私が編集を担当しているニュースレター『ロシアNIS経済速報』の最新号で、「2011年版カザフスタン100大企業ランキング」という記事をお届けしているので、よかったらご参照いただきたい。ここでは、同記事を作成している過程で興味を抱いた点を書き留めておく。

 今回の速報の記事「2011年版カザフスタン100大企業ランキング」で原典として使用したのは、『エクスペルト・カザフスタン』誌のこちらのサイトである。これを見ると、「サムルク・カズィナ」なる会社が、ランキングのトップに立っている。「株式会社・国民福祉基金サムルク・カズィナ」というのがその正式なフルネームであり、今日のカザフスタンでは主な国営企業がこの基金の傘下に置かれているのである。『エクスペルト・カザフスタン』誌の100大企業ランキングでは、2010年版までは同基金はランキングの対象外で、その傘下にある国営企業が個別にランク付けされていた。それが、今回の2011年版から、同基金を単一の企業としてランキングに掲載しているのである。実のところ、サムルク・カズィナ傘下の企業はあまりに多様であり、企業グループとしての一体性は乏しく、この新方式が妥当かどうかは、評価が分かれるところだ。実際、『エクスペルト・カザフスタン』誌では、サムルク・カズィナ傘下企業の売上高を別表で示している。それにもとづいて、サムルク・カズィナ傘下企業の売上高を図示すると、下図のようになる。なお、売上高をドルに換算したい場合は2010年の年平均レート、1ドル=147.4テンゲをご利用いただきたい。

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 このなかでは、石油ガスのカズムナイガス社が圧倒的だが、運輸のカザフスタン鉄道やエア・アスタナ、原子力のカザトムプロム、複数の銀行など、非常に多様かつ重要な企業を傘下に置いていることがお分かりいただけるであろう。

 『エクスペルト・カザフスタン』誌では、以下のような解説を掲げている。すなわち、逆説的にも、現時点のカザフスタンでは、国家が最も有能な所有者となっており、国民経済変革の旗手となっている。一般的に国営セクターは市場外の存在で、競争には大きな影響を及ぼさないが、2010年の成果として言えるのは、サムルク・カズィナ基金が市場の完全な参加者であり、「資本主義的競争」の個別のプレーヤーと見なしうるということだ。2010年にサムルク・カズィナ基金は大企業ランキングのトップとなり、前年比23.9%の売上増を達成した。同基金は、多くの経営不振企業の救済者という役割を引き続き担わされているにもかかわらず、税引前で18.4%の利益率を実現しており、これは経営効率の高さを裏付けている。カザフスタン大企業ランキングの上位20社のうち、14社は国が出資をしている企業であり、100大企業の総売上高の81%は、国が完全または部分的に所有している企業によるものである。サムルク・カズィナ基金は現在、傘下企業だけでなく、パートナー企業にも影響を及ぼし、カザフ全体の企業文化を改善できるチャンスがある。基金傘下企業による2011年の調達は、GDPの8分の1の規模の3.5兆テンゲにも達し、それと引き換えに数千という民間企業の企業文化を引き上げることは、カザフ経済全体にとって有益である。『エクスペルト・カザフスタン』では概略このように唱えている。


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