ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ

ロシア・ウクライナ・ベラルーシを中心とした旧ソ連諸国の経済・政治情報をお届け

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 昨日のエントリーで、ロシアと中国の経済関係についてお伝えしたが、その話の続き。こちらの記事が伝えているとおり、5月8日、V.プーチン・ロシア大統領、習近平・中国国家主席の列席の下、モスクワ~カザン間高速鉄道建設に関するメモランダムが両国間で調印された。同プロジェクトに関しては、本ブログ/HPで何度も取り上げているが、上掲の記事にもとづき、改めて整理しておきたい。なお、ロシア鉄道のこちらのページにもリリースが出ている。

 記事によれば、メモランダムは、「モスクワ~カザン高速鉄道の協力形態と資金モデルについて」と題されている。署名したのは、ロシアのM.ソコロフ運輸相、ロシア鉄道のV.ヤクーニン社長、中国鉄道の総裁、中国発展・改革国家委員会の委員長。モスクワ~カザン高速鉄道の建設総額は1兆680億ルーブル。モスクワ~カザン区間は、将来的に建設される予定のモスクワ~北京鉄道(総工費7兆ルーブル)および中国のシルクロード・プロジェクト(中国と欧州・中近東市場とを結ぶ)の一部になる可能性がある。中国の投資家はかねてから、モスクワ~カザン高速鉄道に、融資という形で2,500億ルーブル、事業会社への出資という形で520億ルーブル、資金提供する用意があることを表明していた。モスクワ~カザン高速鉄道は全長770km、最高時速は時速400km、現在14時間かかっている両都市を3時間半で結ぶ。ロシア鉄道では、プロジェクトのうち6,844億ルーブルをコンセッション方式とし、3,841億ルーブルをロシア鉄道の出資分としたい考え。

 既報のとおり、すでに設計は露中合弁会社が受注している。


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 ウクライナの首都キエフも英雄都市です。


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rochuu

 5月9日のモスクワにおける対独戦勝記念日式典に合わせ、多くの国の首脳がロシアを訪問し、それに関連してトップ交渉が色々と繰り広げられた。

 中でも、中国の習近平国家主席が訪ロしてV.プーチン大統領と首脳会談を行っていることが注目されるが、こちらのサイトおよびこちらのニュースによれば、ロ中両国は、ロシアを中心としたユーラシア経済連合と、中国が主導する「シルクロード経済圏」とから成る共通の経済空間を創設していく目標を掲げ、その一環として将来的にユーラシア経済連合と中国による自由貿易圏(FTA)の形成を検討していくことになった。

 なお、こちらにあるように、「シルクロード経済圏」とは、習近平国家主席が提唱する構想。陸と海の2つがあり、中国を起点に中央アジアから欧州に至る「シルクロード経済圏(ベルト)」と、中国沿岸部からアラビア半島までを結ぶ海上交通路「21世紀の海のシルクロード」を指す。両者をまとめて「一帯一路」と呼ぶ、ということである。

 ロ中が今回FTAを目標に掲げたとは言っても、実際にユーラシアと中国のFTAを作るとなると、かなりハードルは大きいだろう。ロシアにとっては、それは製造業を諦めることと、ほぼ同義である。ロシアが中国に輸出するのは、今も、将来も、石油ガスを中心としたエネルギーおよび資源であるはずで、FTAによって輸出を伸ばせるような性格のものではない。逆に、中国から、「石油ガスに対する輸出関税を撤廃せよ」などと注文を付けられるかもしれない。少なくとも、関税率という観点から見た場合、ロシアにメリットがあるとは思えない。また、ロシアは中国とFTAを推進するということについて、ユーラシアのパートナーであるベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニアの了解を取り付けているのだろうか? カザフやキルギスは、ロシア以上に中国の影響力の浸透には敏感だろうし、ベラルーシなどはユーラシア内の分業で製造業を担っていきたいという意向を有しており、ユーラシア市場が中国製品で溢れ返っては困るはずだ。そんなわけで、個人的にはユーラシアと中国のFTAという構想に、あまり現実味を感じないのである。


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 旧ソ連の英雄都市シリーズ。まあ、現在の名前ではヴォルゴグラードだけど、今回は戦争当時のスターリングラード(Сталинград)と呼んでおこうか。


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 先日、ベラルーシ・ハイテクパークの総裁にインタビューし、現在そのテープ起こしをしているところなのだけれど、同ハイテクパークで最も成功している会社が、EPAM社というソフト開発会社だそうである。本社は米国にあるようだが、実際の開発機能はミンスクのテクノパークに置かれている。EPAMは2012年にニューヨーク証券取引所に上場し、その際には上掲のようにNYSEにベラルーシ国旗が翻ったという。思わず、独ソ戦の際に赤軍兵士がベルリンの議事堂に赤旗を掲げたシーンを思い出してしまった。


