりで、動画はほとんど撮ったことがない。また、従来は情報発信にYouTubeを積極的に活用することもなかった。ただ、今後はそういうこともやってみようかなと、ちょっと考え始めているところ。

 その練習というわけでもないけど、こんな動画を。ウクライナから追放されたヤヌコーヴィチ前大統領。逃亡後に贅を尽した豪邸が暴露され、改めて国民の怒りを買ったが、動画はその豪邸にあった高級オルゴール。2018年9月に見学した際に撮影。


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 こちらのサイトに、ウクライナの国家債務の問題についてのまとまった情報が出ている。上の図は、2017年現在で各国の国家債務残高の対GDP比を示したものであり、ロシア・NIS諸国は右の方に固まっている。黄色のウクライナは71.8%であり、この数字だけを見れば旧ソ連で最も重い債務を抱え、真ん中あたりに固まっている中東欧諸国と比べても高い水準だ、ということになる。しかし、管見によれば、ウクライナの債務の絶対額は、驚くほど巨額というわけではない(2018年6月現在のウクライナの国家債務残高は763億ドル、うち60%に当たる472億ドルが対外債務)。実は、2014年の政変の前までは、対GDP比は40%程度にすぎなかった。問題は、ウクライナの債務が膨らみ始めたその時に政変が起き、分母のGDPが縮小してしまい、また為替の下落で外貨建てが主流だった国家債務のGDPに対する比率が急拡大してしまったことである。債務のうち対外債務の比率が大きかったことが問題であり、しかも債権者がクセ者揃い(ヘッジファンド、ロシア政府)だったことが事態を複雑にした。下の図に見るとおり、2018~2020年は外貨建て債務返済のピークに当たっており、だからこそ今般のIMFとの新合意が必要になったというわけである。

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 昨日は、所属先のロシアNIS貿易会で、「ウクライナとジョージアの最新情勢」という報告会をやった。私は昨年11月にベルギーのブリュッセルを訪問し、EU側の視点から見たウクライナとジョージアの実情につき調べる機会があった。また、本年9月にはウクライナとジョージアを相次いで訪問し、現地調査を行った。そこで、似ているようで違う、両国の最新の国情を比較しながら論じてみようという、そんな趣旨の報告だった。

 その報告に向け、色んな素材を用意したが、我ながら出来の良いグラフが1つあったので、それをブログでもお目にかけたい。ウクライナとジョージアの経常収支の構造を比較した図である。あまり見かけないタイプの図だが、こういう図にしてみたら分かりやすいのではないかと私自身が考え作ったものだ。

 ウクライナやジョージアのように、エネルギーを輸入に依存している旧ソ連の「持たざる国」は、どうしても商品(モノ)の貿易は赤字になりがちである。それをどうやって埋めるかが課題となる。ジョージアの場合は、サービス輸出の比率が大きい(商品輸出よりも大きくなっている)。そして、39億7,600万ドルのサービス輸出のうち、実に27億400万ドルをインバウンドの観光(旅行サービス輸出)で稼いでいる。一般論として言えば、観光だけで国民経済を賄うというのはそんなに簡単ではないが、ジョージアくらい観光資源が豊かで国の規模が小さければ、ある程度は「観光で食う」ということも可能になるのだろう。一方、ウクライナの場合には、現状で「雇用者報酬」で埋めている部分がかなり大きいが、これは要するに海外出稼ぎ収入である。

 2017年現在、経常赤字の相対的な規模はジョージアの方が大きく、経常赤字の対GDP比はジョージアが8.9%、ウクライナが1.9%である。


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 こちらの記事で、来たるウクライナ大統領選に向け、同国のオリガルヒたちがどのように動いているのかが論じられているので、要旨を整理しておく。2ヵ月ほど前の記事で、古くなっているところがあるかもしれないが、悪しからず。

 コロモイスキー:プリヴァトバンク等の保有資産は接収されてしまったものの、最も影響力のあるテレビ局「1+1」を保有し、資金力もあるため、いまだ影響力は強い。40名近くの最高会議議員や、多くの地方議員などが同氏の支配下にある。大統領選ではティモシェンコ支援に回ると見られ、ポロシェンコへの恨みが両者を結び付けている。ただし、両者とも野心家なので、いずれかの時点で同盟関係が崩れる可能性もある。お笑い芸人のゼレンスキーを隠し玉としてキープしている。

