「いつまでやってんだ」という声が聞こえてきそうな、「ウクライナのオリガルヒ」シリーズ。今回は、養鶏業で名を馳せるYu.コシューク氏。

 Yu.コシュークは1998年に「ミロニウカ・パン製品」を立ち上げた。2008年5月にウクライナの農業企業としては初めてロンドン市場に上場した。現在、コシュークはミロニウカの株の約65%を保有しており、残りの35%は市場で流通している。

 ミロニウカは2013年夏に勃発したウクライナとロシア主導の関税同盟との通商戦争の、最初の被害者の一つとなった。特に、鶏肉をカザフスタンに輸出することが禁止された。2014年初頭にミロニウカはより大きな問題に直面し、関税同盟全域で証明書が無効とされてしまった。ウクライナとロシアの関係が悪化していることから考えて、ロシア圏では近い将来に改善は見込めないだろう。

 同社の計画によれば、すでに本年、ミロニウカは関税同盟諸国への鶏肉輸出を半減する見通しである。2013年には関税同盟諸国に4.3万tを輸出し、これは販売の35%だった。それが、2014年には2.5万tに落ち込むことが想定されている(販売総量は17万tの見通し)。ゆえに、同社経営陣は、アジア、アフリカ、中近東といった代替市場での販売増を急いでいる。

 他方、2013年には特筆すべきこともあり、ミロニウカの鶏肉製品が初めてEU市場の店頭に並んだのである。ただ、現在のところEUでの商売は楽ではなく、EUは冷蔵鶏肉に100kg当たり32.5ユーロの関税を、冷凍鶏肉には29.9ユーロを課しており、コシュークが同市場で得られる利益率は非常に小さい。ただ、EU市場では予測不可能なことは起こらず、政治的な動機で禁輸が課せられたりはしない。また、ウクライナがEUと自由貿易協定に締結すれば、状況は好転する可能性がある。ただし、EUは冷蔵・冷凍鶏肉の輸入割当2万tを設けている(ウクライナの価格では5,500~6,000万ドルに相当する)。これは最近までミロニウカが関税同盟市場に供給してきた量とほぼ等しい。

 問題は、コシュークがウクライナにおける唯一の養鶏事業者ではないことだ。主たるライバルはアグロマルス社であり、最高会議議員であるYe.シハルが率いている。同氏は、かつてはティモシェンコ派に属しながら、地域党に鞍替えし、政変後に無派閥になったという議員である。コシュークはヤヌコーヴィチ時代に汚点となるような関係を体制側と築いておらず、無節操なシハラと好対照だ。2万tの割り当てを配分する農業省の大臣には、「自由」のI.シヴァイカが就いており、同氏は変節者に厳しいことで知られているので、このことがものを言うかもしれない。


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