ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

カテゴリ: ウクライナ

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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年4月号のご案内。4月号は、「ロシア・中央アジアのエネルギーをめぐる攻防」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで(と言いつつ、まだHPに当該号の情報が出ていないが…)。

 服部自身は、今回の役目は軽めで、「ロシアの経済活動分類表における軍需部門の扱い」、「輸出の苦境が目立った2023年のウクライナの貿易」という短い連載記事のみ書いております。なお、前者は、3月号で書いた「ロシアの軍需産業は覚醒したのか ―戦車と無人航空機を中心に」の補足。3月20日発行予定。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年3月号が発行されたので、ご紹介。3月号は、「ロシア・ウクライナをめぐる地政学と地経学」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 私自身は、いずれも特集の枠内で、「ロシアの軍需産業は覚醒したのか ―戦車と無人航空機を中心に」というレポートを寄稿したほか、「ウクライナの農業と鉄鋼業に光明は見えたか」、「港湾貨物量で見る侵攻後のロシア産業・物流」という連載記事を書いております。


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 キーウ国際社会学研究所が、ウクライナ国民の戦争に関する全国意識調査を1月に実施し、その結果を過去の数字と合わせて示したものを、こちらで発表した。重要なので紹介するわけだが、日本語化とグラフを作成するだけで疲労困憊してしまったので、解説やコメントなしで、グラフだけお目にかける。分かりやすく作ったつもりなので、見ていただければ分かると思う。

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 このほどロシアが占領を完了したドネツク州のアウジーウカには、有名なコークス化学工場がある。これまではR.アフメトフ氏率いる財閥SCM傘下であった。アウジーウカ・コークス化学工場はしばしば、欧州最大のコークス化学工場であると言われる。

 ただ、私の認識によれば、コークス炉は普通、製鉄所の敷地内に設けられるものではないか。それに対し、ドンバス地方では(旧ソ連全域?)、なぜか製鉄所とは別の場所にコークス化学工場を配置する傾向があるように見受けられ、それでアウジーウカの工場が「欧州最大」になっているのではないかと推察する。

 コークス化学工場はアウジーウカの中核企業であり、マリウポリのアゾフスターリ同様、ウクライナ軍の立てこもりの舞台にもなった。ロシア側が長期にわたってこの街を支配することになるのかどうかは分からないが、経済地理オタクとしては、ロシア側がコークス化学工場をどうするのかが気になるところである。

 前置きが長くなったが、こちらの記事が、コークス化学工場は再建可能だというM.アザロフ元ウクライナ首相(!)の見解を紹介しているので、要点を整理しておく。アザロフ氏いわく、すべては現在需要があるかどうか次第だ。必要性があれば、工場の再建は可能だろう。まずは最初に工場の状態を精査し、再建が理に適っているかを見極める必要がある。第二次大戦後には、ドンバス地方の工場は、大変骨が折れる作業ではあったが、かなり迅速に復興した。たとえばアルチェウシク・コークス化学工場も、実質的に廃墟になったが、1年で再建された。他方、ロシア軍が工場を占領した後も、工場の地下に残っているウクライナ軍の残党が脅威となる可能性がある(「ドネツク人民共和国」のYa.ガギン首長顧問はマリウポリのアゾフスターリと同様に一定数のウクライナ軍人がコークス化学工場の地下壕に潜伏していると指摘している)。アザロフ氏は以上のように述べた。


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 本日開催するオンライン無料講演会「侵攻2年を経て変容するロシア・ウクライナ」の準備が大変で、ブログは簡単に済ませたい。講演準備のために、ロシアとウクライナの経済状況を比較する資料をいくつか作ったのだが、そのうちの一つをお目にかける。両国による商品輸出入額の推移である。上図はクリック・タップし拡大してご利用を。

 両国の貿易動向を簡単に言えば、まずロシアは2022年に異常に輸出が膨らみ、過去最高の貿易黒字を記録したが、2023年は割と平年の水準に戻ったという感じてある。他方のウクライナは、輸出の苦境が続く中、輸入の水準は一定を保っている。これは、外国からの無償援助も、貿易統計上はその相当額が輸入額として記録されるからだと思われ、ウクライナが自力での購買力を維持していることを必ずしも意味しない。