 ピンチューク:「1+1」と並ぶ人気テレビ局のICTVを保有。米国のヒラリー・クリントン、ジョージ・ソロスとのコネクションがある。ポロシェンコ政権の下で、ピンチュークは訴追されそうになったり、分離主義支援を非難されたりしたので、ポロシェンコとは疎遠。ロック・ミュージシャンのヴァカルチュークを大統領選に擁立する動きを見せる。一方、ピンチュークと懇意のソロスは、フリツェンコを支援しており、ピンチュークがそれに同調しているという噂も絶えない。他方、ピンチュークはドニプロ同郷のティモシェンコを支援しており、ヴァカルチュークやフリツェンコはティモシェンコとの取引を有利に運ぶための材料にすぎないとの見方もある。さらに、ピンチュークはリヴィウ市長のサドヴィとの繋がりもある。

 リョーヴォチキンとフィルタシ:基本的に、「野党ブロック」の一部と、ポロシェンコ・ブロックの数人(元UDAR派)が、両氏の影響下にある。南東部で人気の高いテレビ局「インテル」が傘下にある。野党ブロックの候補はボイコになると考えられ、ポロシェンコにとっても丁度良いスパーリングパートナーとされていたが、ボイコが勝ってしまうリスクもあるということで、リョーヴォチキンおよびフィルタシも後ろ向きになった。一説には、メドヴェチュークとともに、生活党のラビノヴィチを擁立するなどとも言われている。

 アフメトフ:同氏はクチマ、ユーシチェンコ時代からポロシェンコとは良好な関係にあり、ゆえにポロシェンコ政権の継続を望んでいる。「野党ブロック」の20名ほどがアフメトフの影響下にあるほか、急進党のリャシコも支援している。テレビ局「ウクライナ」も重要。リョーヴォチキンおよびフィルタシとは立場の隔たりが生じる可能性がある。ポロシェンコ側から見ても、資金源、メディア、南東部の票田での影響力の観点から、アフメトフの存在はきわめて重要。

 2014年にはポロシェンコは欧米にとってもオリガルヒたち皆にとっても無難な人物だったが、当のポロシェンコは国の利権を自派の間だけで分配してしまい、オリガルヒたちの多くはポロシェンコに取って代わる対抗馬を模索するようになった。


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 ロシアの自動車情報機関「Avtostat」のこちらのサイトに、2018年1~8月のロシアの乗用車輸出相手国を図示した上掲のような図が掲載されていたので、ちょっとこれを拝見してみよう。ただし、このデータには重大な欠落がある。ロシアの乗用車輸出は、そもそもそれほど大規模ではないが、その大部分が、ユーラシア経済連合のパートナーであるカザフスタンおよびベラルーシ向けである。ところが、Avtostatの当該データは、「ユーラシア経済連合諸国向けを除く」となっており、残りの小口の輸出相手国を見たものにすぎないのだ。ユーラシア向けも数字の把握自体は技術的に可能と思われるのに、何ゆえにこのような仕様になっているのか、理解に苦しむ。

 ともあれ、ユーラシア経済連合諸国を除くと、2018年1~8月の輸出台数は18,223台だった。輸出相手国ベスト10は、チェコ、ウクライナ、ラトビア、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、イラク、スロバキア、レバノン、ハンガリー、セルビアとなっていて、ほぼ旧ソ連・東欧諸国で占められる。モデルはだいぶ限られているようで、ベスト5は、LADA 4×4、Skoda Octavia、LADA Vesta、VW Polo、 KIA Rioとなっている。私の知る限り、ウクライナでは数年前からLADAは締め出されているので、ウクライナ向けに輸出されているのはおそらくSkoda車だろう。

 なお、私が別の情報源で調べたところ、ユーラシア経済連合域内を含むと、2018年1~8月のロシアの乗用車輸出台数は、57,200台だった。ということは、乗用車輸出の68%ほどが、ユーラシアのパートナー諸国向けということになる。


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 ついにこの日が。。。というか、正式な発売日はまだもうちょっと先ですが。服部倫卓・原田義也 (編著)『ウクライナを知るための65章(エリア・スタディーズ169)』(明石書店、2018年)です。明石書店のページはこちら、アマゾンはこちら


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 1年半ほど前に、「ウクライナ・エネルギー戦略の最終草案」と題するエントリーをお届けしたことがある。ウクライナが「2035年までのウクライナ・エネルギー戦略:安全保障・エネルギー効率・競争力」と題する政策文書の策定に取り組んでおり、2017年5月に最終草案が取りまとめられた、という話題であった。

