服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

カテゴリ: ロシア

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 ウクライナの銀行セクターは、かつてロシア資本の進出が盛んな部門の一つであった。しかし、過去3年のウクライナ危機、ウクライナ・ロシア関係の悪化により、その事業環境は厳しくなっており、先日も当ブログで「ウクライナがロシア系銀行に制裁」というエントリーをお届けしたところである。

 そうした中、こちらのサイトに、ウクライナにおけるロシア系銀行の状況をまとめた図解資料が載っており、便利なので、上掲のとおり転載させていただく。

 このうち、ズベルバンク・ウクライナについては、すでにロシアのズベルバンク本社がウクライナ法人身売りを決定している。こちらの記事などが伝えているとおり、サイド・グツェリエフ氏を筆頭とするコンソーシアムが100%の株式を買い上げることになり、このほかラトビアのノルヴィク銀行とベラルーシの民間企業がコンソーシアムに名を連ねている。なお、サイド・グツェリエフは、スラヴネフチ/ルスネフチのオーナーとして知られるミハイル・グツェリエフの息子である。


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 こちらの記事によると、ロシア最大の地場自動車メーカー(現在はルノー=日産アライアンス傘下)のAvtoVAZでは、今後5年間のうち(すなわち2022年まで)に、生産した完成車の20%を輸出に向けたい意向である。ニコリャ・モル社長がこのほど国際自動車フォーラムの席で表明した。同社では現在すでにコンポーネントの20%を輸出しており、完成車の輸出もそれと同じレベルに高めるという方針である。また、現地化比率の目標として80%を掲げており、それが達成されればイジェフスク、トリヤッチの両工場がフル稼働に移れる。輸出比率を高めていく政策の一環として、右ハンドル車の生産も検討していく。また、製品がコスト高となる一因の輸送費に関しては、ロシア政府がそれを補助する政策をとっていることが、助けとなる。


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 2017年3月2~6日にロシアのレヴァダ・センターが汚職問題に関する世論調査を行ったそうで、その結果概要がこちらのサイトに出ている。それを紹介した記事がこちらであり、上掲の図はその記事から拝借したもの(3月2日にナヴァリヌィがメドヴェージェフ汚職糾弾動画を発表し、その当日に調査が始まるとは、何とも手回しが良いというか)。

 日本人が「汚職」と聞くと、大臣などの権力者による悪事というイメージを抱くのではないだろうか。しかし、これはロシアでも、ウクライナでもそうだが、あちらの国でコラプションと言った場合には、政治家や役人だけでなく、医者や教育者への賄賂といったことも含んでおり、国民に非常に身近な現象なのである。ロシア国民は誰しも、自分が賄賂を贈ったり、受け取ったりする当事者になる可能性があるわけだ。したがって、今回のレヴァダ・センターの調査でも、まずは国民にとって身近なそうした汚職問題についての意識が問われている。

 その上で、政権幹部による汚職の問題も問われている。ただ、その際に最高指導者のプーチンは、汚職の大元、親玉というよりも、その権力を行使して汚職を根絶すべき存在といった位置付けをなされているように思われる。

 設問の中に、「野党は政権幹部の汚職、資金不正利用について常に批判しているが、プーチンはその蔓延にどの程度責任があるか?」というものがある。回答状況は以下のとおりで、それを図示したのが上図である。プーチンへの批判の声が趨勢的に高まっているというわけではなさそうだ。「プーチンがより一層強権を発動して悪事を取り締まってほしい」と考えるのが、ロシア国民の一般的なメンタリティなのではないだろうか。

  • 完全に責任がある:25%
  • かなり責任がある:42%
  • 一部責任がある:20%
  • 責任があるはずはない:9%
  • 回答困難:4%

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 レヴァダ・センターのこちらのページにある、国民がプーチンの活動を支持している割合、同じくメドヴェージェフの活動を支持している割合というデータを、久し振りに見た。迂闊にも気付かなかったが、しばらく見ないうちに、国民のメドヴェージェフを見る目が、ずいぶん厳しくなっていた。上の図がプーチンで黒が支持する、青が支持しない、下の図がメドヴェージェフで同様である。なお、プーチンは1999年8月から始まっているのに対し、メドヴェージェフは2007年2月からで、上下の図が時系列的に対応しないので、ご注意いただきたい。

 メドヴェージェフへの国民の支持が低下し、2016年8~10月には不支持の方が上回ったこともあったのに対し、国民のプーチン支持はほとんど揺らいでいないことが分かる。なお、数字は2017年2月が最新であり、その後にメドヴェージェフの不正蓄財が暴露されたので、当然のことながら次のデータが発表されればさらに数字が悪くなることが予想される。

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 経済難にもかかわらず、政権への支持率は高く、国内情勢は安定しているかと思われたロシアとベラルーシで、それぞれ別のきっかけにより、かなり大規模な反政権デモが発生している。ロシアの方は、反体制ブロガーのアレクセイ・ナヴァリヌィ氏が、メドヴェージェフ首相の重大な汚職を暴露したことが発端になっている。詳しくフォローする余裕はないが、発端になった動画は上掲のもので、3月2日に公開されたようである。こちらのサイトで、そのテキストバージョンを閲覧することも可能。

