服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

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 考えてみれば、本日2018年3月25日は、「ベラルーシ人民共和国」の独立が宣言されてから、100年目の記念日だ。

 おさらいしておけば、1914年に第一世界大戦が勃発すると、ロシアはドイツとの戦争で劣勢に立たされ、ロマノフ王朝による帝政は2017年3月の革命により崩壊した。ロシアは臨時政府と「ソビエト」との二重権力状態に陥り、停戦や土地問題の解決が図られないまま、事態は11月のボリシェヴィキ(のちのソ連共産党)による社会主義革命へと至る。この間、ベラルーシ地域においては、ベラルーシ社会主義会議(グロマダ)を中心とする民族派が自決を模索していた。1917年7月にはソビエトに対抗する「中央ベラルーシ会議」が設置され、12月には「全ベラルーシ大会」が開幕した。大会はボリシェヴィキによって解散させられたものの、参加者たちは場所を替えて審議を続け、執行委員会を選出した。ソビエト・ロシア政府が自分たちの頭越しにブレスト条約を結ぼうとしていることに危機感を抱いた執行委は、ドイツ軍の進撃を好機と見て、1918年3月9日に「ベラルーシ人民共和国」の創設をうたった。同25日には人民共和国の独立を宣言するに至る。

 ベラルーシ人民共和国はドイツの支援に賭け、皇帝のヴィルヘルムⅡ世に独立承認を請う電報を送ったが、ドイツ側はこれを黙殺する。人民共和国は国家機構や軍隊を整備できないなど有名無実だったうえ、指導部の分裂も生じた。1918年後半になると大戦の戦局が変わり、ドイツ革命も起きて、ドイツ軍は1919年1月までにベラルーシ全域から撤退、当地の実権は再びボリシェヴィキの手に渡る。その後、人民共和国の残党は1920年11~12月に最後の武力抵抗を試みたものの(スルツク反乱)、赤軍に鎮圧され、国外に逃れて亡命政権化した(ちなみに、現在に至るまで亡命政権は存続しており、HPはこちら)。

 このように、ベラルーシ人民共和国は国としての実態を備えるには至らず、その試みはきわめて短命に終わった。それでも、現代のベラルーシ・ナショナリストたちは、人民共和国は本物の国家だったのであり、我々は1991年にその独立を回復したのだ、という立場をとる。

 今日、言論・結社・集会の自由が抑圧されているルカシェンコ体制にあっても、民族・民主系の野党は3月25日を「自由の日」と定め、毎年この日に反政府デモなどを挙行してきた。他方、かつてはエスノナショナリズムとは無縁だったルカシェンコ体制も、最近はご都合主義的にナショナリズム的要素を取り入れている面もあり、かつてのようなルカシェンコ体制VS民族・民主野党という明確な対立構図は薄らいでいる印象もある。

 100周年の本日は、一体どうなるのだろうか? もしも100周年という大きな節目に何も起こらず、平穏無事に過ぎ去るとしたら、それは一時代の終わりを意味するのかもしれない。


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 ワールドカップ会場のうち、日本の初戦が行われるサランスクの「モルドヴィア・アレーナ」は工事が若干遅れ気味とも言われていたが、最新のこちらこちらのニュースによれば、3月31日までには工事が完了する予定ということである。ちなみに、このモルドヴィア・アレーナも含め、新設スタジアムでは、大会本番前にそれぞれ3試合のテストマッチを行うのだという。ただ、国内クラブが試合をやっても、せいぜい数千人しか集まらないだろうから、何万人も観客を集めての試合となると、やはりW杯でのぶっつけ本番ということになる。サランスクでは、6月16日がペルー:デンマーク、19日が日本:コロンビア、25日がイラン:パラグアイ、28日がパナマ:チュニジアと予定されている。決勝Tの試合はないし、こうやって見ると地味な国ばかりで、地元の人には少々気の毒だ。まあ、この4試合のためだけに165億ルーブル使った(ざっくり言うと300億円くらい)、などということのないよう、せいぜい大会後に有効活用してほしいものである。


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 ウクライナ統計局のこちらのサイトに、2017年のウクライナのGDPの概要が出ている。2017年のウクライナ経済は実質2.5%成長した。

 主要生産部門別の前年比実質伸び率は、ざっと以下のようになっている(▲はマイナスを意味する)。

農林水産業:▲2.5%
鉱業:▲5.9%
製造業:5.1%
電力・ガス業:▲6.1%
建設:26.9%
商業:5.0%
運輸・倉庫:4.3%
ホテル・外食:2.3%
情報・テレコム:7.7%
金融・保険:0.2%
不動産業:7.8%

 主要需要項目別に見ると、以下のようになっている。

家計最終消費支出:7.8%
政府最終消費支出:3.3%
総固定資本形成:18.2%
輸出:3.5%
輸入:12.2%


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 先日ウクライナ外務省は、CISからの脱退、ロシアとの友好・協力・パートナーシップ条約の破棄についての提案を取りまとめたと発表した。これに関連し、ロシアの駐CIS代表のA.シヴェドフ氏(上掲写真)が、こちらのインタビュー記事の中でコメントしている。

