2012年10月30日付の『RBCデイリー』紙で、ロシアの首都モスクワ市のA.シャロノフ経済問題担当副市長が、インタビューに応じている。私の研究分野に関する発言がいくつか見られるので、主な発言要旨を以下のとおりまとめておく。

 工業地区の開発は、思うようなテンポでは進んでいない。我々は工業地区を活性化し、職場・商業・教育を含む混合利用地区としたい。

 工業地区のうち、旧AZLK自動車工場の敷地に関して言えば、そこはもうすぐテクノポリス「モスクワ」になる。すでに15ほどの入居企業があり、科学関連資機材の通関のための税関も開設された。主な入居企業としては、9,000万ドルを投資し、マイクロエレクトロニクス・コンポーネント生産のためのクリーンルームを設置する予定のCrocus社などがある。

 ゼレノグラード経済特区の開発が進まないことに関しては、管理当局と、入居企業の双方に、お互いに対する不満があり、鶏と卵の議論になっている。入居企業はインフラの整備が遅れていると言う。他方、まったく不活発な入居企業があり、我々としては入居企業の義務不履行に対する責任を厳格化して、残りの入居企業に履行を促すよう、連邦当局に働きかけたいと思っている。優遇措置が受けられるのは、実際に活動を始めてからである。問題のある入居企業については、資格の剥奪も念頭に置いている。すでに、特区資格を転売しようとする輩が出てきている。もう入居の場所がないのをいいことに、特区資格とともに活動実態のない会社を他者に売ろうというのだ。これは明らかに、国が特区制度を開始した趣旨には合わない。

 (モスクワを国際金融センターにするという遠大な構想がありながら、本年に関しては、連邦予算から資金が出ていないようだが?)国際金融センターは、当時のD.メドヴェージェフ大統領と、A.ヴォロシンを長とする委員会が提唱したもの。国の投資環境、金融機関の質、生活水準など、いくつかのテーマに関する作業グループが設けられている。モスクワ市が責任を負っているのは、運輸・エンジニアリング関連インフラの発展、エコロジーの改善など。取引所、金融サービス、金融取引への課税といった金融面のインフラは、完全に連邦の管轄であるが、その整備はそれなりに進んでいる。

 現在、モスクワ市では、2025年までの発展戦略の策定を進めている。

 (モスクワ市の拡張により、イノベーションセンター「スコルコヴォ」もモスクワ市の管轄範囲に入ったが、連邦はそのインフラ整備を支援してくれるのか?)然り、そのような合意がある。本年、モスクワ市は主にエンジニアリング・インフラ向けに、一部は交通にも、資金を受けている。そのエリアはモスクワ市の領域になり、我々としても同プロジェクトに関心を抱いている。他方、プロジェクトは多額の資金を要し、連邦の拠出なしでは成立しない。拠出の一つのトランシュとして、財務省から45億ルーブルが割り当てられ、年末までに受け取ることになっている。2013年についても受け取れるはずである。


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