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 最近、仕事で日本とNIS諸国(旧ソ連の新興独立諸国)の貿易データを整理したところ、日本が同諸国から衣料品を結構輸入していることに気付いた。2014年の輸入額は、

モルドバから:7.9億円
アルメニアから:7.1億円
ウクライナから:4.2億円

 といった具合である。なお、ベラルーシからの衣料の輸入は記録されていないが、同国からは糸や繊維がちょこっと輸入されている。

 中でも最も目を引くのが、モルドバからの衣料の輸入である。このアイテムのお陰で、最近日本のモルドバからの輸入総額が急増している(ただし、それでも2014年現在で14.5億円にすぎないが)。それを支えている最重要商品が、衣料品ということになる。

 はて? モルドバ製の衣料とは、一体いかなるものだろうかと思ってググってみると、欧州系(フランスで発祥し現在はミラノに本社)の「モンクレール」というブランドの結構高価なアパレルが、日本に出回っていることが分かった。スポーティーな商品を出しているところで、ダウンジャケットなどが有名らしい。同ブランドの公式HPはこちら、ウィキ記事はこちら、アマゾンで検索した結果がこちらである。ただし、ネット界隈では、モルドバ産は偽物といった風評も流布しているようだ。なお、モンクレールにはアルメニア製の商品もあり、同国からの衣料輸入額にはその数字が反映されているのかもしれない。

 推測するに、これまでルーマニアとかに下請けに出していた西欧のアパレルメーカーが、より賃金の安い旧ソ連の欧州系低所得国であるモルドバあたりに生産をシフトする動きが徐々に生じており、そうした商品が日本にも流入しているということではないだろうか。まだまだ小さい芽だとは思うが、国内製造業が壊滅状態のウクライナやモルドバの現状を思うと、期待したくなる。


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 ウクライナのクリミア半島にあるセヴァストポリ特別市(Севастополь)。周知のとおり、現在はロシアが絶賛不法占領中。まあ、完全に軍港都市だからねえ。選ばれるべくして、英雄都市に選ばれたという感じ。ソ連国民の間では、セヴァストポリはほとんど英雄叙事詩の世界であり、だからこそ2014年にクリミアをめぐるロシアの対応がああいう情緒的なものにもなったわけだけど。第二次大戦のセヴァストポリの戦いについては、こちら参照。


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 本日は、編集を担当している『ロシアNIS調査月報』の締切日なので、ブログを書いている余裕がまったくない。しかも、作業は自宅でいいかと思っていたのだが、自宅のネットが原因不明でダウンしており、やむなく出社するはめになって、最悪である。

 それで、本日5月9日は旧ソ連の対ドイツ戦勝記念日なわけだが、ロシアの社会調査機関「レヴァダ・センター」のこちらのページに、同センターが行ったロシア国民の大祖国戦争(第二次大戦のナチス・ドイツとの戦争)に関する意識調査結果が出ている。これをざっと眺めると、全体として、「まあ、ロシア人の感覚は、こんなところだろうな」という結果になっており、それほど面白みがない。部外者から見ると、独ソ戦というのは、ナチス体制とスターリン体制という2つの同じくらい始末の悪い悪の対決か、せいぜい、大きな悪と小さな悪の対決くらいにしか思えない。しかし、言うまでもなく、ロシア国民にとっては、ナチス・ドイツは絶対的な悪であり、ソ連が多大な犠牲を払いながらそれに打ち勝って全人類を救ったという捉え方であり、スターリン体制が悪という発想はまず出てこない。今回の、レヴァダ・センターの調査でも、ソ連が緒戦にドイツに圧倒されてしまった原因として、スターリンによる1930年代末の赤軍幹部粛清という要因が挙がっていたりはするが(原因の第3位になっている)、それはその措置があまり賢明ではなかったという評価にすぎず、スターリン体制そのものを否定するような発想は全体に読み取れない。また、「大祖国戦争の勝利が、何をもたらしたと思うか?」と、複数回答で尋ねたところ、ヒトラー体制の殲滅:70%、欧州諸国のナチス・ドイツによる占領からの解放:54%、ファシストのイデオロギー、民族抑圧などに対する自由・民主主義・人権理念の勝利:31%、などと続いており、勧善懲悪の世界観で、やはりスターリン体制に対する自己反省などとは無縁の意識構造になっている。

 仕事にかからねばならないので、以上。


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 ウクライナ・オデッサ州の州都、オデッサ(ウクライナ語ではОдеса、ロシア語ではОдесса)。いよいよ本日は、旧ソ連の対独戦勝70年目の節目であり、それに合わせて旧ソ連の英雄都市のシリーズをお届けしている。大祖国戦争において、オデッサは1941年のオデッサ攻防戦に敗れ、1941~44年とルーマニア軍に占領されていたそうだ。1944年4月10日に第3ウクライナ正面軍と黒海艦隊が解放。