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 これを言うと驚く人が多いが、ウクライナは今でも、ロシアの天然ガスを欧州市場向けにトランジット輸送する業務を続けている。2つあったルートのうちの1つは閉めてしまったが、もう1つはまだ生きており、それを利用した輸送はかろうじて続いている。

 昨年11月に出たこちらの記事に、便利な図解資料が掲載されていたので、上掲のとおり転載させていただいた。上のグラフで、青はウクライナによる実際のロシア産ガス輸送量(10億立米、2023年は1~7月時点)、黄色は2019年契約で取り決めた輸送量(10億立米)、緑はそれにより得られるトランジット収入(10億ドル、小数点の位置に注意)を示している。

 さて、2019年に結ばれたくだんの輸送契約は、本年末をもって期限が切れることになっている。ロシア側のこちらの記事が、この契約がどうなるのかについての見通しを伝えているので、以下要旨を整理しておく。

 ウクライナの立場:2023年、ウクライナ・エネルギー相は、ウクライナはロシアと通過契約の延長について交渉しないと述べた。しかし、2024年1月、スロバキア首相は、ウクライナ首相との会談の後、2025年以降契約が延長される可能性があると述べた(ウクライナはその後、契約延長はないと改めて表明)。と同時にウクライナ政府は、ウクライナがEU加盟国と「自国のガス輸送網の利用」について話し合う可能性があることを認めた。このように、ウクライナは現在の契約を延長するつもりはないが、2024年以降自国のガス輸送網を通じてロシアのガスを供給する可能性自体は否定していない。

 ロシアの立場:ロシア側も正式な交渉は認めていないが、同様にウクライナのガス輸送網が利用される可能性については排除していない。特にエネルギー相は、第三者の仲介によってウクライナ経由のトランジットに関する解決策が見つかる可能性があることを認めた。

 EUの立場:2月15日、欧州委員会エネルギー担当委員は、EUが通過協定を延長することに関心がないことをウクライナに通知したと述べた。同委員は、ウクライナ経由でロシアのガスを受け取っている国のために解決策を見つけると約束した。「ウクライナのガス貯蔵システムをガスの貯蔵やリバース供給に利用することができるだろう」と同委員は言った。ちなみに、ウクライナのガス輸送網を通じたガスプロムのガスは、スロバキア(2023年の場合全体の86.8%)とモルドバ(13.2%、主に沿ドニエストル)に直接流れている。スロバキアからさらにオーストリアに向かい、ヨーロッパ最大のガスハブのひとつであるバウムガルテンに至る。しかし、大部分はオーストリアとスロバキアで消費される。

 今後に関しては、①現行契約が延長される、②契約が満了し輸送が停止する、③現行契約は満了するが新たな条件でのトランジット輸送が維持される、という見方があり、専門家の見解も分かれている。


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 またまた告知で恐縮です。2月21日にオンライン講演会「侵攻2年を経て変容するロシアとウクライナ」を開催いたします。ロシアによる侵攻から2年という節目を捉えた企画であり、時節柄、同じような企画が乱立しているとは思いますが、今回の我々の講演会は戦争そのものというよりも、大串さんが政治、服部が経済という形で分担し、戦争により変容しつつある両国の国の姿に迫ろうとする点に独自性があります。オンラインで無料で参加できますので、ぜひチェックしてみてください。


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 私は以前はウクライナ港湾管理局発表の統計にもとづきウクライナの港湾取扱貨物量のデータを整理することを習慣として続けていた(誰も見向きもしないような仕事ではあったが)。ロシアとの戦争が始まって、ウクライナの港湾データはにわかに重要性を増す一方、ウクライナ港湾管理局が以前のようにまとまった統計を出さなくなってしまった。断片的な数字が飛び交うばかりであり、私自身このブログなどでもそうした数字を引用したりはしていたものの、もうちょっときちんとした全体像は得られないものかと思っていた。

 そうしたところ、依然断片的ではあるが、ウクライナ港湾管理局によるまあまあ使えるデータを見付けたので、それを使って上掲のようなグラフを作成してみた。2022年の数字はこちら、2023年の数字はこちらからとったものである。

