服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

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 2017年1月13~19日付けインターファクス『ロシア&CIS金属鉱山ウィークリー』によると、2016年のウクライナのフェロアロイの生産は前年比16%拡大し、102.8万tとなった。ウクライナ・フェロアロイ生産者協会が明らかにした。

 シリコンマンガンの生産が81.5万t(16.7%増)、フェロマンガンが10.4万t(19.1%増)、フェロシリコンが10.1万t(12.4%増)だった。ただ、マンガン鋼の生産は26.5%減の7,420tだった。

 企業別では、ニコポリ工場が74.6万t(24.1%)増、ザポリージャ工場が品目ごとにまだら模様だったのに対し、スタハーノフ工場はドンバス紛争地にあり操業しなかった。

 ウクライナの2大マンガン鉱石鉱山であるオルジョニキーゼとマルハネツィは、需要の落ち込みで2016年1~2月には操業を停止した。通年では、オルジョニキーゼが73.8万t(18.5%増)を採掘したのに対し、マルハネツィは51.2万t(12.3%減)にとどまった。両鉱山合計のマンガン精鉱の生産は125万tで3.6%増だった。


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 こちらに見るように、ロシア連邦国家統計局は1月23日、2016年のロシアの鉱工業生産統計の主要値を発表した。2016年の鉱工業生産は、前年比実質1.1%増であった。鉱業が2.5%増、製造業が0.1%増、電力・ガス・水道業が1.5%増だった。より細かい鉱工業部門別のデータはまだ明らかでない。主な鉱工業製品の生産量と前年比増減率は、以下のとおりである。前年から減ったところだけ赤い字で示す。

  • 石炭:3億8,500万t(3.4%増)
  • 原油(ガスコンデンセートを含む):5億4,900万t(2.6%増)
  • 天然ガス:5,550億立米(プラマイ0.0%)
  • 鉄鉱石精鉱:1億100万t(0.3%増)
  • 食肉・半製品:260万t(12.2%増)
  • チーズ:60万t(2.5%増)
  • ニット衣料:1億1,600万枚(1.4%増)
  • 製材:2,280万立米(4.2%増)
  • パルプ:820万t(4.2%増)
  • 紙:520万t(2.3%増)
  • 冶金用コークス:2,630万t(1.2%増)
  • 製油所の原油処理量:2億8,500万t(1.0%減)
  • 自動車ガソリン:4,000万t(1.9%増)
  • 軽油:7,620万t(0.2%増)
  • 重油:5,700万t(19.8%減)
  • 無水アンモニア:1,610万t(6.1%減)
  • 無機・化学肥料(100%成分換算):2,070万t(2.7%増)
  • プラスチック:770万t(5.0%増)
  • 合成ゴム:150万t(5.4%増)
  • 化学繊維:17.3万t(10.5%増)
  • タイヤ:6,120本(5.4%増)
  • セメント:5,500万t(11.4%減)
  • 銑鉄:5,190万t(1.1%減)
  • 粗鋼:6,960万t(0.3%増)
  • 完成鋼材:6,030万t(0.2%減)
  • 鋼管:1,010万t(11.5%減)
  • ガスタービン:140万KW(5.8%増)
  • トラクター:6,400台(16.1%増)
  • 金属切削機械:3,900台(11.2%増)
  • 家庭用冷蔵庫・冷凍庫:330万台(5.7%増)
  • 乗用車:110万台(7.4%減)
  • バス:4万3,200台(18.6%増)
  • 貨物自動車:13.7万台(6.9%減)
  • 鉄道用貨車:3万6,600台(28.8%増)
  • 発電:1兆870億kWh(2.0%増)

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 若干古い話になるが、ロシアでは2014年5月5日付の産業・商業省令第839号により「2014~2020年の、そして2030年までを視野に入れたロシア鉄鋼業の発展戦略」が採択された。ちなみに、同時に非鉄金属産業の戦略も採択されている。両戦略のテキストは、こちらのサイトで閲覧可能である。

 鉄鋼業戦略は様々な数値目標を掲げているが、その中でもメインと思われる鋼材の生産・輸出入の長期的見通しが、上掲の表のようになっている。なお、見通しは1.保守シナリオ、2.適度に楽観的なシナリオ、3.急進シナリオという3つのシナリオに沿って3パターンが示されており、上に掲げたのは2の中間的なシナリオである。

 戦略では、中国発の鉄余りの現実を直視してか、輸出は減退していくという見方が示され、外延的な成長路線は採られていない。内需拡大、輸入代替、生産の質的向上といった内包的な発展に軸足が置かれている。その結果、ロシアの鋼材消費に占める輸入品への依存度は、2030年までには4.8%に低下するという青写真である。3つのシナリオとも、数字は若干違えど、この方向性は同じである。

 なお、鉄鋼業戦略は、2016年末までに改定作業を行うという情報が伝えられていたが、今のところ、その作業が完了したという情報は確認できていない。


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 こちらの記事によると、2016年のウクライナの鉄鋼業の生産は、銑鉄2,350万t(前年比8%増)、粗鋼2,419.6万t(同6%増)、完成鋼材2,140万t(同6%増)であった。

 一方、こちらの記事によれば、ウクライナ冶金産業による2016年の天然ガス消費は、2016年に17.4億立米となり、これは前年比14%減であった。また、こちらの記事によれば、ウクライナ冶金産業による2016年の電力消費は前年比4%増の129億kWhであった。


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 こちらの記事によると、ヨーロッパの各国サッカーリーグ戦およびクラブ経営に関するUEFAの報告書が発表されたということである。記事にもとづいて、ロシアに関し目に留まった点だけメモしておく。

 ロシア・プレミアリーグは、選手の平均年齢が27.1歳で、これはトルコと並んで、欧州で最も高齢のリーグということになる。

 2014/15シーズンから2015/16シーズンにかけての観客数の伸びという指標で、ロシアは欧州の中で9位だった。ロシアの観客数は8%伸びた。なお、絶対数はまだ多くないものの、アゼルバイジャンの観客動員がほぼ倍増していることが注目される(リーグの拡大でもあったか? 未確認)。

