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 というわけで、昨日のアエロフロート便で、東京からモスクワに飛んだ。機上で読んだのがこの本、孫崎享『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』(ちくま新書 905、2011年)である。中身は次のようなもの。

 海に囲まれた島国・日本にあっても、周辺には解決が困難な国境問題を抱えている。尖閣・竹島・北方領土。領土は魔物である。それが目を覚ますと、ナショナリズムが燃え上がる。経済的不利益に、自国の歴史を冒涜されたという思いも重なり、一触即発の事態に発展しやすい。突き詰めれば、戦争はほぼすべて領土問題に端を発する―。中ソ国境紛争やイラン・イラク戦争の現場に外交官として赴任、情報収集にあたり、その後、防衛大学校教授として日本の安全保障を研究・分析した外交と国防の大家が論点を腑分け。平和国家・日本の国益に適った戦略を明かす。

 実を言うと、この本は数年前に電子書籍で買い、ずっと私の電子書籍リーダーに入っていたのだが、私は電子書籍は休暇時に読むことが多く、休暇で読むにしては重いテーマなので、何年もiPad内積読されていたものである。それに、ウクライナ危機が起きた時の孫崎氏の評論に違和感を覚えたこともあって、少々読む気が失せたといった経緯もあった。

 しかし、今般ようやく重い腰を上げて読んだところ、これはなかなか素晴らしい本であり、もっと早く読めばよかったと感じた。たとえば、北方領土問題にしても、歴史的な経緯や交渉の過程といったものはもちろん重要だが、領土問題というものが持っているもっと本質的な部分というものがあり、それに関し個人的にこれまで漠然と考えていたことが本書によって非常にクリアになり、腑に落ちるところが大きかった。

 むろん、本書においては、日本の3大領土問題に関し、日本の公式的な立場とは異なる視点を提示し、相手国の立場もしっかりと踏まえようというスタンスがとられているので、反発を覚える日本人も多いことだろう。実際、Amazonの読者レビューを見ても、かなり評価が分かれている。いずれにしても、日本の領土問題に少しでも関心があるのなら、本書は必読であろう(何年間もほったらかしにしていた私が言うのはなんだが)。


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