 その後、本件をフォローできていなかったのだが、先日9月にウクライナで調査をした際に、同戦略はすでに正式に採択されたということを聞いた。今般調べてみたところ、こちらのサイトに見るとおり、2017年8月18日付のウクライナ政府指令第605号で採択されていたことが確認できた。備忘録を兼ね、ここに書き留めておく次第である。なお、当該のページから戦略のテキストそのものをダウンロードできるのだが、ZIPファイルを解凍して開くようになっており、ファイル名に不備があるので、それをクリックしてもウンともスンとも言わない残念な状態となっている。ファイル名を変更したら無事開けたので、ご興味のある方はお試しあれ。

 前回述べたとおり、戦略の付属文書には一連の数値目標が記されており、その中からエネルギー安全保障と関連した項目を抜き出したのが下表である。これを見れば一目瞭然のとおり、ウクライナにとってのエネルギー安全保障とは、対ロシア依存からの脱却と同義であり、対ロシア依存脱却と裏表の事柄として、EUエネルギー市場との一体化の方向性が描かれている。下表は前回作成したものなので題名に(草案)と入っているが、草案と今回の最終バージョンを比較したところ、数値目標に修正は見られなかった。

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 9月のウクライナ現地調査、最後の夜は同行の皆さんと一緒にクリミアタタール料理のレストランに出かけた。ムサフィルという有名な店で、キエフに2店舗ある。料理は、トルコ料理と中央アジア料理を足して2で割ったような感じ?

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 P.ストルイピンと言えば、帝政ロシア末期に首相として辣腕を振るった政治家として知られている。ベラルーシのグロドノ県の知事を務めたこともあるので、その意味でも私は身近に感じる人物である。

 で、そのストルイピンは1911年にキエフのオペラ座で観劇中に暗殺されたというのは有名な話である。しかし、死後にキエフのペチェルスク修道院に葬られたということは、恥ずかしながら今回の出張時に初めて知った。上に載せたのがストルイピンの墓の写真。


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 私はキエフという街のことを「ウクライナ政治のパフォーマンスステージ」と呼んでいるのだが、今回の現地調査でもそんなフレーズを思い出すシーンに出くわした。市の中心部を、ティモシェンコ女史の祖国党を支持するデモ隊が行進していた。ティモシェンコの場合、年配女性を中心としたコアな支持層がいる一方で、こうしたデモなどは日当を支払って動員しているという話はよく聞く。そうそう、これがウクライナの原風景だよなと、懐かしい想いを抱いた。来年には大統領選、議会選が控えている。


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 今回のウクライナ出張の夕食の一コマ。ウクライナ国旗色の、黄色と青の愛国ヴァレーニキ。ちょっと青が国旗の青っぽくない気もするが。けばけばしい色合いに反し、中身はジャガイモとカッテージチーズの、割とオーソドックスなヴァレーニキだった。


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 今回のウクライナ出張で多く見かけた看板・ポスター。「軍! 言語! 信教! 我々は我が道を行く! 我らウクライナ ペトロ・ポロシェンコ」とある。北朝鮮並みに先軍政治をうたっているのには思わずビビるが、「言語」というのは言うまでもなくもっぱらウクライナ語を指し、また「信教」も宗教一般ではなく暗にキエフ派の正教会を拡大していく決意を示したものであろう。要するに現在の国家路線をさらに不退転に推し進めていくという立ち位置を示したものだ。


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 ウクライナにつき、重要でありながら、これまで個人的に見逃しており、今回の現地調査で認識するに至った問題があったので、書き留めておく。

 ウクライナは、フランスに似たような感じの政治制度になっており、意外に中央集権的な国である。それを分権化していくというのが以前から懸案になっており、例のドンバス自治付与と直接関係するわけではないが、2014年のユーロマイダン革命後に、EUの技術支援も受けながら、地方分権化が実際に動き出した。その際に、隣接する地方自治体同士の自発的な合同と引き換えに自治を与えるという方式になっており、この間、一部自治体の合同と分権化が同時並行的に進んできた。

 複数の隣接自治体同士が自発的に合同し、新たな「合同地域体」を形成することは、こちらに見るとおり、2015年2月5日付のウクライナ法によって定められている。合同地域体は、ウクライナ語ではОб'єднана територіальна громадаと、ロシア語ではОбъединённая территориальная общинаと呼ぶ。ウィキペディアの解説によると、合同地域体は、行政中心が市に置かれている場合には市型の合同地域体と、町に置かれている場合には町型の合同地域体と、村に置かれている場合は村型の合同地域体と見なされる。2018年4月10日までに728の合同地域体が成立し、そこには630万人が居住している。合同地域体の数はさらに増えていく方向と思われる。

