1001

 シリーズ「図表農業よもやま話」の様相を呈してきたが、ちょっと上掲のような図をまとめてみた。ウクライナやロシアでは、世界の他の主要生産国に比べて、小麦1t当たりの生産コストが低い。ただ、考えてみれば、ウクライナの小麦なんかは高品位というよりも飼料用のものが多く、おそらく輸出価格も低いはずなので、それとの兼ね合いで考えれば、必ずしも生産コストの低さが圧倒的な優位とも言えないのではないかという気がして、ならば世界の主要小麦輸出国の輸出単価を比べてみようと思い立ったのである。データの出所は国際貿易センター(ITC)のデータベースで、ごく単純に、小麦全体(HSコード:1001)の輸出額と輸出量から、1t当たりの米ドルの輸出単価を弾き出した。

 まあ、予想どおり、ウクライナやロシアの小麦輸出単価は、先進諸国のそれよりも、だいたい数十ドル程度低かった。ただ、この程度の価格差なら、輸入関税で逆転してしまうだろう。ウクライナとEUの連合協定に伴うFTAで、ウクライナはEUに毎年一定量は関税免除で小麦を輸出できるものの、それを超えると1t当たり95ユーロの関税が発生する。簡略化して関税を100ドルくらいと考えれば、ウクライナの小麦はドイツ産より高くなってしまう。うーむ、この障壁は、ばかにならないぞ。


ブログランキングに参加しています
1日1回クリックをお願いします
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