引き続き、8月29日付の『コメルサント』紙に掲載されたロシア極東・ハバロフスク地方の新旧知事の対立に関するレポートの抄訳をお届けする。今回で完結である。

 ハバロフスク地方では、2013年6月に知事の任期が切れ、同年9月には8年振りの知事選挙が実施される。イシャーエフは、シポルトとの協力関係を築くか、新たな候補を探すか、決断を迫られている。体制側から出馬する可能性があると考えられているのは、シポルト現知事と、地方議会議長にして「統一ロシア」地方政治評議会書記のS.ホフロフである。選挙まで1年という現時点で、両者のチャンスは五分五分とされている。

 前出のコヴァリチュークは次のように述べる。「イシャーエフはすでにホフロフに乗ると決めたようだ。ホフロフは、熱血漢で、コントロールが効かない面はあるが、「統一ロシア」の中でも、地方政界の中でも、影響力を有している。ホフロフは、シポルトにとって手強いライバルだろう。ホフロフを排除しようとすれば、議会を敵に回してしまうので、シポルトとしてはあからさまにホフロフと対決するわけにはいかない。現時点ではホフロフの勝機の方がやや大きい。というのも、今日のロシアではより強力な知事が要請されているからである」。

 ブリャヘルも、次のように指摘する。「モスクワは一頃、国中で、地域の重鎮を、自発性のない新知事たちですげ替えてしまい、その結果各地域の実績が低下して、野党や批判票の拡大を招いてしまった。今日では、知事の生き残りの方法は、2つしかない。弱い知事としてモスクワ向けの指標だけ達成し、モスクワからのテコ入れに依存するか、あるいは強力なリーダーとして地域の発展に尽くすのかの、どちらかだ」。

 前出のヤルリンは、「シポルトにとって現在必要なのは、チーム内の粛清を行うこと。その上で、自らの誤りをはっきりと認めて、まずはイシャーエフとの話し合いに乗り出すことである」と指摘。再びコヴァリチュークは、「イシャーエフは、持ち上げられると喜ぶタイプである。シポルトはイシャーエフに対し、継続性を示し、我々は貴方の功績を認めているという態度を示すべきだ。そうすれば、代表部の支援を得られ、シポルトは立派な後継者だというイメージを作れるかもしれない」と述べる。

 一方、ヤルリンは、「イシャーエフ自身、口頭レベルでは、冗談交じりに、ハバロフスク地方知事に復帰するかもしれないと述べている。これはもしかしたら、自分は地方内の状況に不満である、自分は情勢を注視しているというメッセージを打ち出そうとしているのかもしれない」と指摘する。


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