 動画をざっと見てみたが、複雑なスキーム、親友・旧友の仲介、オフショア企業などを使い、またオリガルヒからの資金提供を受け、メドヴェージェフが超豪華な別荘、ヨット、ぶどう畑およびワインセラーなどの莫大な資産を実質的に手に入れているということが、非常に克明に検証されている。真に迫った内容であり、動画のプレゼンも良く出来ている。ただ、どういう経緯で、今こういうスキャンダルが暴露されたのは分からないし、おそらく政権幹部は皆似たような蓄財をしていると思われる中で(動画の最後でその旨の指摘はある)、なぜメドヴェージェフが狙い打ちされたのかとか、不可解な点は少なくない。

 それで、今回のロシアの反政府デモには、若年層が積極的に参加しているという話を聞いたので、その様子も動画で見てみようと考えた。下に見るのはあくまでもその一例であり、3月26日のモスクワのデモの様子ということである。プーチン政権が色々問題を抱えていることは明らかにもかかわらず、最近まで沈黙していた国民が、一部であるにせよ、なぜ今回はナヴァリヌィに積極的に呼応したのか、そのあたりも個人的に今一つ良く分からない。


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 『ベラルーシ実業新聞』のこちらのページに、CIS諸国の平均賃金を米ドルに換算してその推移を比較した図が掲載されていた。ありそうでない、便利な図なので、日本語を添えた上で転載させていただく。

 図は、2016年11月までの月別の推移を跡付けたもの。ちなみに、旧ソ連諸国では12月に賃金の未払い分などがまとめて支払われることが多いので、どの国も各年の12月の山が突出する形となっている(したがってインフレ率なども12月にピークを迎える)。2014年頃からロシア、カザフスタンといったCISの中では豊かな国でもドル換算賃金が低下しているのは、原油価格の低下とそれに起因する景気後退、為替下落によるものである。ウクライナは政変後に為替がドカンと落ち、かつて欧州最貧と呼ばれたモルドバを下回り、今や中央アジアの低開発国であるキルギスと肩を並べている。なお、最新の2016年11月の各国の平均賃金を、大きい順に並べると、以下のとおり。

  • ロシア:553ドル
  • カザフスタン:416ドル
  • アルメニア:378ドル
  • ベラルーシ:363ドル
  • アゼルバイジャン:302ドル
  • モルドバ:254ドル
  • キルギス:203ドル
  • ウクライナ:201ドル
  • タジキスタン:128ドル

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 こちらの記事などが伝えているとおり、ロシアでエリヴィラ・ナビウリナ中央銀行総裁が続投する方向となった。今般ナビウリナ総裁がプーチン大統領と面談した際に、大統領がナビウリナ氏再任の意向を示し、その人事を審議する下院も問題なく承認する見通しとなっている。ナビウリナ氏は経済発展大臣を経て、2013年6月24日から中銀総裁を務めており、本年2017年6月に任期が切れる。再任されたあかつきには、さらに5年を務めることになる。ナビウリナ氏は堅実な手腕で金融危機に対処し、また銀行システムを整理して銀行数を3分の1ほど削減した。こうした実績から、再任は理に適ったものであるとの評価がロシアではもっぱらとなっている。

 世界で最も保守的なロシア中央銀行と、最もアバンギャルドな日本銀行。中央銀行だけ、とっかえたいなあ。


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 こちらのサイトに、ドンバス紛争とオリガルヒのリナト・アフメトフ氏のかかわりについて論じた論考が掲載されているので、その要旨を以下のとおりまとめておく。

 ドネツィク人民共和国、ルハンシク人民共和国は、ウクライナ側によるドンバス封鎖の解除を求めていたが、期限として設けていた2月27日までに解除されなかったので、3月1日に在ドンバス企業に対する外部管理に踏み切った。ドネツィク人民共和国のトップであるザハルチェンコによれば、これまで企業がウクライナ側に納税していたのか、人民共和国側に納税していたのかを精査し、前者の場合には人民共和国への登記変更を行い人民共和国に納税する必要があるという。

 ドンバスの占領地には、アフメトフ氏のSCM傘下のDTEK、メトインヴェストに属す企業が47社所在する。メトインヴェスト系で主なものには、カリミウシケ(旧コムソモリシケ)鉱山管理局(上掲写真)、ハルツィシク鋼管工場、エナキエヴェ冶金工場がある。DTEKはドンバスに火力発電所複数を抱えている。ドンバス占領地にあるメトインヴェストの鉱山冶金企業は、年間15億ドルの輸出収入をもたらしているほか、ウクライナ本土の企業もその供給に依存している。たとえば、クラスノドンヴヒーリャからの石炭供給が途絶えると、ウクライナのコークス化学工場におけるコークス生産が年間100万t低下する。また、カリミウシケからの石灰の供給が止まると、マリウポリとザポリージャの製鉄所も被害を被る。ドンバス企業の停止によるメトインヴェストの外貨収入喪失額は年間24億ドルに、雇用の喪失は4.5万人に達する恐れがあるという。アフメトフが保有するウクルテレコムのドネツィク事務所も3月1日に事業を停止し、通話やネットアクセスの停止で20万人が影響を被る。2014年以来人道支援の拠点として用いられていたドンバス・アレーナも、封鎖された状態にある。

