服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

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 こちらの記事によれば、S&P Global Ratingsはこのほど、カザフスタンの不良債権問題についての報告を発表した。それによれば、カザフの銀行セクターは引き続き苦境下にある。カザフ中央銀行は最近、同国の銀行融資に占める問題融資の比率が、2016年初めの8%から、2017年2月1日には7.2%に低下したというデータを発表した。しかし、これは実態を反映しておらず、現実には全銀行融資の25~30%が問題融資に該当すると見られる。指標が表向き改善したのは、カザフ中銀の設定した10%という上限を達成するために、各銀行が問題融資をリスケしたか、または連結対象外の特別法人に飛ばしたからにすぎない。銀行部門は現在に至るも安定化しておらず、各銀行はバランスシートを改善できていない。S&P Global Ratingsはこのように指摘した。


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 ロシアがクリミア併合を既成事実化しようとしている中で、その最たるものは、ロシア本土のクラスノダル地方とクリミア半島を隔てるケルチ海峡に、橋をかけようとしていることであろう。こちらによれば、橋の総工費は2,279.2億ルーブルで、自動車道路としての開通は2018年12月が予定されている。

 非常に見応えがあるのが、橋の概略を説明したノーヴォスチ通信によるこちらの特設サイトである。私はロシア人が作りがちなこうした妙にインターアクティブで凝ったウェブサイトが嫌いなのだが、このサイトはまあまあ良くできているのではないかと思う。同サイトに記されている事実関係を以下のとおりまとめておく。

  • 橋の建設コースは、74もの案の中からえらられた。建設は海峡の両側から勧められている。
  • 橋の総延長は19kmであり、これはロシアだけでなく、ヨーロッパ全域でも最長となる。従来のヨーロッパ最長はポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマ橋の17.2kmだった。
  • 1日当たり両方向にそれぞれ47便の鉄道列車が運行される予定。
  • トゥズラ島は、かつてはトゥズラ砂州としてタマニ半島に繋がっていたが、20世紀初頭に侵食により分離した経緯がある。
  • 冬季には海は底まで氷結することがある。流氷が流れることもあるが、橋脚はその衝突にも耐えるように設計されている。
  • 海底からは古代や中世の文化財が見付かった。また、当地は第二次大戦の激戦地でもあったので、多くの爆弾も見付かった。
  • 船舶の航行のために、橋には、幅227メートル、高さ35メートルのアーチ部分が設けられる。その箇所は水深9.35メートルであり、喫水8メートルまでの船舶の航行が可能。
  • 自動車道路の最高速度は時速120km。自動車が橋の通過に要する時間は10分程度。

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 こちらの記事によると、ウクライナの社会経済変革研究所のI.ネスホドウシキー所長が現地のラジオ番組に出演し、ウクライナの対外債務問題につき発言したということである。

 所長によると、2017~2019年にウクライナ政府は125億ドルの対外および対内債務を支払う必要がある。ウクライナ国立銀行がその旨を公表しており、そのためにはIMFとの協力を継続して構造改革を堅持しなければならない。3月30日にIMFの新たなトランシュが受けられるが、我々をそれを、何らかの目的で消費できる融資というのではなく、本来であれば行わなければならない支払の猶予と捉えるべきである。もしもIMFの資金がなかったら、ウクライナ経済への悪影響は深刻である。もしも国内債務だったら、実質的に財務省証券をウクライナ中銀が買い上げている形なので、リスケなり、新たな証券の発行もある程度可能であるが、対外債務ではそれは不可能であり、リスケは即、テクニカルデフォルトを意味する。所長はこのように指摘した。


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 昨日の話の続き。ロシアは輸出のエネルギー・資源偏重を脱却し、付加価値の高い機械類の輸出比率を高めることを希望している。しかし、2014年に改定された国家プログラムでは、機械輸出の輸出比率は横這いとなることが予測されていた。皮肉なことに、その後エネルギー価格が下落したため、機械輸出自体は減少基調なのに、機械比率は上昇しているというのが、昨日お伝えした点だった。

 さて、ロシアにとって旧ソ連のCIS市場は、様々な要因から、機械産業の主要輸出市場となっている。前出の国家プログラムでは、対CIS輸出総額に占める機械類の輸出という指標の目標値も示されている。そこで、上掲の図では、ロシアの輸出に占める機械類の比率、うちCIS向け輸出というのを、実績・目標に分けて、数字を掲げてみた。