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 今さらながら、という気もするが、EBRDの発行している『トランジション・レポート2014』を眺めていたら(こちらから無料でダウンロードできるが、非常に重い)、そのp.108ページに非常に興味深い図が出ていた。NIS各国のロシアへの「エクスポージャー」の度合い、つまりロシア経済に問題が生じたらその余波を受けて各国がどれくらいの影響を受けそうか、その影響深度を図示したものである。赤色がロシアからのFDIフローの対GDP比、濃い青が対ロシア輸出のGDP比、薄い青がロシアからの出稼ぎ送金額の対GDP比を示しており、それらを単純に積み上げて想定される影響の大きさを測っているわけである。いや~、大好物だわ、こういう図。ただ、トルクメニスタンがないのはどうでもいいとして、ウズベキスタンが抜けてるのは痛いな。

 これを見ると、単純合計すると、ベラルーシのエクスポージャーが一番大きいという結果になっており、一般的なイメージに合致している。その中身は、送金が半分、輸出が半分といったところである。それに続くタジキスタン、アルメニア、キルギスといった国は、送金による対ロシア依存が大きい。さらに、モルドバ、ウクライナ、カザフスタン、ジョージア、アゼルバイジャンという順になっている。ウクライナは、まあまあ国の規模が大きいので、ロシアへのエクスポージャーはそこまで大きくはない、という格好である。


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 日本のゴールデンウィークの時期は、ロシアでもメーデーや戦勝記念日が続く連休の時期。新年の休暇と並んで、経済関係のニュースも少なかったりして、フォローする側のこちらも少々楽になったりする時期でもある。しかし、このところロシア政府は結構精力的に仕事をしているようで、ロシア政府発のニュースが案外多く伝えられている。

 これもそんなニュースの一つだけど、こちらのサイトや、こちらの記事によれば、2015年4月30日付のロシア政府決定第432号により、株式会社「極東開発公社」が、ロシア極東地域で創設が進められている新型特区の管理・運営に当たることが決定された。公社においては、連邦政府の極東発展省が、株主として国を代表する機能を果たす。なお、新型特区に関する連邦法は、すでに2014年12月29日に採択されている。


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 う~ん、駄目だ、極度に忙しい。余技としてやっているこの「日めくり紋章」のシリーズだが、余裕がなくて、もう止めようかという気持ちになってきた。

 取りあえず、続けてみることにするけれど、一応お断りしておくと、これからはすでに紹介したところを、再度取り上げるということも出てくると思う。たとえば、鉄鋼業のシリーズで紹介済みのところを、スヴェルドロフスク州のシリーズで再び取り上げるとか、そんなパターンである。また、余力がある時にはなるべく文章を添えるようにするけれど、切羽詰った時には単に紋章の画像だけ載せてほぼノーコメントということもあると思うので、ご容赦を。

 それで、ふと思い立って、今日から「英雄都市」のシリーズを開始することにした。まあ、明日5月9日が旧ソ連の対独戦勝記念日なので、第二次大戦で対独戦勝に傑出した役割を果たした街を、順を追って見ていこうというわけである。ソ連時代には、戦後20年の1965年に制定が始まり、1985年までに全部で13の都市が「英雄都市」に認定された。今回は、ソ連体制の話なので、現行ではなく、ソ連時代の紋章が知られている場合には、そちらを載せることにする。

 まずは、ロシア第2の都市、かつてのレニングラード(Ленинград)である(現サンクトペテルブルグ)。戦時中はドイツに街を包囲されながら、その苦難を生き抜いた。そのソ連時代の紋章が、上掲のようなもの。


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 この連休にロシア・NIS諸国の肥料産業のことを勉強していたわけだが、上の図を見ると、改めてその重要性が良く分かる。これはFAOが発行しているWorld Fertilizer Trends and Outlook to 2018と題する報告書に掲載されているグラフである。原典には「East Europe, Central Asia」とあったが、確認したところほぼ旧ソ連に等しいので、図ではそう記した(バルト3国を含む、ただしトルクメニスタンの数字は入っていない模様)。棒が上を向いていればその分だけ需給がプラス、すなわち域内需要を上回る供給力があり、輸出余力があることを意味する。逆に下向きであれば、その分だけ輸入に依存するということである。これを見ると、青の窒素肥料、薄茶色のリン酸肥料、グレーのカリ肥料のいずれにおいても、旧ソ連の需給は大幅なプラスであり、大きな供給余力を有していることが分かる。このように、3種類の肥料すべてにおいて世界的な供給地域となっているのは、旧ソ連の他には西アジアくらいしかない。


