服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

カテゴリ: ロシア

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 ロシアの経済週刊誌『エクスペルト』は最新の10月2~8日号で農業特集を組んでいるが、その中でも目を引くのが上掲の温室野菜栽培の急増振りである。図の単位は1,000tだが、2016年には生産量が30%も増えたということである。その背景には、従来トルコがトマトやキュウリの主たる供給国であったところ、2015年に起きたトルコによるロシア軍機撃墜事件を受け、ロシアがトルコからの青果物の輸入を禁止したことがある。もっとも、ロシアがトマト、キュウリ、その他野菜の内需の90%を国産品で満たそうと思えば、さらに2,000haの温室の建設が必要で、それには2,000億ルーブルを要するということである。


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 ワールドカップ・ロシア大会の会場のうち、ソチは先のコンフェデでも使用されており、すでにスタジアム自体は完成しているわけだが、こちらによると、コンフェデ終了後にFIFAからいくつかの注文をつけられたらしい。今般、クラスノダル地方のV.コンドラチェフ知事は、それらのFIFAからの指摘事項をすべてクリアしたと表明した。また、クラスノダル地方では現在、W杯出場チームの利用に供するためのトレーニング施設8箇所を新設・改築中だが、それらの作業も2018年4月までには完了する。スタジアムの交通に関しては、大会期間中には1日100本のバス、70本の列車を運行すると、知事は述べた。


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 欧州復興開発銀行(EBRD)はEUが主要出資者となっているので、ウクライナ危機後、ロシア向けの新規融資を停止している。そうした中、こちらの記事によると、EBRDは現在ロシアに7箇所ある拠点のうち、5箇所を2018年中に閉鎖するということである。具体的には、エカテリンブルグ、クラスノヤルスク、ロストフナドヌー、ウラジオストク、サマラの事務所が閉鎖される。記事には明記されていないが、モスクワとサンクトペテルブルグの2拠点だけが残るということだろう。


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 来年開かれるサッカー・ワールドカップで、日本代表がロシア国内でキャンプを張る場所は、タタルスタン共和国のカザンに決まったという説が有力だ。聞くところによると、ハリルホジッチ監督がカザンの環境を気に入ったという。ルビン・カザンのトレーニング施設をそのまま使えるという点がメリットらしいが、もしかしたら、ワールドカップ史上初のイスラム開催都市であるカザンを、ボスニア出身のハリル監督が「居心地が良い」と感じたのかもしれない。

 ルビン・カザンのトレーニング施設は、先のコンフェデで、ポルトガル代表が滞在したらしいので、すでに代表チーム受け入れの実績もある。上の動画で紹介されているのが、たぶん、くだんのトレーニング施設ではないかと思う。ロシアの地方クラブとしては立派だと思うが、従来の日本代表のキャンプ地と比べると若干シャビーなような気がして、そのあたりどうなのだろうか。下にももう1個動画を貼っておく。


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 どこかの国の金融当局の目論見ではないが、こちらの記事によれば、ロシアのA.クドリン元副首相・蔵相がロシア国民に対し、銀行預金の金利が低下する中で、「貯蓄から投資へ」の転換を呼びかけているということである。クドリンいわく、現在多くの人々が、どのような株式に投資したらいいのか迷っている。しかし、より信頼感のあるものがある。それは債権であり、国債および民間債の両方だ。債権の利回りはより高く、現在ロシアではそれへの転換が生じていると見ている。銀行預金の金利が4~6%程度に低下しているところ、国債の利回りは8%程度だ。株式に関して言えば、まずはブルーチップや投資信託といった簡単なものに投資し、次により高度なセクター別の投資に、その次にデリバティブに移行すればよいと、クドリンは語った。


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 たまたまこちらのページを見ていたら、ロシアの「世論基金」が実施したロシア国民の北朝鮮に関する意識調査の結果が出ていた。むろん、プーチン政権の対北朝鮮政策は日本政府などとは方向性が異なっているわけだが、今回の調査結果を見ると、一般国民の意識も日本とロシアではだいぶ趣きが異なっている。

 上の図は、「貴方は北朝鮮を好きか嫌いか?」という質問の回答状況で、上段が2013年2月、下段が2017年9月。緑が好き、青が無関心、赤が嫌い、グレーが回答困難。これを見て分かるとおり、多数派は無関心だが、嫌いよりも好きの方が多く、しかも好きは17%から27%に増えている。こりゃ酷い。

