kikai

 ロシアは、旧ソ連の独立国家共同体(CIS)諸国の中では先進的な存在と位置付けられるが、経済の先進度を測る初歩的な指標の機械貿易において意外にも、数年前まで域内の取引が赤字だった。しかし、ウクライナ危機以降は、黒字に転じている。

 その状況を、ロシア連邦関税局の貿易データにもとづいて図示したのが、上図である。HSコード84~90の機械類の貿易につき、対CIS取引の輸出入から収支を算出すると、2012年時点で56億ドルあまりの赤字であった。その際に、CIS諸国の中でも、ロシアにとっての入超の相手国は、ウクライナとベラルーシにほぼ限られた(厳密に言えば、ウズベキスタンとの関係でも2012~2013年は小幅な入超であり、これはウズベキスタンからの小型乗用車の輸出という個別的な事情によるものである)。ロシアとウクライナ・ベラルーシとの間では、技術レベルが概ね似通っており、機械貿易の水平分業が成り立っていたが、ただしロシア経済が石油・ガスなどに偏重している分、ウクライナ・ベラルーシの方が製造業に特化する度合いが強くなり、その結果、機械貿易ではロシア側の入超だった。おそらく、これが大まかな構図ではないかと思われる。

 しかし、2013~2014年からウクライナ危機が発生し、ロシアとウクライナの政治関係が悪化、ロシア・ルーブルが下落、ロシア政府が輸入代替政策を推進、といった大きな情勢変化が生じた。その結果、ロシアの対ウクライナ機械貿易赤字は、大幅に縮小した。それに伴い、ロシアの対CIS機械貿易の収支も、黒字に転換していった。一方、ベラルーシはユーラシア経済連合に加入しロシアの統合パートナーに留まっているものの、当ブログでも累次報告しているように、ロシアとの関係はぎくしゃくしており、ロシア市場の冷え込みもあって、思うように対ロシア輸出増を果たせていない。


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