 ウクライナの港湾の柱は、ピウデンヌィ(旧ユジネ)、チョルノモルシク(旧イリチウシク)、(狭義の)オデーサの3港であり、これら3港を総称して大オデーサ港と呼ぶ。グラフではそれを青系で示したが、侵攻前まではそれが全体の3分の2くらいを占めていた(2021年の場合は66.1%)。2021年までは「その他」もそれなりに大きく、具体的には食料輸出を担うミコライウ港、SCM財閥御用達のマリウポリ港などが重要だった。他方、2021年まではドナウ川港湾(グラフで赤系で示した3港)は吹けば飛ぶような存在であり、2021年にはシェアわずか5.5%にすぎなかった。それが、2023年には、大オデーサ港が48.2%、ドナウ川3港が51.5%と、様相が様変わりした。

 ただ、2023年7月に暗礁に乗り上げた黒海穀物イニシアティブに代わり、同年8月からウクライナ独自の輸送回廊が開設され、それがかなり機能するようになってきたので、黒海の制海権に大きな変化さえなければ、2024年は大オデーサ港完全復活の年になるかもしれない。

 なお、ウクライナの港湾配置図に関しては、とりあえずこちらのサイトに出ていた下図を参照。

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 ウクライナのGMKセンターというところは、同国の鉱山・冶金産業についての有益な情報源だが、比較的新しいこちらの記事が、ウクライナの製鉄所別の稼働状況というデータを掲載しており、興味深い。

 これによると、2023年時点で各製鉄所の稼働率(銑鉄・粗鋼につき)は、以下のとおりとなっているという。

  • ザポリジスターリ(65~75%):休止していた第2高炉を、2023年3月に再稼働。それ以来、4つの高炉のうち3つが稼働している。2023年には272万tの銑鉄(前年比35.3%増)、247万tの粗鋼(65.4%増)、205万tの鋼材(57.2%増)を生産した。
  • カメトスターリ(65~75%):3つの高炉のうち、2つが稼働している。2023年1~9月の銑鉄生産量は130万t(前年同期比11%増)、粗鋼150万t(17%増)だった。2023年第3四半期には第1高炉の停止により銑鉄生産が低下したが、これは定期修繕のためである。
  • インテルパイプ・スターリ(50~55%):2023年1~9月の粗鋼生産量は53.0万t(前年同期比14.5%増)だったが、これは秋・冬の停電の発生に備えて在庫を積み増した結果とされている。鋼管生産量は30.9万tでほとんど増減なしだった。
  • アルセロールミタル・クリヴィーリフ(20~30%):4つの高炉のうち1つしか稼働していない。2023年上半期の粗鋼生産量は39.0万tで、前年同期比56.2%減だった。
  • ドニプロ冶金工場(データなし):ここでは、粗鋼はカメトスターリから供給されており、圧延工程のみが行われている。2023年1~11月の鋼材生産は10.0万tだったが、本来の年間の生産能力は110万tなので、そこから稼働率を出すとすれば10%程度ということになる。

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 HP更新しました。マンスリーエッセイ「マイ・ウクライナ10周年」です。よかったらご笑覧ください。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年2月号が発行されたので、ご紹介。2月号は、「中央アジアでビジネス機会を切り拓く」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部は、今回は特集絡みの寄稿はなく、「ロシア金融市場を脅かす住宅ローンの官製バブル」、「ウクライナ経済はどこまで耐えられるか」と、特集の枠外での連載記事のみとなります。住宅ローンのレポートは結構力を入れて書きました。


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 U.ブカチュークという記者が、こちらの記事で、2023年にウクライナの軍需産業が挙げた成果について論じている。同じ筆者によるより詳しい記事はこちらだが、有料版になる。

 ブカチューク氏が、ウクライナ高官から得た情報によると、ウクライナの軍需産業は2023年に30億ドルの生産を行い、これは前年の3倍の規模となる。

 2023年にウクライナは、装甲戦闘車両の生産を数十倍に、ドローンの生産を数百倍に伸ばした。独自の火砲システム「ボグダン」の量産が始まり、NATOの155ミリ口径砲弾の現地生産でも前進した。

 軍需産業の躍進により、ウクライナのGDPは1.5%ポイント押し上げられた。

 ウクライナ軍需生産は、2024年に150億ドルを達成する能力があり、そうなれば前年の生産からは5倍拡大することになり、2023年の調達からは2倍拡大することになる(訳注:ちょっと意味が分かりにくい)。

 12月19日、V.ゼレンスキー大統領は2023年を締めくくる記者会見で、ウクライナは2024年にドローンを100万機生産すると述べた。

 12月20日、O.カムイシン戦略産業大臣は、ウクライナは2024年に100万機のFPVドローン、1万機以上の中距離攻撃ドローン(航続距離数百km)、1,000機以上の長距離(航続距離1,000km以上)のドローンを生産できると発言した。「すべての生産能力は準備できており、2024年の契約は始まっている」とされた。

