服部倫卓のロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪(ブログ版)

私のホームページ「ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪」(http://www.hattorimichitaka.com)のブログ版です。

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 こちらこちらのニュースによれば、ヤヌコーヴィチ・ウクライナ大統領は2月28日、Yu.コロボフ氏を蔵相に任命した。コロボフ新蔵相(写真)は1973年ドニプロペトロウシク州生まれ。ハルキウ国立大などを卒業。ウクライナ輸出入銀行、BTA銀行、オプシチャドバンク、金融会社KIBRなどでの勤務を経て、2010年4月にウクライナ中央銀行副総裁、同年11月に第一副頭取に起用されていた。

 なお、蔵相と経済発展相をめぐっては、23日に地域党会派のO.エフレモフ会長が、 蔵相にはコロボフが、経済発展相には元外相で大実業家のP.ポロシェンコ氏が任命されたと発言する一幕があった。しかし、今回コロボフが実際に蔵相に任命されたのに対し、ポロシェンコは固辞する姿勢を示していると伝えられ、事の成り行きが注目されている。

 こちらのニュースによると、プーチン首相の支持団体である「全ロシア国民戦線」が、大統領選後、政党に改組され、現与党の「統一ロシア」のライバルになる可能性があるという。国民戦線の支援で下院に当選し、プーチン選対のメンバーとなっている議員たちが、『イズベスチヤ』紙に語った。

 その一人、V.ルィサコフは、次のように語った。これまで懐疑派は国民戦線を一時的なプロジェクトと見なしていたものの、今や本格的な勢力となり、統一ロシアよりも権威が高いとすら言われることもある。いずれにせよ、下院選の際に国民戦線の選対を指揮していたV.ヴォロジン大統領府第一副長官が、その課題をしかるべく解決するだろう。選挙が終われば、それに着手することが可能となる。別の議員、V.トラペズニコフは、次のように語る。国民戦線の政党への改組の作業が活発化するのは、おそらく秋だろう。形式的には、地域が音頭をとる形となる。今は選挙に集中しており、夏になると政治熱が冷め、秋になったらまた高まるので、その頃に統一ロシアよりも国民戦線の支部の方が強力な地域の活動家が、イニシアティブを示すだろう。

 もっとも、すでに将来の政党の綱領作りの作業が始まっており、社会・経済・政治研究所のN.フョードロフが中心になってまとめていると話す関係者もいる。この研究所は、統一ロシアの綱領も起草したが、採用されなかった経緯がある。また、綱領策定のために新しい専門家が招かれたという説もある。

 新政党がどのような状況に置かれるかは定かでないが、国民戦線が統一ロシアに取って代わるという可能性もあるという。2月初めには『イズベスチヤに』、国家指導部が政権党のブランドの再編を計画しているという情報が出ており、統一ロシアを解体して新しい諸勢力を形成するなど、いくつかの案が取り沙汰された。ただ、おそらくは、国民戦線が統一ロシアに次ぐ第2の政権党、つまりライバルになることが有力で、それは政治評論家たちの分析とも一致する。国民戦略研究所のS.ベルコフスキー所長は、様々な案が競合し、それらがともに実施される可能性が高い、統一ロシアはV.スルコフおよびB.グルィズロフといった古いチームのコンセプトで、行き詰っていて、そこにV.ヴォロジンの国民戦線というコンセプトが登場したわけで、プーチンが現在のお気に入りのヴォロジンに政党化の許しを与える可能性もある、と述べている。一方、政治情報センターのA.ムーヒン所長は、国民戦線と統一ロシアからなる二大政党制を形成するのがプーチンのビジョンで、それは充分に実施可能であると指摘した。

 こちらの記事によると、EUとウクライナの連合協定は、本年秋頃に調印される可能性があるという。欧州委員会のシュテファン・フューレ拡大担当委員が28日のブリュッセルにおける会見で語ったもの。フューレは、「調印に関しては、私は、秋頃に可能ではないかと思う。いくつかの加盟国は、むろんのこと、(本年秋にウクライナで予定されている最高会議の)選挙後にと言うだろう」と語った。フューレによれば、協定の仮調印は、向こう1ヵ月の間にも可能である。仮調印の遅れは客観的な理由によるものであり、それは協定のすべての文言を法的にチェックし、すべての条項の最終版について合意するという必要性による。仮調印のあと、正式調印までに、EU加盟国のすべての言語に翻訳しなければならないので、さらに時間を要する。秋の調印というのは、政治的取引の結果ではない。以上のようにフューレは述べた。