 そして、「北朝鮮の核兵器が、ロシアにとっての脅威になると思うか?」という設問の回答推移をまとめたのが下図であり、赤が脅威になる、緑がならない、グレーが回答困難。奇妙なことに、北朝鮮が核開発と徴発をエスカレートされたことを受けた2017年9月の調査結果において、脅威にならないという回答が過去最高になっている。

 これは、たぶんこういうことだろう。2014年のウクライナ危機以降、ロシア国民は従来にも増して米国を敵視するようになり、世界情勢をそのプリズムを通して見る度合いが強まった。そして、北朝鮮はその米国と対峙している国であり、米国の覇権を脅かす限りにおいて、ロシアにとって有用な存在と位置付ける向きが増えたということではないか。敵の敵は味方という論理である。

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 当ブログでは何度か触れたことがあったかと思うが、内陸国のベラルーシは輸出貨物(特に同国の主要輸出品である肥料および石油製品)を海上輸送する上で外国の港から発送する必要があり、これまではEU圏のリトアニア、ラトビアの港を使うことが主流だった。これは、同盟国のベラルーシに有利な条件で原油等を供給しているロシアにとっては不満の種であり、ロシアはベラルーシに対して、ロシア北西部の港湾を利用することを求めていた。

 それで、こちらの記事によると、このほどベラルーシ石油会社のS.グリブ社長代行が、この問題についてコメントした。グリブ代行いわく、ベラルーシの石油製品をロシア港湾経由で輸出することは、一定の条件では経済的合理性を確保できるかもしれないが、バルトとロシアの料金を比較すれば、ロシア側には努力の余地がある。鉄道料金だけでなく、海上輸送運賃、港湾料金も考慮しなければならない。ナフタン製油所からリガまでは400kmだが、ロシアのウスチルガまでは800kmである。グリブ代行はこのように述べた。


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 ロシアにVIM航空という航空会社がある。面倒なのでウィキペディアをコピーさせていただくと、モスクワ=ドモジェドヴォ空港を発着する国際定期便・チャーター便や旅客・貨物便を運航したり、ウェット・リースを行ったりする。VIM航空は2000年に運航を開始し、2004年末にはチタアヴィアとアエロブラーツクを、続いて2005年にはロシアン・スカイ航空を買収した。また2004年には、新しい株主がボーイング757-200を12機購入しチャーター市場に参入したため市場を揺るがした(初めてこの機種を使用したロシアの航空会社であった)。

 こちらのサイトによれば、上表に見るとおり、2016年の旅客数×距離の指標で、VIM航空はロシア第11位の航空会社だった。

 そして、こちらのニュースなどで伝えられているとおり、このほどそのVIM航空の経営が行き詰まり、13億ルーブルの負債を抱えて資金繰りがつかずに、運航継続が困難となったということである。


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 10月15日(日)にワークショップ「サッカーとグローバル関係学」が開催され、それに登壇して「ロシアはワールドカップのレガシーを活かせるか?」という報告を行うことになりました。詳しい情報はこちら参照。参加自由で、事前登録も不要とのことですので、よかったらチェックしてみてください。


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 当ブログでは3ヵ月ほど前に、「2030年までのロシアのサッカー発展戦略」というエントリーをお届けした。ロシアでは現在、「2030年までのロシア連邦全国民サッカー発展戦略」を新たに策定する作業が大詰めを迎えている。2015年12月8日に開催された関係会合後に大統領の指示を受けて作業が始まった。2017年4月8日にロシア・サッカー協会が戦略を採択し、それを受けスポーツ省も同戦略を承認、近くロシア連邦政府が承認して正式に採択されることになるというのが、その時お伝えした内容だった。ただ、その後政府がこれを正式に採択したという情報は、確認できていない。

 それで、今般その戦略のテキストを読み込んでみたところ、重要な点に気付いた。当たり前と言えば当たり前なのだが、ロシアは2018年のワールドカップに向けて整備したサッカー関連施設を、大会後にどう活用していくのかという点に、重大な関心を寄せているという事実である。世界各国でオリンピックやFIFAワールドカップといったスポーツの大イベントが終わった後に、施設が有効活用されず、酷い場合には廃墟と化したりする現象が問題になっているわけだが、ロシアは大会準備期間からすでにそれに関する問題意識をもって事に当たっているということのようである。