 紛争が始まって以来、両人民共和国の指導部とアフメトフがこれほど大掛かりに対立するのは、初めてのことである。アフメトフは過去3年、人民共和国とウクライナ政府の間でバランスを取ろうとし、最低でも自分の資産を守り、あわよくば両者の仲介役として株を上げようとした。しかし、すぐに関係は悪化し、アフメトフ派の人材が両人民共和国の要職から排除された。アフメトフに近いヴォストーク大隊のホダコウシキー司令官は、ザハルチェンコに敵対する立場に転じ、ドンバスをロシアに編入すべきという立場に転じているが、ドネツィク人民共和国指導部には入っていない。

 かくしてドネツィク人民共和国は実質的に、アフメトフとの間に形成されていた非公式な関係の見直しに着手した。これまでアフメトフはドンバス住民を支援し、地域を資金的に回す役割を担わざるをえなかったが、ここに来ての情勢緊迫化で、アフメトフ系の企業が非公式な形で地域を支え続けることが難しくなっている。人民共和国当局が、国有化はせず、外部管理に留めていることは、アフメトフが当地の資産を保全するために、彼により厳しい条件を押し付けていることを意味する。妥協の余地がある反面、アフメトフが企業に対する管理を完全に失うリスクもある。ドネツィク人民共和国側もフリーハンドではなく、アフメトフの企業が供給する原料に依存しており、生産の全面的停止、社会破綻の脅威がある。ロシアから原料を調達する構えも見せているが、それには時間がかかりすぎ、制裁の対象になりかねないためロシア企業が供給に応じるとは思えず、これは脅しの試みだろう。ロシア市場を製品の販路にできるとも思えない。

 ロシア側では、両人民共和国の独立を承認する問題が取り沙汰されることが増えてきている。仮にそうなれば、2008年にアブハジアおよび南オセチアでやったのと同じシナリオになるが、実際にはロシアはドンバスについては最初から沿ドニエストル・シナリオを選んでいたように思われる。ロシアがドンバスの独立を認めると、ウクライナの対外政策の手足を縛る圧力のテコを失ってしまう。ドンバスが独立すれば、ウクライナは地政学的により一層西側一辺倒の国になってしまい、それはロシアの利益にそぐわないし、ミンスク合意が最終的に破綻し、西側がロシア包囲網をより一層強めることになりかねない。


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 ウクライナで、本土とドンバス占領地の鉄道輸送が遮断されていた問題は、こちらに見るとおり、3月15日のウクライナ国家安全保障・国防会議において、境界線の貨物通過を停止する旨の決定が正式に下された。こちらのサイトで、ドンバス封鎖問題につき、ロシアの有識者がコメントしているので、その要旨を以下のとおり紹介する。上級経済学校国民研究大学世界政治経済学部のアンドレイ・スズダリツェフ副学長(写真)のコメントである。

 ウクライナ政権がドンバスを経済・輸送面から封鎖することを決めてから、ドンバスは苦境に立たされるだろう。ドンバス経済の一部は、ウクライナとの関係を保っていた。たとえばエナキエヴェ冶金工場は、石炭はドンバス産、鉄鉱石はウクライナ本土のクリヴィーリフ産であり、こうした事例は数多い。占領地とウクライナ本土で境界線が引かれていても、砲撃を受けたり、オーナーが放棄したりした企業以外は、ドンバス企業は生産を停止しなかった。

 ドンバスの人々は、少ないながらも、賃金を受け取っていた、ルハンシク、ドネツィク当局も、企業が稼働し、住民が安定的な所得を得ることを重視し、税収を得るよりも賃金を優先していた。ウクライナ側も、ドンバス産の石炭、原料、半製品に対しては旺盛な需要があり、ウクライナ全土の冶金産業にとってドンバスが大きな役割を果たしていた。ウクライナは石炭供給の問題をドンバスなしでは解決できず、ロシアを含む他国から輸入せざるをえなくなる。

 ウクライナや、一部のロシアマスコミも誤って伝えているが、ドネツィクおよびルハンシクの両人民共和国は、企業を国有化したわけではなく、外部管理下に置いただけであり、ましてや企業が閉鎖されるわけではない。外部管理を敷いたのは、企業を稼働させたいからであり、すでに外部管理導入から数週間経っているが、一部の企業は完全にではないにせよ稼働を続けており、一部は停止した。

 ドネツィクおよびルハンシクの両人民共和国は、ロシア市場を当てにしている。客観的に言っても、ドンバス経済はロシアに対して競争力がある。ロシアにとってドンバスの産業の面倒を見るのは荷が重いが、これらの地域を支援しなければならないので、他に方法はない。

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 今日のロシアで経済政策の柱となっている輸入代替について、ロシア政府機関紙『ロシア新聞』の2016年12月15日号の別冊付録で特集が組まれた。こちらでPDF版を閲覧可能である。

