服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

カテゴリ: ウクライナ

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 こちらの記事によると、ウクライナ最高会議は、内閣の要請に応じて、O.ダニリューク蔵相を解任することを可決した。ダニリューク蔵相はIMFと合意した改革の最も断固たる支持者だった。ダニリューク蔵相とV.フロイスマン首相は5月に閣議の場で公然と対立しており、また蔵相は諸外国の大使たちに向けて不満をぶちまけており、フロイスマン首相はそれらが国際パートナーたちとの交渉にとり有害であると批判していた。それに対しダニリューク蔵相側は、大統領選および議会選が2019年に迫る中で、自分は議員たちのお手盛りプロジェクトに公的資金を支出することを迫られ、さもなくば辞任しなければならない立場に追い込まれたのだと、反論していた。なお、専門家らによれば、ダニリューク蔵相の退陣で、財政規律が弛緩し、財政赤字が拡大する恐れがあり、IMFに対して負っているオブリゲーションに反することになりかねないという。


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 本日はロシア出張から日本に帰国する日であり、バタバタしているので、簡単な記事だけでご勘弁いただく。

 何度か取り上げているが、「ウクライナ分析センター」というシンクタンクがあり、フェイスブックページでウクライナ経済についての図解資料を発信している。このほど上掲のような図が目に留まった(ついでにFBページを下に埋め込んでおく)。2017年のウクライナの農産物・食品輸出額の内訳を示したものであり、具体的には、ひまわり油:24.0%、とうもろこし:16.7%、小麦:15.4%、大豆:5.9%、アブラナ:4.9%、油の搾りかす:4.5%、大麦:4.0%、砂糖:1.6%、タバコ:1.6%となっている。

 ウクライナはひまわり油の輸出では世界一の超大国で、穀物も有名だけど、意外と大豆も世界で上位の輸出国なんだよね。


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 報告が遅れたが、こちらこちらのサイト、こちらの記事などに見るように、ウクライナのポロシェンコ大統領は5月19日、独立国家共同体(CIS)の枠組みで締結された特定の条約のウクライナへの効力を停止することを決めた大統領令に署名した。これにより、CISから脱退するウクライナの国内手続きが完了したというのが、一般的な解釈なのだと思う。

 現に、ポロシェンコ大統領は前掲記事の中で、ルビコンを渡りEUに加入するために本日すべてのことをやった、CISのすべての機構へのウクライナの参加を停止する大統領令に署名した、もうかの地ですることはない、我々はともにヨーロッパに進むのだ、などと発言している。

 ただし、率直に言って、個人的にはよく分からないところがある。そもそも、ウクライナはCIS憲章には調印しておらず、これをもって「CISのオブザーバーにすぎない」との公式的立場をずっと以前からとっていた。最初から、自国にとって意味があると考えられるCIS枠内の一部の条約、機構にのみ参加するというスタンスだったわけである。しかし、今回の大統領令を読む限り、一部の条約のウクライナにとっての効力を停止するということであり、すべてとは言っていない。依然としてウクライナにとって有益だと判断されたら、一部のCISの枠内で結ばれた条約に留まるつもりがあるということなのだろうか。また、それは法的な観点から可能なのだろうか(たとえば、ウクライナがCISから完全脱退しながらCIS自由貿易協定に参加し続けるようなことは可能か?)。むろん、ロシアがどう出るかなど、政治力学はまた別だろうし。


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 こちらの記事によると、ロシア科学アカデミーのA.セルゲエフ総裁は、大規模なガス田が存在すると見られるクリミア沖の大陸棚で、総合的な調査を実施することを提案した。セルゲエフは3日間のクリミア出張に出向き、現地の石油ガス開発会社「チェルノモルネフチェガス」のトップとの会談も予定されている。セルゲエフ総裁は、我々は大陸棚開発のテーマを提起したい、これまで行われ、また現在も続けられている調査からは、クリミア沖大陸棚には充分なガス埋蔵量が存在することが見て取れる、より総合的な調査を行うことを提案したい、今後ボーリングを実施する確度の高い地区を特定したい、などとコメントした。

 まあ、ガス資源はあるのだろうが、問題は誰が開発をするかだろう。クリミア沖のガス開発などに関与したら、欧米の制裁リストに追加されることは必至なので、一般のロシア企業は二の足を踏むのではないか。


