2020-3-638

 だいぶ古い情報になってしまうが、こちらに見るとおり、ロシア・コメルサント出版の『ジェーニギ』誌が2016年2月29日号において、「ロシアの輸入代替に関する10の神話」という記事を掲載している。執筆しているのは、「実業ロシア」の共同議長であるアントン・ダニロフ=ダニリヤンと、産業・商業省のグレブ・ニキチン第一次官。この両名はロシアの輸入代替政策に関する論客としてたびたび名前が登場し、この「10の神話」という話もあちこちで披露しているようである。両名が挙げている10の神話と、それぞれについての反論は、以下のとおりである。

  1. ロシアはありとあらゆる品目を輸入代替しようとしている。 → 現在ロシアが輸入している商品のうち、近い将来に国産化して経済的に成り立ちうるのは、せいぜい3分の1程度。
  2. ロシアから外国資本を締め出そうとしている。 → むしろ、外国資本を誘致してロシア国産化を進める。
  3. 輸入代替は不可避的に保護主義を伴う。 → どちらかと言えば自然発生的で、自由貿易の結果。保護主義はせいぜい政府発注で発揮されるだけ。
  4. 輸入代替と特別投資契約は競争を阻害する。 → むしろ新たな生産により競争が増大する。
  5. 輸入代替は、税金の無駄遣いだ。 → 輸入代替プロジェクトの投資総額に占める産業発展基金の比率は大きくなく、大部分が民間の自己資金。
  6. 輸入代替は、ロシアの消費者に質の悪い製品を押し付けることになる。 → 国産品の質が悪いというのはソ連時代のステレオタイプで、競争の激しい今日では性能の高い設備で生産されている。
  7. 輸入代替支援は、過去の技術への支援なのではないか。 → むしろ将来の技術への支援だ。
  8. 銀行から融資を断られたプロジェクトを支援しているのではないか。 → 現在のロシアの条件では、プロジェクトが有望でも銀行融資を受けるのが難しい現実があり、国の支援が必要。
  9. たとえ輸入代替が実現したプロジェクトでも、輸出に転じるのは無理。 → 実際には「輸出志向輸入代替」が活発化している。
  10. ルーブルが再び強くなったら、輸入代替の試みは水泡に帰す。 → 制裁と石油安は長く続きそうであり、輸入代替の余地は大きい。
2020-4-638

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