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 ポーランドのルブリン市(Lublin)。ポーランドとリトアニアが1569年に同君連合を形成したルブリン合同で知られるところだ(ベラルーシ国民史では、「イゴロクなことのないルブリン合同」と言われているとか、いないとか)。「中東欧気ままシリーズ」というのをお届けしてきて、これが最後になる。ちょっと中東欧について調べ物をする用事があり、その中で目に留まった紋章をランダムに紹介してきたわけである。最後は、ポーランドのルブリンの紋章が微笑ましいものだったので、これを。葡萄と山羊という図柄であり、ポーランド語の説明しかないので良く分からないが、女神、愛、キリスト教などの象徴だという。


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 ちょっと、このブログのデザインを変えてみたでござる。変えたというか、元に戻しただけなんだけどね。諸事情があって。

 結局この連休は化学肥料のお勉強に終始してしまった。2014年6月とだいぶ古い情報ではあるが、こちらのサイトで、OSTCHEM社のO.キトカ副社長がインタビューに応じているので、発言の中の重要な点を以下のとおりまとめておく。EUとの自由貿易協定の成立に伴い、EUでのビジネスチャンスがどうなるかという点につき語っている。すでに報告したとおり、OSHCHEMはオリガルヒのD.フィルタシ氏系の化学コンツェルンで、ウクライナの窒素肥料工場6箇所のうち、4箇所を支配している会社である。

 我が社はEU市場に高い関心を持っている。EUは農業が発展しており、肥料の利用水準は世界でも最高レベルである。たとえば1ha当たりの施肥量はウクライナでは72kgにすぎないが、ドイツでは207kg、フランスでは175kgに及ぶ。EUでは年間2,060万tの硝酸アンモニウムと硝酸アンモニウムカルシウム、1,150万tの尿素、500万tの尿素・アンモニウム混合物が消費されている。しかも輸入比率はかなり高く、年間400万tのアンモニアを輸入している。我が社は世界で3番目の硝酸塩生産キャパシティを誇り、輸出ポテンシャルも大きい。

 我が社にとってとりわけ有望な製品は、硝酸アンモニウムカルシウムと、尿素・アンモニウム混合物である。欧州では、尿素・アンモニウム混合物の消費が、より大きく伸びている。しかし、その市場に進出するには、課題がある。現在ウクライナには尿素・アンモニウム混合物を積み出す港湾施設がないからである。他方、アンモニア市場も魅力があり、そのセグメントではすでに我が社はEUの輸入の6%を占めている。

 EUのウクライナ産肥料に対する関税率に関して言えば、尿素および硝酸アンモニウムに対しては6.5%だったが、2014年4月23日からは1%ポイント引き下げられて5.5%になった。以前はそれに加えて、1t当たり33.25ユーロのアンチダンピング関税が課せられていたが、2013年6月にその有効期限が切れ、現在のところ復活する動きはない。ウクライナ産のアンモニアに対しての関税率は5.5%。硝酸アンモニウムカルシウムと尿素・アンモニウム混合物は、EU市場で不足しているので、かなり以前に関税率が撤廃されている。

 EUはウクライナ製品に門戸を開くと称しているが、現在のところ単なる宣言に留まっており、具体的な条件や期限が示されていない。なぜ4月の関税引き下げが、わずか1%ポイントなのか、理解に苦しむ。4段階での関税撤廃といった情報もあるが、確認できていない。それでも我々は法的変更をフォローし、それによって生じる可能性を活かしたい。

 仮に関税が全廃されたとしても、それによって市場が完全に開放されるわけではない。化学産業では、EU内のロビイストの影響力が強く、彼らは常に、関税だけでなく、その他の障壁にも訴え、自らの市場を守ろうとする。たとえば、農業補助金を通じたやり方があり、一部の国ではEUのメーカーから肥料を買うことが義務付けられている。また、EU市場では、中近東およびアフリカの肥料生産者との競合もある。ウクライナの肥料メーカーが、原料となる天然ガスに高い価格を支払うことになると、それらライバルと原価の差が生じ、競争力を失う。今後、補助金絡み、税制、その他の手段によるEUの各種の保護主義は、さらに高まると予想される。EUの域内メーカー保護に対抗するのは、きわめて困難である。

 2013年に我が社はEU市場に50万tの各種窒素肥料を供給したが、これは前年比8%減だった。EU域内の生産者を除いたEUの輸入市場における我が社のシェアは、硝酸塩で8%、尿素で10%、アンモニアで6%。販売に影響を与える他の要因もあり、たとえば肥料の保管・輸送のEUスタンダードが挙げられる。硝酸アンモニウムには爆発危険性があるので、ドイツではすでに利用されなくなっており、尿素・アンモニウム混合物に移行している。一方、フランスなどの国ではまだ硝酸アンモニウムが大量に消費されている。ウクライナからEUへの硝酸アンモニウムの輸出が少ないのは、EU市場が均衡がとれてしまっており、それゆえに関税、反ダンピング措置、その他の措置によって手厚く保護されているからである。EU市場については、一層の開拓努力が必要である。


