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 実は6月の学会でロシアと中国の鉄鋼業を比較するという報告をすることになり、それに向けてこんな図を作ってみた。鉄鋼貿易を分析する際には、商品を半製品、鋼板(フラット製品)、条鋼(棒鋼、線材、形鋼などのロング製品)、鋼管、ステンレス鋼に分類するのが一般的である。図ではその分類に沿って世界の主要国の鉄鋼輸出の内訳を示している。その際に、最も重要なのは、半製品と、それ以外の完成鋼材という区分である。半製品とは、スラブ、ビレット、ブルームなどの鋼片のことであり、それ自体が最終的な商品なのではなく、それをさらに圧延して最終商品を仕上げるための中間段階の素材にすぎない。中国とロシアを比較すると、ロシアの鉄鋼輸出に占める半製品の比率が、一貫してきわめて高いことが顕著である。ロシアの鉄鋼メーカーは欧米に下工程の圧延子会社を有しているところもあり、そうした自社工場向けを含め、大量に半製品を輸出している。ロシアは世界最大の鉄鋼半製品輸出国となっており、現状では世界の半製品輸出の3割ほどはロシアによるものである。世界の主要国の中で、こうした半製品中心の特異な輸出構造を有するのは、ロシアのほかにはウクライナ、ブラジルくらいである。それに対し、中国も2008年頃までは半製品を盛んに輸出していたものの、その後は完成鋼材にシフトし、現状では半製品輸出はほぼ皆無となっている。


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