かつて我が国には、北海道開発庁、沖縄開発庁という役所があった。今般ロシア新内閣の発足にあたって、それらと一脈通じる「極東開発省」という省が新設された。ソ連~新生ロシアの歴史において、スターリン時代に「ダリストロイ」(極北建設総局)という国策的な事業体が設けられたことはあったものの、特定の地域の開発に特化した省が設けられるのは、これが初めてではないだろうか(自信はないが)。極東開発国家プログラムの類は何度も採択されたものの、それを実施する常設機関のようなものはなかったはずである。

 今回の閣僚名簿を眺め、「V.イシャエフ:極東開発相、極東連邦管区大統領全権代表」というのを目にした時には、「極東開発省」という省が設置されるわけではなく、常設の役所を持たないアドホックな大臣のような感じになるのかな、などと思った。しかし、プーチン大統領が署名した省庁編成に関する5月21日付の大統領令を読むと、「極東開発省」という省を設置することが明記されている。

 ただ、本ブログ/HPでも既報のとおり、プーチン氏は「極東・東シベリア開発公社」的なものを設置する意向を明らかにしており、省と公社の関係がどのようなものになるのか、またその関連で東シベリアの扱いがどうなるのか、気になるところだ。さらに言えば、北カフカス連邦管区大統領全権代表のA.プロポニンは副首相格なのに、イシャエフ極東連邦管区大統領全権代表はヒラの大臣挌というのは、バランス的にどうなのかどいう疑問も覚える。

 ともあれ、21日にプーチンが署名した大統領令のなかから、極東開発省の設置にかかわる部分(第7項)を、以下のとおり翻訳しておく。

 ロシア連邦極東開発省を設置する。

 ロシア連邦極東開発相は、極東連邦管区ロシア連邦大統領全権代表を兼務する。

 ロシア連邦極東開発省は、極東連邦管区の領域において、以下のような機能を果たす。ロシア連邦政府によって承認された一覧表に掲載された国家プログラム、連邦特定プログラム(長期的なものも含む)の実現に向けた活動を調整する。(森林資源、特別に保護された連邦レベルの自然保護区、ロシア連邦大統領によって承認された戦略的企業・株式会社一覧表に掲載された公開型株式会社、連邦国営企業の資産複合体を除き)連邦資産を管理する。ロシア連邦の法令に従って委譲されたロシア連邦の権限のロシア連邦構成主体による実施を統制する。

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