既報のとおり、3月19日にモスクワで、「ユーラシア経済共同体」の首脳会談が開催され、冒頭挨拶を行ったロシアのメドヴェージェフ大統領は、「共同体の改組が課題であり、すぐにでも現在の共同体を解体するといった提案もなされたが、その後の協議で、やはり作業はより文明的に行った方が良く、一定の法的枠組みにもとづいて進めるべきだという結論になった」旨述べた。メドヴェージェフ大統領は名指しはしなかったが、ユーラシア経済共同体を速やかに改組しようと先走った主張しているのは、どうやらベラルーシのようだ。一頃、主権国家ベラルーシを堅持する路線にシフトしていたルカシェンコ・ベラルーシ大統領だが、ここに来て、旧ソ連域内の国家統合に関して再び同政権の突出振りが目立ち始めた感がある。

 こちらのニュースによると、ベラルーシ指導部は、ロシアが進めているユーラシア統合構想で、「機関車よりも先に」進もうとしている。ユーラシア経済共同体のサミットでは、結局進展はなく、共同体の改組に関する文書は5月までに煮詰めることとなった。しかも、「ユーラシア経済連合」に関する最終的な条約は、メドヴェージェフ・ロシア大統領によると、2015年1月1日までに調印することになっている。そうしたなか、ベラルーシのS.ルマス副首相は、「ベラルーシは今日にでも新条約に調印する用意があったが、他のユーラシア経済共同体加盟国の支持が得られなかった」と発言した。

 ベラルーシとEUの関係が冷却化していることを考慮すると、ベラルーシが再び東に舵を取り、統合の急先鋒の役割を果たし始めたことは、象徴的である。国際政治学者のA.フョードロフは、「現政権は、ベラルーシの未来が東側にあるということを、最終的に決定したのではないかという危惧が強まる」と指摘している。その一方、別の専門家のYu.ドラコフルストは、ルカシェンコは他の加盟国が現段階で賛成することはないと踏んだうえで、大胆な統合案を提案した、これはロシアに忠誠心を示すのと同時に西側にもシグナルを送る安上がりな方法だったのかもしれないと、若干異なる分析を示している。