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 こちらなどが伝えているとおり、EUの議会にあたる欧州議会は6月1日、EU市場に関税なしで輸入できるウクライナ産農産物の枠を、拡大することを可決した。本件は昨年9月に欧州委員会が承認し、議会の審議にかけられていたもので、5月5日に欧州議会の国際貿易委員会が可決、そして今回の本会議の可決を経て、今後は欧州連合理事会が最終的に承認し、発効することとなる。本件については、個人的に以前から注視していたものの、理解していなかった点もあるので、この機会にまとめておく。こちらのサイトで、ウクライナ農業省の欧州統合問題担当次官のO.トロフィムツェヴァが解説しているので、主にそれにもとづいて整理しておく。

 トロフィムツェヴァ次官によれば、EU側が無税枠を拡大するのは、ぶどう・りんごジュース、はちみつ、とうもろこし、大麦、オーツ、穀物の挽き割りに対してである。ジュースとはちみつは従来の上限の50%分が、その他の品目については100%分が、新たな無税枠として追加される。これは3年間の時限的な措置となる。なお、ウクライナ側が枠の拡大を求めていた品目のうち、鳥肉と砂糖は交渉の初期段階で却下され、小麦と加工トマトは欧州議会の審議段階で却下された(注:上の図はまだ小麦と加工トマトが生き残っていた段階のもの)。EUの設定する関税割当は連合協定に数量が明記されており、今回の措置は協定を見直すわけではなく、あくまでもEU側による一方的な追加的優遇措置であり、したがってウクライナ側が何らかの見返りを求められるものではない。ウクライナ農業省の試算によれば、無税枠の拡大によって、年間1.8億ドルを得ることになり、3年間では5億ドル程度の利得となる。今後も、他の品目に対して無税枠が拡大される可能性もないわけではないが、それはもはやEU側による一方的な優遇措置というよりも、EUとのDCFTA発効3年後に見直し交渉をすることになっているので、その一環として交渉されることになろう。連合協定の経済条項が発効したのが2016年1月なので、1年半後にはその交渉に着手することが可能で、我々はその準備を進めておかなければならない。次官は以上のように説明している。


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