kouri

 ロシア経済は2017年以降回復基調にはあるが、商品小売部門のパフォーマンスは低調である。ウクライナ危機が起きる前の2013年の水準を100として、その後の小売販売高の実質水準の推移を跡付けたのが、上のグラフである。もう2014年にはだいぶ世相が騒然としていたのに、同年の小売が伸びていたのが意外だが、ロシアの場合には経済危機の予兆が生じると、市民がインフレやルーブル安を見越して、お金をモノに変えておこうとする傾向があり、そうした駆け込み需要で2014年の非食料商品販売が伸びた面があっただろう。実際、2014年は結果的に乗用車や家電などが良く売れた年になった。しかし、2015年、2016年の落ち込みは非常に大きかった。一般的に、家計が苦しい時には、食品よりも耐久消費財などの非食品の購入を手控えそうなものだが、この時期のロシアの場合には食品の落ち込みの方が大きかった。ただし、ロシアでは政府の政策と国民の意識・習慣の変化で、酒・タバコの消費が年々低下しており、それは食品の一部としてカウントされるので、もしかしたらその要因も多少はあるかもしれない。そして、ロシアの小売販売高は、2017年、2018年と2年連続で回復はしているが、過去2年間の落ち込みがあまりに大きかったので、依然としてウクライナ危機前の2013年の水準を大きく下回っている、という結論になる。


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