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 こちらの記事によると、ウクライナ内閣は5月10日の閣議で、2022年までのウクライナ航空機産業再生戦略を採択した。同戦略は経済発展・商業省が主導していたものだった。内容的には、アントノフ・シリーズの航空機生産を最適化・近代化すること、ミリ・シリーズのヘリコプターを近代化・生産すること、ロシアから輸入しているコンポーネントを輸入代替生産すること、航空機部門の企業を構造改革することなどを盛り込んでいる。S.クビウ第一副首相・経済発展相は、ウクライナは航空機を完全サイクルで生産できる世界でも数少ない国の1つであり、ロシアの圧迫で生産が低下していたが、今回の戦略により航空機・ヘリコプターの生産を盛り返し、少なくとも6万人の専門家を維持することが可能であると強調した。先にはフロイスマン首相も、航空機産業の発展は政府の優先課題の1つであると発言していた。


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 ウクライナにROSAVA社というヤイヤメーカーがある。キエフ州ビラツェルクヴァに工場を有し、製品は半分が国内市場に、半分がCIS内外の外国市場向けに供給されている。経済難のウクライナにあっても、割と順調に生産を維持しており、個人的に注目していた企業だ。

 ところが、4月末のこちらのニュースで、ROSAVA社が会社をたたむことになったと報じられており、驚いた。4月30日の株主総会で自主廃業が決まったという内容だった。タイヤ産業については、私自身、ウクライナの数少ない成長産業の一つとして注目していただけに、びっくりしたわけである。

 ただし、こちらに見るように、その後同社の広報が発表したところによると、同社は廃業するのではなく、会社の組織変更を行うために既存法人を清算することを決めたということである。ウクライナの現行法と市場の要請に応じるために、タイヤの生産・販売・マーケティング戦略と機能ごとに会社を設立し直すという趣旨であると説明されている。既存の雇用は維持されるだけでなく、今後毎年75~125人程度の増員を行い、生産増加や投資拡大も見込んでいると、同社では説明している。


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 私が編集長を務めている『ロシアNIS調査月報』2018年6月号の中身をご紹介。 毎年6月号は、NIS諸国、すなわちロシア以外の旧ソ連新興独立諸国の総論的な特集が恒例となっており、本年も「安定成長を模索するNIS経済」と題し特集をお届けしております。私自身は、ロシア・NIS諸国全般およびウクライナの経済レビューのほか、細かい記事ばかりですが、「NISの労働移民問題とウクライナ」、「ホロドモールを学ぶ歴史ドキュメンタリー」、「メドヴェージェフ首相の果たしてきた役割」、「2025年までのロシアの自動車産業発展戦略」、「ワールドカップ・ロシア大会の経済効果」と色々書いています。5月20日発行予定。


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 このほど、ちょっと用事があって、こんな図を作成してみた。世銀の資料「Migration and Development Brief 28 (October 2017)」にもとづき、旧ソ連のNIS諸国につき、いわゆるレミッタンス、すなわち出稼ぎ等による国外からの個人送金額と、その対GDP比を図示したものである(2017年の予測値)。なお、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、トルクメニスタンなど、出稼ぎ依存度が低い国は原典に数字がなかったので、対象外となっている。

 NISの小国は、外国からの送金への依存度が高い国が多い。上掲資料によれば、その対GDP比が世界で最も高いのはキルギス37.1%であり、以下ハイチ31.2%、タジキスタン28.0%、ネパール27.2%、リベリア25.9%、モルドバ21.1%などと続く。一方、図で見るように、送金額はNIS諸国の中でウクライナが一番多く、2番目がウズベキスタンとなっているが、これは言うまでもなく両国が人口規模が大きいからだろう。ロシアに行くと、ウズベキスタンの労働移民がかなり多い印象を受けるが、同国は経済・人口規模がそこそこ大きいので、こうやって対GDP比の数字を見ると意外に出稼ぎ依存度が大きくないことが分かる。


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 ウクライナの改名都市シリーズは先週で終わったはずだったけど、1コ追加させていただく。

 というのも、先日、ちょっと鉄鋼業の古い資料を眺めていて、ソ連の「ジダーノフ製鉄所」というのが出てきて、「え? そんな製鉄所あったっけ?」と戸惑ったのである。ジダーノフはソ連初期の有名な政治家の名前だが、どこかの製鉄所にその名前が冠されていたのだろうか?