 実際、上掲の「戦略」を読んで知ったのだが、ロシア連邦政府のスポーツ省は2015年6月26日付省令第679号により、「ロシア連邦諸地域の需要を考慮に入れた大会終了後の有効活用に関するサッカー・ワールドカップのレガシー構想」と題する文書を採択していたということである(Утвержденная приказом Минспорта России от 26.06.2015 № 679 «Концепция наследия чемпионата мира по футболу по обеспечению эффективного использования в постсоревновательный период спортивных объектов с учетом потребностей субъектов Российской Федерации»)。個人的に、初耳であった。

 ところが、そこから先が、いただけない。私がリサーチを試みた限り、この「レガシー構想」は、非公開になっているようなのである。諸々ネット検索してみても、スポーツ省のウェブサイトを調べてみても、省令第679号は欠落した状態になっている。レガシーの活用は、地方・経済界・クラブ・市民など、多様な層の参画を得てこそ成果が期待できるはずなのに、肝心の「レガシー構想」を伏せたままにしておくというのは、信じがたい感覚である。


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 先日、「ロシアが自動車輸出戦略を策定」というエントリーをお届けしたが、その姉妹編のような感じで、このほどロシア政府は航空機の輸出に関する戦略も策定した。こちらのサイトこちらのニュースが伝えているように、ロシア政府が9月18日付の政府指令により、「2025年までのロシア連邦民間航空機産業輸出発展戦略」を採択したものである。

 この文書によれば、2016年の時点で、ロシアの航空機産業のうち民間航空機部門は17%にすぎないということであり、つまり残りの大部分は軍需ということなのだろう。民間航空機産業の内訳は、エンジン生産24%、航空機生産22%、ヘリコプター12%、機器・ユニット生産6%など。2016年の場合、航空機生産136機のうち、民間機は28機だけ、同じくヘリコプターでは169機のうち22機だけだった。ロシアは金額ベースで世界の民間航空機・ヘリコプター生産の1%弱しか占めていない。2016年のロシアの民間航空機輸出は4.7億ドルで、スホーイスーパージェット11機、ヘリコプター6機が輸出されただけだった。こうした状況を、政府が様々な支援策を講じて打開していこうというのが、今回の戦略である。基礎シナリオでは、2025年の民間航空機産業の輸出が34.6億ドルに伸びると想定されている。


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 こちらのページに、ロシア国民の各種アルコール消費量の推移を図示したものが出ているので、紹介する。1人当たりの年間消費量をリットルで示している。一番上の黄色い線がビール、真ん中のグレーの線がウォッカ、下の紫の線がワインである。しばらく前まで、ウォッカの消費量が趨勢的に低下し、それに代わりビールやワインなどの軽めの酒が伸びるという構図があったが、ここ数年はビールやワインも低下している(ただ、2016年のワインの落ち方はあまりに急激であり、正確な統計値なのか、疑問も感じる)。その原因には、景気の低迷、広告や販売の規制などがあるだろうし、日本と同じで若者を中心とした酒離れもあるだろう。

 ちなみに、こちらのレポートによれば、日本の1人当たりビール消費量は発泡酒等も含め2015年時点で42.3リットルということらしい。外国人は日本人が居酒屋で「とりあえずビール」と、ビールを偏愛していることに驚くらしいが、実際に消費量を比べると日本人はそれほど多くなく、ロシアよりも下ということになるらしい。まあ、日本の場合は、なんとかサワーとかなんとかカクテルとか、軽いアルコール飲料の選択肢が多いからねえ。


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 こちらの記事によると、ウクライナに「未来についての対話」というテレビ番組があるそうで、9月21日に出演したナフトガス社幹部のYu.ヴィトレンコ氏が、ロシアからの天然ガスおよび石油の輸入の可能性に言及したということである。同氏いわく、きわめて悪い傾向が生じている。結局、元の木阿弥となり、2030年までに、ウクライナが再びロシアの天然ガスおよび石油を買うようになるかもしれない。確固たる発展の体制がなければ、古く、より根強い体制に逆戻りしてしまう。ウクライナの場合、それはオリガルヒ体制だ。残念ながら、ウクライナではオリガルヒ体制への逆戻りが基礎シナリオである。このモデルの国で、そこから脱却できた国は少ない。ヴィトレンコ氏は以上のように述べた。