 プレーヤーの報酬総額で、ロシア・プレミアリーグは5億6,300万ユーロで、これは欧州で6位。ロシアの伸び率は前年比31%と突出。

 クラブレベルの報酬総額では、ゼニト・サンクトペテルブルグがロシアのトップで、1億1,300万ユーロ、欧州全体の17位だった。ただし、同クラブは前年比11%減。

 欧州のサッカークラブを、当該国以外の外国人が保有しているパターンを見ると、中国人の12、米国人の11、に続き、ロシア人の4人などなっている。アブラモヴィチ氏のチェルシーは有名だが、このほか英ボーンマス、仏モナコ、蘭フィテッセをロシア人オーナーが所有している。他方、ロシア・プレミアリーグ16チームのうち、ロシア人オーナーであることが確認されているのは14チーム。

 欧州のクラブのうち、2015年末現在の純債務額が大きいクラブという指標で、CSKAモスクワが7位(2億2,400万ユーロ)、ディナモ・モスクワが14位(1億6,400万ユーロ)となっている。

 (2015/16シーズンの?)純利益のランキングで、ゼニト・サンクトペテルブルグが9位になった(2,600万ユーロ)。なお、同ランキングでは6位にドニプロ、8位にディナモ・キエフとウクライナ勢が入っている。逆に、純損失のランキングでは、5位にCSKAモスクワ、15位アンジ・マハチカラ、16位にディナモ・モスクワとロシアのクラブが目立つ。

 各国リーグの放映権収入の総額を見ると、やはりイングランドの21.6億ユーロという数字が突出し、イタリアの9.5億ユーロ、スペインの7.3億ユーロ、ドイツの6.5億ユーロなどと続き、ロシアは11位の3,900万ユーロに留まっている(ただし、前年比143%増)。

 


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 コメルサント紙のこちらの記事が、ロシアに設立されたタイヤ生産工場の生産・販売動向について報告している。これによると、ロシア国内のタイヤ販売市場は、2014年17.5%減、2015年20%減、2016年11%減と、落ち込みが続いている(2016年の国内市場規模は3,080万本)。しかし、ロシアに進出した外資系メーカーは、輸出増によって危機的な時期を耐え抜き、2016年には生産の拡大すら実現した。2017年については、ロシア国内販売の回復で、タイヤ生産量が引き続き拡大すると期待されている。コンチネンタルのカルーガ工場では2016年の生産が50%増となり、300万本に達したが、2017年はさらに10万本拡大すると見込んでいるほか、生産品目も300品目からさらに30増やす。同社では輸出比率が30%となっており、2016年には中国およびカナダ市場を新たに開拓した。ノキアンでは、2014年の危機前まではロシア国内販売の比率が40%だったのに対し、現在は15~20%となっている。ミシュランは、2017年に国内市場の回復により生産が増大すると見込んでいる。


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 これまで個人的に認識していなかったのだが、実はベラルーシには鉄鉱石の資源が埋蔵されているようである。ベラルーシと言えばとにかく(塩化カリウム以外は)天然資源のない国というのが一般的な位置付けであり、鉄鉱石の採掘もこれまでは行われてこなかったが、資源自体は賦存しているようだ。そのあたりの事情につき、A.ペシチェンコ・D.ムィチコが2009年に発表したこちらの論文が、論じている。

 論文によれば、ベラルーシでは1966~1970年にオコロフスコエ(Околовское)、ノヴォショルコフスコエ(Новосёлковское)という2つの鉄鉱石鉱床が発見された。オコロフスコエはミンスク州ストルプツィ地区、ノヴォショルコフスコエはグロドノ州コレリチ地区に所在している。これらのベラルーシの鉄鉱石資源は、それほど豊かなものとは言えないものの、鉄鋼業の自前の資源基盤を築く上では、有望である。第1に、オコロフスコエの鉄鉱石は選鉱が容易であり、その採掘は坑内掘りで行われる。第2に、これらの鉱石はペレット化が容易である。ベラルーシの鉄鉱石の埋蔵量は磁鉄鉱換算で5億tである。ベラルーシ国民経済の粗鋼需要は最盛期でも400万t以下だったので、ベラルーシは向こう100年の鉄を確保できたようなものである。毎年20~25%の鉄くずが利用されていることを考えれば、その期間はもっと長くなるし、さらに深く掘り進めば資源量はさらに増える。オコロフスコエ鉱床開発の目的で、鉱山・選鉱・ペレット生産の複合体の建設が計画されている。ペレット生産設備は、冶金工場の敷地内に配置され、そこで完成品が生産される。想定される年間生産規模は、鉱石の選鉱が400万t、精鉱の生産が79万t、ペレットが57万tなどとなっている。Midrex製法の第1案と、Corex製法の第2案がある。第1案の優位点はベラルーシ冶金工場(BMZ)およびベラルーシに所在するその他10ほどのメーカーの電炉を利用できることであり、投資費用を節約でき、環境負荷が低く、鉄の品質は高くなる。第2案では高炉を建設しなければならないが、銑鉄生産には天然ガスではなく石炭を利用するので、天然ガス依存度を低下させられる。想定では、ベラルーシでペレット1tを生産するコストは50ドルで、ロシアや米国でそれを購入したら100~120ドルを要するので、その差額によりベラルーシ金属加工産業の赤字を削減できる。かくして、オコロフスコエ鉱床を開発することにより、ベラルーシ国内の鉄鋼需要を満たせるようになるだけでなく、理想的には、原料の輸出も可能になるかもしれない。


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 こちらに出ているウクライナ石油精製業の動向をごく簡単に整理しておくと、ウクライナでは石油精製業が2000年代半ばから一貫して危機的状況にあり、現時点で実質的に稼働している製油所は2箇所しかない。具体的には、プリヴァト財閥系のウクルタトナフタ傘下のクレメンチューク製油所と、ハルキウ州にあるシェベリンカ・ガス精製工場である。

