若干古い話になるが、ロシアでは2014年5月5日付の産業・商業省令第839号により「2014~2020年の、そして2030年までを視野に入れたロシア鉄鋼業の発展戦略」が採択された。ちなみに、同時に非鉄金属産業の戦略も採択されている。両戦略のテキストは、こちらのサイトで閲覧可能である。
鉄鋼業戦略は様々な数値目標を掲げているが、その中でもメインと思われる鋼材の生産・輸出入の長期的見通しが、上掲の表のようになっている。なお、見通しは1.保守シナリオ、2.適度に楽観的なシナリオ、3.急進シナリオという3つのシナリオに沿って3パターンが示されており、上に掲げたのは2の中間的なシナリオである。
戦略では、中国発の鉄余りの現実を直視してか、輸出は減退していくという見方が示され、外延的な成長路線は採られていない。内需拡大、輸入代替、生産の質的向上といった内包的な発展に軸足が置かれている。その結果、ロシアの鋼材消費に占める輸入品への依存度は、2030年までには4.8%に低下するという青写真である。3つのシナリオとも、数字は若干違えど、この方向性は同じである。
なお、鉄鋼業戦略は、2016年末までに改定作業を行うという情報が伝えられていたが、今のところ、その作業が完了したという情報は確認できていない。
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