 シヴェドフ代表いわく、CISへの参加は任意であり、いかなる国もその件に関する決定を自ら下すことができる。CISにおける協力は互恵的なものなので、すべてのパートナー諸国が、ウクライナがCISとの関係を絶たないことを願っている。もし仮に公式的に脱退したと仮定すると、2つのポイントがある。過去数年、ウクライナはCISの活動に最低限しか参加してこなかったが、それによってCISの活動・発展が妨げられたわけではない。他方、CISとは単に日常的な討議・会合・文書の起草・採択だけの組織ではなく、多国間のプロジェクトへの参加もその重要な側面である。たとえば、CIS枠内での合意により、住民が他の加盟国に移住した場合の年金保障、救急医療等の問題が調整されている。また、経済関係支援・促進のために、良好な条件が整備されている。ウクライナにとってCISは輸出の16%を占める重要市場で、とりわけ機械製品にとって重要市場であることを指摘したい。つまり、諸協定から離脱すれば、ウクライナは多くの権利・可能性を失うことになる。CISの活動は、地域の利益のために構築されており、すべての加盟国の社会経済安定・発展に資するものである。とくに、ウクライナも加盟しているCIS自由貿易協定は重要な枠組みだ。シヴェドフ代表は以上のように述べた。


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 ちょっとしたメモにすぎないけれど、世界各国のムスリム(イスラム教徒)の数を比較した資料がこちらに出ている。ロシアも、比率こそそれほど高くないものの、実はそれなりに大きいムスリム人口を抱えており、その数は1,850万人程度とされ、世界で第21位ということになるらしい。ロシアではムスリム人口比は増大しつつあり、それは元々ロシアに暮らすイスラム系民族の出生率が高いことに加えて、中央アジアおよびアゼルバイジャンという周辺国からの非合法な移民(その数は300万~500万人と見られる)の存在にも起因している。したがって、2010年の国勢調査の時点ではムスリム人口は1,500万人程度だったが、現状では1,800万~2,100万人に上ると見られる。


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 こちらに、上に見るような、2016~2017年のロシアにおけるメーカー別のトラック販売台数が出ていた。私はロシア市場におけるベラルーシMAZ社の販売動向を注視しているわけだが、2017年にはロシア市場全体の販売が景気回復に伴い50.4%拡大する中で、MAZのそれは17.4%増に留まり、ロシアの国産品優遇が鮮明となった。いっそのこと、MAZもロシアで現地生産するか?


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 先日のエントリーの続きで、UEFAの最新レポート、The European Club Footballing Landscapeから興味深いところをピックアップすると、上図は欧州主要国トップリーグの収入構造を示したものである。左から、薄紫が国内リーグの放映権料、濃い紫がUEFAからの分配金(CLおよびELに出場する報酬だろう)、紺色が試合当日の収入(入場料等)、青がスポンサー収入および商業活動、灰色がその他、となっている。私の関心国であるロシアとウクライナは、国内リーグ放映や入場料といった、ベーシックな収入をほとんど挙げられていないことが分かる。ロシアは圧倒的にスポンサーに依存しており、またウクライナはUEFAからの分配金が多い。UEFAからたくさんお金をもらっているということは、欧州カップ戦ではそこそこ善戦しているということであり、その意味では結構だが、その恩恵に与れるのはシャフタールとディナモ・キエフだけだろう。あと、ウクライナの場合は、移籍金で結構稼いでいるが、才能あるウクライナ人プレーヤーを育てて売るというよりも、シャフタールが潜在力の高いブラジル人を青田買いしてきて、ある程度したら欧州ビッグクラブに売るというパターンが確立されており、その部分が大きいと見られる。ウクライナ人プレーヤーでは、ヤルモレンコ、コノプリャンカという2枚看板を放出済みなので、もうこれといった商材は見当たらない。ところで、カザフスタンで「その他」が多いのが気になる。


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 プーチンがこれといった選挙マニフェストも示さないまま当選してしまったので、「Youは何しに4期目へ?」状態となり、結局3月1日にプーチン大統領が行った年次教書演説が実質的なマニフェストのように位置付けられることとなった。その中身については当ブログでも部分的に紹介済みではあるが、こちらのサイトに主な目標などをまとめた図解資料が出ていたので、ロシア語のままで恐縮だが、参考までに転載させていただく。

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 こちらのサイトに、ソ連~ロシアの最高指導者の在位期間という図が出ていた。これを見ると、2017年9月25日現在の状況で、プーチンは在位6,615日であった。ただし、これには大統領だけでなく首相としての在職期間も含まれているようである。この時点でブレジネフを追い抜いたが、スターリンの10,636日には及ばない。これから6年やっても、たぶん9,000日くらいにしかならないだろうから、スターリンは抜けないという計算になる。