 調べてみたところ、ウクライナ・ドネツィク州の現マリウポリ市が、1948年から1989年までジダーノフ市と呼ばれていたことを知った。ひょっとしたら有名な話なのかもしれないが、個人的には初耳だった。それで、ジダーノフ製鉄所というのは、現在のイリチ記念マリウポリ冶金コンビナートのことだと判明した。重要な事実を知らなかった反省として、マリウポリの市章を掲載する次第である。港町なので、波と碇のマークのデザインになっている。ちなみに上半分の灰色が鉄鋼業を表しているらしい。


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 ウクライナで最近改名された都市の紋章シリーズをお届けしてきたが、これが最終回かな。最後に、一番メジャーな街のドニプロ市を取り上げる。2016年まではドニプロペトロウシク(ロシア語読みではドニエプロペトロフスク)と呼ばれ、これはドニプロという川の名前とペトロフスキーという社会主義革命家の名前を合成したものだったが、後者を忌避して単にドニプロ市に変わった次第である。ただ、当地のサッカークラブは元々FCドニプロだったし、一連の改名の中では最も無理がないものと言えるかもしれない。ただし、ドニプロ市を州都とする州の名前は、ドニプロペトロウシク州で変わっていない。


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 先日のエントリーで、ウクライナで労働移民に関する統計集が刊行され、その中でウクライナの公式出版物としては珍しく、国を西北中南東という5つのマクロリージョンに区分することを試みていた、ということをお伝えした。それで、せっかくなので、その西北中南東という5つのマクロリージョン区分を地図に表してみたので、その地図を上掲のとおりお目にかける。こうやって見ても、まあそんなに違和感のない区分だ。私が使用することが多かったラズムコフ・センターの区分では(下図参照)、これの北部と中部を合計して中部と呼んでいた(あと、ラズムコフの区分では、フメリニツィキー州が西部ではなく中部だった)。

ウクライナ地域地図色付き

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 1年近く前の古い情報だが、こちらのサイトで、A.グーシチンというロシアの政治評論家(上掲写真)が、ウクライナ政界にはドンバス紛争に関し3つほどの潮流があるということを論じているので、要旨を整理しておく。

 ウクライナ政界に見られる立場で、第1に挙げられるのは、両人民共和国を軍事的に奪還すべきだという過激シナリオである。しかし、ロシアは制裁も省みず両人民共和国を何としても支援しようとするので、このシナリオを実施するのは至難である。この立場をとるのは民族主義・過激勢力であり、まず自由党が挙げられるが、同党は小数の小選挙区議員を有する存在にすぎない。もう一つ、人民戦線の中にもそのような立場が見られるが、多数派ではない。最近、ウクライナ軍が強化されただけに、このシナリオは西側でも歓迎されないし、ロシアが指をくわえて見ていることもありえない。

 第2は、「再統合」という路線であり、「野党ブロック」、(条件付の)親ロシア・反マイダン政治勢力がしばしばそれを唱えている。彼らはミンスク合意を実施することによる再統合が必要と考え、地方選挙、憲法改革、ドンバスへの特別なステータスの付与を実施に移すべきだと考える。これに対し、政権側は、表向きはミンスク合意を履行すると言っているものの、そのためにはまず安全保障が確保され国境管理権の引渡しがなされなければならないとの立場をとる。

 第3は、沿ドニエストルのように紛争を凍結し、問題の責任と両人民共和国の費用負担をロシアに押し付ければいいという立場である。実質的にドンバスの一部を手放すことで、ウクライナ社会はより同質的になれるという効果もある。今日我々が目撃しているのは、まさにこのシナリオの実現であり、実際、ミンスク合意の政治部分はまったく実行されていない。ポロシェンコ大統領が何より目指しているのは、自らが政権に留まり体制を維持することである。ポロシェンコが長期的に何を目指しているのかを見極めるのは難しいが、現時点でポロシェンコが志向しているのも、まさにこの第3のシナリオである。


