最新の『コメルサント・ヴラースチ』誌(2012年9月3日号、No.35)が、時節柄、ウラジオストクAPEC、ロシアとアジア・太平洋諸国の関係に関する特集号となっている。この号を眺めていて、個人的に特に重要だと思ったのが、以下の点である。すなわち、APECの首脳に対し、ビジネスの立場から提言を行う枠組みとして、「APECビジネス諮問委員会(ABAC)」というものが存在する(ちなみに、日本では経団連がその事務局を務めているようで、こちらがそのウェブサイトとなっている。)当然のことながら、本年はABACもロシアが議長国であり、ロシアのZ.マゴメドフ氏(「スマ」グループ会長)が議長を務め、APECサミットに向け実業界の意見を集約してきた。その結果、ABACとしては以下のような4つの柱の提言を首脳たちに示すことになったという。

 第1に、ヨーロッパ←→アジア間の貨物輸送に、シベリア鉄道をより一層活用する。現状ではヨーロッパ←→アジア貨物の1%がシベリア鉄道経由にすぎず、北極航路に至ってはまったく活用されていない。

 第2に、食糧需要の増大するアジア・太平洋地域の食糧安全保障を確保するため、ロシアが穀物供給国の役割を果たす。そのために、ロシア極東に穀物積出・保管施設を建設する(実際にスマ・グループが計画中)。

 第3に、ロシアにおけるエコタウンの建設と、それに向けた技術導入。

 第4に、APECの枠内で技術移転に関する契約条件を共通化するルール作りを進める。貿易におけるインコタームズのようなものを目指す。

 と、以上のようなことであるらしい。APEC全体というよりは、ロシアの利益に(さらに言えばスマ・グループの利益に)主眼があるような気がしないでもないが。

 あと、『コメルサント・ヴラースチ』誌の当該号では、シベリア・極東の資源開発およびインフラ整備状況を示したこちらの地図などが便利で良いかもしれない。


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