 これを見ると、たとえば2012年の時点で、ロシアの輸出に占める機械類の比率は5.1%にすぎないのに、CIS向け輸出に限ればその比率は13.7%に上っていたことが分かる。そして、2010年頃から2013年頃にかけて、対CIS輸出に占める機械類の比率が顕著に上昇していたことが見て取れる。仮説の域を出ないが、おそらくは、ベラルーシ向けのエネルギー価格の引き下げや、ユーラシア統合の枠組みを活用したロシアからカザフスタン・ベラルーシ等への自動車・家電輸出の伸びなどが重なり、機械比率が伸びたのではないかと推察される。したがって、2012~2016年のCIS向け機械輸出比率の実績は、目標を大きく上回っていた。いずれにしても、2014年の国家プログラムでは、ロシアの輸出全体では機械比率が横這いと見られていたのに対し(実際には油価下落で著増したわけだが)、CIS向け輸出では同比率が着実に高まっていくという数値目標が掲げられていたわけで、ロシアにとってCIS市場の価値は決して無視できないことがうかがえる。


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kikai

 昨日ご報告申し上げたように、ロシア政府は2013年3月18日にロシア連邦国家プログラム「対外経済活動の発展」を採択し、2014年4月15日付でそれを改定している。新旧のプログラムを見比べていて、奇妙なことに気付いた。ロシアはエネルギー・資源に偏重した輸出構造を是正し、付加価値の高い機械製品等を伸ばしていきたいという意向を有しているので、その目標値もプログラムに明記されている。ところが、上図に見るように、2013年3月の旧プログラムでは輸出に占める機械類の比率が右肩上がりで伸びていく図式が描かれていたのに、2014年4月の改定版プログラムではそれがほぼ横這いで推移するという図式に改められていたのである。

 これは私の推測だが、2014年に改定版のプログラムを発表した時点では、ロシア政府は「今後もエネルギー価格の上昇が続きそうだ」という見通しを強めていたということではないだろうか。機械輸出も増やしたいが、エネルギー輸出が価格上昇に伴って増えていくので、機械の比率は横ばいにならざるをえないと、そんな見通しだったのではないかと推測する。

 ところが、現実には2014年半ばから石油価格は下落に転じる。その結果、上図に見るように、結果的に輸出に占める機械類の比率は上昇し、現時点で新旧目標を上回って推移している。ロシアの機械類の輸出は、2013年288億ドル、2014年265億ドル、2015年254億ドル、2016年243億ドルと、むしろじり貧に近い状況なのだが、皮肉にも輸出に占めるシェアは拡大しているわけだ。


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 ロシア政府が「東方シフト」を掲げ、従来の欧米中心の外交や貿易から、アジア・太平洋地域に重点を移そうとしていることは、ご存知の方も多いと思う。その政策は、単なるスローガンではなく、実は国家プログラムの中に数値目標が掲げられている。

 新プーチン政権が2012年に成立して、2013年3月18日にロシア連邦国家プログラム「対外経済活動の発展」が採択された。その付属文書1の中に、様々な数値目標が示されており、その一環として、「貿易総額に占めるAPEC諸国の比率」という指標も掲げられていたのだ。

 ただし、同国家プログラムは、こちらに見るように、2014年4月15日付のロシア連邦政府決定により、改定された。付属文書の数値目標も、修正がなされている。旧プログラムでは貿易総額に占めるAPECの比率という指標だったのに、なぜか新プログラムでは輸出に占めるAPECの比率へと、指標そのものが変わっている。

 ともあれ、新プログラムに掲げられたロシアの商品輸出に占めるAPEC諸国向けの比率の目標値と、2016年までの実績を比較すると、上図のようになる。図に見るように、実績が目標を上回っており、早くも2015年の時点で、2018年の目標値である22.5%を超えてしまったことが分かる。ロシアという国が目標を「超過達成」しているのは、稀有な出来事かもしれない。


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 ロシア・NISのニュースサイトによく見られる図解資料(ロシア語でインフォグラフィカという)は、ブログのネタに困った時や忙しい時に便利なので、時々取り上げさせてもらう。意外にも、苦労して書いた文章などより、こうしたいただきものの図解の方が反響が大きかったりする。

