Eurasia

 こちらのコラムで、ユーラシア経済連合の税関分野での統合が停滞していること、特にカザフスタンがその主因となっている状況が論じられている。その要旨が以下のとおり。

 本来であればユーラシア経済連合の新たな関税法典が2016年1月1日から導入される予定だったものの、その採択は難航し、2016年末まで先送りされた。その起草者たちは、EUをはじめとする進歩的な慣行を法典に盛り込もうとした。しかし、国家歳入の重要部分に関係する部門を調整する役割を超国家レベルに委ねることに対して、加盟国から異論が相次いだ。また、ロシアが諸外国と制裁を応酬し合っている状況下で、実務面で実際の影響を受ける実業界からの懸念の声もあった。

 ユーラシアの主要3ヵ国のうち、ロシアとベラルーシが求めている修正案が小幅なものであるのに対し、カザフスタンは大胆な修正を要求し、各国の関税当局の役割を大きく高めることを主張している。関税法典は単に枠組み文書となり、実際の業務は各国の税関が実施すべきだというのが、カザフの立場。カザフは課税にかかわるすべての問題は関税法典から除外し、各国レベルの管轄に移すべきだとしている。

 カザフが統合の深化に背を向けている理由は明らかで、カザフ経済は過去2年ルーブル安の打撃を受けている。カザフの対ロシア輸出が不利になった一方、ロシア産品はカザフ市場で競争力を増した。カザフ・テンゲのフロート制を導入しても、テンゲは西側から政治的な圧迫を受けているルーブルほどは下落せず、問題は部分的にしか解決されなかった。カザフは問題を解決するため、食料品、石油製品など一部のロシア産品の輸入を一時的に禁止せざるをえなかった。カザフのWTO加盟が事態をより複雑にし、カザフにはユーラシア共通関税率よりも低い税率で一部の商品を輸入する特別な地位が与えられた。カザフは、過去2年と同じような問題に直面しないよう、輸出・輸入関税率の設定を加盟国の権限とすることを求めている。それは統合の後退、関税同盟の形骸化であることから、ロシアはそれに同意していない。

 それでも結局のところ、カザフは新たな関税法典の問題で譲歩せざるをえず、なるべく自国の修正案を法典に盛り込もうとするので精一杯だろうと、専門家らは指摘する。カザフの政治評論家Z.カラジャノフも、TPPが米国主導で決まったように、ユーラシアもロシアのような大国が通商レジームを決定すると指摘している。今後景気が回復した時に、ロシアとの間で関税が発生するような事態になったら、カザフが進める工業化や農業振興は市場を失うことになり、過度に中国に依存してしまうリスクがある。


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