 2016年1~7月にはウクライナに30.1万t、9,160万ドル分の原油が輸入された。主な輸出国はカザフスタンとルーマニア。クリミアとドンバス占領地を除くウクライナ国内の原油採掘は2016年1~7月に11.9%低下し、95.8万tとなった。2016年1~6月のガスコンデンセートの採掘は5.5%減の31.5万tだった。2015年の原油採掘は11.8%減の180万t、ガスコンデンセートの採掘は6.8%減の65.6万tだった。

 2016年1~7月にはシェベリンカ・ガス精製工場で9.7万tのガソリン(13.2%増)、7.6万tの軽油(20.5%増)、3.2万tの重油(2.9%増)が生産された。2015年にはそれぞれ17.7万t(13.8%減)、10.9万t(8.3%減)、5.5万t(2.4%増)であった。同工場では低品質のユーロ2製品の生産を取りやめ、ユーロ4に移行する作業を進めている。2016年春にはガソリンで、8月には軽油でその転換が終わり、9月からは白油すべてがユーロ4に移行することになっている。

 クレメンチューク製油所では、2016年上半期に、29.7万tのガソリン(24%増)、25.6万tの軽油(10.7%増)、7.8万tのジェット燃料(?、27.6%増)、16.2万tの重油(0.8%減)が生産された。2014~2015年の生産実績は明らかでないが、2015年9月からカザフ原油の供給が始まり、生産増に転じたとされている。プリヴァト傘下の他の2つの製油所は操業を停止している。

 ロシアのロスネフチの傘下にあるルハンシク州のリシチャンシク製油所は、2012年から不採算を理由に操業を停止している。ドンバス紛争の破壊も被った。地元行政では、2016年7月からポリプロピレンの生産が始まるとしていたが、現時点ではまだ実現していない。

 ヘルソン製油所は、コンチニウム財閥の所有となっているが、かなり以前から、生産アセットとは見なされておらず、どちらかというと、ここを基盤に新たな製油所を建設する敷地と見なされている。ナサリク・エネルギー相もウクライナには1箇所か2箇所の新鋭製油所が必要だと発言している。ただし、ヘルソンに新たな精製設備を建設するにも、10億ドル程度が必要である。

 オデッサ製油所は、かつてはロシアのルクオイルに、その後はオリガルヒのクルチェンコに属していた。亡命したクルチェンコの資産は、現在、裁判所によって差し押さえられており、したがってオデッサ製油所で近い将来に石油製品が生産される見通しはない。


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 こちらの記事によると、ロシア最大手銀行のズベルバンクは、今後、職員数を半減していく予定だという。ゲルマン・グレフ社長が明らかにした。グレフによれば、現在33万人に上る職員を、2025年までに半分にする予定であり、将来的には10万人への削減も可能である。顧客数は1.3億人に上るものの、ATMなどを利用した遠隔サービスを拡大することにより、職員削減は可能であると、グレフは述べた。


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 いまや欧州最貧となったウクライナという国だが、ソ連時代の名残で、高度産業である航空機製造産業を抱えている。だが、同産業はロシアとの分業関係で成り立ち、なおかつロシアを主要市場としてきた経緯があり、ウクライナの政変後には産業としての存続が危ぶまれる事態となっているわけである。ウクライナの航空機産業につき、こちらの記事が報告しているので、ごく簡単に要点だけまとめておく。

 記事によれば、ユーロマイダン革命後、新たな方向性を模索するウクライナ航空機産業において、やはり焦点となっているのは、アントノフ社であり、同社が中核となって数十のウクライナ関連企業が結集できるかということが鍵となっている。アントノフは、定期的に話題には上るものの、それが実際の契約に結び付いたり、発注が実行されたりといったことは、必ずしも多くない。最近では、2015年6月にAn158をキューバの航空会社に引き渡した程度で、同機の納入は計6機になった。それ以降、何機かの受注が発表されたが、その多くは、サウジアラビアとの契約など、ウクライナ国外での組立を想定している。

 2016年夏、アントノフは、航空機エンジンの世界的大手である米ゼネラル・エレクトリック社と協力覚書に調印した。これに怒りを露わにしたのが、ウクライナの地場航空機エンジンメーカーであるモトル・シチ社のオーナーであり、最高会議議員も務めるヴャチェスラウ・ボフスラエフである。同氏は「ウクライナの声」に寄稿した文章の中で、本件はウクライナの国益、付加価値の高い科学集約産業に対する裏切りだと、アントノフと外資との提携を激しく非難した。

 当面、ウクライナの航空機産業には、2つの主要課題がある。生産および人員を市場条件に合わせて合理化すること、そしてロシア産の部材から国産または欧米産の部材に切り替えていくことである。ただ、輸入代替には時間と資金を要する。アントノフ社では、輸入代替プログラムはすでに80%完了したとしている。


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 上掲動画は、2015年9月にベラルーシ冶金工場(BMZ)で新たな圧延設備が稼働し、その際にルカシェンコ大統領が工場を訪問してセレモニーを行った際の様子である。

 こちらの記事などが伝えるところによると、この近代的な設備により付加価値の向上が可能になり、鉄鋼生産のバランスがとれるようになる。この設備の生産能力は年間70万tで、100万tまで拡張することも可能。すでに2015年3月から試験・調整運転が行われており、9月までに3.6万t、1,500万ドルが輸出された。生産の約75%が輸出されることが想定されており、また線材の完全な輸入代替、鉄筋の90%以上の国内自給が可能になる。輸出はブルガリア、イタリア、リトアニア、ポーランド、米国、フランス、チェコ、スロバキア、ドイツ、オーストリア、ベルギー向けに行われている。同プロジェクトの投資総額は3.3億ユーロであり、「2011~2015年のベラルーシ・イノベーション発展国家プログラム」に沿い、ベラルーシ政府の政府保証を得た上でユーラシア開発銀行およびベラルースバンクの融資により実施された。