 ウクライナがオリガルヒ体質であるがゆえに、ウクライナのロシアからの天然ガス・石油輸入取引が歪曲されたのは事実だと思うが、ではロシアからの天然ガス・石油輸入をやめればウクライナのオリガルヒ体質が治るかというと、だいぶ疑わしい。


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 サッカーのスパルタク・モスクワと言えば、昨シーズン久し振りのリーグ優勝を遂げたばかりだが、同クラブの経営にとって問題が一つ発生したようである。これまでスパルタクのスポンサーの一つとなってきたのが、オトクルィチエ銀行であり、そう言えばスタジアムもオトクルィチエ・アリーナと言うのだが、同銀行が経営破綻してしまい、この8月に清算されたのである。

 こうした事態を受け、こちらの記事では、スパルタクのオーナーであるL.フェドゥン氏(ルクオイル副社長)のコメントを伝えている。フェドゥン氏いわく、クラブを維持するのは楽ではないが、絶対に売却はしない。買収を申し出ている投資家たちもいるものの、本気の提案は見られない。ロシア屈指の人気クラブを経営するのは精神的にきつく、昨シーズン優勝して2週間はヒーロー気分だったが、そのあと試合に負けるとすぐに非難され、こんな重圧下でもう16年もやっているのだ。サッカーの世界ではプレーヤーの値段が高騰しすぎ、最高レベルのプレーヤーを欧州のクラブと競争して獲得するのは不可能だ。フェドゥンは以上のようにコメントした。


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 しばらく前から伝えられていた動きだが、改めて、こちらの記事によると、ベラルーシ産業の代名詞とも言うべきトラックメーカーのミンスク自動車工場(MAZ)が、主力のロシア市場で大苦戦している。つい最近までロシアのトラック新車販売台数のランキングでベスト3に入っていたが、直近では7~8位程度に後退しているということである。

 そこで、原典に当たってみたところ、なるほど、そのとおりだった。上掲が2014~2015年の状況(出所はこちら)、後掲が2017年1~8月の状況である(出所はこちら)。MAZはベラルーシで最大の従業員数を誇る企業だけに(ただし、20万人の東芝さんに比べれば10分の1程度だが)、同社の販売不振はベラルーシ全体にとっての大問題である。

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 個人的に良く知らないところだったが、「アトン」というロシアのコンサルタント会社があるそうである。こちらの記事によると、そのアトン社がこのほど発表した冶金産業に関するレポートの中で、為替レートが各社の経営に及ぼす影響が分析されているということである。

 それによれば、為替が対ドルでルーブル高になった場合に、最も打撃を受けるのはルサール、エヴラズであり、打撃が小さいのはポリュス、ノリリスクニッケルである。一般論として言えば、金、非鉄金属、石油など、ロシア国内にアセットを持ちドル建ての輸出収益を得ている企業にとって、強いルーブルは不利である。ルーブルが5%強くなれば、冶金産業のEBITDAは平均でやはり5%ほと低下する。ただ、エヴラズでは8%、ルサールでは9%低下する。その原因は、業界平均のEBITDA利益率が34%であるのに対し、エヴラズでは20%、ルサールでは23%に留まること、またルーブル建ての費用の比率が70%と高いことである。逆に、5%ルーブル高になっても、ポリュスではEBITDAが2%ポイント減に、ノリリスクでは3%ポイント現に留まり、それはEBITDA利益率が50~60%と高いからである。他の条件が同じなら、利益率が低いほど、ルーブル高の打撃が大きいということになる。


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 私が尊敬する経済学者の野口悠紀雄先生は、「経済学者が本物であるかどうかを見分けるのは簡単だ。為替レートの予想をするのがニセモノ、しないのがホンモノだ」といったことをおっしゃっている。先生によれば、たとえば現在1ドル=110円だとすると、そこには我々の知りうるすべてのイベントがすでに織り込まれている。逆に、為替に織り込まれていないような未来の不確定な出来事を正しく予見するのは、不可能である。素人が、「アメリカでは利上げが続くだろうから、当面ドル高だな」などと考えてドル投資をするようなことは、やめた方がいいということになる。1ドル=110円は、すでにその利上げ観測込みの為替になっているのだから。