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 こちらによると、大統領選で当選を果たしたプーチン氏は3月19日、自らの選対本部で、新政権の下での首相および内閣の人選につき発言した。プーチンは、内閣の顔触れは大統領就任式の後に発表される、首相の人選については当選が決まったことを受け本日から考え始めることにしたい、と述べた。また、憲法改正については、計画はしていないが、ロシアには解決すべき困難な課題が待ち受けており、そうした難題をにらんで憲法を改革する可能性は排除しない旨述べた。

 なお、私が現地マスコミなどをざっと眺めた限りでは、次期首相に関し、メドヴェージェフ現首相が留任する説、ヴァイノ大統領府長官が首相に転身する説、ナビウリナ中銀総裁が首相に起用される説、などがあるようだ。


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 これは先週の動きになるが、こちらの記事などによれば、ウクライナ最高会議は3月15日、P.ポロシェンコ大統領が提案していたYa.スモリー氏を中銀総裁に正式に承認した。ウクライナでは2017年5月10日にV.ホンタレヴァ中銀総裁が辞意を表明して以降長期休暇に入り、この間スモリー第一副総裁が総裁代行を務めていた経緯がある。今年に入ってポロシェンコ大統領は1月18日にホンタレヴァ総裁の解任とスモリー代行の総裁への就任を最高会議に提案していた。今般の最高会議の投票により、247名の賛成を得て(過半数は226名)、正式に総裁就任が決まったものである。

 スモリー新総裁は1961年テルノピリ州出身の57歳。民間銀行勤務などを経て、2014年4月に中銀副総裁、2016年10月に第一副総裁に就任していた。


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 ロシアのサッカーの国内リーグ戦では、ウェブサイトなどを見ても、事前に開催会場が明記されておらず困ったりすることが少なくない(!)のだが、さすがに新スタのこけら落としとなると、大々的にアナウンスされるということか。エカテリンブルグに所在するFCウラルのHPを見たら、4月1日に新スタジアムで初めての試合が開催されるとうたわれていた。この日16:00キックオフのルビン・カザン戦が、記念すべきファーストマッチとなる。上掲の座席表を見る限り、黄色の部分、つまり両翼にせり出した羽のような仮設スタンドの切符も売り出すということかな?

 言うまでもなく、このスタジアムは、W杯で日本の第2戦が行われる会場に他ならないので、4月1日の試合の動画などが見付かったら、後日改めて紹介したいと思う。

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 ソ連時代から現代ロシアに至るフーリガンの歴史をまとめたこちらの記事を読んでいたら、奇怪な話が出ていたので、メモしておく。

 ソ連末期の1980年代になると、フーリガンが台頭し、ソ連では2大勢力が対立することとなった。一方は、モスクワの各クラブと、東ウクライナのシャフタール・ドネツィク、メタリスト・ハルキウの連合軍。もう一方は、ディナモ・キエフ、ドニプロ、カルパティ・リヴィウ、そしてジャリギリス・ヴィルニュスの連合軍。両者による衝突は1980年代初頭には始まっていたが、ペレストロイカ期になるとそれが大規模になり、特に1987年にスパルタク・モスクワがキエフに遠征した際にはスタジアム周辺や駅でモスクワ派とキエフ派による大掛かりな衝突が発生した、という。

 現代のロシアに視点を移すと、ディナモ・キーロフというロシアの地方クラブのサポーターははネオナチを信奉しており、ウクライナの急進右派サポーターと以前から交流を深めていた。そして、ドンバス紛争が始まると、ディナモ・キーロフのサポたちはウクライナ現体制を一貫して支持しており、2014年4月には上掲の動画のようにウクライナにエールを送る場面もあった、ということである。


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 この週末は、個人的にサッカーのことを集中的に調べており、その関連の話題が多くなるが、ご容赦を。

 UEFAの最新レポート、The European Club Footballing Landscapeを眺めていたら、面白いことに気付いた。このレポートでは、各国のサッカークラブの活躍度をランキング形式で発表しているのだが、過去10年ほどの国別の栄枯盛衰を見ると、欧州で最も躍進した3国は、ベラルーシ、アゼルバイジャン、カザフスタンとなっている。上図の黄色いラインがその3国である。アゼルバイジャン、カザフスタンは産油国であり、ベラルーシは原油生産量こそ小規模であるもののロシアから輸入した原油を加工する精製ビジネスで食っている国だ。ざっくり言えば、オイルマネーでこれらの旧ソ連3国のサッカーが伸びてきたと理解していいだろう。ちなみに、最新のランキングでロシアが6位、ウクライナは8位であり、この2国はだいたい横這いである。


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 これはしばらく前の情報だが、個人的に見落としていたので、取り上げさせてもらう。主にこちらの記事によると、ワールドカップの開催期間中、開催都市のある地域では、一連の工場の操業を止めるという話になっているらしい。プーチン大統領が出した大統領令により大会期間中の治安に万全を期すよう指令が下っており、その一環として連邦保安局が関係企業に操業停止への協力を要請しているという。むろん、すべての工場ではなく、テロの標的や手段になりかねない化学、バイオ、放射線、有毒、爆発物などの物質を生産する工場が対象になるという。

 実際、こちらの記事によれば、日本が第3戦を戦うヴォルゴグラードでは、ヴォルゴグラード冶金工場がすでに操業停止に応じているほか、合成ゴムの「カウスチク」社も当該の通知を受け取っているということである。

 いくらなんでも、大袈裟すぎるよね。ちなみに、あらゆる危険性を徹底的に排除するというのなら、原発は止めないのだろうか?