 上掲の動画の中でルカシェンコ大統領は、この追加的な設備の建設は必須だった、なぜなら半製品をそのまま販売することは犯罪的ですらあり、付加価値の高い完成品にシフトしなければならないからだ、完成品こそより多くの利益をもたらし、ひいてはより高い賃金と税収に繋がる、今すぐにというわけにはいかないだろうが、将来的にはすべての半製品を加工して完成品を販売するようにしたい、などと発言している。これを見て、私は考え込んでしまった。半製品から完成品へのシフトという課題は、旧ソ連を代表する鉄鋼業立国のウクライナが取り組むべきなのに、独立後四半世紀も放ったらかしになっていた課題だからだ。ウクライナは鉄鉱石と石炭という資源と、ソ連から引き継いだ巨大設備がありながら、製鉄所を傘下に収めたオリガルヒたちは目先の利益を追い求め、延々と付加価値の低い半製品を生産・輸出し続けた。そして、付加価値が低くとも、それなりに利益は挙がったはずだが、そのお金はどこに消えてしまったのだろうか? それに対し、初期条件としては鉄鋼業の基盤が強いとは言えないベラルーシが、大統領の号令の下、設備投資を積み重ね、高付加価値化に取り組んでいる。。。私自身は、ルカシェンコ体制を肯定するつもりはまったくないのだが、こうした明暗を目の当たりにすると、「ウクライナよりもベラルーシの方がまし」と考える人々が少なくないのも、無理はないような気もしてしまう。


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 ウクライナのポータルサイトに掲載された情報にもとづき、同国の産業情報をお届けしているが、今回はこちらの化学工業。ウクライナの化学工業と言えば、窒素肥料産業が花形であり、この資料では窒素肥料メーカーの売上高・利潤指標(上掲)と、その他の化学メーカーの売上高・利潤指標(後掲)という具合に、区分されて掲載されている。ただ、解説文はほぼ窒素肥料に関する話だけとなっている。

 記事によれば、ウクライナの窒素肥料産業の利益率は、2015年にマイナス17~18%だった。もっとも、2014年がマイナス23.4%だったから、それよりは改善した。窒素肥料メーカーの税引き前損失総額は、2014年の360億グリブナに対し、2015年は200億グリブナだった。2016年に関しても、大きく改善する見通しはない。窒素肥料の生産量も連続で低下している。その原因は、2014年5月からドンバス地方に所在するホルリウカのスチロール社とセヴェロドネツィクのアゾト社が操業停止していることである。工場を保有するOstchemでは、国家が安全を保障することが再開の条件としており、特にホルリウカが占領地にあることを考えると、近い将来の再開は期待しにくい。Ostchemの他の2工場、リウネ工場とチェルカスィ工場も、原料となるガスの供給停止を受け、2015年に4ヵ月間操業を停止した。こうしたことから、2015年のOstchemのアンモニア生産は38%減、硝酸アンモニウムは25%減となった。国内需要が優先されたため、輸出はさらに大幅に落ち込んだ。

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 ロシアやウクライナでは、鉄道車両生産はかなり重要な産業である。ウクライナの鉄道車両産業の現況につき、こちらの記事が伝えている。

 記事によれば、ウクライナにおける貨車の生産は、2015年に前年比81.5%も縮小し、1,151台に留まった。企業別では、クリュキウ車両工場が489台、ポパスナ車両工場が350台、鉱山運輸会社が123台などであった。

 これに対し、2016年上半期の貨車生産は、前年同期比73%増の1,100台に達した。ただし、これはトルクメニスタンからの大型契約750台の賜物である。2016年通年の生産がどうなるかは、トルクメニスタンやウクライナ鉄道から大口の契約を取り付けられるかどうかにかかっている。

 ウクライナ鉄道は、従来も鉄道車両の修理は手掛けていたが、新社長の下、今後は自ら鉄道車両の生産にも乗り出す意欲を示している。

 ウクライナとロシアの関係悪化のため、ロシアへの輸出はまったく期待できない状況にある。しかも、ロシア自体の需要が縮小しており、2016年上半期のロシアの貨車生産は1万500台に留まり、これは2010年以降最悪の数字であった。


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 ロシアで、石油の輸出関税を段階的に撤廃し、その分、地下資源採掘税を引き上げて税収を確保しようとするいわゆる「税制マヌーバ」をめぐって、こちらの記事によれば、引き続き論争が続いているようだ。

 記事によれば、財務省が推進しようとしている税制マヌーバに関し、エネルギー省がそれに伴うリスクを指摘する書簡を、12月27日付で取りまとめた。エネルギー省のアナトリー・ヤノフスキー次官によれば、輸出関税の撤廃は、充分に練り上げられておらず、輸出関税面での優遇を受けている鉱床の利益率低下に繋がる恐れがある。さらに、ベラルーシとの関係悪化につながるリスクがある。ベラルーシ向け輸出は元々石油輸出税が免除されているため、マヌーバを実施すると、同国向けの価格が地下資源採掘税の値上げ分だけ上昇することになり、油価40ドルで為替が64.6ルーブルと仮定すると、ベラルーシの損失は960億ルーブルにも上る。ロシア国内の石油精製業にとっても事態は深刻で、1t当たりの石油精製のマージンが2,700ルーブルから1,000ルーブルに低下してしまう。石油会社にとっては、精製するよりも、原油のまま輸出した方が有利というケースが出てくる。ロシアの石油精製量の20%に相当する6,000万tの石油精製が、一気に失われる恐れがある。それは国内の石油製品不足をもたらし、製品の値上げにより社会問題も引き起こすだろう。したがって2017年の税制を2020年までは維持し、石油採掘および精製部門の投資魅力を維持するべきである。エネルギー省は以上のように主張している。

 ロシア政府は、2018年から、地下資源採掘税および輸出関税という石油の数量にもとづいた課税に代えて、「付加所得税」というキャッシュフローにもとづいた税制を導入し、税負担を軽減するとともに柔軟性をもたせようとしている。この点に関する財務省とエネルギー省の立場の隔たりも、輸出関税をめぐる論争の背景にある。


