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 日本人なら思わず旨煮と表記したくなる、ウクライナのウマニという街がある。普段は目立たない小都市だが、実はウクライナのユダヤ人の歴史・文化においては聖地とも言うべき地である。詳しくは、近く刊行される『ウクライナを知るための65章』で赤尾光春さんという専門家が語っているので、ぜひそちらを参照していただきたいが、赤尾さんによると、ユダヤ教敬虔派ハシディズムの義人ブラツラフのラビ・ナフマンの墓がこの街にあり、そこへの巡礼がユダヤ人の伝統となっているという。ナフマン廟への巡礼はソ連崩壊後に解禁され、ユダヤ暦新年(ロシュ・ハシャナ)になるとウマニの一角はイスラエルや世界中から来た多数のユダヤ教徒で埋め尽くされるというのだ。

 それで、今回9月4日にキエフのボリスポリ空港に降り立ったところ、妙に正式な装束を身にまとった正統派のユダヤ人が多いのが目に付いた。しかも、彼らの多くは、カオスのようなパスポートコントロールの行列から解放され、荷物受取場に出ると、まず端の壁に向かい、熱心に祈りを唱え始めるのだ(上の写真がその様子)。エルサレムの嘆きの壁は有名だが、ボリスポリ空港の壁でも代用可能とは知らなかった。私は何人かに声をかけてウクライナ渡航目的を聞いてみたが、皆口々に「ウマニ」と答えていた。調べてみたところ、やはり本年は9月上旬のこの時期がまさに、ユダヤ暦新年(ロシュ・ハシャナ)に当たるということであり、ウマニで新年を迎えるためわざわざウクライナにやって来たということになる。


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