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 米トランプ政権が鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を導入しようとしていることに関して、こちらの記事によれば、ウクライナの通商代表のN.ミコリシカはツイッターで次のようにコメントした。いわく、ウクライナ内閣と経済発展省は、ウクライナ製品がこれら特別完全の適用外となるよう、あらゆる努力を尽くしている。これらのウクライナ製品は伝統的に米国に輸出されており、米国の安全保障の脅威にならないと確信している。ウクライナは本件に関し米国政府と恒常的に対話しており、ウクライナの生産者と協業している。

 同じような措置をロシアが一方的に導入したら、ウクライナは「世界秩序を揺るがす暴挙」と声を大にして批判すると思うのだが、米国に対しては自国産品を例外扱いにしてねとお願いするだけで、批判はしないわけですな。


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 現在ロシアは、ベラルーシの一部事業者からの牛乳を衛生管理上の理由で差し止めており、両国間の摩擦に発展している。それに関連して、こちらのニュースによれば、ロシアのA.ドヴォルコヴィチ副首相が、ロシアの牛乳の輸入依存率は25%であると発言した。ロシア統計局は様々な食品の輸入依存率のデータを定期的に発表しているが、牛乳の数字は見たことがなかったので、書き留めておく次第である。

 ドヴォルコヴィチ副首相は、次のように語ったということである。土地改良、肥料の適切な投入、輪作なども重要だが、畜産が喫緊の課題に浮上している(注:ちょっと文脈が良く分からないが)。ロシアでは、牛乳の消費量が4,000万tであるのに対し、生産は3,100万tで、25%ほど足りない。不足分は、現在ベラルーシから輸入して補っている。我が国の友人たち(ベラルーシ)はむろんそれで喜んでいるが、我が国としては必要量を自給するようにしたい。ここで主導的な役割を果たすのがスタヴロポリ地方である。むろん、穀物にあまり適していない非黒土地帯では畜産が重要なので、そこでも多く生産されることになるだろうが。副首相は以上のように述べた。

 まあ、それにしても、ユーラシア経済連合というのは、一体何のための市場統合なのかと思ってしまう。


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 昨日お伝えしたロシアの「非資源・非エネルギー輸出」に関する話の続きである。すでに解説したとおり、ロシア輸出センターなどの尽力により、非資源・非エネルギー輸出を加工度および付加価値に応じて上層・中層・下層の3層に分ける分類がなされている。実は、その上層の中でも最も技術水準が高い商品については、「ハイテク製品」とカテゴライズされている。具体的には、航空機、機器、核燃料、エレクトロニクス、医薬品がそれに該当するとされている。ただし、私の調べた限りでは、ロシア輸出センターはハイテク製品の具体的な輸出額や、上層に占めるハイテク製品の比率といった具体的な数字は出していないようである。

 それで、ここからがややこしい話なのだが、ロシア連邦政府の産業・商業省も「ハイテク製品のリスト」というものを制定しており(それに関しては1年ほど前にこちらで報告した)、結論から言えば、ロシア輸出センターと産業・商業省のハイテク製品リストは異なっているようなのである。以前書いたとおり、産業・商業省のハイテク製品リストは非常に幅広いものであり、我々からすれば「これがハイテク?」と疑問を抱くような商品も含まれている。ちなみに、ロシア連邦国家統計委員会は、産業・商業省の定義にもとづいて、ハイテク製品の輸出入という統計データを発表しており、それをグラフにしたのが上図である。これも今回書いたレポートでは紙幅の関係で割愛せざるをえなかったので、ここにリサイクルする次第である。


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 昨日が、編集を担当している『調査月報』の締め切りだったので、この間ブログでは大したことも書けなかった。グチを言わせていただくと、雑誌を編集作業する上で、まず外部の専門家に書いていただいた原稿の処理を最優先する。次にやるのが、内部のスタッフが書いた原稿の処理である。そして、最後に自分の原稿を書く。他の皆さんは自由気ままな分量で書くが、私は最後に余ったページ数に合わせて書くので、その分量に着地させるのに三回転ひねり的な曲芸を要する。素人の皆さんは、雑誌のページ数は偶数であれば何でもいいくらいに思っているかもしれないが、実は雑誌というのは基本的に8ページごとに綴じていくので、8の倍数に着地させないと余計な切り取り作業などが発生し、コスト高になってしまうのである。つまり、私は自分の記事を書く時に、「自分が何ページ書いたら総ページ数が8の倍数になるか」ということを優先して作業しており、こう言っては何だが、内容は二の次である。