 その中で、上図に見るように、ロシアの製造業部門ごとの輸入浸透率(ロシアの国内消費に占める輸入品への依存比率)を、2014年と2016年1~9月とで比較しまとめたグラフが掲載されていたので、これを紹介したい。なお、原典では棒グラフとデータラベルとの間に明らかに矛盾が散見されたので、そうした場合にはグラフの方を優先し、グラフを判読してデータラベルを修正した。

 図から一目瞭然のように、あらゆる製造業部門で、輸入浸透率が低下しており、すなわちそれだけ国産品の比率、輸入代替が進展したということになる。しかし、それがロシア政府の政策的取り組みの成果なのか、それとも単にルーブル安で輸入が抑制されただけなのかということに関しては、慎重な評価が必要だろう。


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 ロシア『エクスペルト』誌2017年2月6-12日号(No.6)に、鉄鋼貿易をめぐるロシアとEUの対立に関する記事が掲載されている。これは、2015年5月14日から欧州委員会がロシア産および中国産の冷間圧延フラットロール製品に対する反ダンピング調査を開始し、2016年7月29日の欧州委員会決定により、同8月5日からロシア産品に18.7~36.1%の反ダンピング関税が課せられている問題である。ロシアはこれを不服として、2017年1月27日にWTOの紛争解決手続きの枠内でEUとの協議を求める照会を発出した。協議は紛争解決を目指す第1段階であり、そこにおいて解決策が見出されないと、ロシアは紛争審議のためのパネルの設置をWTOに求めることができる。

 記事によれば、ロシアの業界側はEU側のダンピング認定には根拠がないと指摘している。たとえば、ノヴォリペツク冶金コンビナートの幹部は、我が社はEU市場で公正な競争にしか関心がない、EUでは欧州企業が同様の製品を大量に生産している、ダンピングを非難されるのはまったく的外れだ、などとコメントしている。また、同社によれば、欧州委員会は生産コストを計算する際に、リペツクの実際のコストではなく、EUにおける同様のコストにもとづいており、その結果原料およびその他一般コストが人為的に引き上げられていて、こうした算定方式はWTOルールにもEUの法令にも違反しているということである。セヴェルスターリも、EUの調査はWTOルールに違反している、特にWTOルールによれば為替レートは売買日のそれを利用すべきなのに、EUは契約日のそれを用いている、その結果本来は1ユーロ=70~80ルーブルで換算されるべきであるところ、EUは40ルーブルというレートを用いている、とEU側を批判。また、実際にはセヴェルスターリが欧州委員会の調査に協力しているにもかかわらず、非協力を理由にコスト計算に不利な割り増しがなされたという。実際、EUがダンピング調査をする際に、外国メーカーの生産コストを、当該国の実際のコストではなく、EUの類似コストで算定しようするという点は、専門家の間ではよく知られた話である。そうした算定により、反ダンピング・マージンが、ひいては反ダンピング関税が拡大するわけである。ズベルバンクの専門家は、EUの冷間圧延フラットロール製品に対する差別的な措置によるロシアの被害額が、年間1,000万~2,000万ドルに上ると推計する。ただし、セヴェルスターリでは、販売先がEUから他の市場にシフトして稼働率が維持されているので、損害額を算出するのは困難だとしている。実際、後掲の図1に見るように、2016年にはロシアからの薄板の輸出が数量ベースで26%も伸びている。2016年には金額ベースで34億ドルの薄板が輸出され、うち8億ドルがEU向けだった。今回の反ダンピング関税の導入は、世界的な鉄鋼不況でEUの業界が苦しんでいることに原因があると思われ、現に図2に見るように、ロシアの粗鋼生産が過去10年ほど年間7,000万t前後で安定しているのに対し、EUはじり貧の状況にある。たった10年で、世界の鉄鋼生産に占めるEUの比率は、17%から10%に落ち込んだ。図3に見るように、EUは大口の鉄鋼輸入国に留まっており、ロシアからの冷間圧延フラットロール製品の輸入は規模的にそれほど大きくなくても、欧州メーカーの不満の種となっていることは理解できる。

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ichi

 ロシアはなぜゆえにベラルーシを重視するのか? かつて、その一つの要因として挙げられていたものに、飛び地である戦略的要衝=カリーニングラードへの輸送路確保というポイントがあった。ベラルーシとカリーニングラード州が直接地続きになっているわけではないのだが、ロシア本土とカリーニングラードとの鉄道輸送はベラルーシとリトアニアを通るので、カリーニングラードという飛び地を維持するためにも、輸送路としてのベラルーシを押さえておく必要があると、まあそんなような言説があった。ちょっと分かりにくいかもしれないけれど、上掲の図参照。

 しかし、そうした状況が変わりつつあるようである。こちらの記事によれば、ロシアは料金への不満ゆえにリトアニア~ベラルーシの鉄道輸送路を敬遠し、カリーニングラードとロシア本土を結ぶフェリー輸送(自動車だけでなく鉄道車両も運ぶ鉄道連絡船)を強化する方針のようだ。