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 実は今、現地調査の仕事で、モスクワに来ている。モスクワ滞在5日目なのだけれど、ホテルの部屋のテレビをチラ見していて、日本なら洪水のように流れる乗用車のCMを、一回も目にしておらず、自動車不況を実感する。そして、テレビCMはかなりの部分が医薬品の宣伝であり、体感的には半分以上を医薬品が占めているのではないかという感じがする。ロシアのテレビ番組って面白くないから、個人的にこちらに来てもテレビをつけないことがほとんどなのだけど、今回久し振りにロシアのテレビ放送を眺めてみて、こんなことになっていると初めて気づいた次第。医薬品の中でも、STADA社のCMが突出して多い。同社については、以前当ブログで取り上げたことがある。


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 実は、タバコ産業は知る人ぞ知るウクライナの主要産業の一つである。タバコ産業が「成長産業」になっているという点で、世界の中でも稀有な事例かもしれない。また、ここにはJTIという日系企業(多分に多国籍企業ではあるが)の存在もあり、しかもウクライナから日本にタバコが輸出されているというデータもある(ただし、日本側とウクライナ側で統計データに齟齬が見られ、正確なところは良く分からない)。

 こちらの記事が、そのウクライナのタバコ産業・市場につき報告している。2015年にWHOが実施した国際調査によれば、ウクライナの喫煙率の高さは世界で18番目である。18歳以上の国民の30~35%程度が喫煙者とされている。ただし、以前はベスト10の常連であったのに対し、近年は喫煙率が顕著に低下している。BATによれば、ウクライナ国内市場の規模は、2012年の829億本から、2015年の702億本に縮小した。2008年から2014年にかけてのタバコの値上がり率では、ウクライナが世界のトップだった。その後さらに、物品税の引き上げが実施されている。

 ウクライナのタバコ生産を担っているのは同国に進出した多国籍企業であり、その売上高、純利の数字は表のようになっている。

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 デロイトが発行したウクライナ鉄鋼業に関するこちらのレポートに、興味深い図が載っていたので、そこだけ抜粋して取り上げさせていただく。2009年現在の鉄鉱石資源の埋蔵状況を図示したものである。グラフの縦軸は、鉄鉱石の埋蔵量を示しており、上に位置する国ほど埋蔵量が多いということになる。しかし、鉄鉱石というのは品位にばらつきがあり、鉄を豊富に含有しているものもあれば、わずかしか含んでいないものもある。品位の低い鉄鉱石は、選鉱作業を行って精鉱を得る必要があるので、それだけ商品価値も低いことになる。グラフでは、鉱石の鉄含有割合を横軸にとり、右に行くほど含有量の多く品位の高い鉄鉱石を有していることを表している。

 まあ、鉄鉱石資源については、様々な数字が飛び交う傾向があるように思うが、この資料によれば、図に見るように、ウクライナが世界で一番大量の鉄鉱石資源を抱えている。しかし、その品位は、主要国の中で最も低い部類である。それに比べると、ロシアは、埋蔵量がウクライナに次いで多いことに加えて、品位も一定水準を満たしている。私の理解によれば、円の大きさが、埋蔵量×鉄含有割合によって導き出した、Fe資源の純保有量を表しているのだろう。


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 ウクライナがこれだけ低賃金国家になると、これからますます欧州のアパレル下請け国家として名乗りを上げるようになると予想される。そんなわけで、こちらに出ているウクライナ・アパレル産業の動向について、簡単に骨子をまとめておく。

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 ウクライナの衣料市場において、過去2年ほどの重要なトレンドは、ウクライナの消費者が国産品への関心を強めていることである。

 ウクライナ独立後の25年間で、軽工業の生産量は10分の1に低下してしまった。軽工業が鉱工業生産全体に占めるシェアも、20%から、0.8%へと落ち込んだ。2015年にも軽工業の生産高は8.4%低下した。しかし、品目別に見ると、成長しているものもある。2015年に靴下・ストッキングは20%増、女性衣料は0.8%増だった。

 2015年現在、ウクライナには軽工業企業が2,500社あり、うち1,900が縫製工場である。企業数が多いのはハルキウ州271、リヴィウ州237、フメリニツィキー州152、ドニプロペトロウシク州104、キエフ州97などである。

 過去15年ほどは、ウクライナ軽工業は委託生産に注力している。生産全体に占める委託生産の比率は80~90%に上るという。New Look, Marks & Spencer, Next, Laura Ashley, Top Shop, Zara, Mexx, Triumph, BCBG, Esprit, Hugo Bossといったブランドのアパレルがウクライナで生産されている。それらはドイツ、イタリア、ポーランド、英国などに輸出されている。

 ウクライナの国内市場は、1,200億グリブナほどの市場規模がある。2015年の軽工業製品輸入額は18億ドルで、前年比27.3%減だった。ウクライナ国内メーカーにとって輸入代替生産の余地は大きい。ウクライナ国内生産にとって妨げとなっているのは、税制のまずさ、グレー輸入および生産、密輸である。ウクライナ生産者の80%は闇経済に従事しているので、公正な競争は成立しえない状況である。課税逃れをしている中国製品、トルコ製品の攻勢により、国内生産が圧迫されている。国内市場の67%が闇輸入または闇生産によって占められている。

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 こちらの記事にもとづき、本日はウクライナのコークス生産の動向を整理する。

 ウクルメタルルグプロムのデータによれば、2016年上半期にウクライナのコークス生産は27%伸び、550万tとなった。その結果、ウクライナはコークスの輸入を33%削減し、53.5万tの輸入で済ませることができた(これは統計局のデータ)。アルセロールミタル・クリヴィーリフは伝統的に、ポーランドにあるグループ企業のアルセロールミタル・ポーランドからコークスを輸入しており、2016年上半期にも38.3万tを輸入した。もう一つの大口供給国であるロシアからの輸入は26.9万tだった。

 ロシア産コークスを購入しているウクライナの鉄鋼メーカーは多くなく、購入理由は国内のコークス不足というよりは、ロシア産の高品質である。2016年にロシア産を購入したのは、イリチ記念冶金コンビナート、ザポリジスターリである。