 というわけで、為替の予測には本質的に意味がないということを前提とした上で(笑)、参考までにこちらの記事によれば、ロシアのM.オレシキン経済発展相がルーブル・レートの見通しについて述べたということである。大臣いわく、経済制裁が維持される見通しで、石油価格の軟化が予想されるにもかかわらず、為替は2018~2020年に安定するだろう。我々は経済予測の保守的シナリオにおいて、石油価格が45ドル以下に低下し、世界経済が減速し、グローバル・マーケットがリスクオフになることを想定している。基礎シナリオにおいては、対ロシア制裁が維持され、ロシアとOPECの減産合意が2018年3月まで維持されることを想定している。実質為替レートはしばらく増価したあと、4月に下落したが、今後は大きな変動はないだろう。大臣は以上のように述べた。


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 日本のような、物価がデフレ基調で貼りついているのを無理矢理2%に引き上げようとしている国とは逆に、ロシアは高目で推移していたインフレ率を年率4%まで引き下げることを目標としてきており、それを達成するために高金利政策をとってきた。しかし、今年に入ってからインフレ目標が達成されつつあり、それを受け中銀も金融緩和に転じている。

 こちらの記事によると、ロシア中銀は9月15日、利下げを決定した。政策金利を、9.0%から8.5%に切り下げたものであり、9月18日から実施する。中銀の利下げは、今年に入ってから4度目である。利下げは政策決定会合で全会一致で決まったものの、E.ナビウリナ総裁は、市場にあらぬ影響を与えないように、各委員の見解は発表しないとしている。直近のインフレ率は年率換算で3.2%という水準まで低下しており、中銀では年末時点のインフレ率が3.5~3.8%程度になると予測している。


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 こちらの記事によると、国際的な格付け機関のS&Pはロシアのソブリン債の格付けをBB+で据え置くことに決定した。アウトルックはポジティブ。S&Pでは、もしもロシアの経済回復が持続すれば格上げも可能であると説明している。S&Pでは2017年のロシアの実質経済成長率が1.8%、2017~2020年平均では1.7%と予測している。為替については、2017年末が1ドル=61ルーブル、2018年(平均? 年末?)が62ルーブルと予測している。

 一方、こちらの記事によると、ロシアのA.シルアノフ蔵相は、格付け機関はロシア経済の評価に非常に保守的な態度を採っている、しかしロシア債が「ジャンク債」扱いされており地政学的対立もあるにもかかわらず投資家たちはそれを旺盛に購入している、それは彼らがロシア経済の適応力、賢明なマクロ政策、バランスのとれた財政政策を評価しているからだ、などとコメントした。


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zei

 世界で最も完成度の高い地域経済統合はEUだと思うけれど、そのEUにしても、税制は加盟国ごとにばらつきがある。たとえば、付加価値税の税率なども国によって異なる。

 ロシアを中心としたユーラシア経済連合でも、税制の統一化までは至っていない。ベラルーシのYe.キレエヴァという学者が書いた論文の中に(こちらからダウンロード可能)、それをまとめた表が出ていたので、転載させていただく。国は左からベラルーシ、カザフスタン、ロシア。税金は上から付加価値税、企業利潤税、個人所得税、社会税、資産税と並んでいる。カッコの中に示されているのは特例税率だろう。こうやって見ると、カザフスタンの税負担が全般に軽いようであり、おそらく石油関連の収入で財政を賄う度合いが強いので、一般の税率は軽くて大丈夫なのだろう。


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inoi

 ロシアのD.メドヴェージェフ首相は「ITボーイ」として有名なので、IT企業、デジタルデバイス・メーカーの幹部がメドヴェージェフに会う時には、新製品をプレゼントするのが恒例のようになっている。これもそうしたニュースの一つだが、こちらの記事によれば、このほど輸入代替をテーマとした国際展示会に出席したメドヴェージェフ首相は、ロシア国産スマホ「Inoi R7」をプレゼントされたということである。

 このスマホは、フィンランドのSailfish MobileというOSを搭載しており、したがってアップルやアンドロイドのアプリはインストールできない。価格は11,990ルーブルというから、2万円強くらいか。


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hihou

 最近のウクライナの数少ない明るい話題として、EUとの間でビザなし協定が成立し、6月11日からウクライナ国民がEUにビザなしで短期滞在できることになった、というものがあった。しかし、こちらの記事こちらのサイトによると、2017年上半期にはウクライナ国民がむしろロシアに渡航する回数が増え、上表に見るとおり、ロシア行きは前年同期比56.1%も増えたということである。EU諸国への渡航には目立った増加はない。まあ、ビザなしが発効したのが6月に入ってからだったので、EUへの渡航増はむしろ下半期の統計に反映されるということなのかもしれない。