 記事によると、カリーニングラード州バルチースク港と、本土のレニングラード州ウスチルガ港を結ぶ鉄道連絡船が、強化されることになる。新船の建造と運航のために、官民パートナーシップでプロジェクト会社が設立され、㈱ロシア鉄道が出資する。連絡線の価格競争力を維持するために、ロシア政府はカリーニングラード州とロシア本土を結ぶ鉄道輸送に適用している補助金を撤廃することを検討している。2月22日に当該の準備作業がD.コザク副首相から運輸省に命じられた。国は建設作業に51億ルーブルを支出する構え。当該の鉄道連絡船は2006年から存在し、現在2隻が運航しているが、近く退役予定。それに代わる3隻を新たに建造する方針が、2016年春に決まった。建造費用は総額110億ルーブル。


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 こちらのサイトこちらのニュースによれば、ウクライナはロシアの国営銀行系のウクライナ子会社5行に対する制裁を導入した。3月15日付の大統領令によるもので、ズベルバンク・ウクライナ、VTBウクライナ、BMバンク(VTB子会社)、プロムインヴェストバンク(対外経済銀行子会社)、VSバンク(ズベルバンク子会社)が対象。これらの銀行が関係者のために資本を国外に持ち出すことが禁止される。また、ウクライナ国営企業・組織がこれらの銀行に預金をすることも禁止される。ウクライナはEU、米国およびその他の諸外国にも制裁に参加するように呼びかけている。

 上掲写真は、ウクライナの過激派たちがロシア系銀行店舗を襲撃している様子。УВАГАとはロシア語のВНИМАНИЕの意味。


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hightech

 ロシア政府付属分析センターのこちらのレポートに目を通していて、初めて知ったのだが、ロシアは2013年に「ハイテク製品のリスト」と称するものを制定したということである。高度技術を外国に依存する傾向が強いロシアは、当然のことながら、輸出に占めるハイテク製品の比率は大きくなく、逆に輸入に占めるそれは大きいということになる。現に、上掲のレポートでは、上図に見るとおり、2015年1~9月の時点で、輸出に占めるハイテク製品比率が11.8%止まりであるのに、輸入では58.5%に上るとされている。なお、2013~2014年に比べて2015年の数字が若干改善しているのは、輸入代替の効果であるという。

 さて、問題は、大元のハイテク製品リストそのものにあるように思われる。くだんのリストは、2013年10月3日付のロシア連邦政府産業・商業省指令第1597によって承認されたもので、正式名称は「ロシア経済近代化の優先的な方向性を考慮したハイテク製品リスト」であり、こちらのサイトで閲覧が可能である。

 一般的にハイテク製品と言えば高度な機械類などをイメージするが、このロシア政府版のハイテク製品リストは機械類を全面的に対象としているだけでなく、それ以外のかなり雑多な製品も対象に加えられている。各種の化学品まではどうにか理解できるものの、衣類までがリスト入りしているのは、一体どうしたことだろうか? 靴下の類までハイテク製品に指定して、どうしようというのだろうか。まったく理解に苦しむ。


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 ロシアがクリミア併合を既成事実化しようとしている中で、その最たるものは、ロシア本土のクラスノダル地方とクリミア半島を隔てるケルチ海峡に、橋をかけようとしていることであろう。こちらによれば、橋の総工費は2,279.2億ルーブルで、自動車道路としての開通は2018年12月が予定されている。

 非常に見応えがあるのが、橋の概略を説明したノーヴォスチ通信によるこちらの特設サイトである。私はロシア人が作りがちなこうした妙にインターアクティブで凝ったウェブサイトが嫌いなのだが、このサイトはまあまあ良くできているのではないかと思う。同サイトに記されている事実関係を以下のとおりまとめておく。

  • 橋の建設コースは、74もの案の中からえらられた。建設は海峡の両側から勧められている。
  • 橋の総延長は19kmであり、これはロシアだけでなく、ヨーロッパ全域でも最長となる。従来のヨーロッパ最長はポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマ橋の17.2kmだった。
  • 1日当たり両方向にそれぞれ47便の鉄道列車が運行される予定。
  • トゥズラ島は、かつてはトゥズラ砂州としてタマニ半島に繋がっていたが、20世紀初頭に侵食により分離した経緯がある。
  • 冬季には海は底まで氷結することがある。流氷が流れることもあるが、橋脚はその衝突にも耐えるように設計されている。
  • 海底からは古代や中世の文化財が見付かった。また、当地は第二次大戦の激戦地でもあったので、多くの爆弾も見付かった。
  • 船舶の航行のために、橋には、幅227メートル、高さ35メートルのアーチ部分が設けられる。その箇所は水深9.35メートルであり、喫水8メートルまでの船舶の航行が可能。
  • 自動車道路の最高速度は時速120km。自動車が橋の通過に要する時間は10分程度。

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cis

 昨日の話の続き。ロシアは輸出のエネルギー・資源偏重を脱却し、付加価値の高い機械類の輸出比率を高めることを希望している。しかし、2014年に改定された国家プログラムでは、機械輸出の輸出比率は横這いとなることが予測されていた。皮肉なことに、その後エネルギー価格が下落したため、機械輸出自体は減少基調なのに、機械比率は上昇しているというのが、昨日お伝えした点だった。