 これに対し、ウクライナ側で交渉を担当してきたクリュエフ国家安全保障・国防評議会書記は、秋の協定調印という見通しにつき、とても結構なことであると歓迎の意を表した。ちなみに、連合協定の交渉は2007年に始まり、連合協定の構成要素の一つである自由貿易圏協定の交渉は2008年に始まった。

 報道によれば、メドヴェージェフ大統領は28日、極東の沿海地方のS.ダリキン知事をその職から解き、極東連邦大学のV.ミクルシェフスキー学長を知事代行に任命した。大統領報道官の発表によれば、ダリキンの退任は本人の希望によるもので、理由の一つは健康上のものだという。ダリキンは2001年に知事選挙で勝利し、同年6月17日から知事を務めてきた。

 今週初め、メドヴェージェフ大統領がダリキン沿海地方知事、P.イパトフ・サラトフ州知事、N.ベールィフ・キーロフ州知事、O.チルクノフ・ペルミ地方知事らを解任する可能性があるということを、『イズベスチヤ』が報じていた。遡ると、2011年12月には沿海地方の住民がダリキンの下での専横と汚職をプーチンに直訴するという一幕もあり、プーチンはそれについて留意したと答えるとともに、沿海地方での犯罪率が他地域よりも多いということも付け加えていた。下院選における統一ロシアの得票率は33.9%で、他地域よりも低かったという事情もある。

 知事代行に据えられたV.ミクルシェフスキーは現在45歳。モスクワ鉄鋼大学を卒業。2008~2008年には連邦政府の教育・科学省で予算予測・組織局長として、2008~2010年には教育・科学次官として働き、2010年10月に極東連邦大学の学長に就任していた。

 先日のブログで、「HPの表示がiPadでは崩壊してしまう件」というエントリーを書いた。このたび、HPの設定をし直したので、iPadでhttp://www.hattorimichitaka.comにアクセスしたら、iPhoneなどと同じように、ライブドアのブログhttp://blog.livedoor.jp/httrmchtk/の方に飛ぶようになったはず。ただし、iPadでブログ版を閲覧しようとすると、デフォルトではスマートフォン用の画面で表示されてしまうのではないかと思う。その場合は、画面の下の方に「PC版」という箇所があるので、そこをタップするとPC用のブログの画面になる。ただし、あくまでもブログ版であって、http://www.hattorimichitaka.comのHP本体ではない。

 、それから、アンドロイドのスマホは検証済みだったんだけど、アンドロイドのタブレットでHPを見たらどうなるのかというのも、店頭で試してみた。考えてみれば、アンドロイドに関しては、最初からスマホとタブレットの設定を分けていなかったので、スマホもタブレットも両方同じ画面で表示された。

 つまらないことをグダグダと書いてしまったが、要するにiOSでもアンドロイドでも、スマホまたはタブレットから私のホームページ(http://www.hattorimichitaka.com)にアクセスしようとすると、自動的にhttp://blog.livedoor.jp/httrmchtk/に飛ぶことになった。タブレットの方は、スマホ用画面では見にくいと思うので、PC用画面でどうぞ。スマホおよびタブレットからホームページ(http://www.hattorimichitaka.com)を見るのは完全に不可能になった、という次第である。

 こちらのニュースによれば、ロシア経済発展省のA.スレプニョフ次官が会合の席で、関税同盟/共通経済空間の現状と展望につき語ったそうなので、その要旨を以下のとおりまとめておく。

 「ユーラシア経済委員会」は、通商、投資、パートナー諸国との関係調整といった分野で徐々に超国家的な機能を拡大している。とくに、委員会の委員を兼任するロシア経済発展省のA.スレプニョフ次官がエコノミストらとの会合で昨日述べたように、アジア太平洋諸国とのFTA締結の当事者となる可能性がある。もっとも、共通経済空間の枠組みでの統合で、目下のところ最大の勝ち組となっているのは、カザフスタンということである。