 それで、今回の月報では、私はロシアの貿易政策に関するレポートを書き、逆算すると、そのレポートを18ページにする必要があった。自分にとってこのレポートは力を入れようと思っていた大事なものだったのだが、やはり作業は後回しにせざるをえず、結局締切日に1日で書き上げるような感じになり、また予定していた内容をすべて盛り込むこともできなかった。

 前置きというかグチが長くなったが、そんなわけで、事前に作成してあったにもかかわらず、そのレポートに掲載しきれなかった図表があるので、当ブログに掲載してリサイクルしようという話である。当ブログでも何度か取り上げているが、最近ロシアでは「非資源・非エネルギー輸出」の拡大ということが重視されるようになり、先日プーチン大統領が年次教書で2024年までに同輸出を2,500億ドルにまで拡大したいと発言したことも記憶に新しい。それで、「非資源・非エネルギー商品」とは具体的にどのようなものを指すのか、これまでは断片的な情報しか掴むことができずフラストレーションを感じていたのだが、今般ロシア輸出センターのこちらのページでその具体的な品目表が掲載されているのを知った。これを見ると、「非資源・非エネルギー商品」は、加工度・付加価値に応じて上層・中層・下層と3つのレベルに分けられているということも分かった。上層は機械、加工食品、精密化学品、消費財などである。中層は化学品、合板、圧延鋼材、紙、織物、食肉、植物油などである。下層は未加工金属、肥料、穀物、採油用種子、魚、木材などである。したがって、非資源・非エネルギー商品と言っても、下層の方には、我々のイメージするところの資源や原料に近いような品目もかなり含まれているということになる。それで、ロシア輸出センターは定期的に非資源・非エネルギー商品の輸出データを発表するようになっているので、それを上層・中層・下層に分けて示した下掲のような図表を作成したのだが、紙幅の関係で掲載できなかったというわけである(涙)。

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 相当マニアックな話題だが、こちらのサイトに、ウクライナのザポリージャ自動車工場(ZAZ)の小史のようなことが出ていて、個人的に興味深かったので、以下要旨を整理しておく。

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 ウクライナが自力でゼロから開発した最後の自動車モデルは、1987年11月に量産が始まったタヴリヤだった。ただ、タヴリヤは発売された時にはもう古びていたモデルだった。それは、ウクライナの開発担当者が悪いのではなく、工場としては1970年代に生産を始めたかったのに、ソ連指導部がなかなかゴーサインを出さなかったのである。タヴリヤの設計に際しては、当時欧州で人気のあったフォード・フィエスタが手本とされ、外見も似ていた(上掲写真の左がタヴリヤ、右がフィエスタ)。むろん、そうは言っても異なるモデルであり、しかもタヴリヤはフィエスタの11年も後に登場した。

 タヴリヤは長らくウクライナで安い乗用車の定番だったが、その後新車の開発は実質的に行われなかった。今日では、ZAZで生産されているのはすべて韓国、米国、中国メーカーの車をベースにしたモデルである。

 ウクライナ独立後、ZAZの経営権は韓国Daewooに移り、同社はタヴリヤをマイナーチェンジしてタヴリヤ・ノヴァ、スラヴタ、そしてあまり知られていないダナといったモデルを生み出した。すべてタヴリヤのシャーシを利用しており、厳密には新車ではなかった。

 ウクライナ独自のモデルを開発する試みは、この時点で潰えていた。Daewooとしては自社のニュビラ、レガンザ、ラノスがあったので、ウクライナ独自モデルの必要はなかったのだ。その後、特にZAZの主力になったのがラノスで、それをもとにした安価モデルのセンスも生産された。

 Daewooが経営破綻しGMに吸収されると、ZAZはラノスとセンスのライセンス生産を続けたが、しばらくしてDaewooのブランドは捨て、韓国のモデルを自らのZAZのブランドを冠して生産するようになった。

 その後、ZAZの経営は地場資本のウクルアフト社が握り、タヴリヤ、スラヴタの生産は停止された。代わってZAZフォルツァの生産が始まったが、ZAZ自身はその開発に最低限しか関与せず、それは実質的に中国モデルのチェリー・ボーナスのコピーだった。また、別のモデルZAZヴィダは、GMのライセンスにもとづき2012年に生産が始まったもので、実質的にシボレー・アヴェオだった。

 2016年5月にZAZはスラヴタ・ノヴァというハッチバックのコンセプトを発表したが、これもウクライナ独自開発モデルとはほど遠く、中国チェリー社が2011年に発表したRiich G2と瓜二つである(後掲画像参照)。ZAZでは、チェリー社とともに同モデルの開発に積極的に取り組んでいる旨表明しているが、今後量産に着手できるかどうか、現時点では明らかになっていない。

