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 昨日に引き続き、報告会「ウクライナとジョージアの最新情勢」用に準備した資料の中から、一部をお目にかけることにする。これまで個人的にジョージアの貿易データを分析したことなどなかったが、今回初めてそのデータを整理してみて、色々と認識を新たにさせられるところがあった。特に、ジョージアと言えばワインが名産ということで、ワインの輸出先を示した上掲のようなグラフを作成してみた。

 かつては、ロシアをはじめとする旧ソ連が、ジョージア・ワインの輸出先のほとんどを占めていた。ところが、ジョージアがロシアから離れEUへの接近を見せたことを受け、2000年代にロシアはジョージアのワインが衛生・品質基準を満たしていないとして輸入禁止措置を採り、ついには2008年のジョージア・ロシアの戦争が勃発し、ロシアへのワイン輸出は完全に途絶えていた。

 しかし、上掲のグラフに見るとおり、2013年にロシアがジョージア・ワインの輸入を解禁して復活、それ以降は再びロシアがジョージア・ワインの輸出先として圧倒的に大きな存在となっている。特に、2014年にロシアと欧米が制裁合戦を開始し、その一環としてロシアはワインを含む欧米産食品の輸入を禁止した状態にあるので、その要因もジョージア・ワインがロシアに再浸透することに繋がっていることだろう。

 一方、2014年のジョージア・EUの連合協定/FTA成立に伴い、ジョージアはEUに無税でワインを輸出できるようになったが、幾多の生産国がひしめくEU市場への浸透はそう簡単ではない。このグラフだけを見ると、ジョージアはEUよりもロシア・CIS諸国との関係を深めた方が経済的には得ではないかなどと、ついおせっかいなことを言いたくなる。

 上掲のグラフで、白い部分は、CISでもEUでもないその他世界である。ここ数年、ジョージア・ワインの輸出先で、その他世界も伸びつつある。特に中国向けが大きく伸びており、2018年1月にジョージア・中国のFTAが発効したことから、さらに伸びが期待できそうだ。今のところ、日本向けの輸出はそれほど大規模というわけではないが、日本でもジョージア・ワインの販路は広がっている模様。


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