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 ウクライナの海外出稼ぎ事情のことを調べようと思ったのだが、どの国でどのくらいの数のウクライナ国民が働いているのかという点については、あまり良いデータが入手できなかった。2年くらい前までのデータなら見付かるのだけれど、ウクライナ危機を経て、現状どうなっているのかという最新値がどうも見当たらない。そこで、こちらに出ている、ウクライナ中央銀行が発表している「国外からウクライナへの個人送金額」というデータを、差し当たり図にまとめてみることにした。それで完成したのが、上のグラフである。この中銀のデータによれば、2014年の送金額は56億ドルで、前年比24.1%低下した。特に、最大の出稼ぎ先であるロシアからの送金が25.5%減となっており、これが響いている。ロシアとの関係悪化もあるだろうし、またロシア・ルーブルの下落も影響しているだろう。まあ、これは公式統計だが、実態はもっと多いのではないかという気がする。

 なお、細かい話だが、ウクライナ中央銀行の原典では、全30ヵ国のデータしか掲載されていないので、図にある「その他CIS」、「その他EU」というのは、完全に網羅的ではない。たとえば、原典にはベラルーシのデータがないので、ベラルーシはピンクの「その他CIS」ではなく、白の「その他」に含まれてしまっている。大勢に影響はないが、悪しからず。


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 ブルガリア西部の街、のリラ(Рила)。市街地から20kmほどのところにあるブルガリア正教会のリラの僧院は、世界文化遺産。紋章の左上の部分が、僧院を描いているのだろう。


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 少々古く、昨年12月の情報だが、こちらのサイトに、サッカーのロシア・プレミアリーグの高額報酬プレーヤー・ベスト10というのが出ているので、メモしておく。

1.フッキ(ゼニト・サンクトペテルブルグ、ブラジル人):700万ユーロ
2.K.クラニー(ディナモ・モスクワ、ドイツ人):570万ユーロ
3-4.ココリン(ディナモ・モスクワ):500万ユーロ
3-4.E.ガライ(ゼニト・サンクトペテルブルグ、アルゼンチン人):500万ユーロ
5.J.ガルシア(ゼニト・サンクトペテルブルグ、スペイン人):450万ユーロ
6.V.チョルルカ(ロコモティヴ・モスクワ、クロアチア人):440万ユーロ
7-9.A.ヴィツェル(ゼニト・サンクトペテルブルグ、ベルギー人):400万ユーロ
7-9.I.デニソフ(ディナモ・モスクワ):400万ユーロ
7-9.Yu.ジルコフ(ディナモ・モスクワ):400万ユーロ
10.M.ブスファ(ロコモティヴ・モスクワ、モロッコ人):390万ユーロ


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 IMFから、2015年4月版の世界経済見通しが発表されたので、そこに出ていた、ロシア・NIS諸国の国民1人当たりの名目GDPの今後の予測を、グラフにまとめてみたのである(主要国および私の直接の関心国のみ)。

 同諸国、2015年にはおしなべて1人当たりドル表示GDPが低下する見通しである。これは、マイナス成長もさることながら、為替の下落によるところが大きいだろう。

 特に落ち込み幅が大きいと予想されるのがロシアで、その結果、今後数年間にわたって、1人当たりGDPでカザフスタンの後塵を拝することになると見られている。

 悲惨極まりないのがウクライナで、これはもう完全に、中央アジアやモルドバなどの貧困国の仲間入りだ。あれだけ工業・農業の基盤があった国で、何をどうしくじれば、こんなことになるのか? ウクライナの人件費、もはや中国よりも安いらしいし、誰か使ってやってもらえないだろうか。

 何があっても、カメの歩みのように、少しずつ上昇していくウズベキスタンは、素晴らしい国だ。

 こうやって図にしてみると、ベラルーシとアゼルバイジャンの軌跡が、ほぼ重なっている。ベラルーシの政治経済体制を称賛しようとは思わないが、天然資源が乏しい割には、良くやっていると言えなくもない。


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 チェコ共和国の北東部に位置する都市、リトミシュル(Litomyšl)。ボヘミアとモラヴィアの中間に位置し、歴史的に両者を繋ぐ交易拠点だった。チェコの国民的作曲家スメタナの生誕地。市の中心部に位置するリトミシュル城は、世界文化遺産。

 こうやって見ると、かつて自分の所属団体の事業対象地域だった中東欧でも、個人的に知らない街ばかりだ。職業柄、産業都市なんかは割りと馴染みがあるんだけど、古都や観光地の類は本当に不案内だ。いつかゆっくり旅行でもしてみたいものである。