 さて、ロシアにとって旧ソ連のCIS市場は、様々な要因から、機械産業の主要輸出市場となっている。前出の国家プログラムでは、対CIS輸出総額に占める機械類の輸出という指標の目標値も示されている。そこで、上掲の図では、ロシアの輸出に占める機械類の比率、うちCIS向け輸出というのを、実績・目標に分けて、数字を掲げてみた。

 これを見ると、たとえば2012年の時点で、ロシアの輸出に占める機械類の比率は5.1%にすぎないのに、CIS向け輸出に限ればその比率は13.7%に上っていたことが分かる。そして、2010年頃から2013年頃にかけて、対CIS輸出に占める機械類の比率が顕著に上昇していたことが見て取れる。仮説の域を出ないが、おそらくは、ベラルーシ向けのエネルギー価格の引き下げや、ユーラシア統合の枠組みを活用したロシアからカザフスタン・ベラルーシ等への自動車・家電輸出の伸びなどが重なり、機械比率が伸びたのではないかと推察される。したがって、2012~2016年のCIS向け機械輸出比率の実績は、目標を大きく上回っていた。いずれにしても、2014年の国家プログラムでは、ロシアの輸出全体では機械比率が横這いと見られていたのに対し(実際には油価下落で著増したわけだが)、CIS向け輸出では同比率が着実に高まっていくという数値目標が掲げられていたわけで、ロシアにとってCIS市場の価値は決して無視できないことがうかがえる。


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 昨日ご報告申し上げたように、ロシア政府は2013年3月18日にロシア連邦国家プログラム「対外経済活動の発展」を採択し、2014年4月15日付でそれを改定している。新旧のプログラムを見比べていて、奇妙なことに気付いた。ロシアはエネルギー・資源に偏重した輸出構造を是正し、付加価値の高い機械製品等を伸ばしていきたいという意向を有しているので、その目標値もプログラムに明記されている。ところが、上図に見るように、2013年3月の旧プログラムでは輸出に占める機械類の比率が右肩上がりで伸びていく図式が描かれていたのに、2014年4月の改定版プログラムではそれがほぼ横這いで推移するという図式に改められていたのである。

 これは私の推測だが、2014年に改定版のプログラムを発表した時点では、ロシア政府は「今後もエネルギー価格の上昇が続きそうだ」という見通しを強めていたということではないだろうか。機械輸出も増やしたいが、エネルギー輸出が価格上昇に伴って増えていくので、機械の比率は横ばいにならざるをえないと、そんな見通しだったのではないかと推測する。

 ところが、現実には2014年半ばから石油価格は下落に転じる。その結果、上図に見るように、結果的に輸出に占める機械類の比率は上昇し、現時点で新旧目標を上回って推移している。ロシアの機械類の輸出は、2013年288億ドル、2014年265億ドル、2015年254億ドル、2016年243億ドルと、むしろじり貧に近い状況なのだが、皮肉にも輸出に占めるシェアは拡大しているわけだ。


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 ロシア政府が「東方シフト」を掲げ、従来の欧米中心の外交や貿易から、アジア・太平洋地域に重点を移そうとしていることは、ご存知の方も多いと思う。その政策は、単なるスローガンではなく、実は国家プログラムの中に数値目標が掲げられている。

 新プーチン政権が2012年に成立して、2013年3月18日にロシア連邦国家プログラム「対外経済活動の発展」が採択された。その付属文書1の中に、様々な数値目標が示されており、その一環として、「貿易総額に占めるAPEC諸国の比率」という指標も掲げられていたのだ。

 ただし、同国家プログラムは、こちらに見るように、2014年4月15日付のロシア連邦政府決定により、改定された。付属文書の数値目標も、修正がなされている。旧プログラムでは貿易総額に占めるAPECの比率という指標だったのに、なぜか新プログラムでは輸出に占めるAPECの比率へと、指標そのものが変わっている。

 ともあれ、新プログラムに掲げられたロシアの商品輸出に占めるAPEC諸国向けの比率の目標値と、2016年までの実績を比較すると、上図のようになる。図に見るように、実績が目標を上回っており、早くも2015年の時点で、2018年の目標値である22.5%を超えてしまったことが分かる。ロシアという国が目標を「超過達成」しているのは、稀有な出来事かもしれない。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2017年4月号の中身を、例によって編集長特権で、どこよりも早くご紹介。一般社団法人 ロシアNIS貿易会(ROTOBO)の前身に当たるソ連東欧貿易会が1967年1月16日に設立されてから、ちょうど50年の節目を迎えました。ロシアNIS貿易会ではこれを記念して、2017年2月2日(木)東京・如水会館において、創立50周年記念講演会および平成29年新春懇親パーティを開催いたしました。今号では、記念講演会における下斗米伸夫先生の講演記録を載録することを軸に、「激変する国際情勢の中のロシア」という特集をお届けしております。ビジネス誌である小誌としては珍しく、政治や地政学に重点を置いた号となりました。私自身は、「ロシア対外政策コンセプトに見る対欧米関係」、「ようやく上向いたウクライナの鉱工業生産」、「10年かかったサンクトペテルブルグのスタジアム」といった小文を執筆。3月20日発行予定。