 スレプニョフ次官によれば、共通経済空間の総人口は1.7億人、経済規模は5,000億ドルである(うち87%がロシア)。本年初頭から、ユーラシア経済委員会、ユーラシア経済共同体裁判所が機能し始め、17の協定が発効したが、それらが完全に実現するのには5~7年かかる。それが終わる2015年(?)までには、ユーラシア経済共同体の憲法のような単一の文書が採択されるであろうと、スレプニョフ次官は述べた。

 現在のところ共通経済空間は、近いうちにASEANとの枠組み協定を結ぶことを検討している。ベトナムをはじめ、アジア太平洋諸国の国々との自由貿易圏締結も検討している。ただ、ロシア産品の競争力はベトナムのそれに大きく劣るので、輸入品に圧迫される恐れがあり、ベトナムがアジアの多くの国々とFTAを有していることを考えれば、その影響はさらに大きい。ただし、交渉により、互恵的な協定を達成することが可能になるだろうと、スレプニョフは述べた。現在のところ、ロシアの輸出総額に占めるアジア太平洋向けの比率は30%弱、一方輸入は20%である。

 スレプニョフによれば、ユーラシア経済委員会に委任される権限分野で決定を下す際に、行政的な圧力が低下することも、利点の一つとなりうる。というのも、3国の規模が異なるにもかかわらず、平等の原則がとられ、評議会に各国から3人の副首相が、参与会には各国から3人の代表者が加わるからだ。「管轄の競争」により、多くの問題で、より効果的な決定が下されるようになるだろう。世界のビジネス環境評価では、カザフが47位で、ロシアの120位より高い。その点、現在のところ、勝ち組となっているのはカザフであり、ロシアの国境地帯の地域から企業がカザフへと流出する動きが見られる。カザフを通過して中国製品が流入している問題に関しスレプニョフは、以前からその「穴」はあり、高い関税を回避してそこから商品が流入していたわけで、現時点で課題となるのは3国および企業が合意に違反しないよう的確に監視をしていくことだと指摘した。

 モルドバでは、エリートは総じてEUとの統合というベクトルを志向しているものの、分離・自治地域はロシア寄りだし、野党や一般庶民の間でもロシアを中心とした関税同盟に加入することを望む声が根強くあるようだ。実は、関税同盟加入の賛否を問う国民投票を実施しようという運動も展開されているらしく、こちらがそのウェブサイトである。

 そして、こちらのニュースによると、最近の世論調査でも、関税同盟の支持派の方が優勢という結果が出たそうである。すなわち、モルドバ社会学者・人口学者協会が2012年1月9~18日にモルドバ全土で1,587人を対象に実施した世論調査で、関税同盟への加入を支持した回答者が40%、EU加盟を支持した者が31%だったという。

 一方、「今度の日曜日にEU加盟を問う国民投票が行われたら賛成するか?」という設問には、44%が賛成すると答えているが、これは前年同月から17%ポイントも低下したということである。同じ設問で反対するという回答者が32%、投票に参加しないが7%、回答困難が17%だった。

 2つ目の設問の結果を見る限り、EUへの拒絶反応がそれほどあるようには思えないものの、1つ目の設問の結果に見るように、二者択一を突き付ければ、現時点では関税同盟支持が優勢になっているということだろうか。ギリシャ危機あたりが影響している可能性はありそうだ。

 5日ほど前に、「iCloudの地味な活用法」というエントリーを書いた。iPod Touchで写真を撮ったら、それが自動的にクラウドに上がり、PC上でも利用可能になる、というくだり。せっかくなので、それを使って一本記事を書いてみる。

 うちの近所に、東京電機大学が移転してくることになった。北千住に新キャンパスが建設され、この4月にオープンする予定。北千住駅の東口の方は、街がまるごと東京電機大学という感じになりつつあり、随分雰囲気が変わりつつある。個人的には、若い人向けに定食屋なんかが増えることを期待。