 ただし、私の理解する限りでは、日本の「平成の大合併」などとは異なり、ウクライナの合同地域体は、既存の市町村を廃止するわけではなく、それらを束ねる新たな枠組みを形成する、ということのようである。現に、統計集を紐解くと、ここ3年で合同地域体の数は急増しているのに、市町村の数は完全に横這いである。

 自発的な合同と引き換えに、合同地域体は、財政などの権限が拡大される。そして、従来ウクライナでは、州知事はもちろん、市町村レベルの首長に至るまですべて中央による任命だったのだが、合同地域体では住民が首長を直接選出できるようになる。すでに、2017年10月、12月、2018年4月に、合同地域体の議会および首長選挙が統一的に実施されている。


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 日本人なら思わず旨煮と表記したくなる、ウクライナのウマニという街がある。普段は目立たない小都市だが、実はウクライナのユダヤ人の歴史・文化においては聖地とも言うべき地である。詳しくは、近く刊行される『ウクライナを知るための65章』で赤尾光春さんという専門家が語っているので、ぜひそちらを参照していただきたいが、赤尾さんによると、ユダヤ教敬虔派ハシディズムの義人ブラツラフのラビ・ナフマンの墓がこの街にあり、そこへの巡礼がユダヤ人の伝統となっているという。ナフマン廟への巡礼はソ連崩壊後に解禁され、ユダヤ暦新年(ロシュ・ハシャナ)になるとウマニの一角はイスラエルや世界中から来た多数のユダヤ教徒で埋め尽くされるというのだ。

 それで、今回9月4日にキエフのボリスポリ空港に降り立ったところ、妙に正式な装束を身にまとった正統派のユダヤ人が多いのが目に付いた。しかも、彼らの多くは、カオスのようなパスポートコントロールの行列から解放され、荷物受取場に出ると、まず端の壁に向かい、熱心に祈りを唱え始めるのだ(上の写真がその様子)。エルサレムの嘆きの壁は有名だが、ボリスポリ空港の壁でも代用可能とは知らなかった。私は何人かに声をかけてウクライナ渡航目的を聞いてみたが、皆口々に「ウマニ」と答えていた。調べてみたところ、やはり本年は9月上旬のこの時期がまさに、ユダヤ暦新年(ロシュ・ハシャナ)に当たるということであり、ウマニで新年を迎えるためわざわざウクライナにやって来たということになる。


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 ジョージアでのきわめて有意義な調査は終わり、4日夕方の便でウクライナ・キエフに移動。しかし、トビリシの空港でウクライナ国際航空にチェックインしようとしたところ、「事前にネットで登録していない客はチェックイン料が15ユーロ」とかいう訳の分からない料金を徴収され、同行の皆さんは憤懣やるかたない様子。キエフのボリスポリ空港に着いたら着いたで、入国審査に長蛇の列ができており、カオスの様相。市内に移動しても、両替の窓口、スーパーの店員等、あまりにもぶっきらぼう。同行の皆さんは、陽光と笑顔のトビリシを名残惜しんでいる様子だが、私はむしろ、久し振りにホームに帰ってきたという心境だ。2年半ほど足が遠のいていたウクライナに、ようやく帰ってきた。


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 これは話題としては新しくないのだが、個人的に認識しておらず、見落としていた動きだったので、整理しておく。

 こちらの解説などに詳しいが、「汎欧州・地中海原産地規則憲章」なるものが存在する由である。この地域では、EUを軸に多角的なFTAのネットワークが形成されている。ウクライナも、連合協定に伴うDCFTAをEUと結んでいる。ウクライナがEUに無税で商品を輸出するためには、単にメイドインウクライナだけでは駄目で、その商品が主としてウクライナ産の材料を用いたものでなければならない。あるいは、輸出先のEU産の材料でもOKである。そこで問題となるのは、たとえばEUとトルコの間ではFTAが成立しており、ウクライナがトルコ産の生地を使って服を生産しそれをEUに輸出する場合にはどうなるのか?ということだ。そこで、欧州および地中海沿岸諸国で、原産地に関する共通のルールを設け、FTA関係にある第三国の原料の使用も認めようというのが、この汎欧州・地中海原産地規則憲章である。ただし、単にこの憲章に加わるだけでそれが認められるわけではなく、ウクライナがトルコとFTAを結んではじめて、ウクライナはトルコ産生地を使って生産した服をEUに無税で輸出できるようになる、ということだ。ウクライナはすでにEU、EFTA、モンテネグロ、マケドニア、(CIS自由貿易協定を通じて)モルドバとFTA関係にあり、さらにトルコ、イスラエルとも交渉を進めている。