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 ウクライナは黒海という海に面しているが、その割には、ウクライナの漁業といったことが話題に上ることは少ない。それもそのはずであり、黒海・アゾフ海の漁獲高は世界全体の0.4%を占めているにすぎず 、ごく一部の地元民にとってのローカルな意義しか有していないのである。黒海・アゾフ海の漁獲高は1980年代がピークで、ソ連の崩壊に伴いロシア・ウクライナの漁獲高が低下したことを受け、近年ではピーク時の半分以下の水準となっている。環境汚染による水産資源の減少も背景にある。ちなみに、国別に見ると、1980年代以降、トルコが一貫して黒海における最大の漁業国となっている。なお、以上は拙稿「輸送・商品・エネルギーの経済関係 ―ロシアとウクライナの角逐を中心に」六鹿茂夫(編)『黒海地域の国際関係』(名古屋大学出版会、2017年)で論じたことである。

 さて、そんな地味なウクライナの漁業であるが、珍しくこちらの記事がそれについて伝えている。これによると、ウクライナの魚・水産物の水揚高は2013年までは年間22万t前後だったが、ロシアがクリミアを併合してしまった結果、直近では9万tにまで減少している。生産減に反比例して輸入が伸び、現在は年間30万~32万tの輸入を余儀なくされている、ということである。


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Stahanov_coa

 ルハンシク州のカジイウカ(ロシア語読みではルガンスク州カジエフカ)は、人口9万あまりにすぎないが、2016年までスタハーノフと呼ばれていた炭鉱の街であり、以前「日めくり紋章」で取り上げたこともある。現在はルハンシク人民共和国の占領下にあり、ウクライナ政府が実効支配しているわけではないが、社会主事時代の労働英雄スタハーノフにちなんだ地名を忌避して改名したものだ。


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 こちらの記事の中に、上に見るような便利な表が出ていたので、転載させていただく。ロシアは周辺のCIS諸国から大量に労働移民を受け入れていて、彼らは出稼ぎ収入を本国に送金しているわけだが、この表はロシア中銀のデータにもとづいてそれを国ごとに整理したものである。2017年にはロシアの景気が回復したので、ほぼすべての国でロシアからの送金額が増加しているが、関係の悪化しているウクライナだけは25.2%減となった。トルクメニスタンだけは例外的に以前から労働移民の現象がほとんど見られない。


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Screenshot_1-12

 これは個人的にはかなりビックリなニュースである。こちらなどが伝えるところによれば、ウクライナの財閥「ドンバス工業連合(ISD)」の経営者で、ロシアのサッカークラブ「FCクバン」のオーナーとしても知られたO.ムクルチャン氏がこのほど、ロシアで逮捕されたということである。数年前にロシアの銀行、特にVEBがISDに提供した融資の一部を横領した容疑がかけられている。ムクルチャンは1995年にS.タルタ、数人のロシア人実業家とともにISDを設立し、アルチェウシク冶金コンビナートなど多くの企業を傘下に置いた。ムクルチャンはそほのか、ロシア・クラスノダル地方にも多くの企業を保有し、またFCクバンをはじめとする複数のサッカークラブを何ヵ国かに保有していた。2017年12月にISDはドンバスの資産に対するコントロールを失ったことを表明していた。一方、ムクルチャンはFCクバンの株式を2年ほど前にクラスノダル地方行政に譲渡していた。


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Chornomorsk_gerb

 別にやるつもりはなかったのだけど、なし崩し的に、ウクライナ改名都市シリーズになだれ込んでしまった。今回は、オデッサ州チョルノモルシク(ロシア語読み:チェルノモルスク)。2016年まではイリチウシク(ロシア語読み:イリイチョフスク)と呼ばれていたところなのだが、これはレーニンのミドルネームである「イリイッチ」にちなんだ都市名だったので、黒海の街を意味する現名称に変更されたというわけである。紋章に見るとおり、港町であり、オデッサ州3大港の一つがここにある。

 なお、こちらのサイトに出ていた改名都市一覧マップを以下のとおり転載させていただく。

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 またまた鉄鋼業の話題で、昨日に引き続きロシアのエヴラズ社の話である。ロシアの鉄鋼大手の中では、唯一、ウクライナで本格的に事業展開していたのがエヴラズだった。しかし、当ブログで既報のとおり、エヴラズがウクライナに保有していたアセットのうち、鉄鉱石鉱山の「スハ・バルカ」は、すでに2017年にウクライナの有名なオリガルヒであるO.ヤロスラウシキー氏(DCH財閥)に売却済みである。そして、今年に入って3月1日付のこちらのリリースによれば、エヴラズはペトロウシキー記念ドニプロペトロウシク冶金工場についても、同じくヤロスラウシキー氏に売却する契約を結んだ。正確に言えば、製鉄所の親会社に当たるDRAMPISCO Ltd.の持ち株を、DCH財閥のSENALIOR INVESTMENTS LIMITEDに1億600万ドルで売却することになった。2017年の同工場の生産量は銑鉄101.9万t、粗鋼91.8万t、完成鋼材78.5万tで、売り上げは5.9億ドルだった。工場の従業員数は4,000人強(!)である。