 うーむ、やっぱりiPod Touchで写真を撮ったら、そのままiPod Touchで写真付きのブログを書けなければ、意味はないような…。


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 こちらの記事が、ベラルーシからの石油製品輸出について報じている。一般の方にとっては面白くもない話だろうが、実は両国関係のキモになる重要な問題なので、備忘録として以下のとおり記事の骨子をまとめておく。

 ベラルーシ政府筋によると、2011年の1年間で、ロシアとの合意にもとづき、ベラルーシはロシアの国庫に、石油製品の輸出関税30.7億ドルを納入した。2010年12月9日、ロシア・ベラルーシ・カザフスタンは共通経済空間の枠内での協力に関する協定に調印し、同協定は2010年12月にベラルーシ議会によって批准された。この協定は、ロシアからベラルーシの原油および石油製品の輸出を、輸出関税なしで行うことをうたっている。ロシアとベラルーシはまた、ベラルーシ領から諸外国に輸出される石油製品に対する輸出関税の賦課方式を定めた協定にも調印、これによってベラルーシはロシアと同じ関税率を設定し、輸出関税収入はすべてロシアの国庫に納付されることになった。

 ロシア・エネルギー省はまた、ベラルーシに原油を輸出するオペレーターも選定、具体的にはロスネフチ、ルクオイル、スルグトネフチェガス、ガスプロムネフチ、TNK-BPが選ばれた。

 2011年向けに作成されたロシア・ベラルーシの石油バランスによれば、ロシアはベラルーシに2,168万tの原油を供給することになっていた。2011年にベラルーシは1,560万tの石油製品を輸出し、その1tあたりの平均価格は35%上昇して805ドルに達した。

 こちらのサイトで、政治工学センターのA.マカルキン第一副所長が、27日に発表されたプーチンの外交論文に関しコメントしているので、その要旨を以下のとおりまとめておく。

 論文自体は、実質的に、ロシアにとってのリスクを列挙するものとなっている。中国との間ではリスクが少なく、西側との間では多いとされている。論文の眼目の一つは、ロシアと米国の「リセット」が終わりを迎えたという点にある。何が書かれているかということだけでなく、何が書かれていないかという点を見なければならないが、「リセット」という言葉が一切登場せず、ここ数年で米国との間で達成した成果に触れられておらず、どうやらそれを否定的に評価しているようだ。他方、論文ではCISについて語られていないが、これはCISの優先度が低下したということではなく、すでに昨年の論文でユーラシア連合について語ったので、繰り返す必要はなく、この間に達成した成果もないので、特に言及しなかったのだろう。中東問題もリスク要因として挙げられており、これにはリビアという武器輸出先とシリアというロシアにとって中東最大の同盟国を失うかもしれないという対外的な面と、アラブの春が伝播することへの懸念という国内的な面とがある。それゆえに、外国からグラントを受け取っている国内NGOを脅威と受け取ることにもなる。論文では、インターネット、ソーシャルメディア、携帯通信が、進歩の要因としてだけでなく、脅威としても語られている。もっとも、どんな形であれインターネットを規制しようとするとネットの世界からきわめて否定的な反応を招くので、それらにどのように対処するのかの具体策は述べられていないが。もしもロシアで中国型のネット規制を導入したら、不満が爆発するだろう。マカルキン氏は以上のように述べた。

 こちらの記事が、プーチン新大統領の下で形成されるであろう内閣の陣容についての動きと観測を掲げているので、その要旨を以下のとおり整理しておく。

 それによれば、D.コザク副首相を中心とする作業グループが大統領選後の政府の構造についての素案作成作業を今週終え、クレムリン(つまりメドヴェージェフ・サイドということか?)に提出した。来週には人事も話し合われるという。この案につきもしもクレムリンの承諾が得られれば、政府からは経済部門別の副首相たちはいなくなる。また、経済分野では、投資誘致省という省が新設される。国税局も、独立の省になることを狙っている。ただし、政府の構造に関してはいくつかの案があり、5月にならないと具体的なことは分からないという。

 今回の案による最大の変更は、副首相の数を8人から5人に削減することであり、これはプーチン首相以前の政府に戻ることを実質的に意味する。2008年にプーチンが首相に就任した際に、副首相が5人から7人に増員され、2010年にA.フロポニン大統領全権代表も副首相に加わった経緯がある。

