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 ウクライナは黒海という海に面しているが、その割には、ウクライナの漁業といったことが話題に上ることは少ない。それもそのはずであり、黒海・アゾフ海の漁獲高は世界全体の0.4%を占めているにすぎず 、ごく一部の地元民にとってのローカルな意義しか有していないのである。黒海・アゾフ海の漁獲高は1980年代がピークで、ソ連の崩壊に伴いロシア・ウクライナの漁獲高が低下したことを受け、近年ではピーク時の半分以下の水準となっている。環境汚染による水産資源の減少も背景にある。ちなみに、国別に見ると、1980年代以降、トルコが一貫して黒海における最大の漁業国となっている。なお、以上は拙稿「輸送・商品・エネルギーの経済関係 ―ロシアとウクライナの角逐を中心に」六鹿茂夫(編)『黒海地域の国際関係』(名古屋大学出版会、2017年)で論じたことである。

 さて、そんな地味なウクライナの漁業であるが、珍しくこちらの記事がそれについて伝えている。これによると、ウクライナの魚・水産物の水揚高は2013年までは年間22万t前後だったが、ロシアがクリミアを併合してしまった結果、直近では9万tにまで減少している。生産減に反比例して輸入が伸び、現在は年間30万~32万tの輸入を余儀なくされている、ということである。


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