 なお、エヴラズは2017年12月にEvraz Yuzkoksを6,300万ドルで売却しているので、今回の製鉄所売却でウクライナ資産をすべて手放すことになる。


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steel

 ベタだが、世界鉄鋼協会のデータにもとづいて、世界主要国の鉄鋼(粗鋼)生産量をグラフにまとめてみた。クリックすると拡大する。

 しかし、こうやって見てみると、日本やEUなどの先進国の生産が完全に頭打ちになる中で、米国のそれはむしろ拡大傾向にあることが分かる。「ラストベルト(錆地帯)」という話と、生産データとが、どうも合致していないような。。。

 ロシアは、価格変動や為替などに翻弄されながらも、生産量自体は安定している。それに対し、かつて世界の鉄鋼生産国として第7位くらいだったウクライナは年々衰退しベスト10圏外となり、現状ではたぶん世界13位くらいである。ウクライナの2017年の実績に関してはこちらのニュースを参照した。


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 こちらの記事によると、IMFのウクライナ駐在代表は、ウクライナは家庭向けのガス料金を引き上げる必要があると指摘した。同氏によれば、2016年の公共料金改革は過去数年間で最も重要な改革の成果であり、それを踏襲した市場条件で家庭向けのガス料金を設定することが重要である。過去2年、ガスの国際価格は高まっているのに、ウクライナでは家庭向けのガス料金が一度も引き上げられていない。その結果、一般家庭はガスの最大の消費者であるが、それを補助している形になっている。2016年からは家庭向け料金は輸入ガスの市場価格に連動することになり、それゆえに今回の冬の暖房シーズンには値上げが予想されたが、政府は本年5月末までの据え置きを決定した。


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 先週に続いて、ウクライナで地名が変更になったところを取り上げる。ウクライナではここ2~3年で、ソ連体制と関係があるような地名が廃止され、新しい地名がつけられるケースが多数に上っている。そういうのをちゃんとシリーズ化して紹介しようかと思ったこともあったが、余力がないので、やめておく。ただ、先週・今週取り上げるやつは重要度が高いので、これくらいは見ておこうかという趣旨である。ドニプロペトロウシク州にある結構大きな市であり、かつてはドニプロジェルジンシク(ロシア語読み:ドニエプロジェルジンスク)と呼ばれていたものが、2016年からはカミャンシケ(ロシア語読み:カメンスコエ)に変更になった。ただし、ここも、上に見るような市章は変わっていない。


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 ウクライナ統計局のこちらのページで、『2015-2017年のウクライナ国民の国際労働移民(Зовнішня трудова міграція населення України 2015-2017)』と題する統計集が刊行されているのを知った。ウクライナ危機が起きてからこのシリーズの統計集が出るのは、これが初めてのようである。2.7万の世帯を対象にサンプル調査を実施し、それにより国全体の数字を推計しているようである。昨日、当ブログで取り上げた図解資料も、どうやらこの統計集にもとづいて作成されたようだ。

 この中に、ウクライナの労働移民の行き先の国と、その出身地をマトリックス状に示した表が載っていたので、今回はそれを取り上げてみたい。それが上表なのだが、国外出稼ぎ労働者の総数は130万人とされている。一般的に、ウクライナの出稼ぎ労働者数は300万~500万人に上るとされることが多く、今回の130万という数字は過小である可能性があるだろう。

 この資料で、注目すべきは、ウクライナを西部・北部・中部・南部・東部と5つのマクロリージョンに区分することを試みていることだろう。当国では、民間シンクタンクによるこのようなマクロリージョン区分の前例はあり、私などもラズムコフ・センターの方式を採用してきたが、今回のようにウクライナの公的機関がそれを行った例は、個人的に記憶にない。この統計集の説明書きによれば、世帯調査のサンプル数に限界があり、州別のデータを示すと統計的ばらつきが大きくなりすぎてしまうので、州を5マクロリージョンにまとめることでそれを回避しようとしたということだが、図らずもそのお陰でウクライナの地域分類法に関する有力な方式が示されることとなった。

