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1481350020 ウクライナの中銀総裁はヴァレリヤ・ホンタレヴァ(写真参照、ロシア語ではヴァレリヤ・ゴンタレヴァ)という女性が2014年6月19日から務めてきた。しかし、汚職容疑を追及されるなどして窮地に陥り、4月10日に辞意を表明した。最高会議の議決を経て、退任が正式に決定する運び。ただ、ウクライナではありがちなことに、本件は完全に政争の具となっており、様々な議論が飛び交っている。

 こちらに見るとおり、金融専門家のセルヒー・フルサ氏は、「我々はホンタレヴァに感謝しなければならない」と主張している。フルサによれば、ホンタレヴァは中銀そのものと銀行セクターの改革をかつてなく大胆に推し進めた功労者である。ただ、痛みを伴う改革ゆえに敵も作り、オリガルヒの保有するマスコミでバッシングを受けることになった。IMFや国際金融筋は、ホンタレヴァを賞賛していた。ホンタレヴァが、一時的なやむをえない行政措置から卒業でき、彼女本来の哲学である自由化に向かえればよかったのだが、改革がそこまで貫徹できなかったのは残念。ホンタレヴァの厳格な通貨政策のお陰でベネズエラのような泥沼に陥らなかったことに感謝したい。ゾンビ銀行を淘汰した政策も正しかった。フルサ氏は概略以上のように訴えている。

 一方、こちらでは、ウクライナの政治評論家のルスラン・ボルトニクが、ホンタレヴァについて批判的に論評している。いわく、ホンタレヴァの退任はだいぶ以前から取り沙汰されていた。彼女は政界での信用を完全に失っただけでなく、肝心なことには、ポロシェンコ大統領の支持も失っていた。彼女の腐敗疑惑が数多く噴出したのは、まさにそれに関連している。西側パートナーの影響下にある「国民腐敗対策局」だけでなく、大統領の影響下にあるウクライナ検察庁からも、批判にさらされていた。過去数ヵ月、政権中枢から、ホンタレヴァに辞任を仕向けようという働きかけが続いてきた。その際に、彼女は職務上、政権幹部の不都合な情報を握っているので、特定のスキャンダルを理由に解任するということは避けたかった。他方、もう一つの考えられるシナリオとして、現在ウクライナでは連立の組み替えに関する交渉が進んでおり、急進党あたりが連立に復帰する可能性があるが、その際に取引材料として中銀総裁ポストを使う可能性があり、そのためにホンタレヴァに退任を依頼したということも考えられる。

 こちらでは、経済評論家のオレクサンドル・オフリメンコが、ホンタレヴァの仕事について批判している。オフリメンコいわく、彼女の仕事の評価はとても簡単で、結果は銀行システムの焼け野原だ。彼女以前にはどうにかこうにか機能していた銀行システムが、現時点では完全に崩壊している。彼女の下で、外為市場は実質的に闇市場化し、融資は機能せず、国民は銀行を信用しなくなった。今後は、5年ほどで銀行システムを再興できるような優秀な専門家を総裁に据えるべきだ。人選は全面的にポロシェンコ大統領にかかっている。オフリメンコはこのようにコメントした。

 関連して、ウクライナの銀行数の減少を示した上掲の図は、こちらから拝借した。


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