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 「ウクライナのオリガルヒ」のシリーズの続きで、今度は東ウクライナ・ハルキウの大金持ちとして知られるO.ヤロスラウシキー氏(ロシア語読みではヤロスラフスキー)。サッカークラブ「メタリスト」を一躍強豪に引き上げてしまった人なので(上掲の動画はその時代のサッカー談義)、私にとっても印象深い存在なのだが、残念ながら現在はクラブを手放してしまっている。

 O.ヤロスラウシキー氏は常に、表に出ることを避けてきた企業家である。2003~2006年に最高会議議員を務めていた当時ですら、人前で目立つことはなかった。例外はサッカーであり、サッカー問題に関してだけは熱心にコメントしていた。最近では、本年3月に、V.フロイスマン副首相にオファーされながら、ハルキウ州知事への就任を断ったことがあり、多くの関係者を不思議がらせた。ただ、それに関し本人は、自分の小さな故郷であれ、大きな故郷であれ、郷土愛を示すのに市長や知事や何らかの公職に就く必然性はないと語った。

 前政権から何度となく辱めを受けたヤロスラウシキー氏であれば、それをぶちまけてもよさそうに、傍からは見えるのであるが。前政権時代に同氏は、チェルカスィのアゾト工場をD.フィルタシに売却することを余儀なくされ、サッカークラブ「メタリスト」もヤヌコーヴィチ・ファミリーのS.クルチェンコに売らざるをえなかった。さらに、H.ケルネスおよびM.ドプキン知事は、ヤロスラウシキーを実質的に州政治から締め出した。メタリスト・スタジアムが市の財産に戻されてしまった際には、ヤロスラウシキーは、(自分が資金を出して建設した)空港やハルキウ・パレス・ホテルの接収が試みられたとしても、自分は驚かないと述べた。

 こうしたことにもかかわらず、ヤロスラウシキーは常に損失よりも利益を挙げてきた。彼のモットーは「安く買って高く売る」であり、「すべてを売る」というのが信条である。現に、携帯事業者「キエフスター」の株14%を500万ドルで買い、5年後に6,500万ドルで売った。ウクルシブバンクを2,000万ドルで買い、10年後に3.5億~4億でフランスの投資家に売った。ミコライウ・ボーキサイト工場の株25%をO.デリパスカに売却した際も、ロサヴァ社の株75%をK.ジェヴァホに売却した際も、同様だった。過去4年間も、彼のビジネスはこうした原則に則っていたわけである。たとえば、アゾト工場は5億ドル程度が適正とされていたのに対し、ヤロスラウシキーは「8億ドル以下では売らない」と頑なで、フィルタシに相場以上の金額を払わせた。FCメタリストにしても、クルチェンコは1億ドル以上を支払った模様であり、それにスタジアム代の7,000万ドルが加わる。

 近年ヤロスラウシキーが注力しているビジネスには2つあるが、これらも将来的には売却されるかもしれない。第1に、相互に関連したディベロッパー事業であり、5つの採石場、建材工場、建設会社、ショッピングセンター、ホテルがある。第2に、空港と、自前の航空会社である。そのハルキウ航空は、現在は主にチャーターだが、定期便就航も視野に入れている。その一方で、ヤロスラウシキーは割安な資産の買収も続けており、破産に瀕していたディベロッパー「21世紀」を買ったり、ショッピングセンター「カラヴァン」3箇所を担保で差し押さえたりしている。

 ごく最近、ヤロスラウシキーは、自分の将来はもっぱらウクライナとともにあると語っている。本人いわく、米国、英国、スイスなどに移り住もうと思ったこともあるが、やはりハルキウ郊外のマルトヴェ村(自分の邸宅がある)が一番だ、としている。もっとも、もしも村がロシア領に変わってしまったら、話は違うだろうが。


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