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 こちらに出ているウクライナ石油精製業の動向をごく簡単に整理しておくと、ウクライナでは石油精製業が2000年代半ばから一貫して危機的状況にあり、現時点で実質的に稼働している製油所は2箇所しかない。具体的には、プリヴァト財閥系のウクルタトナフタ傘下のクレメンチューク製油所と、ハルキウ州にあるシェベリンカ・ガス精製工場である。

 2016年1~7月にはウクライナに30.1万t、9,160万ドル分の原油が輸入された。主な輸出国はカザフスタンとルーマニア。クリミアとドンバス占領地を除くウクライナ国内の原油採掘は2016年1~7月に11.9%低下し、95.8万tとなった。2016年1~6月のガスコンデンセートの採掘は5.5%減の31.5万tだった。2015年の原油採掘は11.8%減の180万t、ガスコンデンセートの採掘は6.8%減の65.6万tだった。

 2016年1~7月にはシェベリンカ・ガス精製工場で9.7万tのガソリン(13.2%増)、7.6万tの軽油(20.5%増)、3.2万tの重油(2.9%増)が生産された。2015年にはそれぞれ17.7万t(13.8%減)、10.9万t(8.3%減)、5.5万t(2.4%増)であった。同工場では低品質のユーロ2製品の生産を取りやめ、ユーロ4に移行する作業を進めている。2016年春にはガソリンで、8月には軽油でその転換が終わり、9月からは白油すべてがユーロ4に移行することになっている。

 クレメンチューク製油所では、2016年上半期に、29.7万tのガソリン(24%増)、25.6万tの軽油(10.7%増)、7.8万tのジェット燃料(?、27.6%増)、16.2万tの重油(0.8%減)が生産された。2014~2015年の生産実績は明らかでないが、2015年9月からカザフ原油の供給が始まり、生産増に転じたとされている。プリヴァト傘下の他の2つの製油所は操業を停止している。

 ロシアのロスネフチの傘下にあるルハンシク州のリシチャンシク製油所は、2012年から不採算を理由に操業を停止している。ドンバス紛争の破壊も被った。地元行政では、2016年7月からポリプロピレンの生産が始まるとしていたが、現時点ではまだ実現していない。

 ヘルソン製油所は、コンチニウム財閥の所有となっているが、かなり以前から、生産アセットとは見なされておらず、どちらかというと、ここを基盤に新たな製油所を建設する敷地と見なされている。ナサリク・エネルギー相もウクライナには1箇所か2箇所の新鋭製油所が必要だと発言している。ただし、ヘルソンに新たな精製設備を建設するにも、10億ドル程度が必要である。

 オデッサ製油所は、かつてはロシアのルクオイルに、その後はオリガルヒのクルチェンコに属していた。亡命したクルチェンコの資産は、現在、裁判所によって差し押さえられており、したがってオデッサ製油所で近い将来に石油製品が生産される見通しはない。


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