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 UEFAヨーロッパリーグの準々決勝が、1レグ4月16日、2レグ4月23日と開催され、その結果ベスト4が出揃った。以前のエントリーで述べたように、ロシアのゼニト・サンクトペテルブルグ、ウクライナのディナモ・キエフとドニプロ・ドニプロペトロウシクがベスト8に残っており、決勝戦がワルシャワで開催されるということもあって、個人的には「怖いもの見たさ」で、ゼニトとディナモによるワルシャワ決戦に期待した。しかし、結果的には準々決勝でゼニトとディナモが敗退、あまり期待してなかったドニプロだけが準決勝に勝ち残ることとなった。

 個人的に、2014/15シーズンは一切ヨーロッパサッカーを観なかったが、ヨーロッパリーグの準々決勝以降観たさにスカパーのヨーロッパセットに急遽加入し、ロシアおよびウクライナのクラブ関係の試合をチェックした。とはいえ、準々決勝は4試合同時にやるので、すぐに全部観ることはできず、自分にとっての思い入れの度合いに応じ、ディナモ、ゼニト、ドニプロという順番で録画を観て、ようやく全部観終わったところである。ディナモ、ゼニトと続けて負けたところで、「こりゃ全滅か?」と思ったが、あまり期待していなかったドニプロが最後に残ってくれた。

 ディナモ・キエフは、つくづく惜しいことをした。フィオレンティーナ相手のホームの1レグで、ずっと1:0でリードしながら、最後の方で足が止まって押し込まれ、土壇場で敵にアウェーゴールを許し、1:1で痛恨の引き分け。どうも、今のディナモは内弁慶のチームらしく、敵地での2レグはまったく臆病な戦い振りで、アウェーゴールを取り返せる雰囲気はほとんどなかった。「政治的な問題を抱えるウクライナやロシアのチームに、決勝に進んでほしくない」といったUEFAの見えざる意思が働いたのか否かは私には分からないが、2レグでディナモのFWレンスにシミュレーションの判定が下されて2枚目の黄色が出て、退場になってしまったのはいかにも痛く、あれで得点は限りなく厳しくなった気がする。結果、2レグはフィオレンティーナが2:0で勝利し、ウクライナ国民の多くが期待したであろうディナモのワルシャワ決勝進出の夢は断たれた。

 一方、セビージャと対戦したゼニト・サンクトペテルブルグ。アウェーの1レグで、1点先制したまでは良かったが、後半に2失点して逆転負け。まあ、アウェーの1:2は引き分けみたいなものなので、2レグに期待を残したが、そのホームの2レグで敵に先制点を許してしまう。その失点は微妙なPKの判定によるものであり、あれなんかも「ロシア出てくんなよ」というUEFAの空気のようなものを感じないでもなかった。そこからゼニトが2点とって、2試合合計で3:3に追い付いたのは見事だったが、イケイケの雰囲気になったところで、落とし穴が。試合終盤、一瞬の隙を突かれて、セビージャに2点目を許してしまう。痛すぎる2つ目のアウェーゴール献上であり、そこから2点を取り返す時間も力も、もう残っていなかった。ゼニトの戦い振りを見て、確かに攻守に力があるチームだなとは思ったが、試合運びの上手さが欠けていたのかなという印象である。

 ドニプロとブリュージュとの対戦は、アウェーの1レグはスコアレスドロー、ホームの2レグも終盤まで得点なく進んだ。両者守備は厳しく、かといってそれを崩すだけの破壊的な攻撃力もないので、どちらかがミスを犯すか、あるいは攻めですごく光るプレーが出ないと点が入りそうもないなという、そんな時間がずっと続いた。そして、「すごく光るプレー」がようやく出たのが、82分。ウクライナ代表R.ロタンがダイレクトで出したスペースへのパスに、途中出場のYe.シャホフが反応、シュートが相手DFに当たって絶妙のコースに飛ぶラッキーもあり、値千金の決勝ゴールが決まった。2試合合計1:0でドニプロが勝ち残った。

 ところで、私はヨーロッパリーグの大会レギュレーションについて、勘違いをしていたようだ。前回のエントリーで、上図のような組み合わせ表を掲げ、ディナモの山とドニプロの山が隣り合っているので、両者が勝ち進んだら準決勝でウクライナ勢の潰し合いになることが、もう決まっているかのように理解していたのだ。実際には、CLと同じように、今のELのレギュレーションでは、ベスト4が出揃ったところで、改めて抽選会をやって組み合わせを決めるようである(もっとも、ロシア・ウクライナ勢が3チームとも勝ち進んだら、政治的な理由で両国がぶつかるのを回避するというルールが優先されて、自動的に組み合わせが決まってしまったはずだが)。そして、その抽選の結果、最後の希望のドニプロは、イタリアのナポリと対戦することになった。5月7日の1レグがアウェー、5月14日の2レグがホーム(ただしドニプロペトロウシクではなくキエフ)である。

