ウクライナの『ジェーニギ』という雑誌の2013年11月21日号で、2013年版のウクライナ銀行ランキングという特集が組まれている。この号では、それのみならず、ウクライナがEUと連合協定を結んだら、銀行分野の規制がどのように変化するかということがまとめられているので(締結棚上げが決まる前に書かれたのだろう)、それをチェックしておく。こちらでウェブ版を読むこともできる。同誌が重要な変化として挙げているのは、以下の点である。

  • 銀行が破綻した場合に保護される預金の上限:現状では20万フリヴニャ(または2万ユーロ) → 加盟後は10万ユーロ
  • 銀行の最低資本金:1億2,000万フリヴニャ(1,000万ユーロ) → 500万ユーロ
  • 支店の最低資本金:地域支店の場合は300万ユーロ、全国支店の場合は500万ユーロ → 最低額は義務付けられない
  • 資本金の資産に対する比率(高い方が厳しい):10% → 8%
  • 銀行ライセンス:銀行業務ごとに交付される → 一本化して交付される

 以上のように、必ずしも厳しくなるというよりは、規制緩和される部分が大きいようだ。

 記事によると、金融サービスにかかわるのは、連合協定案の125~133条と、付属文書XVII-2である。ウクライナの銀行は13のEU指令の遵守を迫られることになる。もっとも、協定締結から4~6年間の適応移行期間が設けられている。

 ただし、第88条の規定は、即時に施行される。これにより、EUの企業がウクライナに子会社、支店、代表部を設置する条件が緩和され、その逆も同様である。実はウクライナでは、2009年まで原則として外国銀行の支店の営業は許されていなかったが、WTOの基準に合わせるため、その規制は撤廃された。ただ、その際でも支店の最低資本金は1億2,000万フリヴニャ(または1,000万ユーロ)とされていた。それに対し、ウクライナの地場銀行は、300万ユーロまたは500万ユーロの資本金で支店が開けた。連合協定を結んだあかつきには、支店の最低資本金の要求が撤廃される。


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