 D.シュミハリ首相は、2024年に政府は武器と弾薬の製造に480億フリヴニャを、ドローン編隊の編成にさらに480億フリヴニャを充てると述べている。


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 こちらに見るように、ウクライナ鉄鋼業の業界サイトであるウクルメタルルフプロムに、2023年のウクライナ鉄鋼業の生産実績が掲載された。しかし、一見して、分かりづらいものである。

 というのも、2022年2月までは、マリウポリの2大製鉄所がまだ生きていた。したがって、2023年の生産量を、前年のそれと比べる場合に、マリウポリを含んだ2022年の生産量と比べるのか、含まない2022年の生産量と比べるのかで、印象が変わってくるわけである。

 整理すると、2023年の生産実績は、以下のとおりとなる。

  • 銑鉄:600.3万t(6.1%減、ただしマリウポリの数字を除くと17.0%増)
  • 粗鋼:622.8万t(0.6%減、ただしマリウポリの数字を除くと26.9%増)
  • 鋼材:537.2万t(0.4%増、ただしマリウポリの数字を除くと31.2%増)

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 我が北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターではこのほど、「ウクライナ及び隣接地域研究ユニット(URU)」というものを立ち上げました。その取り組みの一環として、私が中心になり、講演シリーズ「危機を生きるウクライナと世界」というものを定期開催していくことになりました。

 その記念すべき第1回として、2月2日(金)15:00~16:30に國谷光司さんに、「この足で歩いた戦時下のウクライナ」と題する講演をご披露いただきます。國谷さんは我が国のウクライナ界隈では良く知られた方で、非常に活動的であり、現地の人脈も豊富です。2023年の後半に、数十日にわたってウクライナ各地を訪ね、現地の情勢をつぶさに見てこられたので、今回はそのお話をたっぷりと聞かせていただく予定です。

 無料で、リモートでご視聴いただけますので、こちらのページからぜひ参加登録ください。


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 こちらに見るとおり、世界銀行が最新の2024年1月版世界経済見通しを発表したので、私の関係国のGDPの表を上掲のとおり拝見しておく。2021~2022年が実績、2023年が見通し、2024~2025年が予測ということになる。なお、上図の右3列は、前回2023年6月の予測からの修正幅を示している。

 2023年の成長率に関して言うと、私と関係の深い国の成長率が、軒並み上方修正された、2023年の成長率は、ロシアが2.6%(2.8%ポイントの上方修正)、ウクライナが4.8%(2.8%ポイントの上方修正)、ベラルーシが3.0%(2.7%ポイントの上方修正)といった具合である。わずか半年ちょっと前の予測がここまでブレると、果たして意味があるのかという気もしてくる。

 ロシアについての解説文は、以下のようになっている。

 ロシアでは、2023年のGDPは推定2.6%拡大した。この予想以上の回復は、追加軍事費を含む大幅な財政支援によって促進された。石油生産と輸出は小幅に縮小し、当局は2023年末に日量30万バレルの輸出抑制の延長と、2024年1月から日量20万バレルの輸出抑制の深化を発表した。為替レートの下落はインフレ率の上昇につながり、その後の政策金利の引き上げを促した。侵攻後、中央アジアからロシアへの移住が増加し、2023年には全移住者の43%が就労目的で移住した。

 ウクライナについての解説文は以下のとおり。

 ウクライナでは、前年の急減速を受け、2023年の成長率は推定4.8%拡大した。それでも、2023年の生産高は侵攻前の水準を約30%下回ったままである。成長は、財政赤字と経常赤字の拡大という犠牲を伴ったとはいえ、電力アクセスの改善、豊作、政府支出の追加によって下支えされた。2023年7月の黒海穀物イニシアティブの崩壊は、穀物輸出に引き続き下押し圧力をかけているが、ウクライナは穀物輸出の代替ルートの開拓に成功し、穀物セクターを支えている。


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 こちらの記事の中で、ウクライナのK.オリンチャクという専門家が、2023年のウクライナ鉱業の5つのトレンドということを語っている。整理すると、以下のとおり。