 いずれにしても、表から明らかなのは、労働移民というのは、圧倒的にウクライナ西部の現象だということであり、西部が国全体の69.4%を占めている。西部=親欧州というステレオタイプに反して、ロシアに向かう西部住民も多いことが分かる。なお、原典では、マクロリージョン別内訳がパーセンテージで示されていたのを、それでは分かりにくいので、上表では人数の実数を算出して示している。西部以外の各マクロリージョンは、サンプル数が少ないので、統計的な誤差が生じる恐れがあると説明されている。というわけで、統計的なばらつきや、果たしてどこまで網羅的かという疑問はあるにせよ、ウクライナの労働移民の全体像をイメージするには有益な資料と言えそうだ。


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 ブログのネタに困った時によく使わせてもらう現地報道機関の図解資料。今回は、ウクライナ国民の国外出稼ぎ労働のデータをまとめた資料をこちらのページから紹介。

 この資料によれば、出稼ぎ労働者の70%が男性、30%が女性だという。就業分野の内訳は、建設:42.5%、農業:15.2%、工業:12.3%、商業:9.9%、運輸・通信:5.2%、ホテル・外食:4.1%、その他:10.8%となっている。月収別内訳は、250ドル以下:10.5%、251~500ドル:27.4%、501~1,000ドル:49.2%、1,001~2,000ドル:8.6%、2,000ドル以上:4.3%、となっている。

 図にはないが、2010年1月~2012年6月の時期には15~70歳の国民の3.4%が国外に出稼ぎに出ていたが、2015年初めから2017年半ばの時期には8%に高まった。ウクライナ科学アカデミー人口社会研究所では、220万~230万人が外国に働きに出ていると推計している。


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 たぶんリアノーヴォスチあたりにこうした図解資料が出ているだろうと思ってチェックしたら、やはり出ていた。こちらのページに、上掲のような、ロシアの外交官を国外退去させた国と、その人数をまとめた図が出ていた。ロシア語のままだが、見れば一目瞭然である。すっかり西側気取りのウクライナも13人追放と奮発した。


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 そんなわけで、昨日27日、サッカー日本代表とウクライナ代表の親善試合が行われ、日本は1:2で敗れた。

 昨日ご紹介したとおり、試合の事前情報として、スポナビに「苦難続きのウクライナ・サッカー界 再建を目指す“英雄”シェフチェンコ」というコラムを寄稿した。実は、私が書いた元々の原稿は、次のように締めくくられていた。

 ヤルモレンコ不在は返す返すも残念だが、ウクライナ代表は、中3日で行われる日本戦にも可能な限りのベストメンバーを組んで、日本代表の課題をあぶり出してほしいものである(いや、これ以上あぶり出されると、色んな意味でマズいか)。

 我ながら、最高のオチだと思ったのだが、「いや、これ以上あぶり出されると、色んな意味でマズいか」の部分は編集側の判断でカットされてしまった(笑)。終わってみれば、ウクライナ戦は、スコア以上の完敗。課題が浮き彫りになったからそれを改善すればいいというポジティブな捉え方は難しく、「この体制で大丈夫?」という先行き不透明感がますます強まったという印象である。

 テレビの画面からでは、ウクライナのシステムが分かりにくかったが、ウクライナのニュースサイトでは上掲の図のようなシステムになっていた。

 それにしても、ウクライナはよく繋ぐチームである。とりあえずクリアとか、前線に放り込んで誰でもいいから触ってくれとか、そういうのはほとんどなく、すべてのパスが特定の味方を目がけたものである。苦し紛れのクリアなどは、アディショナルタイムにちょっと見られたくらいではないだろうか。まあ、常に繋ぐサッカーなので、日本戦の終盤のGKピャトフのようにミスパスで決定的なピンチを招いたりもするのだけれど、とにかくそういうスタイルなのだろう。

 ちなみに、日本は1得点こそ挙げたが、あれは槙野の位置がオフサイドだったように見えたのだけれど、どうだろうか。


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 ウクライナ統計局のこちらのサイトに、2017年のウクライナのGDPの概要が出ている。2017年のウクライナ経済は実質2.5%成長した。

