こちらのサイトに、ロシア新内閣の何人かの閣僚に関するコメントが出ているので、簡単に整理しておく。

 A.ベロウソフの経済発展大臣起用は、彼の経験、とりわけ経済発展次官を経て、最近では政府の経済・財政局長を務めていたことを考えれば、順当である。つまり、政府を内部から知っている経験豊かな人物ということであり、近いうちに経済発展省の政策が大きく変わるようなことは考えにくい。

 評価が分かれるのは、たとえば農業セクターでの経験が乏しいN.フョードロフの農相起用などであるが、実際にどうなるかは蓋を開けてみないと分からない。

 N.ニキフォロフの通信相起用に関しては、タタルスタンでの実績があり、課題とされている国家行政のICT化が進むという期待もある。

 運輸相に任命されたM.ソコロフ氏は、かつて政府の鉱工業・インフラ部長を務め、運輸部門の問題点を知悉している。インフラとのかかわりが深く、市場の自由化を通じて同部門が切実に必要としている民間投資を呼び込むことにとってプラスとなる。

 A.ノヴァクがエネルギー相に任命されたが、同氏の財務省での経歴は、課税・価格形成といった問題でのエネルギー省と財務省の協力関係にとって有益かもしれない。他方で、課税圧力、利益率の制限が強まる恐れがある。

 S.ヴォスクレセンスキーという分析家は、以下のように指摘する。エネルギー産業を統括していたI.セーチン副首相が去り、これまではセーチンの影響力のおかげでエネルギー業界は自らの利益を擁護することができ、政府内でその立場を守ってもらうことができた。とりわけ、セーチンの尽力で、東シベリアでの採掘に対する時限的な優遇措置が適用された。しかし、セーチンが石油ガス会社に要求した見返りも大きく、たとえば選挙前にガソリン価格の凍結を主導したのもセーチンその人だった可能性がある。新内閣でエネルギーを統括するのはA.ドヴォルコヴィチだが、ロシア財政が資源に依存する度合いが大きいことを考えると、石油ガス会社が新規プロジェクトに対し優遇措置を取り付けるのは至難になるかもしれない。

 やはりヴォスクレセンスキーによれば、近年ロシアの運輸セクターで大事故が相次いでおり、セクター全体の全面的な見直しが求められているので、新大臣もまずは技術安全の問題に取り組むことになるのかもしれない。運輸セクターでは改革が要請されているにもかかわらず、大きな変化はなかった経緯があり、今回の内閣は次官などが大臣に就任していることを考えると、新内閣では抜本的な刷新は期待できない、という。

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