 さて、そうした図解シリーズだが、こちらに、ウクライナのオリガルヒがドネツィク人民共和国による「国有化」で、どういった企業を失うのかという情報が出ている。これは、ウクライナからの分離・独立を求めている占領地域、自称「ドネツィク人民共和国」および「ルハンシク人民共和国」当局が2月27日に、占領地に所在する企業に外部統治を適用する旨を表明し、3月2日にドネツィク人民共和国がその対象となる43社のリストを発表したもので、上図ではそれがオーナーのオリガルヒごとに整理されてまとめられているわけである。

 ドネツィク人民共和国による43社リストの原典は、こちらであろう。以下ではそれを箇条書きで整理しておく。

  1. Филиал «Металлургический комплекс» ПрАО «Донецксталь» — металлургический завод
  2. ЧАО «Макеевкокс»
  3. ПАО «Ясиновский коксохимический завод»
  4. ЧАО «Енакиевский металлургический завод»
  5. Макеевский филиал ЧАО «Енакиевский металлургический завод»
  6. ПАО «Харцызский трубный завод»
  7. ПАО «Ер Ликид»
  8. ЧАО «Комсомольское рудоуправление»
  9. ЧАО «Енакиевский коксохимпром»
  10. ПАО «Концерн Стирол»
  11. ПАО «Донецккос»
  12. ЧАО «ДОКУЧАЕВСКИЙ ФЛЮСО-ДОЛОМИТНЫЙ КОМБИНАТ»
  13. Донецкий электротехнический завод
  14. ПРАО «Донецксталь-Металлургический завод Донецк»
  15. ПАО «ДТЭК Шахта «Комсомолец Донбасса»
  16. ООО «Моспинское УПП»
  17. ЧАО «ЦОФ «Колосниковская»
  18. ООО «ДТЭК Сервис»
  19. ООО «Электроналадка»
  20. Арендное предприятие Шахта им. А.Ф. Засядько
  21. ОП «Зуевская ТЭС» (ООО «Востокэнерго»)
  22. ДТЭК Высоковольтные сети
  23. ДТЭК ПЭС-Энергоуголь
  24. ДТЭК Донецкоблэнерго
  25. ООО «Инвест–Транс»
  26. ООО «РОСУКРТРАНС»
  27. ООО «ТРИМОБ»
  28. ПАО «УКРТЕЛЕКОМ»
  29. ООО «Астелит» (ООО «Лайфселл»)
  30. ООО «ДОНЕЦКАЯ МЕЖДУНАРОДНАЯ ШКОЛА «ГРИГОРЬЕВСКАЯ»
  31. ООО «Редакция газеты «Донецкие новости»
  32. HarvEast Holding
  33. ООО «Метинвест-СМЦ»
  34. ООО «Комплекс Пушкинский»
  35. Корпорация «Межрегиональный промышленный союз»
  36. ПАО «Украинская акционерная страховая компания «АСКА»
  37. ПАО «ПУМБ»
  38. ООО «7 ЛИНИЯ»
  39. ООО «Донбасс Арена»
  40. ООО «Отель «Донбасс-Палас»
  41. ООО «Проект – 2012» (Отель Park Inn by Radisson Donetsk)
  42. ЧАО «Футбольный клуб «Шахтер» СТБ «Кирша»
  43. ЧАО «Люкс»

 一方、自称ルハンシク人民共和国行政府は、こちらに見るとおり、2月27日付の政府決定第75号で対象企業を制定している。対象は3社であり、すべてアフメトフ氏傘下の企業となっている。

  1. ПАО «Краснодонуголь»
  2. ООО «ДТЭК Ровенькиантрацит»
  3. ООО «ДТЭК Свердловантрацит»

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 屑鉄(鉄スクラップ)というのは、むろん産業の花形というイメージはないが、電気炉で再び鉄を作る原料となり、鉄鋼業における重要性は意外に高い。ロシア・ウクライナ・ベラルーシの鉄鋼業のことを考える上でも、実はスクラップの貿易が無視できない要因となっている。