 PS:なお、上表で、ポーランドが前年同期比45.4%減となっているのは、原典の誤りであり、正しくは15.4%減である。数字を修正した上で画像化したつもりだったのだが、なぜか反映されておらず、そのままになってしまっていて、悪しからず。


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 古い情報の後追いになってしまったが、ロシアの通商・産業政策で見落としていた重要な動きがあったようなので、遅ればせながら取り上げることにする。

 こちらのサイトに見るように、ロシアでは2016年11月30日に大統領付属戦略発展・優先プロジェクト評議会の理事会が開催され、それを受け、同日付の政府指令により、「鉱工業における国際協業と輸出」と題する優先パイロットプロジェクトが策定されたということである。そして、その優先パイロットプロジェクトを紐解くと、非資源商品の輸出を拡大するため、4つの機械産業分野をパイロット分野に指定し、「ロシア輸出センター」が中心となって、様々な公的輸出促進策を講じていくことを盛り込んでいる。具体的には、自動車、農業機械、鉄道機器、航空機の4分野が対象になっている。そして、そうした輸出促進策の結果として、4分野の輸出が上図のように拡大していくという図式を描いている。

 ただ、今回のパイロットプロジェクトに見る輸出額のデータは、私が把握しているものと異なり、どういう範囲を示しているのが、分かりづらい。たとえば、ロシアの通関統計によれば、2016年にロシアは乗用車だけで11億ドル近く輸出したことになっているが、上図では自動車産業全体で10億ドル程度にすぎず、釈然としない。


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 以前から、モスクワから鉄道でロシア南部のロストフに行こうとすると、ウクライナ領をかすめる形となり、そこで越境手続きをしなければならないから、不便だということが言われていた。そして、3年前の政変でロシアとウクライナが決定的に対立したことにより、上図に見るとおり、従来ウクライナ領を微妙にかすめていたジュラフカ~ミレロヴォ間の区画の迂回ルートの建設が、2014年から進められていた。そして、こちらの記事によると、近日中にその工事が終わり、10月には貨物列車の運行が始まるということである。ロシア鉄道のO.ベロジョーロフ社長が明らかにした。旅客列車は、ダイヤを編成する必要があるので、追って決定するということである。迂回区間は全長137kmで、その中には150mのものも含め5つの橋が設けられている。


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 ロシアのナントカ戦略とかナントカ国家プログラムの類は、画餅というか、どうせ実現しないものとして、あまり重視されないことが多い。ただ、個人的には、そういうことは承知の上で、ナントカ国家プログラムは結構好きである(変な言い方だが)。ナントカ国家プログラムには、だいたい数値目標が明記されており、そういうのにツッコミを入れたり、現実との乖離を跡付けたりするだけで、ある程度のレポートが書けてしまったりするので、ネタとして重宝するのである。

 それで、こちらのサイトに見るとおり、ロシア政府は2017年8月31日付の政府決定により、新版の「北極圏社会経済発展国家プログラム」を採択したということである。北極圏開発に関し、どのような数値目標を設定するのか、興味深いところだが、ざっと見たところ、重要そうなのは、「ロシアの北極圏の地下資源鉱床を開発するために企業が調達する製品(技術および設備)全体に占める輸入品の比率」という指標である。これは、欧米が制裁で供給を制限している分野であり、ロシアの輸入代替政策、エネルギー安全保障政策において重要性が高いものである。ちなみに、その輸入品の割合は、なぜか直近の数字が示されていないが、2021年には85%、2025年には50%になるという目標が示されている。


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 ロシアは、ロシア本土と、クリミア半島を隔てるケルチ海峡を橋で結んで、そこに鉄道と道路を通そうとしているわけだが、アゾフ海と黒海を行き来する船舶のために、通過用のポイントを設ける必要がある。そして、8月の末にその通過ポイントの鉄道の橋桁を架ける難工事が行われ、その工事は成功したようだ。上の動画が橋を架ける様子、下の動画がその下を船が通過する様子ということである。こうやって見ると、かなり座高が高く、横幅もそれなりに確保されているように見えるが、どうなんだろうか。なお、鉄道の橋桁の隣には、道路のそれも架けられる予定となっている。まあ、ロシアもこういう工事を自力でできるんだなあと感心する反面、クリミア併合の既成事実化が後戻りできないところまで進んでいることも改めて実感する。


