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 ウクライナにつき、重要でありながら、これまで個人的に見逃しており、今回の現地調査で認識するに至った問題があったので、書き留めておく。

 ウクライナは、フランスに似たような感じの政治制度になっており、意外に中央集権的な国である。それを分権化していくというのが以前から懸案になっており、例のドンバス自治付与と直接関係するわけではないが、2014年のユーロマイダン革命後に、EUの技術支援も受けながら、地方分権化が実際に動き出した。その際に、隣接する地方自治体同士の自発的な合同と引き換えに自治を与えるという方式になっており、この間、一部自治体の合同と分権化が同時並行的に進んできた。

 複数の隣接自治体同士が自発的に合同し、新たな「合同地域体」を形成することは、こちらに見るとおり、2015年2月5日付のウクライナ法によって定められている。合同地域体は、ウクライナ語ではОб'єднана територіальна громадаと、ロシア語ではОбъединённая территориальная общинаと呼ぶ。ウィキペディアの解説によると、合同地域体は、行政中心が市に置かれている場合には市型の合同地域体と、町に置かれている場合には町型の合同地域体と、村に置かれている場合は村型の合同地域体と見なされる。2018年4月10日までに728の合同地域体が成立し、そこには630万人が居住している。合同地域体の数はさらに増えていく方向と思われる。

 ただし、私の理解する限りでは、日本の「平成の大合併」などとは異なり、ウクライナの合同地域体は、既存の市町村を廃止するわけではなく、それらを束ねる新たな枠組みを形成する、ということのようである。現に、統計集を紐解くと、ここ3年で合同地域体の数は急増しているのに、市町村の数は完全に横這いである。

 自発的な合同と引き換えに、合同地域体は、財政などの権限が拡大される。そして、従来ウクライナでは、州知事はもちろん、市町村レベルの首長に至るまですべて中央による任命だったのだが、合同地域体では住民が首長を直接選出できるようになる。すでに、2017年10月、12月、2018年4月に、合同地域体の議会および首長選挙が統一的に実施されている。


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