ac

 ウクライナの民間シンクタンクであるラズムコフ・センターは、『国家安全保障と国防』という雑誌を定期的に刊行しているが、その2017年第3-4号を見ていたら、興味深いくだりがあった。同センターでは2017年10~11月にウクライナ最高会議議員45名を対象にアンケート調査を実施したということであり、その一環として、「以下の諸問題の中で、貴方が最も喫緊と思うものはどれか?」ということを問うていて、その回答状況をまとめたのが上表である。表の見方は、一番左の列が「最も喫緊の問題」、中央の列が「2番目に喫緊の問題」、右列が「3番目に喫緊の問題」となっている。そして、回答は上から、ドンバスの内戦、汚職対策、非集権化、非効率的な国の保健制度、欧州統合、過度な税負担、公職者・公務員の政治的な理由による追放、外国人への土地所有権の許可、クリミアのウクライナへの奪還、民営化、国の経済への介入の制限、等々と続いている。

 非常に顕著なのは、最も喫緊の問題としてドンバスを挙げた議員が46.7%と多かった一方、クリミアを挙げた議員は1人もいなかったことである。ただし、クリミアは2番目に喫緊という回答が11.1%、3番目に喫緊という回答が11.1%と、かなり多い。つまり、今も差し迫った問題であるドンバスに対し、クリミアはロシアが完全に掌中に収め、粛々と実効支配を進めているので、重大ではあるが、今すぐにどうこうできるような問題ではないことを、議員たちが認めているということであろう。もう一つ、欧州統合がそれほど喫緊と受け止められていないというのも、興味深い数字だ。アンケート参加者が45人と少ないのが残念だが、まあウクライナ政界の空気を反映した数字であることは間違いなさそうだ。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