  1. 法制が刷新された
  2. 海路での鉄鉱石輸出が可能になった
  3. 他業種から鉱業への参入という現象が生じた
  4. ウクライナで鉱業を営むロシア人や対露協力者への制裁導入
  5. 鉱業へのデジタル技術の導入

 個人的に一番気になるのは2の海路による鉄鉱石輸出なので、その部分の要旨をまとめておく。

 記事によると、ロシアによる侵攻開始後、ウクライナ鉄鉱石の販路は、国内と、陸路で隣接する中東欧市場だけになっていた。それが、2023年8月半ばから、ウクライナ軍の開設した黒海からの「一時的な輸送回廊」により、海路での輸出が可能になった。大オデーサ港から、4ヵ月で300隻あまりが出港し、1,000万tの貨物を輸出した。うち、11%、すなわち110万tが鉄鉱石である。10月にはピヴデンヌィ港からの4隻が50.7万tの鉄鉱石を、11月にはオデーサ港およびピヴデンヌィ港からの14隻が62.0万tを運んだ。現在では、最大の中国をはじめ、南欧、イタリア、トルコ、エジプトに販路が広がった。その結果、鉄鉱石鉱山の稼働率も35~40%にまで上がった。


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 こちらのページに見るとおり、ウクライナ財務省が2023年の政府財政実績を発表したというので、そのデータを2022年までのそれと対比しながら、整理してみようと試みた。ところが、この作業に結構苦戦してしまった。

 というのも、ウクライナで歳出・歳入とされるデータには、いくつかの種類があることが分かった。まず、中央政府だけの数字と、地方財政も含めた一般政府全体の数字とがある。ウクライナの場合、地方分権があまり進んでいないからなのか、一般政府の数字が重視される傾向にあるようだ。

 次に、ウクライナにも我が国で言うところの一般会計と特別会計のようなものがあり、歳出・歳入の数字を見る際に、一般会計だけなのか、特別会計も含んでいるのかで違ってくるということが分かった。特別会計は、収入や支出が特定目的に限定されたものであり、規模は一般会計の数分の1程度ではあるが、いずれにしてもこのことを理解していないと、財政の数字が整合しなくなってしまうわけである。

 今般ウクライナ財務省から発表されたのは、確認してみたら、一般会計のみの数字だった。それにもとづいて、2018~2023年の歳入・歳出・収支を、上掲のようなグラフにまとめてみた次第である。

 ところで、ウクライナ財政でもう一つややこしい問題として、歳入・歳出の他に「融資」という項目があることも分かった。普通に歳入・歳出に組み込んでほしい気もするが、返済を想定した支出を「融資」としているようであり、したがって年によってプラスになったりマイナスになったりする。上掲のグラフで、歳入-歳出=収支に完全にはなっていないのは、少額の「融資」の存在に起因する。

 グラフに見るとおり、当然のことながら戦争が始まってからウクライナの財政は一気に苦境に陥り、2023年にはさらに苦しさが増した。2023年1~11月の時点で、ウクライナの一般政府歳入の17%(実額で4,050億フリヴニャほど)は、国際機関・外国からの贈与となっている。また、2023年に、財政赤字をファイナンスするために、5,526億フリヴニャの国債が発行される一方、国際機関・外国からの借入が1兆1,300億フリヴニャに上った。ざっくり言うと、歳出の約半分を、国際機関・外国からの贈与または借入で賄っている格好である。


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 ロシアによる軍事侵攻前の状況として、ウクライナの港湾の貨物量は、だいたい年間1億5,000万tくらいだった。それが、2022年2月のロシアによる全面侵攻後にウクライナにとっての海路は実質的に閉ざされ、一時は黒海穀物イニシアティブで農産物だけは輸送ができていたものの、昨年7月にその有効期限が切れてしまったことは、周知のとおりである。その後、ウクライナはドナウ川の河川港からの積出に引き続き努力するとともに、ウクライナ独自の輸送回廊と称して、主力の大オデーサ港から自力で安全を確保して貨物を輸出する試みを続けてきた。

 それで、最新のこちらの記事によると、ウクライナ港湾管理局のYu.リトヴィン局長の話として、大オデーサ港からのウクライナ独自の輸送回廊による輸出が、半年足らずで1,000万t強に上ったということである。ウクライナ軍の尽力により、ロシア軍が黒海で守勢に回ったことで、それが可能になった。他方、ドナウ川港湾からの輸出量は、1年間で3,000万tだった。


