20120908amkar

 今回のロシア出張で、初めてペルミを訪れたので、当地のサッカー・クラブ「アムカル・ペルミ」の本拠地であるズヴェスダ・スタジアムを眺めてきた。私がペルミに滞在した折にはアムカルのホームゲームはなかったので、例によってスタジアムの外観だけ写真に収めて帰ってきた。

 しかし、私はロシア圏の地方都市に出張に行くと、こうしてサッカー・スタジアムの外観だけでも眺めて帰ってくるようにしているので、場末のひなびたスタジアムには免疫が出来ているつもりだけど、今回のズヴェズダ・スタジアムのショボさには思わず笑ってしまった。スタジアム自体は街の中心近くの便利な場所にあるので、昼休みを利用して徒歩で見に行ったのだけれど、団地の中庭のようなところにそのボロ・スタジアムは忽然と姿を現した。私は「アムカル」というクラブ名は世界で最も無粋なサッカーチーム名ではないかと思っているのだが(アンモニアの「アム」、尿素の「カル」の合成語。当地が化学肥料産地であることにちなむ)、スタジアムの佇まいもクラブ名から受けるイメージとたがわぬものだった。

 それにしても、ロシア・プレミアリーグは内部の格差が激しすぎる。上位6チームくらいはUEFAのコンペティションに出場してもそこそこ戦えるだけの財務力・チーム力を有する。しかし、地方都市のその他大勢のクラブとなると、とたんにこの有様である。ジェフ千葉を追われ、海外に活躍の場を求めた巻誠一郎は、このスラム然としたズヴェズダ・スタジアムを目にして、どう思っただろうか。あの暖かなゆりかごのようなフクアリから、この刑務所の運動場のようなスタジアムに突き落とされた男の気持ちたるや。まあ、そこで奮起して這い上がってほしいところだったが、残念ながら巻はロシア・プレミアリーグに9試合出場して1得点も挙げることができなかった。当然、ペルミではもはや巻のことを覚えている向きは稀であろう。まあ、巻はともかく、本田圭佑も日常的にこうした舞台で戦っているわけで、苦労が忍ばれる。

 もう一つ、痛感するのは、サンクトペテルブルグやカザンあたりは別として、ロシアの地方都市では、地元サッカー・クラブへの関心がきわめて低いという点である。今回も、アムカルについて、何人かのペルミの人に話を振ってみたが、皆一様にほとんど興味がなさそうだった。


ブログ・ランキングに参加していますので、
よかったら1日1回クリックをお願いします。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロシア情報へ