 それで、こちらの記事によれば、ウクライナは2018年1月31日付で汎欧州・地中海原産地規則憲章の加盟国になった、ということである。


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 誰も興味がないような話で恐縮である。ウクライナで、サッカー・プレミアリーグの試合を観に行くと、試合前にウクライナ国歌の伴奏が流され、皆でそれを歌うことになっている(ナショナルチームではなく、あくまでもクラブ・レベルの試合である)。もっと言えば、試合中にも、自然発生的に観客席が国歌を歌い始め、そのたびに当方も起立しなければならないので、面倒である。

 そんなこんなで、ウクライナ・プレミアリーグにおける国歌の演奏は義務付けられたものであり、少なくとも2014年の政変後は義務になっているのだろうと想像していた。しかし、今般調べてみたところ、こちらこちらの記事に見るとおり、試合前の国歌が義務付けられたのは、つい最近のことらしい。具体的に言えば、2017年11月6日のウクライナ・サッカー協会の理事会で国歌義務付けが決定され、2017/18シーズンの途中から施行されたということだ。なお、この決定に先立っては、シャフタールVSマリウポリの一戦の前に国歌が演奏されず物議を醸したことがあったそうで、従来は自然発生的だったものをこの事件を受けて名文化したということのようだ。


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 ウクライナの民間シンクタンクであるラズムコフ・センターは、『国家安全保障と国防』という雑誌を定期的に刊行しているが、その2017年第3-4号を見ていたら、興味深いくだりがあった。同センターでは2017年10~11月にウクライナ最高会議議員45名を対象にアンケート調査を実施したということであり、その一環として、「以下の諸問題の中で、貴方が最も喫緊と思うものはどれか?」ということを問うていて、その回答状況をまとめたのが上表である。表の見方は、一番左の列が「最も喫緊の問題」、中央の列が「2番目に喫緊の問題」、右列が「3番目に喫緊の問題」となっている。そして、回答は上から、ドンバスの内戦、汚職対策、非集権化、非効率的な国の保健制度、欧州統合、過度な税負担、公職者・公務員の政治的な理由による追放、外国人への土地所有権の許可、クリミアのウクライナへの奪還、民営化、国の経済への介入の制限、等々と続いている。

 非常に顕著なのは、最も喫緊の問題としてドンバスを挙げた議員が46.7%と多かった一方、クリミアを挙げた議員は1人もいなかったことである。ただし、クリミアは2番目に喫緊という回答が11.1%、3番目に喫緊という回答が11.1%と、かなり多い。つまり、今も差し迫った問題であるドンバスに対し、クリミアはロシアが完全に掌中に収め、粛々と実効支配を進めているので、重大ではあるが、今すぐにどうこうできるような問題ではないことを、議員たちが認めているということであろう。もう一つ、欧州統合がそれほど喫緊と受け止められていないというのも、興味深い数字だ。アンケート参加者が45人と少ないのが残念だが、まあウクライナ政界の空気を反映した数字であることは間違いなさそうだ。


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 こちらおよびこちらの記事が伝えるところによると、ウクライナ鉄道はこのほど、もしも政府がその旨の決定を下せば、ロシアとの間の鉄道便を廃止する用意があるということをマスコミに表明した。もっとも、両国間の鉄道旅客輸送は年々低下しており、2017年の旅客数は90万人で(注:記事の書き振りからは両方向なのか、ウクライナ→ロシア方向だけなのかが判別できない)、これは2013年と比べると5分の1の水準である。2018年1~7月の実績も45.4万人であり、前年同期比16.4%減であった。現時点でロシア~ウクライナ間では13便の列車が運行されており、政変前と比べて数分の1の数である。うち8便をウクライナ鉄道が、3便をモルドバ鉄道が、1便をロシア鉄道が、1便をアゼルバイジャン鉄道が運行している。ウクライナ鉄道にとって2017年に最も収益が挙がったのはキエフ~モスクワ便で、600万ドルの収益をもたらした。


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 多忙で、ブログのネタに窮しているので、時々更新するウクライナの乗用車販売のグラフでお茶を濁すことにする。まあ、景気のバロメーターとしては打って付けだろう。ウクライナの乗用車販売は、政変翌年の2015年がどん底であり、2016~2017はどうにかそこから脱して上向き加減ではあった。2018年に入って、年初の出足こそ好調だったものの、その後ほとんど横這いの状態が続いている。2018年1~7月の販売台数は46,177台で、前年同期比6.4%増だった。


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 現在準備中のウクライナについての書籍に向けて、こんな地図を作成したのだけど、不採用となったので、ここに掲載する。仕事が多忙なので、今日のブログはこれだけ。


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