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 昨年暮れに出た情報で、やや古い話題になってしまったが、こちらが伝えている、マリウポリのイリチ記念冶金コンビナートが生産を再開したというニュースには、個人的に驚かされた。同じくマリウポリに所在するアゾフスターリ同様、戦争で破壊されて再生は不能と思っていたからである。以下、記事を抄訳しておく。

 ドンバス最大の冶金企業であるイリチ冶金コンビナートが、生産を再開した。現在3つの作業現場が稼動しており、3,000人以上が生産現場で働いている。製品は、自社の工場再建に用いられるほか、ドネツク人民共和国の破壊された町や村の再建向け送られる。

 2022年春、ウクライナ海兵隊第36旅団が、イリチ工場の高炉、圧延ライン、鋳物作業所、その他の作業場に立てこもった。1週間の戦闘の後、V.バラニューク大佐率いる約4,000人のウクライナ兵は投降した。このおかげで、ウクライナ最大のコンビナートは、アゾフスターリとは異なり、大規模な破壊を免れた。

 戦闘が止むと、14,000人以上の従業員を抱える街の中核企業の再開が課題となった。問題は、いかにして生産を再開するかということだけでなく、多くの労働者が難民となったり死亡したりしたため、いかにして新たな人材を育成するかということだった。そこでまず、訓練センターの建物を部分的に修復し、工場のための電気技師、溶接工、冶金工、その他の専門家が養成が行われた。

 現在、350人の若者たちがこの学校で新しい専門技術を学んでいる。建物には電気も暖房も水道もないため、まだリモートでの研修だが、講師たちは実りある仕事へのやる気に満ちている。

 コンビナートの復旧は2023年から2025年まで段階的に行われる予定だ。非常事態省、ロシア連邦親衛隊、ロシア国防省の工兵部隊による爆発物処理はすでに完了している。彼らは約5,000発の不発弾、迫撃砲地雷、グレネードランチャー、その他の爆発物を無力化した。

 工場再建の第1段階では、スラグ加工と消費財生産の作業所が整備され、トタン、Lアングル、コの字のチャンネル、その他建設用の資材が生産されている。生産量の一部は、まずコンビナートの再建に使われ、一部はマリウポリの住宅建設にも使われる。

 2年後には、銑鉄の主原料である鉄鉱石の焼結処理を完全に確立し、銑鉄、粗鋼、熱延板、コイルを生産する計画である。約2万4,000人の雇用が創出される。

 現在、工場では12,000ルーブルから40,000ルーブルと、悪くない給料が支払われている。熱延工程の元従業員は、「工場がフル稼働すれば、多くの従業員は仕事が懐かしくなり、喜んで働きに来るだろう」と語った。


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 ウクライナアグロビジネスクラブのこちらのサイトが、2023年のウクライナの農産物輸出の結果について伝えているので、以下要旨を整理しておく。

 上図に見るとおり、ウクライナの農産物の輸出量は、2022年の5,850万tから、2023年の6,750万t(見通し)へと、15.4%拡大した。しかし、記録的な高値だった2022年に比べると価格が低下したため、金額ベースでは237億ドルから219億ドルへと、7.6%低下することになる。

 2023年の作業がきわめて困難なものになった要因としては、黒海穀物イニシアティブによる輸送回廊がロシアにより閉ざされたこと、ロシア軍がドナウ川港湾のインフラを破壊したこと、欧州の近隣諸国がウクライナ産農産物の輸入・トランジットを禁止したこと、近隣諸国との国境通過ポイントが遮断されたことなどがあった。

 現時点の輸出レベルは、2023年の収穫をさばくのには不充分であり、特に穀物など、2024年の収穫が生じる頃に、まだ前年度の農産物が残っている恐れがある。ウクライナ国内でも穀物および搾油作物の価格が低く、輸出の輸送コストが高く、運転資金が不足することから、農業生産者はさらに追い詰められる恐れがある。それゆえに、あらゆるルートを駆使して、輸出を拡大しなければならない。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2024年1月号が発行されたので、ご紹介。1月号は、「グローバルサウスで存在感を増すロシア・NIS」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部は、今回は特集絡みの寄稿はなく、「オーロラ社が担うロシア極東航空網の拡充」、「ウクライナ動乱の経済的背景を学ぶ」と、特集の枠外での連載記事のみとなります。