 主要生産部門別の前年比実質伸び率は、ざっと以下のようになっている(▲はマイナスを意味する)。

農林水産業:▲2.5%
鉱業:▲5.9%
製造業:5.1%
電力・ガス業:▲6.1%
建設:26.9%
商業:5.0%
運輸・倉庫:4.3%
ホテル・外食:2.3%
情報・テレコム:7.7%
金融・保険:0.2%
不動産業:7.8%

 主要需要項目別に見ると、以下のようになっている。

家計最終消費支出:7.8%
政府最終消費支出:3.3%
総固定資本形成:18.2%
輸出:3.5%
輸入:12.2%


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 先日ウクライナ外務省は、CISからの脱退、ロシアとの友好・協力・パートナーシップ条約の破棄についての提案を取りまとめたと発表した。これに関連し、ロシアの駐CIS代表のA.シヴェドフ氏(上掲写真)が、こちらのインタビュー記事の中でコメントしている。

 シヴェドフ代表いわく、CISへの参加は任意であり、いかなる国もその件に関する決定を自ら下すことができる。CISにおける協力は互恵的なものなので、すべてのパートナー諸国が、ウクライナがCISとの関係を絶たないことを願っている。もし仮に公式的に脱退したと仮定すると、2つのポイントがある。過去数年、ウクライナはCISの活動に最低限しか参加してこなかったが、それによってCISの活動・発展が妨げられたわけではない。他方、CISとは単に日常的な討議・会合・文書の起草・採択だけの組織ではなく、多国間のプロジェクトへの参加もその重要な側面である。たとえば、CIS枠内での合意により、住民が他の加盟国に移住した場合の年金保障、救急医療等の問題が調整されている。また、経済関係支援・促進のために、良好な条件が整備されている。ウクライナにとってCISは輸出の16%を占める重要市場で、とりわけ機械製品にとって重要市場であることを指摘したい。つまり、諸協定から離脱すれば、ウクライナは多くの権利・可能性を失うことになる。CISの活動は、地域の利益のために構築されており、すべての加盟国の社会経済安定・発展に資するものである。とくに、ウクライナも加盟しているCIS自由貿易協定は重要な枠組みだ。シヴェドフ代表は以上のように述べた。


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 先日のエントリーの続きで、UEFAの最新レポート、The European Club Footballing Landscapeから興味深いところをピックアップすると、上図は欧州主要国トップリーグの収入構造を示したものである。左から、薄紫が国内リーグの放映権料、濃い紫がUEFAからの分配金(CLおよびELに出場する報酬だろう)、紺色が試合当日の収入(入場料等)、青がスポンサー収入および商業活動、灰色がその他、となっている。私の関心国であるロシアとウクライナは、国内リーグ放映や入場料といった、ベーシックな収入をほとんど挙げられていないことが分かる。ロシアは圧倒的にスポンサーに依存しており、またウクライナはUEFAからの分配金が多い。UEFAからたくさんお金をもらっているということは、欧州カップ戦ではそこそこ善戦しているということであり、その意味では結構だが、その恩恵に与れるのはシャフタールとディナモ・キエフだけだろう。あと、ウクライナの場合は、移籍金で結構稼いでいるが、才能あるウクライナ人プレーヤーを育てて売るというよりも、シャフタールが潜在力の高いブラジル人を青田買いしてきて、ある程度したら欧州ビッグクラブに売るというパターンが確立されており、その部分が大きいと見られる。ウクライナ人プレーヤーでは、ヤルモレンコ、コノプリャンカという2枚看板を放出済みなので、もうこれといった商材は見当たらない。ところで、カザフスタンで「その他」が多いのが気になる。


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 これは先週の動きになるが、こちらの記事などによれば、ウクライナ最高会議は3月15日、P.ポロシェンコ大統領が提案していたYa.スモリー氏を中銀総裁に正式に承認した。ウクライナでは2017年5月10日にV.ホンタレヴァ中銀総裁が辞意を表明して以降長期休暇に入り、この間スモリー第一副総裁が総裁代行を務めていた経緯がある。今年に入ってポロシェンコ大統領は1月18日にホンタレヴァ総裁の解任とスモリー代行の総裁への就任を最高会議に提案していた。今般の最高会議の投票により、247名の賛成を得て(過半数は226名)、正式に総裁就任が決まったものである。

 スモリー新総裁は1961年テルノピリ州出身の57歳。民間銀行勤務などを経て、2014年4月に中銀副総裁、2016年10月に第一副総裁に就任していた。


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