 メトインヴェスト傘下のアウジイウカ・コークス化学工場は欧州最大のコークスメーカーだが、同社はドンバス紛争の軍事境界線に近すぎるという問題を抱えている。時折、インフラ、特に鉄道と送電線が、戦火の被害を受け、そのたびに工場は出荷を停止して復旧作業を余儀なくされる。2016年にも6月と7月に後半にそうした事態が起きたが、数日後には操業は再開されている。

 また、武装勢力の占領地で2016年初夏にコークスの出荷、原料炭の搬入の鉄道輸送に支障が生じたことも、各工場に打撃を与えた。それが特に該当するのが、占領地側にあるアルチェウシク、マキイウカ、ヤシニウカの各コークス化学工場であり、当時は鉄道出荷ができなくなり在庫を積み上げている状態だった。7月に鉄道輸送が再開され、ようやく困難が解消された。

 ウクルメタルルグプロムのデータによれば、2016年上半期にウクライナのコークス化学工場には300万tのウクライナ産原料炭(前年同期比9%増)、610万tの外国産原料炭(同33%増)が供給された。ドンバスの紛争開始以来、ドンバス炭の入手困難により、外国の原料炭への依存度は一層高まった。2013年には1,660万tのコークスを生産するのに1,140万tの輸入原料炭を要したが、2015年には1,160万tのコークスを生産するのに990万tの輸入原料炭を要している。製鉄メーカーが高炉での石炭粉注入にシフトするようになっていることも、より品質の高い外国産を求める要因となっている。ウクライナではコークス生産と発電用の両方に用いられる低品位の石炭がだぶついており、エネルギー石炭政策省としてはコークス化学工場への販売を拡大したいが、単体ではコークス生産には向かないので、より伝統的なKクラスまたはZhクラスと混ぜて使う必要がある。

 2016年に入って鉄鋼市場が改善し、占領地域の情勢もある程度安定したことから、2016年通年ではコークスの生産は前年比20%ほど拡大し、1,400万tレベルになると期待される。そのためには、1,200万tの外国産原料炭が必要である。


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 アイスホッケーの世界で、ロシアを中心とした国際的なリーグ戦「コンチネンタルホッケーリーグ」というものが存在していることに関しては、当ブログでも何度が言及してきた。実は、バスケットボールでも同じような状況であるということを、2017年1月12日付のイズベスチヤを読んでいて、今般初めて知った。

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 イズベスチヤの記事によれば、ロシア・バスケットボール連盟とVTB銀行の共催という形で、2008年から「VTB統一リーグ」というものが開催されているそうである。欧州バスケットボール連盟公認の大会だが、ロシアの国内選手権と、東欧・北欧のチームも参加する国際リーグ戦という二面性をもった大会とのことである。記事を読む限り、ロシア以外のチームは、それぞれ国内リーグ戦も戦うことが義務付けられているようだ。現在の2016/17シーズンは、ロシアの他には、エストニア、ラトビア、カザフスタン、ベラルーシのチームが参加しており、計5ヵ国から13チームが参戦しているという(上掲地図参照)。

 さらに、この記事によれば、参加チームの顔触れには各クラブの経営問題などを原因に結構出入りがあり、2015/16シーズンを最後に退会していたフィンランドのバイソンズというチームが、最近になって再び来季から参加したい意向を示している他、スウェーデンのチームからの新規参入の可能性もあるという。北欧側の参加動機は、日常的により高いレベルのチームと対戦できること。一方、ロシアの関係者は、「地政学的な要因が非常に大きい。諸条件(注:欧米との対立関係のこと)が違ったら、統一リーグ参加を希望する外国勢はもっと多いはずだ」と指摘している。


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 引き続き、Top-100の情報にもとづき、ウクライナの産業動向につき報告する。本日も昨日と同じこちらのページに出ている鉄鉱石部門の情報。

 製鉄部門と異なり、鉄鉱石の採掘産業は、それほど深刻な状況にはない。事業拠点がドンバスではなく、ドニプロペトロウシク州およびポルタヴァ州に所在しているからである。2015年の鉄鉱石精鉱の生産量は6,680万tで、これは2014年比で1.6%減、2013年比で2.3%減に留まった。同様に、2015年のペレットの生産量は2,170万tで、これは2014年比では1%減、2014年比では10%減だった。減産の原因は、国内需要の低迷と、世界的な市況の悪化である。

 こうしたことから現在各社は、精鉱およびペレットの鉄含有量の向上という製品品位の向上に取り組んでいる。だが、現在のところ数値指標に成果が表れるには至っていない。2015年1~7月のペレット生産は4.2%増だったが、鉄鉱石精鉱は減産が続き2.4%減となった。


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 引き続き、ウクライナ鉄鋼業に関連した情報の整理。2016年10月に出たこちらの記事が、ウクライナ鉄鋼業では危機にもかかわらず意外に投資意欲が旺盛だということを伝えているので、記事の要旨を以下整理しておく。

 2016年8月末にマリウポリを訪問したポロシェンコ大統領は、現在、鉱山・冶金部門で実施されている投資により、輸出増や歳入増が可能になると発言した。業界団体のウクルメタルルグプロムによれば、同団体に加入する製鉄所の設備投資は、2010年45億グリブナ、2015年83億グリブナ、2016年上半期26億グリブナと推移している。また、生産1t当たりのドル換算の投資額を見ると、2010年17.4ドル、2015年20.4ドル、2016年上半期8.8ドルとなっている。

 市況は引き続き厳しいものの、各社は新技術の導入、以前に着手した生産性向上のための投資プロジェクトを継続している。中でも野心的な投資計画を表明しているのはアルセロールミタル・クリヴィーリフで、2020年までに12億ドルを投下して近代化を実施するとしている。2015年に同社は51.7億グリブナ(約2.4億ドル)の設備投資を行った。