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 キーウ国際社会学研究所は開戦以来、「ウクライナは、そのために戦争が長引き、独立喪失の脅威が生じたとしても、自国の領土を絶対に譲歩すべきではない」、「ウクライナは、速やかな和平と独立保持のために、自国の領土の一部を譲歩しうる」という二択の設問を、全国世論調査で問うている。今般、こちらのサイトで、最新の12月の調査結果が発表された。それにもとづき、回答状況の時系列的推移を示したのがグラフの(1)である。

 (1)に見るとおり、領土的譲歩がありえないという立場の市民は、一貫して8割を超えてきた。しかし、2023年10月、12月と、譲歩を認める回答者が若干増えており、戦争長期化による厭戦ムードも一部で広がっていることをうかがわせる。

 次に、2023年12月の回答状況を、マクロリージョン別に見たのが、(2)になる。これまでは、西部・中部で徹底抗戦論が圧倒的なのに対し、南部・東部では譲歩論の割合が多少多いという構図であったが、なぜか2023年12月になって西部でも譲歩論が目立って増えた。

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 こちらの記事によると、ロシア南部のロストフにおいて、ロストフ州、ヴォロネジ州、そして自称「ドネツク人民共和国」、「ルガンスク人民共和国」の首長が集まり、共同体「ドンバス」を創設する旨の協定に調印した。私がざっと探した限り、協定のテキストはネット上にはまだちょっと見当たらないが、地域開発などで協力していくということである。なお、この場合の「共同体」は、CISなんかと同じ「Содружество」で、割とファジーな語感である。

 それにしても、思わず遠い目になってしまうのは、こちらに見るように、2010年代の初め、まさにこれら4地域を網羅する形で、ユーロリージョン「ドンバス」が創設された経緯があったからである。ユーロリージョンというのは、国境域での越境地域交流・協力を目指すものであり、当時はロシアとウクライナがれっきとした外国同士だったからこそ、ユーロリージョンだったわけだ。それが現在は、クレムリンの立場によれば4地域はいずれもロシア領であり、ゆえに同じような目的ながら、ユーロリージョンならぬ「共同体」の創設が宣言されたというわけである。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2023年12月号が発行されたので、ご紹介。12月号は、「第4期プーチン政権の内政・外交・経済」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 服部は、特集の枠内では「プーチン戦争でロシア対外経済発展計画は台無し」と「一帯一路の『成功例』中欧班列にも異変」を執筆。枠外では「ウクライナ世論の風向きを読む」を執筆しています。


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 黒海穀物イニシアティブが7月17日に期限切れとなって以降、ウクライナは独自の穀物輸送回廊を設定し、輸送の試みを続けている。伝えられるところによると、総じてこの輸送は順調に推移しているようだ。

 最新のこちらの記事によると、11月2日までに、穀物を積んで大オデーサ港(オデーサ港、チョルノモルシク港、ピウデンヌィ港の総称)を出港した船は、43隻に達したという。

 また、こちらによると、このほどM.ソリスキー農相が記者会見を開き、夏まで存在した黒海穀物イニシアティブはその形ではすでに消滅しており、復活することはないだろう、それでもウクライナ軍によって守られている穀物輸送回廊はしっかりと機能していると語ったということである。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2023年9-10月合併号が発行されたので、ご紹介。9-10月号は、「ウクライナ復興支援の地平」と題する特集号となっております。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 今回服部は、特集の枠内で「ロシア産魚介類輸入に見る日米の相違 ―鍵を握るアラスカの利害」を、枠外では「軍事ケインズ主義に傾くロシアの経済・財政」、「ウクライナによるロシア産アンモニアの輸送」を執筆しております。


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 Foresightに、「『人質』から『遮断』へ ―ウクライナの穀物輸出をめぐるプーチンの戦術転換」を寄稿しました。有料記事ですが、前半の無料部分だけでも、かなりの情報量が(笑)。


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 私が以前編集長を務め、今も寄稿を続ける『ロシアNIS調査月報』の2023年9-10月合併号が発行されたので、ご紹介。9-10月号は、「ウクライナ復興支援の地平」と題する特集号となっております。本日8月20日発行。詳しい内容とお問い合わせ・お申し込みはこちらまで。

