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 別に新しい情報ではないが、個人的なまとめ作業。2016年4月6日にオランダの国民投票でEU・ウクライナ連合協定の批准が否決され(拘束力はない)、同協定をめぐる状況が袋小路に陥り、EU側は対ウクライナ関係をトーンダウンさせることで、本件収拾を図った。すなわち、2016年12月15日に開催されたEU首脳会議で、連合協定に制限事項を明記することで合意したものである。その合意点は、こちらのサイトに見るように、同日付の欧州理事会決定の付属文書として発表された。以下ではその付属文書にある合意(Decision)を翻訳しておく。

欧州連合、欧州原子力共同体およびその加盟諸国とウクライナとの間の連合協定に関する、欧州連合加盟28ヵ国元首または政府長と、欧州理事会会合の決定

 欧州連合、欧州原子力共同体およびその加盟諸国とウクライナとの間の連合協定にその政府が署名した欧州連合加盟28ヵ国元首または政府長は、

 EU・ウクライナ連合協定批准法案に関する2016年4月6日のオランダ国民投票の結果と、オランダ王国首相によって国民投票に先立ち表明された懸念に留意し、

 EU・ウクライナ連合協定およびEUの諸条約を完全に遵守し、そしてウクライナとの関係を深めたいとのEUの目標に沿いつつ、これらの懸念に対応することを望み、

 2016年12月15日付の欧州理事会の結論を重んじ、

 共通理解として以下のことを決定した。それは、オランダ王国が連合協定を批准し、欧州連合が批准作業を完了したことをもって発効する。

 A.共通の価値にもとづいて連合協定の当事者間の緊密で持続的な関係を構築することを目標としつつ、連合協定はウクライナにEU加盟候補国としての資格を与えるものではなく、将来においてウクライナにそのような資格を与えるコミットメントを成すものでもない。

 B.連合協定は、安全保障、とりわけ紛争回避、危機管理、大量破壊兵器の不拡散といった分野でのウクライナとの協力関係を再確認するものである。それは、EUおよびその加盟諸国に、ウクライナに集団安全保障またはその他の軍事援助・支援を提供することを義務付けるものではない。

 C.連合協定は、市民の移動性を高めるという目標を掲げてはいるものの、ウクライナ市民とEU市民の相互に、互いの領土内で自由に居住・労働する権利を付与するものではない。連合協定は、被雇用か自己雇用であるかにかかわりなく、EU加盟諸国の領土で求職するウクライナ国民への許可割当を決定するEU加盟諸国の権利に影響を及ぼすものではない。

 D.連合協定は、ウクライナにおける改革プロセスを支援するEUのコミットメントを再確認するものである。連合協定は、EU加盟諸国のウクライナに対する追加的な金融支援を求めるものではなく、二国間の金融支援の性格と規模を決定するEU加盟各国の独占的な権利を変更するものでもない。

 E.腐敗との闘争は、連合協定の両当事者間の関係を高める上で、中心的である。連合協定の下で両当事者は、民間および公的の両セクターにおいて、腐敗と闘争しそれを防止する上で協力することになる。法の支配に関連した両当事者間の協力は、とりわけ、司法の強化、その効率の改善、その独立と公平性の確保、腐敗との闘争に向けられる。

 F.民主的諸原則、人権および基本的な自由の尊重、上記E項で言及されたものをはじめとする法の支配の尊重は、連合協定の本質的な要素である。両当事者はそれらの義務の完全な履行を要請され、その履行と執行はモニターされることになる。義務が不履行となった場合には、各当事者は連合協定第478条に則って適切な措置をとりうる。適切な措置の選択に当たっては、連合協定の機能を乱すことが最も少ないものが優先される。これらの措置は、やむをえない場合には、連合協定の条項で規定された権利・義務の停止を含みうる。


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