 メトインヴェストは、債務リスケとの絡みで、中期的な投資計画を表明するようなことはしていないが、2015年には2.9億ドルの、2016年第1四半期には0.5億ドルの設備投資を行ったということである。同社傘下の工場では、2.2億ドルを要したイリチ記念工場の焼結工場の大規模な近代化が完成段階にある。アゾフスターリの石炭粉注入設備も完成に向かっている。エナキエヴェ工場では2016年初頭に同様の工事が完了した(総工費1.2億ドル)。これらは環境対策の観点から重要な作業である。2016年9月にはイリチ記念工場に連続鋳造設備を導入する契約が結ばれ(総工費1.5億ドル)、これにより粗鋼・鋼材の生産能力が倍増し、従来平炉で生産されていた粗鋼に比べ品質が向上するとともに、環境面でも改善が期待できる。メトインヴェストがその他の投資家と対等出資で経営しているザポリジスターリでは、2015年に13億グリブナを投資し、現在は第3高炉の大規模改修の準備を進めている(15億グリブナを投資する予定)。ザポリジスターリでは、鉄鋼業が資本集約的でエネルギー多消費型であることにかんがみ、まさに省エネに重点を置いていくとしている。ザポリジスターリでは2016年上半期に生産を拡大しつつも天然ガス消費の15%削減に成功した。メトインヴェストでは、環境対策プロジェクトに加え、コスト削減プロジェクトも推進しており、エナキエヴェの石炭粉注入設備稼働、イリチの第4高炉の改修、アゾフスターリの第4高炉の近代化などはまさにその目的である。アゾフスターリのプロジェクトについては、ポロシェンコ大統領がマリウポリ訪問時に、ウクライナ最良の投資プロジェクトの一つと評したほどだ。

 ロシア資本のエヴラズ・ウクライナでは、2015~2016年に5億グリブナ以上の設備投資を行う。特に重要なものは、生産増強、省エネのプロジェクトである。環境対策の大規模プロジェクトもあり、特にドニプロ冶金工場では第1圧延設備で水循環システムが、転炉ではガス浄化システムが稼働する。

 どの企業でも、コスト削減を重視している。その最大の原因は、時には経済的合理性さえ省みない中国の輸出攻勢である。全世界で、自国市場を外国の鉄から守ろうとする保護措置の波が生じている。2016年だけで、EU、ユーラシア経済連合、カナダ、インド、台湾で、ウクライナ産の鋼材に対するアンチダンピング調査または関税導入が実施された。

 ただし、資金調達の困難ゆえに、各社は長期間を要するプロジェクトには慎重にならざるをえず、即効的な、明確な経済効果のあるプロジェクトを重視している。各社とも、投資は自己資金または株主の資金で実施しているということで、ゆえに大手の金融産業グループに属しているメーカーの方が資金調達面で有利である。アルセロールミタル・クリヴィーリフの近代化は、親会社のアルセロールミタルの資金で実施されており、すべてのプロジェクトについて投資効果が厳密にチェックされているという。多くの欧州諸国では年利3~5%程度で融資が受けられるが、ウクライナの銀行は25~30%もの金利を要求する。

 つまり、ウクライナの鉄鋼メーカーが新たな融資を獲得することは、事実上不可能ということである。したがって、より本格的な設備投資は、状況が改善するまで先送りせざるをえない。たとえば、ザポリジスターリでは平炉を全面廃棄して転炉に完全移行したい意向だが、費用は13億ドルを超え、現状ではその実施は困難である。同社はすでに同プロジェクトに自己資金3億グリブナをつぎ込んでいるが、プロジェクトを完遂するためにはどうしても外部資金が必要だという。

 ウクライナ独立後、こうしたプロジェクトの実例は多くない。ドンバス工業連合(ISD)傘下のアルチェウシク冶金コンビナートは、平炉から転炉に移行した。メトインヴェストでは、2015年にイリチ工場の平炉をすべて停止し、転炉への転換を図った。インテルパイプでは、インテルパイプ・スターリが電炉を稼働させ、ドニプロ下流管圧延工場の平炉を置き換えた。アルチェウシク冶金コンビナートとエヴラズ・ドネツィク冶金工場では、条件の良い融資を獲得できないがゆえに、連鋳への移行を実現できないでおり、同様にドネツィクスターリも平炉から電炉への転換を果たせていない。


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 ウクライナで毎年秋に『TOP-100』という刊行物が出ており、同国の産業別の動向が概観されていて大変便利なのだが、今年度は今のところウクライナに出張する機会がないので、入手できないでいる。しかし、こちらのサイトで情報が小出しにされており、ある程度の中身に触れることは可能である。そこで当ブログでは本日から数回に分けて、このサイトの情報に依拠しながら、ウクライナの主要産業の動向について報告してみたい。まず本日は鉄鋼業を取り上げる。なお、それぞれの産業部門につき、下の表に見るような、主要企業の売上高および利潤の数字が示されている。

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 ウクライナ鉄鋼業は、2014~2015年にドンバス地方での戦闘に起因する衝撃を受けた。しかし、2016年に入ってからは徐々に回復に転じている。

 2013年の生産量は、銑鉄2,910万t、粗鋼3,270万tだった。それが、2015年には、銑鉄2,190万t、粗鋼2,290万tに縮小した。その原因は、ドンバスの占領地帯で工場が停止したことである。アルチェウシク冶金コンビナート(ルハンシク州)、エナキエヴェ冶金工場(ドネツィク州)、ドネツィクスターリ(ドネツィク州)が操業を停止した。また、引き続き鉄道輸送に支障が生じているドネツィク州マリウポリ市のアゾフスターリ、イリチ記念工場も、生産が大幅減となっている。ただ、2015年春の和平実現により、鉄鋼業の状況は徐々に安定に向かい、2016年1~10月の生産量は、銑鉄1,400万t(前年同期比16%増)、粗鋼1,450万t(同10%増)だった。

 それでも、ドンバス諸企業の活動が深刻な障害に直面していることに、変わりはない。特に、クリヴィーリフから鉄鉱石を搬入し、完成した製品を域外に出荷することに、障害がある。ウクライナ鉄道が、軍事境界線までの輸送、また軍事境界線を越える輸送を、安定的に実施できていないからだ。これには、やむをえない事情(インフラの破壊など)もあるが、ウクライナ鉄道のトップ交代に2年も要したという人為的な要因もある。2016年4月にポーランド人実業家のヴォイツェフ・バリチュン氏がウクライナ鉄道社長に起用されたことで、事態が好転することが期待されている。


