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 7月16日にヘルシンキで開催された米ロ首脳会談を受け、7月23日~8月19日付の『エスクペルト』誌が特殊記事を掲載している。この中で、D.エフスタフィエフという学者が執筆している論評の中に、今後、ロシアと米国が中長期的に関係を構築していく上で柱となりうる5項目というものが掲げられている。それを整理・要約すると、以下のとおりである。

  1. 戦略的な安定性。米ロ両国にとって、核兵器をはじめとする軍事力の新たなルールは必要。軍事力を個々の協定でコントロールすることは生産的でなくなっており、米ロが主導する形でグローバルな戦略的安定性の包括的な概念を策定することが求められ、その後それに中国も加わるようなことが考えられる。
  2. 米ドルをグローバルな金融システムの基盤として保持すること。米国にとっては、中国やロシアが自らの影響下にある経済空間を非ドル化しようとしていることは不都合。中ロ等がそうした試みを手控える代わりに、トランプが何らかの見返りを提案できるかというのが焦点。
  3. 炭化水素資源市場における新たなグローバル秩序。炭化水素資源市場の価格破壊は、サウジアラビアやロシアにとってと同等に、米国のシェール業者にとっても痛手。ロシアにとっても、現状のOPECとのカルテルから、一連の機械分野での米国との協力にシフトすることは有益。トランプが内政面で新たな力関係を築けるかが鍵。
  4. アジアにおける軍事的・政治的安定性。東方シフトを進めるロシアにとってアジアの安定は必須。その際に、2016~2018年の動きから見ると、東アジアの安定は巷間言われていたように中国ではなく、今のところ米国にかかっている。したがってロシアは、米中対話、場合によっては上海協力機構などの地域の既存枠組みの協議に米国が参加することも歓迎する。
  5. サイバー安全保障。サイバー空間で仁義なき戦いを始めたのは米国側だったが、それが制御不能になり、米国自身が困惑している状況にある。

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