 こちらの記事が、ウクライナの鉄スクラップ供給・輸出事情について伝えている。これによれば、2014~2016年とウクライナではスクラップが不足する状況が続いており、2017年に入っても不足が解消されていない。2016年のウクライナのスクラップ輸出は27.3万tで、これは前年比77.5%減だった。金額ベースでは4,862万ドルで、83.3%減だった。しかし、2017年1~2月には1.8万tを輸出し、前年同期比77.9%増だった。金額ベースでは366万ドルで、70.7%増だった。他方で、1~2月には6,755tの輸入も行われた。輸出の最大の相手国はトルコで数量ベースで93.0%を占めるが、輸入の最大の相手国もトルコで79.9%を占めている。


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 編集作業が終わったばかりの『ロシアNIS調査月報』2017年4月号の中身を、例によって編集長特権で、どこよりも早くご紹介。一般社団法人 ロシアNIS貿易会(ROTOBO)の前身に当たるソ連東欧貿易会が1967年1月16日に設立されてから、ちょうど50年の節目を迎えました。ロシアNIS貿易会ではこれを記念して、2017年2月2日(木)東京・如水会館において、創立50周年記念講演会および平成29年新春懇親パーティを開催いたしました。今号では、記念講演会における下斗米伸夫先生の講演記録を載録することを軸に、「激変する国際情勢の中のロシア」という特集をお届けしております。ビジネス誌である小誌としては珍しく、政治や地政学に重点を置いた号となりました。私自身は、「ロシア対外政策コンセプトに見る対欧米関係」、「ようやく上向いたウクライナの鉱工業生産」、「10年かかったサンクトペテルブルグのスタジアム」といった小文を執筆。3月20日発行予定。


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 こちらのサイトに、天然ガスをめぐるロシアとウクライナの関係を図示した便利な資料が出ていたので、取り上げさせていただく。上掲の上段のグラフが、ウクライナのガスの供給源であり、左から国内生産、ロシアからの供給、欧州からのリバース供給という具合に並んでいる(2016年にはロシアからの供給がゼロになったことが確認できる)。中段のグラフは、ロシアの対ウクライナ供給(緑)、対欧州供給(黄色)、そのうちウクライナ経由(ピンク)を示している。下段のグラフは、ロシア・ガスプロムのウクライナ向け価格(緑)と、欧州向け価格(黄色)の推移を跡付けている。図はクリックすると拡大する。


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 こちらの記事によると、ベラルーシとロシアのカリ肥料産業が、関係を修復する可能性が出てきた。ベラルーシのベラルーシカリ社と、ロシアのウラルカリ社は、かつては共同販売会社を築いており、往時にはその連合が世界市場の40%を押さえていた。しかし、2013年にその協業関係が崩れ、以降はライバル同士となり、販売競争が世界的な価格下落に繋がった経緯がある。しかし今般ベラルーシのルカシェンコ大統領が、ロシア側と関係を修復して共同販売会社を再興する用意がある旨表明した由である。ルカシェンコ大統領は、「我が国の側が一方的に譲るつもりはないが、相互譲歩であれば応じる用意があり、それは互恵的なものでなければならない」と発言した。ベラルーシのカリ肥料の輸出量は2015年の920万tから2016年の900万tに落ち込み、価格も25%ほど下落している。2017年には1,000万tを輸出したいという意向を有している。


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 一部の勢力がウクライナ本土とドンバス占領地の輸送路を遮断している問題で、こちらの記事によれば、ウクライナのフロイスマン首相はそれによるウクライナの損害額を挙げた。首相によれば、本件によるウクライナの損害額は、毎月20億~40億グリブナ(7,380万~1億4,770万ドル)に上る。首相は、封鎖はウクライナの鉄鋼業にとっての脅威となり、国民経済を分断し、社会プログラムの履行を困難にする、ウクライナ経済がようやく上向こうとしているまさにその時に、誰かが我が国に困難を押し付けようとしているという印象を禁じえない、封鎖はウクライナ経済に深刻な悪影響を及ぼし、マイナス成長に陥ってしまう恐れもある、などと述べた。


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 なぜか同じような話題が続いているが、こちらのサイトによれば、ロシアでスズキ車がリコールされることになった。2008年9月30日から2015年3月3日にかけて販売されたグランド・ヴィターラというモデルが対象であり、台数は2万2,263台。後方シャフト(正確な用語が分からない)の安定性が不充分であることが原因で、現地販売会社が無償で部品の交換に応じる。


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kikai

 ロシアは、旧ソ連の独立国家共同体(CIS)諸国の中では先進的な存在と位置付けられるが、経済の先進度を測る初歩的な指標の機械貿易において意外にも、数年前まで域内の取引が赤字だった。しかし、ウクライナ危機以降は、黒字に転じている。

