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 当ブログではフォローが遅れてしまったが、先日ロシアのベロウソフ大統領補佐官が、冶金、化学部門の大企業は輸出で膨大な超過利潤を得ているので、それらに対する大掛かりな課税を行うべきだと提案する動きがあった。それに関し、『プロフィール』誌のこちらのページに解説・論評記事が掲載されているので、一部を抄訳しておく。

 先日、大統領補佐官のベロウソフが、プーチン大統領に提出した書簡の内容が明らかになった。この文書は、冶金、化学、肥料メーカーへの課税を引き上げる内容で、具体的にはノヴォリペツク冶金コンビナート、セヴェルスターリ、マグニトゴルスク冶金コンビナート、メチェル、メタロインヴェスト、エヴラズ、ノリリスクニッケル、SUEK、アルロサ、ポリュス、フォスアグロ、ウラルカリ、アクロン、シブールが対象とされている。

 ベロウソフは、これらの企業の税負担は石油ガス部門に比べ低く、追加的に5,000億ルーブル(75億ドル)支払っても痛みはない、と主張している。

 ロシア産業・企業家同盟では、製造業部門と鉱業部門の売上・納税を対比するのは不適切だと反論。たとえば、化学・石化部門であれば、5つかそれ以上の技術的工程があるのが普通で、それにより原料よりも数倍高い製品が生まれる。しかも、ベロウソフの使用している企業財務データは、会社自身の財務報告と合わないと、同同盟では指摘する。

 セヴェルスターリのモルダショフ社長は、マントゥロフ産業・商業相に対し次のように訴えた。くだんの追加課税がなされれば、同社は投資プログラムを一時停止するだけでなく、縮小せざるをえなくなる。同社では過去10年で3,000億ルーブルを投資に向けてきたが、巨額の投資減を迫られることになるだろう。鉄鋼業と石油採掘を同列に比較するのは無理であり、石油採掘が国民財産である石油資源に依拠しており、しかも石油採掘では付加価値の要因が小さく、だからこそ同部門では課税額が大きくなっている。一方、鉄鋼業の売上では付加価値の割合が大きく、それは労働生産性の向上とコスト削減のための技術近代化によって達成されるものだ。今回のベロウソフの提案は、生産近代化、労働生産性向上への意欲を殺ぐことになり、冶金産業だけでなくロシア経済全体が不利益を被る。モルダショフはこのように主張する。

 これに対し、アリパリ社のアナリストであるトカチュークによれば、冶金および化学部門の超過利潤に対する増税の問題は以前から議論されている。これら部門の税負担率が7~9%であるのに対し、石油ガス部門では20~30%に及ぶ。ロシアではこれまでの経緯で主に石油ガス部門が税負担を引き受けてきたが、現在のロシアは困難な情勢で、課税負担をより多くの企業・市民が担うべき時である。石油ガスに次ぐ規模を誇るのが冶金なので、次に負担を負うのが冶金部門になるのは理に適っている。これまで様々な案が検討され実現しなかったが、ベロウソフ案は選択肢の一つだ。しかも、提案の対象は大企業だけで、中小企業は影響を受けず、課税は財政歳入と5月大統領令の実施に充てられるわけで、理に適っている。ベロウソフの提案している課税規模は吸収可能であり、現にリストにある企業の2015年のEBITDAは1.5兆ルーブルと膨大な額に上っている。ただし、ベロウソフは売上、課税率、EBITDAという3つの指標のみで課税すべき規模を算出しており、それだと効率の良い会社ほど多く納税すべきだということになってしまい、矛盾をはらんでいることは事実である。冶金企業にとってみれば、欧米の制裁と増税のダブルパンチである。あるいは政権側はこの案をリークして、経済界や社会の反応を見ているのかもしれない。今後議論となるだろうが、課税するにしても最終的にはその規模が縮小する可能性はある。トカチュークはこのような見方を示した。


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