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 昨年暮れに買った、大型のCDボックス。B.B.キング『ザ・コンプリート・RPM/ケント・レコーディング・ボックス 1950~1965』。2015年5月14日に亡くなったブルースの巨人、B.B.キングの初期作品集で、1950年から65年のRPM/ケント・レコード録音のほぼすべてを収めている。CD17枚組で、LPレコード1枚と書籍まで同梱されている。お値段41,580円。

 実を言うと、私はブラックミュージック・ファンでありながら、これまで重要人物のB.B.キングをほぼ素通りしていた。趣味がソウル寄りなので、そもそもブルース自体それほど熱心に聴いてきたとは言えないが、その中でもB.B.には特に縁がなかった。自分の既存のパソコン・ライブラリーを見てみたら、B.B.の曲が25曲しか入っておらず、それもほとんど印象に残っていなかった。

 しかし、私はとにかく「全部入り」とか「全集」とかが好きなので、初期録音を網羅したというこの『ザ・コンプリート・RPM/ケント・レコーディング・ボックス』を突き付けられて、遅れ馳せながら入門してみようかと思ったのだった。このCDボックス、全世界で限定400組だそうで、ということは購入するのは超エリートのブルースファンばかりだと思うのだが、私はこの重量箱で入門をしようとしているわけで、ちょっと変な感じである。

 それで、だいたい一通り聴き終り、同梱されていた伝記本も読破したところである。その結果、これまでB.B.を聴かなかったのは、完全に食わず嫌いだということが分かった。むしろ、モロに自分の好みである。私は基本的に、管楽器などの上物が豊富に乗っかったリッチなサウンドが好きなのだが、なんとなくギター抱えたオッサンが唸ってる貧乏くさいサウンドを想像していたB.B.が、実際にはかなりゴージャスなバンドサウンドで、しかも曲調も非常にバラエティに富んでいることが分かった。ただ、伝記本によると、そうしたバンドサウンドを売り物にしているB.B.は、1950年代から60年代にかけてアメリカ南部を中心とするどさ周りツアーに明け暮れることを余儀なくされ、それが彼を財政的に苦しめ、活動の幅を狭めたという構造的問題があったようだ。そうした、日本で言えばどさ周り演歌歌手のような存在から、米英の白人アーティストにリスペクトを表明されたことをきっかけにして、ようやく全米の表舞台に立てたということだったらしい。

 そんなわけで、今年はこの箱をじっくりと聴き込んでみたいと思う。



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