 その状況を、ロシア連邦関税局の貿易データにもとづいて図示したのが、上図である。HSコード84~90の機械類の貿易につき、対CIS取引の輸出入から収支を算出すると、2012年時点で56億ドルあまりの赤字であった。その際に、CIS諸国の中でも、ロシアにとっての入超の相手国は、ウクライナとベラルーシにほぼ限られた(厳密に言えば、ウズベキスタンとの関係でも2012~2013年は小幅な入超であり、これはウズベキスタンからの小型乗用車の輸出という個別的な事情によるものである)。ロシアとウクライナ・ベラルーシとの間では、技術レベルが概ね似通っており、機械貿易の水平分業が成り立っていたが、ただしロシア経済が石油・ガスなどに偏重している分、ウクライナ・ベラルーシの方が製造業に特化する度合いが強くなり、その結果、機械貿易ではロシア側の入超だった。おそらく、これが大まかな構図ではないかと思われる。

 しかし、2013~2014年からウクライナ危機が発生し、ロシアとウクライナの政治関係が悪化、ロシア・ルーブルが下落、ロシア政府が輸入代替政策を推進、といった大きな情勢変化が生じた。その結果、ロシアの対ウクライナ機械貿易赤字は、大幅に縮小した。それに伴い、ロシアの対CIS機械貿易の収支も、黒字に転換していった。一方、ベラルーシはユーラシア経済連合に加入しロシアの統合パートナーに留まっているものの、当ブログでも累次報告しているように、ロシアとの関係はぎくしゃくしており、ロシア市場の冷え込みもあって、思うように対ロシア輸出増を果たせていない。


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blackseaports

 ロシア『エクスペルト』誌の2016年10月31日~11月6日号(No.44)に、上掲のような、黒海・アゾフ海海域の港湾地図が出ていたので、チェックしておく。ロシアのノヴォロシースク港の貨物量が多いが、実はその大部分は石油の積み出しであることが確認できる。ウクライナはある意味で日本に似ていて、中規模港湾の分散型。ルーマニアはコンスタンツァ港の一点豪華主義。トルコは黒海沿岸が低開発なので、大規模な黒海港湾というのは実は有してしない(ただし、黒海の出入り口に当たるイスタンブール港のハブ港としての重要性が高い)。


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 以前も取り上げたことがあると思うが、ユーラシア開発銀行というところが『ユーラシア開発銀行統合バロメーター』と題する報告書を毎年発行しており、こちらに見るとおり、最新版は2016年10月に発行された。これは、ロシア・NIS諸国のユーラシア統合に関する意識を継続的に調査しているものであり、ここではその中から、ロシア・NIS各国の国民が、ユーラシア経済連合についてどのように評価しているかを時系列的に跡付けたグラフを、上掲のとおりお目にかける。2012~2016年の数字がまとめられているが、以前はユーラシア経済連合非加盟国の調査結果も漏れなく載っていたものの、最近は非加盟国の数字はほぼ得られなくなってしまった。

 グラフの中で、上の5ヵ国は、実際にユーラシア経済連合に加盟している国々であり、同連合を肯定的に評価する国民が多い。ただし、アルメニアではユーラシア経済連合についての支持が趨勢的に後退している。一方、下の3ヵ国は、EUとの連合協定を結んだ国々であり、ウクライナ・ジョージアではユーラシア経済連合を否定的に評価する向きが増えている(2016年の数字はなし)。ただ、モルドバではいまだに肯定論が根強く、このあたりがロシアにとっての「付け入る余地」となっている。中段付近にあるタジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンは、ユーラシアにもEUにも明確に接近していない国々である(政治文化や地理的要因から、EUへの接近といったことはそもそも考えにくいが)。このうち、タジキスタンはその外交ベクトルからして、ユーラシア経済連合加盟の予備軍と考えられる。ウズベキスタン、トルクメニスタンでは、国民の価値観からすればユーラシア経済連合に加わってもおかしくないが、政治指導部の意向により独歩的な外交路線を歩んでいる。アゼルバイジャンでは、ジョージアなど以上に、ユーラシア統合への反感が強い。


