こちらの記事によると、3月4日、ロシアのM.ズラボフ駐ウクライナ大使は天然ガスをめぐるロシア・ウクライナ関係につき、概略次のように述べた。すなわち、現在ウクライナのガス輸送システムの資産評価が行われているところだが、ロシア・ウクライナ間の新たなガス協定の調印時期は、その資産評価の作業がいつ完了するかにかかってくる。もしも資産評価が8月1日までに終わるというなら、両国が何らかのガス協定を結べるのが、早くても下半期になってしまうことは明らかである。ウクライナ側にとってみれば、自国のガス輸送システムの最終的な資産評価がなされる前に、サウスストリームに関する決定が下されない方が、都合が良い。ロシアは逆に、早期にサウスストリームを現実のものとし、ウクライナのガス輸送システムの価値を引き下げたい。自分の聞いているところでは、ウクライナの輸送システムの資産評価は、8月1日に提出されることになっているようだ。これらの作業がより短期間に仕上げられる可能性もある。ノルドストリーム、サウスストリームの両プロジェクトが、ウクライナの輸送システムを経由する輸送量に影響を及ぼすこととなろう。ロシアとウクライナのガス交渉は、①ガス価格、②ガス消費量、③ウクライナ領を経由してヨーロッパに輸送する量、という3つの問題群に沿って行われている。ガス交渉に関して現在マスコミに流れている情報は、すべて駆け引きを目的としたものであり、問題の本質とはかかわりのないものばかりである。ロシア大統領選が終われば、ガス交渉も本格化すると期待したい。現行のガス協定に修正を加えるだけでなく、2020年までの期間を対象とした広範な政府間協定が準備されている。大使は概要以上のように語った。

 なお、サウスストリームは4本のラインから成り、それぞれが年間155.7億立米の輸送力を持つ。最初のラインは、2015年12月の稼働を予定で、年鑑630億立米のフル稼働は2018年が見込まれている。投資総額は155億ユーロで、うち100億ユーロが海底部分、55億ユーロが陸上部分となっている。