 プーチン内閣ではA.クドリンが副首相と蔵相を兼務していたが、副首相と省の大臣の兼務というやり方は上手く行かなかった。大統領府では、新政府では主要分野を担当する第一副首相を数人置くことを検討している。

 コザク案でほぼ現状のまま残るのは経済発展省(新しい機能を加える可能性はある)と財務省で、経済分野ではこれに投資誘致省が加わることになっている。ただ、これはA.ドヴォルコヴィチ大統領補佐官が推しているものだが、権限が狭すぎて実現しそうもないという指摘もある。国税局も独自の省になることを目指しているが、これは一連の案の中には示されておらず、おそらく国税側が国のトップたちに直訴する形になりそう。

 地域発展省、運輸省、通信省は現状維持のままとなりそうとのことである。地域発展省を民族問題省と建設省に分割するという案も以前にあったが、承認されなかった。一方、政府に近い情報筋によれば、地域発展省はやはり分割される可能性があるという。地域発展省はコザク大臣の時代に建設行政、住宅・公営事業、地域政策、民族問題、在外同胞支援と分野を広げすぎ、仕事をこなしきれなくなっていたので、建設と住宅・公営事業をそれぞれ管轄する省または連邦庁が新設される可能性があるという。

 経済部門別の副首相を廃止して機能別の副首相だけの体制にするということが提案されているが、これについて政治工学センターのI.ブーニン所長は、そのアイディアは以前からあるが、結局は部門別になってしまう、と指摘している。ブーニンによれば、もう一つのポイントは、メドヴェージェフとセーチンの関係であり、メドヴェージェフはセーチンを部門(エネルギー)担当の副首相にしたくないから部門別の体制を廃しようとしているのだという。

 ペテルブルグ政治財団のM.ヴィノグラドフ理事長が指摘しているとおり、副首相の数の削減というのは、新政府が形成されるたびに叫ばれる。2004年には、各大臣が副首相に匹敵する政治的存在になると想定されたので、副首相そのものは1人だけになった。しかし、人事異動があるたびに、副首相を設けて問題を解決しようとするので、その分、大臣の地位が侵食される。副首相というステータスに相当する人物が他機関からどれだけ内閣に入るか、そしてその人物たちと新首相の関係がどのようなものなのかによって、決まってくるだろうと、ヴィノグラドフは指摘した。

 こちらのサイトで、タチヤナ・マニョーノクというベラルーシ人の専門家が、ベラルーシの側から見た関税同盟/共通経済空間とWTOの問題、両者の整合性につき論じているので、抄訳しておく。

 ロシアのWTO加盟は、その面で大きく遅れをとっているベラルーシにとって、深刻な問題を引き起こす。ロシアのWTO加盟が、中長期的に多くの品目での関税障壁を低めることは明らかである。ロシアが加盟に際して関税障壁の一定の水準に合意した以上、今後ベラルーシは自らの関税率をロシアのそれに合わせ、引き下げなければならない。つまりベラルーシは、WTOに加盟していないうちから、向こう7年間の間に、関税率を10.7%から8%まで引き下げなければいけないのである。

 ベラルーシ外務省の試算によれば、ロシアが負った義務は、1,000以上の品目に関し、関税同盟の現行の関税率よりも7~15%低く、うち50以上の品目がベラルーシにとってセンシティブである。具体的には、オフロードで使用するセミトラクター、ダンプカーなどの機械製品であり、また乳製品等の食品、一部の染料・ラッカー、電話機、テレビである。さらに、1,500の品目に関しては、ロシアの負った義務が関税同盟の現行の関税率よりも4~6.5%低く、うち160品目がベラルーシにとってセンシティブである。具体的には、ある種の合成糸、フェルト、ロープ、織物、繊維製品、1リットル以下の瓶、グラスファイバー、洗濯機、変圧器、電子レンジなどである。これらの品目が、現在よりも自由に関税同盟の市場に入ってくるわけである。農機の関税率も、現行の平均15%からほとんどの品目で5~10%まで引き下げられるので、ベラルーシの農機メーカーは試練に直面する。ミンスク・トラクター工場やゴムセリマシといったベラルーシの農機メーカーはロシア市場に依存するだけに、事態は深刻である。