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 これもベラルーシとロシアのエネルギー関係。こちらの記事によると、ロシアのガスプロムがベラルーシにガスを輸出する際の2017年の価格が明らかになった。ガスプロムのゴルベフ副社長が、ノヴァク・ロシア・エネルギー相に1月25日に送付した書簡の内容から判明した。これによれば、2016年通年の価格が1,000立米当たり132ドルだったのに対し、2017年1月1日からは141.11ドルとなり、6.81%上昇する。

 なお、上掲の図はこちらからとったもの。


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 「イジメ、カッコ悪いよ」の公共広告じゃないが、昨年来、ベラルーシがロシアにいじめられたような形になっている。近年ベラルーシ経済の生命線となっているのが石油精製業であり、同産業はロシアから割安な原油を安定的に輸入しなければ成り立たないところ、ロシアがベラルーシによる天然ガス代金の未払いを理由に原油の供給をカットし、ベラルーシが窮地に立っているものである。

 こちらのサイトに、ロシアのベラルーシ向け原油輸出(HSコード2709)の四半期別動向を跡付けた図表が載っていて、有益なので転載させていただく。上が輸出量、下が輸出額であり、いかにラディカルに削られたかが、良く分かる。

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 フロイスマン・ウクライナ首相のツイッターで自慢げに紹介されていて知ったのだが、ウクライナでチェコ企業の投資による白物家電生産が始まっているらしい。

 こちらの記事によると、チェコの家電大手のサターン社の投資により、すでにウクライナ中部チェルカスィ州カニウの工場で生産が行われており、そこでは洗濯機、ティーポットを生産しているほか、3月からは肉挽き器、暖房機、ドライフルーツ・メーカーなどの小物家電を生産開始予定である。さらにチェルカスィ市内の大規模な機械工場を買収し、現在は設営や試験作業を行っているところで、3月に開所式を開く。新工場では、現在は中国やトルコから輸入しているオーブン、冷蔵庫を生産予定で、夏にも生産が立ち上がる。サターン社は2015年に(カニウの?)工場を買収し、過去2年間で2,300万ドルを投資している。製品はハンガリー、ルーマニア、ポーランド等に輸出もしている。現在、西欧にも出荷する交渉中であり、新工場が立ち上がれば全欧州に供給する。サターン社では、チェルカスィ工場を基盤に工業団地を創設する計画である。

 それにしても、ドライフルーツ・メーカーというのは個人的に聞き慣れないアイテムだったが、ネットで検索すると、下のような画像が上がってくる。

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 日曜日なので、緩いネタでご容赦いただく。こちらのサイトに、「ウクライナの地方別のボルシチ指数」というのが出ていた。ボルシチはロシアというよりも、実はウクライナがルーツというのは言い古された話だが、その地方別の指数というのは一体何ぞやと思ったら、大した話ではなかった。要するに、ボルシチを作るのに必要な材料である牛肉、ジャガイモ、キャベツ、ニンジン、赤かぶ、玉ねぎをバスケットにした、地方都市別の物価比較であり、キエフ、テルノピリ、オデッサ、ドニプロ、ハルキウの物価を比較している。国際的な物価水準比較のビッグマック指数というのは有名だが、そのウクライナ国内版をボルシチでやっているわけである。その結果、一番高いのがキエフの28.65グリブナ、一番安いのがテルノピリの23.7グリブナという結果になった。しかし、平均給料をボルシチに換算すると、逆にキエフが一番多く、テルノピリが一番少ないという結果になる。


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 ロシアを中心に5ヵ国から成るユーラシア経済連合では様々な統計・広報資料を発行しており、最近出たものに『ユーラシア経済連合:新たな現実、新たな可能性』というものがある。こちらからダウンロードできるが、少々重いので注意。

 昨今、ロシア人にウェブサイト、パンフレット、ビデオなどの広報資料を作らせると、中味はそれほどないのに、デザインや演出だけ妙に凝ったものが出来上がる傾向があるが、今回の『ユーラシア経済連合:新たな現実、新たな可能性』も然りである。見栄えは良いものの、凝りすぎていて、内容が全然伝わってこない。

