英国系の石油メジャーとして知られるBPが、ロシアに設立していた合弁石油会社TNK-BPから撤退するという動きになっている。以下、こちらのニュースにもとづいて情報をお伝えする。

 TNK-BP社は、BP側が50%、ロシアのコンソーシアム「AAR」が50%を出資して2003年に設立された。ロシア側の50%の内訳は、M.フリードマン氏のアルファグループが25%、V.ヴェクセリベルグ氏のレノヴァが12.5%、L.ブラヴァトニク氏のアクセス・インダストリーズが12.5%である。

 本件につき、D.ペスコフ大統領報道官は、BPの撤退が外国人投資家にとって悪いシグナルになることはない、外国人投資家がロシア市場への信頼を失うことはない、賢明な投資家はBPが合弁でどれだけの利益を挙げ、昨年だけでもどれだけ稼いだかに注意を向けるだろう、それが分かればロシア経済の投資魅力が裏付けられることになろう、BPのシェアを買い取るのがロシア企業か外国企業かは不明であり、それは純粋に企業経営の問題だ、などとコメントした。

 AARではすでに株式売却の意向をBPから伝えられているが、具体的に誰に売るつもりなのかは示されていないという。AAR側は、2003年のTNK-BP創設以来、合弁は生産・財務両面で良好な業績を示してきたが、対等出資であるがゆえに、戦略的決定に際して機能しないことが明白になった、と説明している。AARは以前から、BPの持ち分を買い取る、または自らの持ち分をBPの株式と交換する用意があることを表明していた。共同出資者のM.フリードマンは今週TNK-BPのCEOから退任する意向を示し、5月31日の『コメルサント』紙上で第3の株式が登場する可能性を指摘していた。同氏は、現在の株主構成がAAR側にもBP側にも利益にならないとしていた。

 両者はTNK-BPの企業価値に関する評価額を示していないが、2011年初頭にAARは700億ドルと評価していると伝えられた。一方でBP側はAARが保有する株式を270億ドルで買い取るということを2011年春に打診したが、受け入れられなかった。昨年、BPとロスネフチの間で取引が成立しなかったことが原因で、最近になってAARとBPの摩擦が強まっていた。これは、ロスネフチとBPが株式を交換しロシアの大陸棚を共同で開発することを想定していたが、AARが「BPはロシアでのすべてのプロジェクトをTNK-BPを通じて実施しなければならない」として提訴したことで、実現しなかった。

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