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 こちらのサイトに、天然ガスをめぐるロシアとウクライナの関係を図示した便利な資料が出ていたので、取り上げさせていただく。上掲の上段のグラフが、ウクライナのガスの供給源であり、左から国内生産、ロシアからの供給、欧州からのリバース供給という具合に並んでいる(2016年にはロシアからの供給がゼロになったことが確認できる)。中段のグラフは、ロシアの対ウクライナ供給(緑)、対欧州供給(黄色)、そのうちウクライナ経由(ピンク)を示している。下段のグラフは、ロシア・ガスプロムのウクライナ向け価格(緑)と、欧州向け価格(黄色)の推移を跡付けている。図はクリックすると拡大する。


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kali

 こちらの記事によると、ベラルーシとロシアのカリ肥料産業が、関係を修復する可能性が出てきた。ベラルーシのベラルーシカリ社と、ロシアのウラルカリ社は、かつては共同販売会社を築いており、往時にはその連合が世界市場の40%を押さえていた。しかし、2013年にその協業関係が崩れ、以降はライバル同士となり、販売競争が世界的な価格下落に繋がった経緯がある。しかし今般ベラルーシのルカシェンコ大統領が、ロシア側と関係を修復して共同販売会社を再興する用意がある旨表明した由である。ルカシェンコ大統領は、「我が国の側が一方的に譲るつもりはないが、相互譲歩であれば応じる用意があり、それは互恵的なものでなければならない」と発言した。ベラルーシのカリ肥料の輸出量は2015年の920万tから2016年の900万tに落ち込み、価格も25%ほど下落している。2017年には1,000万tを輸出したいという意向を有している。


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 なぜか同じような話題が続いているが、こちらのサイトによれば、ロシアでスズキ車がリコールされることになった。2008年9月30日から2015年3月3日にかけて販売されたグランド・ヴィターラというモデルが対象であり、台数は2万2,263台。後方シャフト(正確な用語が分からない)の安定性が不充分であることが原因で、現地販売会社が無償で部品の交換に応じる。


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kikai

 ロシアは、旧ソ連の独立国家共同体(CIS)諸国の中では先進的な存在と位置付けられるが、経済の先進度を測る初歩的な指標の機械貿易において意外にも、数年前まで域内の取引が赤字だった。しかし、ウクライナ危機以降は、黒字に転じている。

 その状況を、ロシア連邦関税局の貿易データにもとづいて図示したのが、上図である。HSコード84~90の機械類の貿易につき、対CIS取引の輸出入から収支を算出すると、2012年時点で56億ドルあまりの赤字であった。その際に、CIS諸国の中でも、ロシアにとっての入超の相手国は、ウクライナとベラルーシにほぼ限られた(厳密に言えば、ウズベキスタンとの関係でも2012~2013年は小幅な入超であり、これはウズベキスタンからの小型乗用車の輸出という個別的な事情によるものである)。ロシアとウクライナ・ベラルーシとの間では、技術レベルが概ね似通っており、機械貿易の水平分業が成り立っていたが、ただしロシア経済が石油・ガスなどに偏重している分、ウクライナ・ベラルーシの方が製造業に特化する度合いが強くなり、その結果、機械貿易ではロシア側の入超だった。おそらく、これが大まかな構図ではないかと思われる。

 しかし、2013~2014年からウクライナ危機が発生し、ロシアとウクライナの政治関係が悪化、ロシア・ルーブルが下落、ロシア政府が輸入代替政策を推進、といった大きな情勢変化が生じた。その結果、ロシアの対ウクライナ機械貿易赤字は、大幅に縮小した。それに伴い、ロシアの対CIS機械貿易の収支も、黒字に転換していった。一方、ベラルーシはユーラシア経済連合に加入しロシアの統合パートナーに留まっているものの、当ブログでも累次報告しているように、ロシアとの関係はぎくしゃくしており、ロシア市場の冷え込みもあって、思うように対ロシア輸出増を果たせていない。


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blackseaports

 ロシア『エクスペルト』誌の2016年10月31日~11月6日号(No.44)に、上掲のような、黒海・アゾフ海海域の港湾地図が出ていたので、チェックしておく。ロシアのノヴォロシースク港の貨物量が多いが、実はその大部分は石油の積み出しであることが確認できる。ウクライナはある意味で日本に似ていて、中規模港湾の分散型。ルーマニアはコンスタンツァ港の一点豪華主義。トルコは黒海沿岸が低開発なので、大規模な黒海港湾というのは実は有してしない(ただし、黒海の出入り口に当たるイスタンブール港のハブ港としての重要性が高い)。


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evhyouka

 以前も取り上げたことがあると思うが、ユーラシア開発銀行というところが『ユーラシア開発銀行統合バロメーター』と題する報告書を毎年発行しており、こちらに見るとおり、最新版は2016年10月に発行された。これは、ロシア・NIS諸国のユーラシア統合に関する意識を継続的に調査しているものであり、ここではその中から、ロシア・NIS各国の国民が、ユーラシア経済連合についてどのように評価しているかを時系列的に跡付けたグラフを、上掲のとおりお目にかける。2012~2016年の数字がまとめられているが、以前はユーラシア経済連合非加盟国の調査結果も漏れなく載っていたものの、最近は非加盟国の数字はほぼ得られなくなってしまった。