 その中で、比較的有益そうなものとして、ユーラシア経済連合加盟諸国と世界主要国の政府総債務と対外債務の対GDP比を図示したものが目に留まったので、ロシア語のままで恐縮だが、ちょっとその図を抜き出してみた。クリックすると拡大する。上段が対外債務(民間の対外借入も含むはず)の対GDP比、下段が政府総債務の対GDP比である。先日当ブログで書いたこちらのネタの繰り返しになるが、やはり日本は対外債務は多くないものの、政府総債務は世界の中でもダントツに多く、言い換えれば政府が財政破綻したら泣くのは自国民だということが浮き彫りとなる。ロシアは政府総債務も対外債務も非常に低いレベルに留まっている。


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 こちらの記事によると、マツダはロシアで1万2,300台の車をリコールすることになった。エアバッグのガス発生機構に不備がある恐れがあるためという。対象となるのは2005年3月14日から2008年5月19日にかけて販売されたMazda 6 (GG/GY) モデル。メーカーが無償で当該部品の交換に応じる。


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 こちらの記事によると、このほどロシア・ガスプロム社のアレクサンドル・メドヴェージェフ副社長は、同社はロスネフチのガスを輸出用に輸送するパイプラインの余剰のキャパシティは有していないと発言した。1月にロスネフチのイーゴリ・セーチン社長が、ドイツ経由でガスをBP向けに輸出することを交渉していることをプーチン大統領に報告したと伝えられており、それを受けてメドヴェージェフ副社長が否定的見解を述べたもの。メドヴェージェフ副社長によれば、ノルドストリームも、ノルドストリーム2も、ガスプロムエクスポルトと需要家間の既存の輸出契約のためにリザーブされており、ロスネフチのために追加的な輸送をする余力はないと、メドヴェージェフは明言した。

 なお、こちらによると、メドヴェージェフ副社長は、ガスプロムは2017年に天然ガス輸出額を16%拡大し、350億ドルを達成したいと述べた。2016年は300億ドル強だった。輸出量は前年並みと見込んでいる。


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 ミンスク市内に創設された「ベラルーシ・ハイテクパーク」は、ソフト開発の拠点として近年成長を遂げ、今やベラルーシ経済の希望の星のようになっている。こちらの記事によると、このほどハイテクパークのヴァレーリー・ツェプカロ総裁が、2016年の活動実績を明らかにした。それによると、ハイテクパークは2016年に7億9,020万ベラルーシ・ルーブルのソフト開発を行った。これは9億440万ドルに相当し、ドル表示では前年比19%増だった。ツェプカロ総裁は2016年の目標を10億ドルとしていたので、その達成は逃した形だが、いずれにせよ順調な発展が続いている。2016年のドル実績が目標を下回ったのは、ロシアからの発注の減少と、ユーロおよび英ポンドの対ドル・レートの下落である。いずれにせよ、世界全体のIT市場の成長が3%であったことを考えれば、ベラルーシの19%増は上々である。2016年にハイテクパークは世界67ヵ国の発注に応え、輸出の半分は西欧、43%は米国であり、ロシアのシェアは43%に低下した。ハイテクパークには165の入居企業があり、27,000人を雇用している。入居企業でサービス輸出額のトップ5は、EPAM Systems、Game Stream、IBA IT Park、Itransition、iTechArt Groupとなっている。


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 こちらのサイトこちらのニュースが伝えるところによれば、ウクライナ国民のEUビザなし渡航実現に向け、このほど大きな前進があった。2月28日、欧州議会と欧州理事会の代表者が、ウクライナ国民のEUへのビザなし短期滞在を認めることで合意したものである。今後、欧州議会の市民自由委員会、欧州議会本会議、欧州理事会が正式決定し、発効する運びとなる。EUとウクライナは2008年からビザ免除交渉を進めてきた。正式に発効すれば、ウクライナ国民はEU諸国に、180日のうち90日間、商用、観光、親族訪問の目的で滞在できる。ただし、アイルランドと英国を除く。また、ウクライナ国民がビザなしでEU圏で就業することはできない(←ここ大事)。


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 少々入り組んだ話である。情報源はこちらこちらこちら

 記事によれば、2014年12月に、ある事件が起きた。バルト海に面したロシアの飛び地であるカリーニングラード州は、ロシアにおけるテレビ組立産業のメッカとなっており、同地で組み立てられたテレビが、リトアニア~ベラルーシを経由して、ロシア本土に出荷されている。ところが、2014年12月に、テレビおよびテレビチューナーのメーカーであるカリーニングラードの10社以上の貨物を積んだトラック38台が、ベラルーシ税関に拘束され、貨物が没収されるという事件が生じた。ロシア側が被った損害は5億ルーブルに上るとされる。充分な申告がなされていないというのが、ベラルーシ側の主張した没収理由だった。ロシア側が、カリーニングラード州で合法的に生産された商品であるとしたのに対し、ベラルーシの専門家および当局はこれらは付加価値税の支払を逃れる形でユーラシア関税同盟に持ち込まれている中国製品であるとした。