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 これは2月半ばの出来事だったのだが、当方ロシアに滞在していたにもかかわらず、うかつにも気付かなかった。国営天然ガス独占企業のガスプロムが、2月16日に創設25周年を迎えたということである。上掲は、それを記念した動画で、同社の活動概要を南、北、西、東と方面別に分けてプレゼンしたものである。せっかくだから英語版も作ればいいのに、ロシア語版しか存在しないようだ(英語ページからも、このロシア語動画にリンクするようになっている)。


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 ウクライナにおける乗用車の販売動向を、久し振りに図にまとめてみた。

 リーマンショック前のバブル期には遠く及ばないし、2014年の政変前の水準もいまだに回復していないものの、2017年には過去2年ほどに比べれば販売が一定程度回復した。2017年通年の販売台数は82,248台で、前年比25.5%増だった。


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 ロシアでは、ウクライナ危機後、「輸入代替」が経済政策のキーワードとなり、2~3年前にはそれ一色という雰囲気すらあったが、ここに来てそれがだいぶトーンダウンしてきた印象が強い。

 それと符合するように、こちらの記事によれば、プーチン大統領はこのほど女性企業家との対話の席で、輸入代替は一時的な現象にすぎない旨発言した由である。私などもロシアの輸入代替政策をテーマとしたレポートなどを書いてきただけに、何やらハシゴを外されたような心境である。

 プーチンいわく、輸入代替という考え方自体は万能ではなく、輸入代替が競争を阻害するようなことがあってはならないわけで、それが我々が最終的に目指すところではない。これはきわめて重要な点だ。我々皆が理解しなければらないのは、輸入代替なるものは、一時的な現象にすぎないということで、皆さんにはぜひ理解してもらいたい。これは現状に適応する一時的な手段のようなものだ。我が国はロシア国内だけでなく、世界市場においても競争力のあるような、しかるべき質と手頃な値段で製品を生産するよう努めなければならない。輸入代替が要請されるのは、まず何よりも国家安全保障にかかわる部門で、たとえば軍需産業がそれに当たる。ロシアは(従来ウクライナから輸入していた)船舶エンジン、ヘリコプターエンジンを自国で生産するようになったが、それは状況に強いられたものだった。いくつかの事例では、経済制裁など困難な状況にもかかわらず、我が国はそれに取り組んできたし、今も、これからも続ける。

 以上がプーチンの発言振りである。まあ、プーチンは3年ほど前に輸入代替政策が台頭した当初から、内外で競争力のある産業を育てることが肝心であり、弱い産業を人為的に保護するつもりはない旨強調していたので、今回も本質的には新しいことを述べたわけではない。ただ、それにしても、「一時的な現象」というのは、踏み込んだ表現であり、プーチン政権の風向きの変化をうかがわせる。


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 これはちょっと興味深い話題なのでメモしておくと、こちらの記事によれば、モスクワのムフティー(イスラム教指導者)であるI.アリャジノフはこのほど、エジプトをはじめとするムスリム諸国代表チームのサポーターたちを、モスクワにおいて民泊で受け入れる手助けをしたいと表明した。ムフティーは、大会期間中にホテル等が高騰する傾向が見られ、イスラム諸国のサポーターには支払えない恐れがあるので、モスクワのムスリムたちが自分たちの寮や自宅をごくわずかな料金で民泊開放するようにしたい、ただし実現のためにはさらに検討・調整する必要がある、と発言した。なお、エジプト大使館によれば、大会期間中に5万~7万人のサポが同国から来訪する見通しだという。


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 こちらの記事によると、W杯で日本の第3戦が行われるヴォルゴグラードで、新スタジアムの建設が完了した。建設を請け負ったゼネコンのスポルト・エンジニアリング社が、その旨を発表した。新スタジアム「ヴォルゴグラード・アレーナ」は、旧ツェントラーリヌィ・スタジアムの跡地に建設され、4.5万人収容。W杯では日本VSポーランド戦を含め、グループステージの4試合が行われる。


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 一昨日に引き続き、3月1日にプーチン・ロシア大統領が行った年次教書演説の中から、今度は対外関係に関する部分を抽出すると、以下のとおり。

 我が国の政策は、例外的な特権の要求にもとづくものではなく、自らの利益を擁護し他国の利益を尊重しており、国際法を旨とし、国連の枢要な役割を不動のものと見なしている。このような原則とアプローチこそ、我が国に世界の大多数の国々との堅固で良好で平等な関係を築くことを可能にしてくれる。

 その一例が、我が国と中国の全面的で戦略的なパートナーシップである。ロシアはインドとの間でとりわけ優先的な戦略的関係を構築している。我が国は世界の多くの国との関係で新たなダイナミズムを得ている。

 ロシアは国際機構の活動に活発に参加している。パートナー諸国とともにCIS集団安保機構、上海協力機構、BIRICSといった統合機関および組織を発展させており、国連、G20、APECといった組織にポジティブな貢献をしている。我が国は米国およびEUとの正常で建設的な相互関係を望んでいる。良識が勝り、パートナー諸国が誠実で対等な協力関係を選択するよう期待したい。

