1481820472

 世界に迷惑をかけている度合いからすれば北朝鮮よりも深刻かもしれない米トランプ政権が、鉄鋼輸入に25%の関税を導入する意向を表明している件。こちらの記事で、ロシアへの影響の可能性が論じられている。以下要旨をまとめておく。

 ロシアの鉄鋼大手の多くは、米トランプ政権の関税方針にどう対応したらいいか、決めかねている。その原因は、まだ先行きが不明確であり、ロシアのメーカーが得をするのか損をするのかも不明なことだ。

 ロシアのメーカーによっても、状況が異なる。マグニトゴルスク冶金コンビナートは、そもそも米国に輸出していない。セヴェルスターリも米国市場は重視しておらず、2017年の売上に占める米国の比率は2%にすぎなかったので、関税が導入されても容易に他市場にシフトできるとしている。

 一方、ノヴォリペツク冶金コンビナートの在米工場は、2017年に62.3万tの粗鋼を生産し、223.9万tの鋼材を販売した(同社の販売の13%に相当)。また、エヴラズ北米法人のEvraz North Americaは米国とカナダの工場で2017年に175万tの粗鋼(同社の生産の12.5%)、185万tの鋼材を生産した。

 これらの米国での生産は現地生産なので、輸入関税の導入でむしろ得をする。ただし、生産に用いる原料および半製品(スラブ)の一部は、主にロシアから輸入しており、それらに対する関税がどうなるのか、現時点では不透明だ。トランプ政権は原料や半製品については明言していないし、NAFTA諸国からの供給が例外扱いされるのかも明らかにされていない。米国への鉄鋼の最大の輸出国はカナダであり、ブラジルとロシアは主に半製品を輸出している。2017年の対米半製品輸出は、ブラジルが380万t、ロシアが210万tだった。

 ノヴォリペツクの場合、在米工場で230万tの圧延鋼材を生産するために、ロシア工場で生産された150万tのスラブを使っている。さらに80万tの粗鋼が電炉で現地生産されており、そこではロシア産の銑鉄45万tも原料として使われている。

 エヴラズはロシアから米国工場に年間50万tのスラブを供給しており、それによりスラブ需要の20%を賄っている。また、エヴラズのカナダ工場から米国に年間20万~30万tの鋼管を供給している。25%関税導入のあかつきには、付加価値の低い半製品を米国に供給し、それを自社工場でより付加価値の高い製品に加工するビジネスが、より有利になる。

 2月にノヴォリペツクのO.バグリン社長は、米国の決定に応じて、いくつかの対応策を用意していると発言した。具体的には、ロシアから半製品を供給して米国での圧延を継続するか、関税の対象とならない地域からの供給に切り替えるか、米国内で原料を探すかのいずれかである。

 コンサル会社のWood Mackenzieでは、仮にスラブに25%の関税が課されたとしても、ロシアから米国へのスラブ供給に大きな影響はないだろうと予測する。25%の関税が乗ったとしても、米国での相場よりもまだ割安で、輸送費を考慮に入れても、依然としてロシアからの供給は米国産スラブに比べて優位があると、同社は指摘する。別のコンサル会社のVTBカピタルでも、エヴラズの追加コストは4,000万ドルに、ノヴォリペツクのそれは1.5億ドルに達するが、関税の導入により製品価格が上昇し稼働率も上がることから、元が取れる以上の効果があると見ている。

 他方、セヴェルスターリなどはわずかな量をはいえロール製品を米国に売っており、仮に高関税によって米国市場から締め出されると、その他の市場にシフトせざるをえず、そうなるとその米国以外の市場における競争が激化するという可能性は考えられるという。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