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 先日のエントリーで、上掲のような表をお目にかけた。これは2017年のロシアのGDPにつき各支出項目の前年比伸び率を見たものであり、これによれば輸出は前年比5.4%増、輸入は前年比17.0%増となっている。

 一方、ロシア中央銀行が2月9日に発表した貿易データを眺めてみたところ、だいぶニュアンスの異なる数字を目にした。これは商品に限った貿易であるが(サービスを除く)、中銀によれば、2017年のロシアの輸出は3,531億ドルで前年比25.3%増、輸入は2,378億ドルで前年比24.1%増であった。輸出の伸びの方が輸入のそれをわずかながら上回っている。

 これが意味することは、1つしかない。それは、2017年の輸出増は、主として石油・ガスの輸出価格の上昇によって達成された、ということだろう。GDP統計では、輸出価格が上昇してもデフレートして実質の伸びが弾き出されるので、その結果、上表のように輸出の伸びは5.4%とわずかになっているのだろう。一方、輸入に関しては、実際に輸入の数量もかなり増えた、ということだったと解釈できる。

 この間、プーチン政権は輸入代替、非資源輸出の拡大を推進し、むろん個々の事例では成功例もあるだろう。しかし、2017年の輸出入の数字を見ていると、「結局は元の木阿弥で石油・ガス頼りなのか」という諦念をつい抱いてしまいたくなる。いやまあ、経済的には別にそれでいいんだけれど、少なくともロシア当局は経済および貿易の多角化・高度化を目指しているわけで、その目標に近付いているのかというと心許ない。


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