 我々の立場が何らかの点で食い違ったとしても、我々は依然としてパートナー同士のままである。というのも、我々はともに、浮上している挑戦に対応し、全般的な安全保障を保証し、ますます相互依存的になっていき統合過程が積極化する未来の世界を構築していかなければならないからである。

 ユーラシア経済連合のパートナー諸国とともに、同連合をグローバルに競争力のある統合体にしていく意向である。同連合の今後の課題としては、電力・石油・石油製品・ガスのユーラシア経済連合共同市場の形成、金融市場および関税業務の調和化がある。大ユーラシア・パートナーシップの形成プロジェクトに向けた作業も継続していく。

 なお、日本に関しては、平均寿命を日・仏・独のように80歳以上にしなければならない、米国はミサイル防衛システムを精力的に拡大しており日・韓にまで展開する予定でけしからんという、2箇所の「ついで」の言及に留まったようだ。


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 世界に迷惑をかけている度合いからすれば北朝鮮よりも深刻かもしれない米トランプ政権が、鉄鋼輸入に25%の関税を導入する意向を表明している件。こちらの記事で、ロシアへの影響の可能性が論じられている。以下要旨をまとめておく。

 ロシアの鉄鋼大手の多くは、米トランプ政権の関税方針にどう対応したらいいか、決めかねている。その原因は、まだ先行きが不明確であり、ロシアのメーカーが得をするのか損をするのかも不明なことだ。

 ロシアのメーカーによっても、状況が異なる。マグニトゴルスク冶金コンビナートは、そもそも米国に輸出していない。セヴェルスターリも米国市場は重視しておらず、2017年の売上に占める米国の比率は2%にすぎなかったので、関税が導入されても容易に他市場にシフトできるとしている。

 一方、ノヴォリペツク冶金コンビナートの在米工場は、2017年に62.3万tの粗鋼を生産し、223.9万tの鋼材を販売した(同社の販売の13%に相当)。また、エヴラズ北米法人のEvraz North Americaは米国とカナダの工場で2017年に175万tの粗鋼(同社の生産の12.5%)、185万tの鋼材を生産した。

 これらの米国での生産は現地生産なので、輸入関税の導入でむしろ得をする。ただし、生産に用いる原料および半製品(スラブ)の一部は、主にロシアから輸入しており、それらに対する関税がどうなるのか、現時点では不透明だ。トランプ政権は原料や半製品については明言していないし、NAFTA諸国からの供給が例外扱いされるのかも明らかにされていない。米国への鉄鋼の最大の輸出国はカナダであり、ブラジルとロシアは主に半製品を輸出している。2017年の対米半製品輸出は、ブラジルが380万t、ロシアが210万tだった。

 ノヴォリペツクの場合、在米工場で230万tの圧延鋼材を生産するために、ロシア工場で生産された150万tのスラブを使っている。さらに80万tの粗鋼が電炉で現地生産されており、そこではロシア産の銑鉄45万tも原料として使われている。

 エヴラズはロシアから米国工場に年間50万tのスラブを供給しており、それによりスラブ需要の20%を賄っている。また、エヴラズのカナダ工場から米国に年間20万~30万tの鋼管を供給している。25%関税導入のあかつきには、付加価値の低い半製品を米国に供給し、それを自社工場でより付加価値の高い製品に加工するビジネスが、より有利になる。

 2月にノヴォリペツクのO.バグリン社長は、米国の決定に応じて、いくつかの対応策を用意していると発言した。具体的には、ロシアから半製品を供給して米国での圧延を継続するか、関税の対象とならない地域からの供給に切り替えるか、米国内で原料を探すかのいずれかである。

 コンサル会社のWood Mackenzieでは、仮にスラブに25%の関税が課されたとしても、ロシアから米国へのスラブ供給に大きな影響はないだろうと予測する。25%の関税が乗ったとしても、米国での相場よりもまだ割安で、輸送費を考慮に入れても、依然としてロシアからの供給は米国産スラブに比べて優位があると、同社は指摘する。別のコンサル会社のVTBカピタルでも、エヴラズの追加コストは4,000万ドルに、ノヴォリペツクのそれは1.5億ドルに達するが、関税の導入により製品価格が上昇し稼働率も上がることから、元が取れる以上の効果があると見ている。

 他方、セヴェルスターリなどはわずかな量をはいえロール製品を米国に売っており、仮に高関税によって米国市場から締め出されると、その他の市場にシフトせざるをえず、そうなるとその米国以外の市場における競争が激化するという可能性は考えられるという。


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 3月1日にプーチン・ロシア大統領が行った年次教書演説の模様はクレムリンのこちらのページで閲覧することができるが、その中から貿易に関連する部分のくだりは次のようなものだった。(3/7訳に誤りがあったので修正。)