 ベラルーシは抵抗を示すかもしれないが、時すでに遅し。2011年にロシア・ベラルーシ・カザフスタンが多国間通商体制の枠内での関税同盟の機能に関する条約を批准したのは、まさに関税同盟加盟国がWTOに加盟した生じうる矛盾の解決を念頭に置いたものだった。この条約により、関税同盟の機能にかかわるWTOのルールは、すべて関税同盟の法体系の一部となる。肝心なことには、関税同盟の義務よりもWTOのそれの方が優越するということである。

 これですべて明白であり、ベラルーシとカザフスタンはロシアのWTO加盟で負ったすべての条件を受け入れなければならないはずだが、ベラルーシの高官の中にはそう認識していない者もいる。たとえば、ベラルーシ国家関税委員会のS.ボリシューク副委員長は、この問題に1月にコメントした際に、ロシアのWTO加盟にもかかわらず、関税同盟の関税率の修正はユーラシア経済委員会で採択されるので、ロシアの関税が上がるか下がるかを語るのは尚早だと発言した。

 ベラルーシは関税同盟の中でも最もWTO加盟作業が立ち遅れており、ゆえに他の国よりも、自国市場の保護を望んでいる。これが共通経済空間の深刻な障害になる可能性があり、そのためロシアはベラルーシのWTO加盟を支援することを約束し、12月19日に当該の覚書が結ばれた。そのメモランダムには、ベラルーシ側の主張を聞き入れたかのような文言もあるが、いずれにしても優越するのは覚書ではなく2011年に関税同盟3国で結んだ条約であり、そのことはロシアのメドヴェージェフ大統領が覚書調印の12月19日に改めて明言している。

 たが、新しいルールが実際にどのように機能するかは、まったく定かでない。もしもロシアとWTOの合意が共通経済空間を規定するなら、3国は袋小路の状況となる。ユーラシア経済委員会に関する協定を起草する中で、意思決定の方式を、全会一致とするか、特定多数決とするかで、論争があった。ベラルーシとカザフスタンが参加する条件として、一国一票の原則が採用され、ロシアも協定がなるべく早く調印されるように妥協をしたのである。決定事項は、参与会で決まらなかった議題は評議会に、評議会でも決まらなければ首脳会議に持ち込まれる。ということは、もっとも頭の痛い、センシティブな問題ほど首脳会議に諮られることになり、ベラルーシ経済が世界の通商体制への統合が最も遅れていることを考えれば、そうした頭の痛い問題はおそらくベラルーシが持ち込むことになる。ベラルーシがWTOの加盟国でなく、熱意すら示していないことから考えて、3国による合意形成の難問は長く続くことになりそうだ。

 HPのロシアコーナーで累次お伝えしているとおり、大統領選に立候補しているロシアのプーチン首相は、自らの選挙綱領に相当する論文を、主要紙に五月雨式に発表している。2月27日付の『モスクワ・ニュース』紙に、その第7弾が出た。今回は外交政策がテーマで、「ロシアと変わりゆく世界」と題されている。論文のテキストは、こちらで読むことができる。

 残念ながら、論文そのものを熟読している余裕はないので、こちらのサイトに掲載された外交評論家のP.ドゥトケヴィチ教授の論文寸評を要約しておく。教授いわく、この論文はオープンで、アクチュアルで、国際関係のすべての要素を取り上げているという意味で、プーチンの古典的なスタイルだ。プーチンは、国際機構が国際関係の調整役というしかるべき機能を果たしていないので、それゆえに我々はデリケートで激変し予想のつかない世界の時代に入りつつある、と指摘している。ただ、この論文のなかでプーチンはそのデリケートさにどのように対処すべきか、具体策を示していない。この論文から見えてくるのは、ロシアはアジア、とりわけ中国との関係に傾斜していくということで、これは世界の経済的・政治的重心がアジアに移りつつあることを改めて示している。この論文のなかで新味があるのは、いわゆる「ソフトパワー」についての言及が何箇所か見られること。この論文が立脚している主権というものについての概念は、19世紀型の古臭いもので、ロシアが国際場裏でこのような形の主権を行使することはもはや困難であろう。EUと米国に対しては、交渉の座について、あらゆることにつき合意し、質的に新たなレベルに移行しようということを提案しているが、現在先方にはロシアと何としてでも合意しようというような政治的熱意ななく、したがって論文のこの部分も実施可能な具体的提案とは言えない。ロシアを中心としたユーラシア統合に関しては、この論文では満足な言及がなく、中央アジアを舞台に、ロシア、中央アジア、中国が協力し合えることを考えれば、これは驚くべきこと。以上がドゥトケヴィチ教授の寸評であった。

