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 こちらのサイトに、ドンバス紛争とオリガルヒのリナト・アフメトフ氏のかかわりについて論じた論考が掲載されているので、その要旨を以下のとおりまとめておく。

 ドネツィク人民共和国、ルハンシク人民共和国は、ウクライナ側によるドンバス封鎖の解除を求めていたが、期限として設けていた2月27日までに解除されなかったので、3月1日に在ドンバス企業に対する外部管理に踏み切った。ドネツィク人民共和国のトップであるザハルチェンコによれば、これまで企業がウクライナ側に納税していたのか、人民共和国側に納税していたのかを精査し、前者の場合には人民共和国への登記変更を行い人民共和国に納税する必要があるという。

 ドンバスの占領地には、アフメトフ氏のSCM傘下のDTEK、メトインヴェストに属す企業が47社所在する。メトインヴェスト系で主なものには、カリミウシケ(旧コムソモリシケ)鉱山管理局(上掲写真)、ハルツィシク鋼管工場、エナキエヴェ冶金工場がある。DTEKはドンバスに火力発電所複数を抱えている。ドンバス占領地にあるメトインヴェストの鉱山冶金企業は、年間15億ドルの輸出収入をもたらしているほか、ウクライナ本土の企業もその供給に依存している。たとえば、クラスノドンヴヒーリャからの石炭供給が途絶えると、ウクライナのコークス化学工場におけるコークス生産が年間100万t低下する。また、カリミウシケからの石灰の供給が止まると、マリウポリとザポリージャの製鉄所も被害を被る。ドンバス企業の停止によるメトインヴェストの外貨収入喪失額は年間24億ドルに、雇用の喪失は4.5万人に達する恐れがあるという。アフメトフが保有するウクルテレコムのドネツィク事務所も3月1日に事業を停止し、通話やネットアクセスの停止で20万人が影響を被る。2014年以来人道支援の拠点として用いられていたドンバス・アレーナも、封鎖された状態にある。

 紛争が始まって以来、両人民共和国の指導部とアフメトフがこれほど大掛かりに対立するのは、初めてのことである。アフメトフは過去3年、人民共和国とウクライナ政府の間でバランスを取ろうとし、最低でも自分の資産を守り、あわよくば両者の仲介役として株を上げようとした。しかし、すぐに関係は悪化し、アフメトフ派の人材が両人民共和国の要職から排除された。アフメトフに近いヴォストーク大隊のホダコウシキー司令官は、ザハルチェンコに敵対する立場に転じ、ドンバスをロシアに編入すべきという立場に転じているが、ドネツィク人民共和国指導部には入っていない。

 かくしてドネツィク人民共和国は実質的に、アフメトフとの間に形成されていた非公式な関係の見直しに着手した。これまでアフメトフはドンバス住民を支援し、地域を資金的に回す役割を担わざるをえなかったが、ここに来ての情勢緊迫化で、アフメトフ系の企業が非公式な形で地域を支え続けることが難しくなっている。人民共和国当局が、国有化はせず、外部管理に留めていることは、アフメトフが当地の資産を保全するために、彼により厳しい条件を押し付けていることを意味する。妥協の余地がある反面、アフメトフが企業に対する管理を完全に失うリスクもある。ドネツィク人民共和国側もフリーハンドではなく、アフメトフの企業が供給する原料に依存しており、生産の全面的停止、社会破綻の脅威がある。ロシアから原料を調達する構えも見せているが、それには時間がかかりすぎ、制裁の対象になりかねないためロシア企業が供給に応じるとは思えず、これは脅しの試みだろう。ロシア市場を製品の販路にできるとも思えない。

 ロシア側では、両人民共和国の独立を承認する問題が取り沙汰されることが増えてきている。仮にそうなれば、2008年にアブハジアおよび南オセチアでやったのと同じシナリオになるが、実際にはロシアはドンバスについては最初から沿ドニエストル・シナリオを選んでいたように思われる。ロシアがドンバスの独立を認めると、ウクライナの対外政策の手足を縛る圧力のテコを失ってしまう。ドンバスが独立すれば、ウクライナは地政学的により一層西側一辺倒の国になってしまい、それはロシアの利益にそぐわないし、ミンスク合意が最終的に破綻し、西側がロシア包囲網をより一層強めることになりかねない。


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