20121222kurshskayakosa

 ロシアの現行の経済特区制度には、4つのタイプがある。工業生産特区、技術導入特区、港湾特区、観光特区である。このうち、上手く行っているのは一部の工業生産特区くらいで、他のタイプはあまり進捗していない。とくに、観光特区がぱっとしない印象を受ける。

 いくつか設立された観光特区の中に、カリーニングラード州に設置された「クルシスカヤ・コサ(クルシュー砂州)」という特区があった。クルシュー砂州というのは、バルト海に面し、ロシアのカリーニングラード州領とリトアニア領の間に伸びている砂州であり(写真)、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている。砂州はロシア・リトアニア双方で国立公園にも指定されている。この貴重な自然遺産を観光資源として活用すべく、ロシアは2007年2月3日付の連邦政府決定で観光特区「クルシスカヤ・コサ」を設立したわけだ。

 しかし、ロシア連邦政府は2012年12月18日付の政府決定で、同特区を廃止することを決定した。同特区では、設立後、入居企業が1社も集まらず、民間投資家も現れなかったため、連邦政府からのインフラ整備予算の拠出は2009年3月に停止されていた。連邦特区法の第6条によれば、設立から3年以内に入居企業が1社も現れなかった場合は、特区を所定の期限より前に廃止することが可能とされており、今回この規定を適用して同特区の廃止を決めたものである。

 なお、以前にも、クラスノダル地方の観光特区「ノーヴァヤ・アナパ」が、やはり入居企業が1社も現れなかったため、2010年9月24日付の連邦政府決定で廃止された前例がある。

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