 4月23日のドニプロの試合では、キエフのオリンピック・スタジアムに、ディナモ・キエフのサポーターも駆けつけていたように見受けられた(ディナモは同時刻にアウェー戦があったわけだが)。かくなる上は、ドニプロにウクライナ代表としてワルシャワの決勝に辿り着いてほしいものである。案外、ディナモよりもドニプロの方がそうした図太さを備えているような気もする。


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 引き続き、連休を費やして、化学肥料の勉強中。個人的にこれまで知らなかったのだが、世銀のこちらのページで、主要コモディティの国際価格の長期的な推移がまとめられていることが分かった。そこで、その中から、化学肥料およびその原料をピックアップして、上図のような図を作成。DAPとはリン酸二アンモニウム、TSPとは重過リン酸石灰を意味する。しかし、こうやって改めて見てみると、やはりリーマンショック直前の商品市場の急騰は異常だった。


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Poreč_(grb)

 クロアチアのポレッチ市(Poreč)。ここも、アドリア海に面した世界遺産の街だ。イタリア領だった歴史もあり、現在でもイタリア系少数民族が存在するらしい。


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 前のエントリーに引き続き、窒素肥料の話だが、今度はベラルーシ。ベラルーシでは、グロドノ・アゾト社が窒素肥料のほぼ独占的な生産者となっている。こちらのサイトに、2014年のグロドノ・アゾト社の生産実績が出ている(傘下の化繊メーカー「ヒムヴォロクノ」も含む)。なお、グロドノ・アゾト社は石油・石化部門の国営企業を束ねる国営コンツェルン「ベルネフチェヒム」に属している。2014年の主な品目の生産量は以下のとおり。

窒素肥料(100%成分換算):77.6万t(前年比1.8%増)
尿素:101.1万t(4.5%増)
硫酸アンモニウム:37.6万t(5.5%減)
尿素・アンモニア混合:76.6万t(0.8%減)
アンモニア:106.3万t(3.5%減)
硫酸:25.4万t(6.4%減)
メタノール:8.3万t(14.7%増)
ε-カプロラクタム:12.2万t(5.7%減)
化学繊維・糸:4.0万t(2.0%減)


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 こちらのサイトで、2014年のウクライナの窒素肥料産業・市場の動向がまとめられているので、以下のとおり抄訳しておく。なお、ウクライナの窒素肥料産業では、6つの工場があり、そのうち4社がオリガルヒのD.フィルタシ氏のOstchem Holdingに属す。Ostchem系は、具体的には、ドネツィク州・ホルリウカ(スチロール・コンツェルン)、ルハンシク州セヴェロドネツィク、チェルカッスィ、リヴネに工場がある。残り2つは、I.コロモイシキー氏のプリヴァト財閥に属すドニプロアゾト(ドニプロペトロウシク州ドニプロジェルジンシク市)と、国営のオデッサ臨港工場である。現時点で、セヴェロドネツィクはウクライナ政府支配地域だが、ホルリウカは分離主義武装勢力に占領されている。

 2014年にウクライナの窒素肥料産業の生産は大幅に減少した。無水アンモニアの生産量は298.5万t(29.5%減)、尿素は99.7万t(26.4%減)、硝酸アンモニウムは56.6万t(26.6%減)、尿素・アンモニア混合は32.2万t(4.6%減)だった。

 2014年春の国内農業の需要を満たすため、ウクライナの各工場は同時期に生産を拡大し、3月がそのピークだった(ただしホルリウカ工場だけは2013年9月に生産を停止した後、2014年2月に生産を再開していた)。その時期が過ぎると、国際市況の悪化から、4月には窒素肥料生産の低下が始まった。たとえば、オデッサ工場では尿素の生産を一時停止した。ウクライナ東部の情勢不安定により、5月上旬にはセヴェロドネツィク工場、ホルリウカ工場の大規模生産が停止した。さらに、6月初頭にはリウネ工場が修繕工事のために操業を停止し、7月末まで続いた。つまり、2014年には2ヵ月にわたって、Ostchem系4工場のうち、チェルカッスィ工場でのみ硝酸アンモニウムが生産される状況となった。夏にはフル稼働していたのはプリヴァト系のドニプロジェルジンシク工場だけとなったが、同工場も9月末には修繕工事のためにストップした。10月には尿素はオデッサ工場、チェルカッスィ工場でのみ生産され、ようやく10月下旬にドニプロジェルジンシク工場で生産が再開した。ウクライナ政府は、天然ガスを節約するため、2014年9月29日付の政府決定第488号で、2014年10月1日から2014/15年の暖房シーズンが終わるまで、または政府が決定を下さない限り、肥料生産企業が生産用途で天然ガスを使用するのを停止することを取り決めた。しかし、実際には肥料生産は停止せず、年末にかけて生産が拡大した。12月最終週の時点では、ドニプロジェルジンシク工場、リウネ工場、オデッサ工場、チェルカッスィ工場でアンモニア、窒素肥料が生産されていた。また、12月最終週に、セヴェロドネツィク工場で硝酸アンモニウムの生産が再開されたのは、朗報だった(当面、他から供給されたアンモニアで硝酸アンモニウムを生産することに限られるが)。現在、ホルリウカ工場は停止しており、再開はドンバス情勢次第である。