 事件を受け、ロシア司法省は、ユーラシア経済連合裁判所に本件審理を依頼した。ベラルーシはユーラシア経済連合条約、関税同盟関税法典125条、税関相互協力協定11条および17条に違反しているというのが、ロシア側の訴えだった。そしてユーラシア経済連合裁判所はこのほど2月21日に、ロシアの訴えを認める判決を下した。ただし、その際に5名の判事が個別意見を提出した。判決の結果、カリーニングラード州の企業はベラルーシから補償を受ける可能性が生じた。

 なお、こちらのサイトによれば、ユーラシア経済連合裁判所は、2015年1月1日のユーラシア経済連合の発足と同時に設置された。ユーラシア経済連合創設条約をはじめとする国際条約の統一的な適用を図るのが目的。加盟5ヵ国が各2名、計10名の判事を出しており、現在はベラルーシ派遣のアレクサンドル・フェドルツォフが裁判所長官となっている。


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 こちらの記事などが伝えるところによると、日産車でロシアで最も売れ筋であるSUVのキャシュカイ(かつての日本名デュアリス)が、同国でリコールになったということである。ロシア技術規制庁がこのほど発表したもので、ロシアにおける日産車の販売会社であるニッサン・マニュファクチャリング・ルスが無償で修理を行う。キャシュカイはロシアで現地生産されており、おそらくはロシア現地生産車がリコールになったということではないかと思うのだが、記事ではその点は明記されていない。記事によれば、ブレーキフルードに漏れが生じる恐れがあることが、リコールの原因。2013年9月23日から2016年5月26日までに販売された車が対象となる。


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 こちらに見るとおり、駐ウクライナEU代表部が、2016年にEU・ウクライナ間の「深化した包括的自由貿易協定(DCFTA)」が発効したことにより、両者間の貿易が活発化したということを強調するリリースを発表した。それについて伝えた記事がこちらである。

 これによると、2016年にウクライナからEUへの輸出は3.7%増、往復の輸出入総額は8.1%増だった。2016年のウクライナの輸出の37.1%がEU向けであり、9.9%のロシア向けを大きく上回っている。今後7年間で連合協定が実施に移されていく中で、貿易関係はさらに拡大していくことになろう。ウクライナの法制および技術規制をEUのそれに適合させていることにより、ウクライナの輸出は利益を得ており、これらは関税引き下げ効果よりも大きいものであると、プレスリリースは強調している。


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 私の公式HPの方に、「日本とロシアで対照的な財政規律」というエッセイを書いた。普段なら、「よかったら、ご笑覧ください」と言うところだけど、今回は別に読まなくていいです。

 ただ、それに向けて作ったグラフはなかなか良い出来栄えで、我ながらうっとり見とれてしまうので、グラフだけここに転載する次第。


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 ベラルーシにアンドレイ・ヴァルドマツキーという社会学者がおり(上掲写真)、以前はベラルーシ国内でややコマーシャルな調査業務などをやっていたのだが(その意味では社会経済政治独立研究所=IISEPSなどに比べると野党色は薄かった)、それでもベラルーシでは活動できなくなったのか、2012年からはポーランドのワルシャワに拠点を移し「ベラルーシ分析室(BAW)」と称し活動を続けているようである。こちらがそのHPだと思うのだが、更新は2015年で止まっている。

 こちらのニュースによると、2016年12月にそのBAWがベラルーシの対外戦略に関する世論調査をベラルーシ全土で1,048人を対象に実施した。その結果、回答者の64.9%はロシアとの連合関係を選好し、EU加入を望む者は19.1%だけだった(分からないが13.9%、無回答が2.2%)。ただし、ベラルーシとロシアが完全に1つの国に統合されることを望んだり(2016年5月の調査では13.1%)、ベラルーシがロシアの連邦構成主体になることを望む者(同1.7%)は少なく、友好的で開かれた国境の2つの独立国同士であることを望む向きが多い(同73.0%)。


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