ウクライナの農業・食品産業の概況が図解で出ている「アグロビジネス・ウクライナ」という資料があり、このほどその最新版が出た。ウクライナ語ではあるが、こちらからダウンロードできるので、ご興味のある方はどうぞ。
さて、この中に、上掲のように、ウクライナの州別の作付面積の比較という図が出ている。作付面積が3分類されており、右上のオレンジ色が穀物、左上の紫色が野菜・ジャガイモ、下の緑色が工芸作物(ウクライナの場合はひまわりに代表される採油用種子が圧倒的に多い)の作付面積となっている。それで、ウクライナについては俗に、「東の重工業地帯、西の穀倉地帯」といったことがステレオタイプ的に言われる。専門家はウクライナについて東西に二分割するような粗雑な議論は絶対にせず、せめて東部・中部・南部・西部といった具合に、もう少し細かく地域分類するのが普通である。その最低限の4分割に当てはめて言うならば、ウクライナで農業生産が圧倒的に盛んなのはむしろ中部であり、狭義の西部は作付面積から見てむしろマイナーな農業地域であることが上掲図からお分かりいただけるだろう。まあ、西部は工業があまり発展していないので、零細な農業に依存する部分が小さくないという意味では農村地帯とも言えるが、ウクライナ経済の屋台骨を支えるような大穀倉地帯が狭義の西部に広がっているわけではないのである。
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