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 旧ソ連諸国のサッカー会場には従来、明らかな短所と明らかな長所があった。

 短所は、サッカー専用スタジアムがほぼ存在せず、トラック付きの陸上競技場でサッカーの試合が開催され、これが臨場感を損なっていたことである。他方で、長所は、そうした陸上競技場は、ほとんどの場合、街のど真ん中に位置しており、交通が至便だったことである。実際、旧ソ連の地方都市に行くと、スタジアムの名前が「ツェントラーリヌィ」(「中央」という意味)であるケースが少なくない。旧ソ連の地方都市は画一的で味気ないが、スタジアムの立地だけはソ連の都市計画の画一性に感謝すべき状況だった。

 ただ、ウクライナでは、ユーロ2012に向け、リヴィウとドネツィクで立派なサッカー専用スタジアムが完成した(後者は紛争で破壊されてしまったが)。ロシアでも、2018年のワールドカップに向け、続々と専スタが誕生している。恐らく、現時点で、世界の中で最もすごい勢いでサッカー専用スタジアムが誕生しているのが、ロシアという国である。何しろ、ワールドカップ向けの12会場はすべてサッカー専用であり、それ以外にもモスクワの各クラブの自前専スタが3つほどある(建設中含む)。

 しかし、そうした新しい専スタは遊休地に建設せざるをえないので、従来の街の真ん中にあった陸上競技場と異なり、どうしても交通の便が悪くなる。これは、日本のサッカー場がたいてい交通の便が悪いのと同じ問題である(日本ではサッカーは後発の文化なので)。

 それで、今般気付いたのは、こちらの記事などに見るように、どうもサンクトペテルブルグの新サッカースタジアムである「ゼニト・アレーナ」が、かなり交通の便が悪そうだということである。同スタジアムは島というか川の中州のようなところに誕生したのだが、最寄りの地下鉄駅から2.7kmあり、歩くと30分くらいかかる。しかも、大イベント開催時には、人ごみで進むのが遅くなるし、道中の警備を厳重にやるはずなので、余計にノロノロになりそうである。自家用車で付近まで行こうとしても、橋が渋滞したり閉鎖されたりといったことがありそうで、まずやめた方がよさそうだ。

 近く、ワールドカップのプレ大会として、コンフェデが開催され、ゼニト・アレーナでロシアVSニュージーランドの開幕戦が行われる。大イベントで同スタジアムが使われるのは初めてなので、導線の課題などがここで浮き彫りになってくるはずである。


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