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 ロシアのエネルギー部門に関しては、複数の政策綱領的な文書があり、しかもそれぞれの採択や発表の経緯が複雑という問題がある。ここでそれを整理しておきたい。

 第1に、「ロシアのエネルギー安全保障ドクトリン」という文書が存在していることが知られている。しかし、その最新版は、2012年11月29日付で大統領によって正式に採択されたと伝えられているものの、私がざっと調べた限り、テキストが一般に公開はされていないようだ。機微な内容を含むのかもしれないが、テキストを公表しないで、何のドクトリンか?という疑問も覚える。

 第2に、「ロシア・エネルギー戦略」という政策文書がある。こちらのページに見るように、今現在生きているのは、2009年に政府が採択した2030年までの戦略である。しかし、ロシア政府はその後、少なくとも3年くらい前から、2035年までの戦略を新たに策定する作業に取り組んでおり、何度かその草案を公表している。私が確認した限り、最新の草案は、2017年2月1日に発表されたこちらのバージョンだと思う。それにしても、エネルギーという重要部門ゆえに慎重を期し、情勢変化などもあるというのは分からないでもないが、「戦略」の策定に3年以上かけるというのはどうかと思うし、そうこうするうちに2035年になっちゃうよと、ツッコミたくなる。

 参考までに、その最新版の草案では、ロシアの石油および天然ガスの生産見通しが、上図のように示されている。石油は良くて現状維持、天然ガスは増産基調という予測になっている。ちなみに、2014年版の草案と比べると、石油の見通しは上方修正、天然ガスは下方修正されている。

 第3に、ロシア連邦国家プログラム「エネルギー効率およびエネルギーの発展」という政策文書がある。この文書も経緯が複雑で、私が調べた限りでは、まず2013年4月3日付の政府指令で採択された。しかし、わずか1年後、2014年4月15日の政府決定で、2013年版は破棄され、新版が採択された。その後、2015年12月7日付政府決定、さらに2017年3月31日付の政府決定によって2014年版が修正され、今日に至るという経緯である。最新版のPDFはこちらからダウンロードできる。しかし、ロシア・エネルギー戦略の最新草案と、国家プログラム「エネルギー効率およびエネルギーの発展」の最新版では、天然ガスの生産見通しの数字が異なっている。同じエネルギー省の管轄なんですけどねえ。


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