 私の役目は今回は軽めで、特集の枠内で「カホフカダム破壊はウクライナ・ロシア双方に痛手」を、枠外で「ロシアは無人航空機の遅れを取り戻せるか」を執筆しております。


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 黒海穀物イニシアティブがストップしてしまったのは痛恨だったが、研究する立場上は、小括するのには良い機会なので、改めてデータをまとめておく。本件に関しては、7月18日付のエントリーで紹介したが、その時は7月4日までのデータと中途半端なものだったので、合意が切れるぎりぎりの16日までの累計で計算し直した。まあ、その結果、中国が0.1%減って、中国以外の高中所得国が0.1%増えるだけの変化しかなかったが(笑)、何にしても、データをアップデートできてすっきりした。

 それで、今回は初めての試みとして、農産物の種類別の輸出先も整理してみた。それで作成したのが、上図である。以下、気付きの点を箇条書き。

  • 何度も言っているように、プーチン政権は、ウクライナの穀物が最貧国にはほとんど行っていないと批判しているわけだが、私はその際の指標として、後発開発途上国(LDC)向けの輸出を見るのがフェアだと思う。ところが、LDCというのは厄介で、低所得国でもLDCでないところもあれば、低中所得国でもLDCの国もある。後者の実例がバングラデシュであり、実は黒海穀物イニシアティブの枠組みでウクライナはバングラデシュにかなり農産物を供給している。最貧国に農産物が届いているかを問う場合に、低所得国なのか、LDCなのかで、数字が変わってくる。プーチン政権は前者のことしか言わず、それは間違いではないが、かなり作為的と言わざるをえない。
  • ウクライナの穀物輸出の半分以上は、とうもろこしである。小麦主体のロシアとは、その点が異なる。そして、それは飼料用のとうもろこしであり、過去10年ほど、中国、スペイン等の養豚産業をターゲットとして伸びてきた部門である。したがって、黒海穀物イニシアティブの下でも、とうもろこしの輸出がEUと中国に偏重するのは当然であり、結果としてウクライナの穀物全体、農産物全体で見ても両市場向けが多くなるのも、必然の成り行きである。それを捉え、プーチンが、やれ最貧国に届いていないとか、豊かな国の大企業ばかりが得をするといった批判をするのは、的外れだ。
  • 他方、ウクライナにとっては必ずしも主力というわけではないが、小麦の輸出ではLDC向け、その他の低所得および低中所得国向けが多い。ウクライナの小麦は、先進国市場では品質の問題ゆえ飼料向けに回されることが多いが、途上国ではヒトの食用になっているはずであり、現地の栄養状態向上に貢献しているであろうことは間違いない。
  • 植物油は、LDC以外の低所得および低中所得国向けが最も多いが、実はその大部分はインドである。
  • ミールとは、大豆やひまわりの種といった採油作物から植物油を搾り終わった後の搾りかすのことである。かすと言っても、栄養価が高く、飼料として利用される。その大部分は中国に向かっているようだ。やはり養豚団地の餌か。
  • 大麦は、ヒトの主食という感じではなく、飼料用、加工食品用、ビール・ウイスキー用など、用途は様々。ウクライナ産は、はやり飼料用がメインかな。
  • ロシアのひまわりは有名だろうが、それ以外にも菜種、大豆という採油作物も重要である。かなりの部分がEUに向かっている。ただし、ウクライナの政策として、世界に冠たるひまわりは、種のまま輸出するのではなく、なるべく国内で絞って油として輸出する政策なので、実はひまわりの種の輸出量はそれほどでもない。

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 こちらの発表によると、ウクライナは現状で財政歳入の約半分を外国からの支援に依存しているということである。最高会議広報部のR.ピドラサ(上掲写真)が発表した。

 これによると、2023年上半期に、ウクライナの国庫に、国際的なパートナーからの財政支援が253億ドル(9,239億グリブナ)寄せられた。これは上半期の全歳入の49.1%に相当する。

 最大のドナーはEUで、マクロ金融支援の枠内で114.3億ドルの優遇融資を提供している。

 しかしながら、無償支援では米国による72億ドルが最大となる。ウクライナの国家債務および政府保証債務がすでにGDPの78.5%に達していることを考えると、これは重要な措置である。

 その他のドナーとしては、IMFの35.9億ドル、カナダの17.6億ドルなどがある。

 2022年の財政支援は合計323億ドルで、うち米国が119.9億ドル、EUが79.6億ドル、IMFが26.9億ドル、カナダが18.9億ドルだった。


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