 2014年の年初には、国内の窒素肥料需要は旺盛だった。伝統的に、農業側からの需要が大きいのは、硝酸アンモニウムである。国内市場での不足から、ウクライナの各農業団体が、ロシアに対する硝酸アンモニウムの反ダンピング関税の効力停止を政府に要請したほどだった。しかし、ロシア国内でも需要も大きいから、ロシアからの流入量は小さく、反ダンピング関税を止めたところで、ウクライナへの供給量が増えるとは思えない。カザフスタン産、ウズベキスタン産の肥料を少量ながらウクライナに導入しようとしたトレーダーもあった。当然のことながら2014年春には国内価格が上昇し、年の初めには硝酸アンモニウムの代替として尿素に対する需要も高まった。尿素も値上がりしたが、窒素成分に換算した場合の尿素の価格は他の窒素肥料よりも割安だったので、2014年を通して農場側はそれを求めた。2014年には、春の需要期が終わって需要が低下しても、高い国内価格が続くという異例の状況となった。国内工場の操業停止、春以降は大規模な輸入が行われなかったこと、通貨フリウニャの下落などが原因である。そうした中、ウクライナの省庁間国際貿易委員会は2014年7月8日付の決定で、ロシア産の硝酸アンモニウムに対する反ダンピング関税を5年間延長することを決めた。これにより、ロシアの硝酸アンモニウムはウクライナでの競争力を失い、また中央アジア産の肥料も為替のリスクからウクライナには輸入されなかった。これにより、2014年後半には、ウクライナ市場には国産品しか存在しない状況となり、しかも操業しているのはチェルカッスィ、リウネ工場だけだった。ウクライナ国内市場では、2014年の1年間で、硝酸アンモニウムは94%、尿素は96%、尿素・アンモニア混合は88%、アンモニアは120%値上がりした。国内価格は国際価格に連動するので、フリウニャが下落する中、国内で窒素肥料が値上がりする状況が、2015年も続くと予想される。


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 ハンガリー南部にある同国第5の都市、ペーチ(Pécs)。ローマ時代、さらにはケルト人の時代にまで遡る古い歴史がある。4世紀の初頭、当地は重要なキリスト教徒の都市となり、この時代に初期キリスト教徒の墓地が作られ、「ペーチの初期キリスト教墓所」として、世界文化遺産となっている。


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 化学肥料のことを勉強中。国際肥料産業協会という団体があり、そのウェブサイトのこちらのページに、「世界化学肥料貿易マップ2015年」というのが載っている。下の方にある「Download a pdf version of the map and view an interactive version on the ICIS website」に進んで、データを記入し申し込むと、もっと解像度の高いPDFをダウンロードできるので、興味のある方はお試しを。


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 クロアチアのプリトヴィツェ湖群国立公園。国や地方自治体ではなく、国立公園の紋章(というかロゴだな、これは)を取り上げるのは、初めてのケースである。大小16の湖と92の滝が織り成す絶景が評価され、世界自然遺産に登録されているということである。


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cbr

 こちらのニュースによると、ロシア中央銀行は4月30日に開催した理事会で、政策金利を5月5日付で、現在の14.0%から12.5%へと引き下げることを決定した。インフレ懸念が弱まる中で、景気の悪化を防ぐための措置とされている。これは、専門家も予想していたとおりの利下げであり、利下げ発表後に為替はむしろ若干ルーブル高に振れた。


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rochuu

 本ブログ/HPではモスクワ~カザン高速鉄道建設の話題を何度か取り上げてきたが、最新のこちらのニュースによれば、このほど設計業者を決める入札が実施され、ロシア・中国のコンソーシアムが落札した。ロシア鉄道とコンソーシアムが設計契約に調印することになる。コンソーシアムは、公開型株式会社「モスギプロトランス」が幹事で、公開型株式会社「ニジェゴロドメトロプロエクト」、CREEC(China Railway Eryuan Engineering Group Co. Ltd.)が参加している。モスクワ~カザン~エカテリンブルグ高速鉄道のうち、モスクワ~カザン区画の設計作業を、2015~2016年に実施する。契約額は200億ルーブル。入札は4月22日に実施されたが、応札したのは当該の露中合弁だけで、応募内容が条件を満たすことを確認した上で、落札が決まった。モスギプロトランスはロシアの名門設計局で、BAM鉄道、アムール~ヤクーツク鉄道などの設計実績がある。


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