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 こちらこちらの記事によると、かつてジョージ・ソロスの盟友だった伝説の投資家ジム・ロジャースが、「中国は忘れよ。ロシアが買いだ」として、アメリカの投資家たちにロシア投資を勧めているということである(注:債券ではなく株式という意味だと思うが)。かつてロシアを悲観視していたロジャースだが、過去数年はその立場を変え、ロシア資産は過小評価されているとして、ルーブルやロシアの有価証券を買い集めている。豊富な天然資源や、国家債務が軽いことに加え、米トランプ政権発足による米ロ関係の改善も好材料だと、ロジャースは指摘している。

 まあ、この人の予想も、当たるのか当たらないのか、よく分からないけど(確か以前は「これからは中国だ」として娘に中国語を学ばせていたのでは?)。


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 こちらのサイトに見るように、世銀が半年に一度発表しているレポート『Global Economic Prospects』の最新版が、1月10日にリリースされた。その中から、私の関係国であるロシア・NIS諸国のGDP見通しの部分を、上掲のとおりお目にかける。足下で油価が回復していることを受けてか、ロシア・NIS諸国の見通しは前回よりも上方修正されているところが目立つ。


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 こちらが伝えるところによると、コメルサント出版の『ヴラースチ』誌および『ジェーニギ』誌が、廃刊となるということだ。広告収入の落ち込みが原因だという。12月に廃刊の決定がなされたと、同社の職員がSNSで明らかにした。ただし、編集長のセルゲイ・ヤコヴレフは、過去5年毎年その問題を検討しており、現在も再びその問題が持ち上がっているだけで、最終的な決定はまだだと説明しているという。

 政治誌の『ヴラースチ』は1992年創刊、経済誌の『ジェーニギ』は1994年創刊だが、実際には経済問題も『ヴラースチ』の方に読み応えがある記事が多かった気もする。我々の世代の現代ロシア事情研究者には非常に身近な媒体であり、今後もウェブ版としては残るという説もあるものの、もし本当に紙の雑誌がなくなるとしたら、寂しいことである。アエロフロートの機内で配られる雑誌としても定番だったが、これからどうするのだろうか。


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 個人的に、ロシア政府の公式ツイッターをフォローしているが、それを眺めていたら、「ロシア環境年のウェブサイトが開設されました」という情報が流れてきた。問題のサイトは、http://ecoyear.ru である(ページはロシア語のみ)。2016年1月5日付の大統領令により、2017年が「ロシア環境年」に指定されたとのことで、同サイトでは関連したニュース、資料、イベントなどの情報が掲載されている。ウェブサイトは、洗練はされているが、ロシア人お得意の(そして私が個人的に苦手な)妙にインターアクティブで凝った作りになっており、逆に閲覧しづらい。

 なお、2017年のロシア環境年には、234件のプロジェクトが実施され、600の関連行事が開催され、11の自然保護区が新規開設され、総額2,380億ルーブルが投資されるということである。


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 当ブログ既報のとおり、年末から年始にかけてベラルーシとロシアの関係が急激に冷却化したのには、石油ガスをめぐる対立、ユーラシア経済連合の関税法典をめぐる対立という、2つの対立要因があった。そのうち後者は、より具体的に言えば、新たな関税法典の成立により、ベラルーシの経済特区からユーラシア経済連合に製品を輸出する上での関税優遇措置が廃止され、企業がベラルーシの特区に入居する上でのメリットが損なわれてしまうという問題だった。

 こうした事態を受け、ベラルーシは特区入居企業への追加的な優遇措置を制定し、企業を繋ぎ止める構えを示していたが、このほどその措置を具体的に制定したベラルーシ大統領令の中身が明らかになった。これは、2016年12月30日付ベラルーシ大統領令第508号であり、そのテキストはこちらのサイトで閲覧ができる。しかし、より分かりやすいのは、ベラルーシ経済省のこちらのサイトに出ている解説かもしれない。追加的な優遇措置は、以下のような内容となっている。

  • 特区入居企業が生産に用いる製品を輸入する際に、付加価値税を免除する。
  • 特区入居企業がベラルーシの国有地を賃貸する際に、地代を免除する。
  • 特区の存続期間を、2049年12月31日まで延長する。
  • 3つの特区、ブレスト、グロドノインヴェスト、ヴィテプスクの領域を拡大する。
  • 特区の入居企業として認定されるための最低投資額を、100万ユーロから、50万ユーロに引き下げる。

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 12月26日にサンクトペテルブルグでユーラシア経済連合の首脳会合が開かれ、その場で同連合の関税法典条約への調印がなされたが、ベラルーシのルカシェンコ大統領はそれに欠席したということは、当ブログでも既報のとおりである。

 それで、その時は、ベラルーシは代理で誰かが署名したとか、時間や場所をずらして署名するとか、そんな処理がなされるのだろうと想像した。実際、後日ロシア大統領報道官は、文書をルカシェンコ大統領の署名用に、ベラルーシに送付したことを明らかにした。しかし、こちらこちらの情報によると、ベラルーシはまだ関税法典条約への署名は行っていないということである。ベラルーシ側は単に、12月28日付の大統領令により、関税法典条約案を承認し、同案についての交渉を進めることを政府に指示しただけだ、と説明されている。


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 こちらの記事によれば、ウクライナの金・外貨準備は2016年に17%拡大し、2017年1月1日現在で155億ドルとなっている。

2015年1月1日:75億ドル
2016年1月1日:133億ドル
2017年1月1日:155億ドル

 と推移している。なお、もし仮にIMF融資の第4トランシュが入っていたら、2017年1月1日現在で172億ドルになるはずであったということである。IMFは4ヵ年のプログラムでウクライナを支援しており、2015年3月に50億ドル、8月に17億ドル、2016年9月に10億ドルを実行した。


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