 グラフの中で、上の5ヵ国は、実際にユーラシア経済連合に加盟している国々であり、同連合を肯定的に評価する国民が多い。ただし、アルメニアではユーラシア経済連合についての支持が趨勢的に後退している。一方、下の3ヵ国は、EUとの連合協定を結んだ国々であり、ウクライナ・ジョージアではユーラシア経済連合を否定的に評価する向きが増えている(2016年の数字はなし)。ただ、モルドバではいまだに肯定論が根強く、このあたりがロシアにとっての「付け入る余地」となっている。中段付近にあるタジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンは、ユーラシアにもEUにも明確に接近していない国々である(政治文化や地理的要因から、EUへの接近といったことはそもそも考えにくいが)。このうち、タジキスタンはその外交ベクトルからして、ユーラシア経済連合加盟の予備軍と考えられる。ウズベキスタン、トルクメニスタンでは、国民の価値観からすればユーラシア経済連合に加わってもおかしくないが、政治指導部の意向により独歩的な外交路線を歩んでいる。アゼルバイジャンでは、ジョージアなど以上に、ユーラシア統合への反感が強い。


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 これもベラルーシとロシアのエネルギー関係。こちらの記事によると、ロシアのガスプロムがベラルーシにガスを輸出する際の2017年の価格が明らかになった。ガスプロムのゴルベフ副社長が、ノヴァク・ロシア・エネルギー相に1月25日に送付した書簡の内容から判明した。これによれば、2016年通年の価格が1,000立米当たり132ドルだったのに対し、2017年1月1日からは141.11ドルとなり、6.81%上昇する。

 なお、上掲の図はこちらからとったもの。


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 「イジメ、カッコ悪いよ」の公共広告じゃないが、昨年来、ベラルーシがロシアにいじめられたような形になっている。近年ベラルーシ経済の生命線となっているのが石油精製業であり、同産業はロシアから割安な原油を安定的に輸入しなければ成り立たないところ、ロシアがベラルーシによる天然ガス代金の未払いを理由に原油の供給をカットし、ベラルーシが窮地に立っているものである。

 こちらのサイトに、ロシアのベラルーシ向け原油輸出(HSコード2709)の四半期別動向を跡付けた図表が載っていて、有益なので転載させていただく。上が輸出量、下が輸出額であり、いかにラディカルに削られたかが、良く分かる。

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saimu

 ロシアを中心に5ヵ国から成るユーラシア経済連合では様々な統計・広報資料を発行しており、最近出たものに『ユーラシア経済連合:新たな現実、新たな可能性』というものがある。こちらからダウンロードできるが、少々重いので注意。

 昨今、ロシア人にウェブサイト、パンフレット、ビデオなどの広報資料を作らせると、中味はそれほどないのに、デザインや演出だけ妙に凝ったものが出来上がる傾向があるが、今回の『ユーラシア経済連合:新たな現実、新たな可能性』も然りである。見栄えは良いものの、凝りすぎていて、内容が全然伝わってこない。

 その中で、比較的有益そうなものとして、ユーラシア経済連合加盟諸国と世界主要国の政府総債務と対外債務の対GDP比を図示したものが目に留まったので、ロシア語のままで恐縮だが、ちょっとその図を抜き出してみた。クリックすると拡大する。上段が対外債務(民間の対外借入も含むはず)の対GDP比、下段が政府総債務の対GDP比である。先日当ブログで書いたこちらのネタの繰り返しになるが、やはり日本は対外債務は多くないものの、政府総債務は世界の中でもダントツに多く、言い換えれば政府が財政破綻したら泣くのは自国民だということが浮き彫りとなる。ロシアは政府総債務も対外債務も非常に低いレベルに留まっている。


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 こちらの記事によると、マツダはロシアで1万2,300台の車をリコールすることになった。エアバッグのガス発生機構に不備がある恐れがあるためという。対象となるのは2005年3月14日から2008年5月19日にかけて販売されたMazda 6 (GG/GY) モデル。メーカーが無償で当該部品の交換に応じる。


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 こちらの記事によると、このほどロシア・ガスプロム社のアレクサンドル・メドヴェージェフ副社長は、同社はロスネフチのガスを輸出用に輸送するパイプラインの余剰のキャパシティは有していないと発言した。1月にロスネフチのイーゴリ・セーチン社長が、ドイツ経由でガスをBP向けに輸出することを交渉していることをプーチン大統領に報告したと伝えられており、それを受けてメドヴェージェフ副社長が否定的見解を述べたもの。メドヴェージェフ副社長によれば、ノルドストリームも、ノルドストリーム2も、ガスプロムエクスポルトと需要家間の既存の輸出契約のためにリザーブされており、ロスネフチのために追加的な輸送をする余力はないと、メドヴェージェフは明言した。

 なお、こちらによると、メドヴェージェフ副社長は、ガスプロムは2017年に天然ガス輸出額を16%拡大し、350億ドルを達成したいと述べた。2016年は300億ドル強だった。輸出量は前年並みと見込んでいる。


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