 経済成長のもう一つの源泉は、非資源輸出の発展である。外国市場に進出する企業にとってのすべての行政的障壁を撤廃し、最大限良好な体制を構築しなければならない。

 我が国は今後6年間で非資源・非エネルギー輸出をほぼ倍増して2,500億ドルにまで拡大し、そのうち機械製品の輸出は500億ドルにまで高めるべきである。教育、医療、旅行、運輸などを含め、サービス輸出の総額を年間1,000億ドルにまで高めるべきである(訳注:直近の実績はせいぜい500億ドルくらい)。

 2000年代の初頭まで、我が国は輸入食品に深甚に依存していた。その状況が根本的に変化した。現在では我々は次の一歩を踏み出すべきである。我々は、4年後にロシアが輸入するよりもより多くの食品を世界市場に輸出することを計画している。その際に特に、食肉、加工食品の輸出を拡大し、また牛肉、牛乳、野菜の自給率を高める必要がある。

 以上が貿易にかかわる部分の引用であった。一頃ロシアの経済政策の最大のキーワードになっていた「輸入代替」は、今回の演説では一箇所も見られない(最後の農業・食品産業の部分は実質的にそのことを論じているが)。


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 こちらの記事が、2017年にロシアでは機械類の輸入が増え、輸入代替が難航している旨を論じている。要旨は以下のとおり。

 2017年にロシアの機械輸入は29%増大した。陸上輸送機器が36%増、船舶が43%増、電気機械が24%増、設備が28%増、航空機が20%増だった。

 産業・商業省では機械輸入の増加につき、市場拡大、ルーブル高、インフレ鎮静化、2016年の景気低迷からの回復によるものと説明している。特に電気機械は家庭用も産業用も、2015~2016年に落ち込んだ後、2017年になって洗濯機、電子レンジ、美容器具、スマホ、テレビ、PCなどの輸入が増大した。

 船舶の輸入増は、モーターボート、ヨットの拡大と、中古船舶全般の増加によるものだが、産業・商業省では、国家補助金も功を奏し、国産品の新船のシェアは拡大していると指摘している。

 なぜ機械の輸入がこれだけ急増したか、産業・商業省も全体としては説明に苦慮しているが、輸入がわずかしか増えていないセグメントの事例を挙げて反論している。たとえば、石油ガス機器の輸入総額は41.5億ドルで、「わずか」3.75%しか伸びなかったという。国内生産はそれよりも急ピッチで増大し、その結果輸入品のシェアは2016年の52.7%から2017年には52.0%に低下した。同様に、電力設備・ケーブル類の輸入は15.1億ドルで、1.2%伸びたにすぎなかった。

 他方、農業機械などは、輸入は確かに13%伸びたが、輸出がそれを上回る16%の伸びを示したという。関係者によれば、農業機械や道路建設機械などは、ロシア国内生産だけではラインナップを満たすことができないという。というのも、外国メーカーのロシア現地生産は品目が限られており、ロシアの地場メーカーは品質面で市場の要求に応えられないからである。日立建機の幹部によれば、経済の安定化と先送りされていた需要の顕在化により、2017年にはロシアの建機市場は60%拡大し、同社に関して言えばトヴェリの現地工場での生産増で賄い輸入は減らしたという。

 自動車産業では、部門全体では輸入が低下したが(1~11月の前年同期比で金額ベース3%減)、貨物自動車の輸入は15.4%増だった。市場では引き続き、輸入トラックが高品質と捉えられており、2018年もこのトレンドが続くと見られている。

 産業・商業省では、輸入全般を無条件に引き下げるのではなく、輸入依存度が特に深刻な特定品目のそれを引き下げることを目標に据えている。


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 文部科学省では、「大学の世界展開力強化事業」というものを実施しており、その一環として我が母校・東京外国語大学が対象校に選ばれ、平成29年度から「日露人的交流の飛躍的拡大に貢献するTUFS日露ビジネス人材育成プログラム」を実施している。私はこのプログラムの外部評価委員会の委員の1人に任命され、昨日3月2日に第1回の会合が開催された。

 このプログラム、具体的に何をするかと言うと、簡単に言えば、短期・長期の留学であり、その際に企業でのインターンシップを絡めてより実践的な社会経験を積んでもらうという点に眼目がある。また、外語ロシア科の学生を提携しているロシアの6大学(モスクワ国立大はじめ有力なところばかり)に留学で派遣するだけでなく、当該ロシア校から学生を日本にも招聘するという双方向性を有しており、それによって相互交流を生み出すという狙いもある。

 私には母校で非常勤でもいいから一度教鞭をとりたいという夢があり、今のところそれは実現していないが、今回の委員会で卒業後初めて母校に貢献することができ、非常に嬉しく思う。ただし、私が外語に在籍していたのは1980年代のまだソ連が健在だった当時で、当時の外語は非常にドメスティックな雰囲気の大学であり、特にソ連は閉ざされたブラックボックスだったので、留学に行くことなどまったく考えられず、学生がちょっとソ連に旅行に行っただけでヒーローという感じだった。そんな時代の中でも、出来の悪い部類だった私が、30年後に委員会で偉そうなことを発言していいのかと、正直気が引ける思いはある。


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