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 昨日お伝えしたロシアの自動車産業発展戦略とは別に、ロシアは自動車輸出戦略というものを策定した由だ。ロシア政府のこちらのサイトに見るとおり、2017年8月31日付のロシア政府指令によって採択された。個人的にも、昨年「経済統合と通貨安が促すロシアの自動車輸出」と題するレポートを書き、従来ほぼロシア国内市場への供給に特化していた在ロシア工場(ロシア資本および外資)が輸出にも着手している状況を分析したが、ロシア政府はそのトレンドを受け、補助金など様々な施策を通じて輸出を政策的にも増強しようと乗り出したわけである。戦略の付属文書には数値目標が掲げられており、その基礎シナリオによれば、2017年現在で25億ドルに留まると見られるロシア自動車産業の輸出高を、2025年までには49億ドルに高めるという目標となっている(楽観シナリオによれば78億ドルまで伸びる)。ただ、ロシアに進出した外国メーカーの輸出が伸びるというよりも、ロシア地場メーカーの輸出の方がより大きく伸びるという図式を描いている。


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 こちらによると、ロシア政府は自動車産業発展の新戦略を策定中である。11月までに草案を準備する予定である。新戦略は、V.プーチン大統領の指示により策定することになったものだが、期限が何度か延期され、2016年末には産業・商業省と経済発展省という2つの省が精査し直すことが決定された。D.マントゥロフ産業・商業相は7月、経済発展省と本質的な見解の違いはないと発言していた。なお、今回の新戦略は、既存の工業アセンブリのメカニズムに代わって、「特別投資契約」というメカニズムを導入することに主眼があり、エンジンやギアボックス等の現地生産を拡大することが眼目となっている。


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 こちらの記事が、ロシアの対ベラルーシ原油供給につき最近の動きを伝えている。これによると、ロシアのA.ドヴォルコヴィチ副首相はこのほど、次のように語った。両国間で合意された「エネルギーバランス」によれば、2017年にロシアは2,400万tの原油をベラルーシに供給することになっている。それをどう利用するか(ベラルーシ国内の製油所で利用するか、あるいは原油のまま再輸出するか)は、ベラルーシ側が決めることである。多少の誤差が生じることはあるが、供給量が年間で2,400万tとなるよう、供給計画を立てている。一方、2017年上半期の供給量が900万tに留まったことにつき質問されたA.ノヴァク・エネルギー相は8月に、契約上、供給量が2,400万tを下回ることもありうるが、おそらくその分量は達成されるだろうとの見通しを示していた。他方、ベラルーシ側のV.セマシコ副首相は、2017~2019年に供給される2,400万tのうち、ベラルーシの製油所に供給されるのは1,800万tで、残り600万tは外国に転売され、その際の輸出関税はベラルーシの国庫に入ると説明していた。


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 こちらの記事によれば、ロシアのプレハノフ記念経済大学のR.ザラソフ教授が、世界の鉄鋼業で中国の存在感がますます強まる中で、ロシアの鉄鋼業がそれにどう対処すべきかということを論じたということである。

 それによると、鉄鋼業はロシアの主要輸出産業の一つだが、世界の鉄鋼業界では過去15年に構造変化が生じ、中国が生産量を激増させ、インド、ブラジル、トルコのそれも増大している。中国を中心に、過去四半世紀で世界の生産は2.17倍に伸びている。韓国の伸びも目覚ましく、2014年にはロシアに匹敵する7,150万tとなった。現代では、大規模な製鉄所は沿海部に立地しており、安い海運運賃により、世界各地の高品質の原料を最低限のコストで調達することが可能となり、アジア太平洋の生産はまさにそのような条件で発展してきた。世界の競争が熾烈化した結果、1990年から2014年にかけて、東ヨーロッパの生産は20%縮小した。ロシアの場合は、輸出の縮小を、国内需要で置き換えることが、かなりの部分、可能である。熾烈化する世界の競争に対するロシアの最も効果的な対応策は、不断の技術更新、生産の根本的な近代化である。特に、石油精製の副産物を添加して、石炭コークスの使用を節約することや、半成コークスを利用することである。ロシア政府は石油会社と協定を結んでいるので、そうした方向を促すことが可能である。ザラソフ教授は以上のように論じた。


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