 教授も指摘しているように、論文では中国を中心とするアジア・太平洋地域を重視する姿勢が示されているのだが、残念ながら、日本への直接の言及は見られない。プーチンが論文のなかで直接言及している国や地域は、地図に見るとおりである。



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 こちらの記事によれば、「ペテルブルグ政治財団」というシンクタンクが、「2012年5月の内閣の顔触れ」と題し、現在の閣僚のうち来たる新プーチン政権で生き残れるのは誰かを占った報告書を作成したとのことである。

 これによれば、まず退任が確実なのはA.アヴデエフ文化相で、同氏の場合は自らが退任の意向を示しているうえに、一連の文化関係機関との対立もある。すでに内閣文化・教育局長のD.モルチャノフ、モスフィルムのK.シャフナザロフ、大統領顧問のYu.ラプチェフなど、後任候補の名前も挙がっている。

 次に退任の可能性が高いのは、V.バサルギン地域発展相だ。彼は再三大統領から激しく批判されており、もう何年も解任が語られてきた。彼がモスクワ州知事またはスヴェルドロフスク州知事に転身するという噂も聞かれる。ただし、本紙が得た情報によれば、モスクワ州知事の候補はB.グルィズロフ前下院議長、I.レヴィチン運輸相の2人ということだが。なお、レヴィチン運輸相に関し、ペテルブルグ政治財団では退任の可能性を中程度としている。仮に地域発展省が地域、建設、民族問題など2~3の機能に分割されるようなことがあれば、本紙の情報によると、前カリーニングラード州知事のG.ボースがそのうちの1つの大臣になる可能性があるという(現在ボースは、「公開政府」創設のための大統領府作業グループで、権力の分権化の問題を担当している)。

 もう一人、財団が「退任確実」としているのが、Ye.スクルィンニク農相。同女史は長らく、省の執行規律、2013~2020年の農業発展国家プログラムの準備状況の悪さなどで、V.ズプコフ第一副首相から批判を受けているうえに、大臣の座を狙う他派閥も多い。

 S.シマトコ・エネルギー相も、やはり「退任確実」とされている。ガソリン危機と、電力部門で相次いでいる事故がその原因。

 庁や連邦局のレベルでは、消費市場監督局のG.オニシチェンコ長官が退任確実という。もっとも、その原因は、省庁間の対立や、外資大手の不満(ネスレ、ペプシコ、ヴァリオなどがI.シュヴァロフ第一副首相に不満を訴えていた)ゆえというよりは、同局を廃止しその権限を他のところに移す計画があるから、ということである(権限を地域レベルに移すか、あるいは関税同盟またはユーラシア連合という超国家機構に移す)。もう一人、退任が確実視されているのがV.ヤケメンコ青年庁長官で、同市はV.スルコフが大統領府を後にしてから退任が取りざたされていた。

 次のグループが、「退任の可能性がかなり高い」というカテゴリーで、こちらの方が数が多い。具体的には、T.ゴリコヴァ保健相、A.フルセンコ教育相、Yu.トルトネフ天然資源省、S.ショイグ非常事態相、R.ヌルガリエフ内相、A.セルジュコフ国防相らが該当する。トルトネフは大統領府への移動、ショイグは東シベリア・極東開発公社への転身が想定されている。一方、ゴリコヴァ、フルセンコらの立場は危うい。セルジュコフ国防相も失敗続きで、ロゴジン副首相からも批判されている。

 その他の大臣に関しては、財団は「退任の可能性が中程度」「小さい程度」「最小の程度」に区分している。この報告ではE.ナビウリナ経済発展相が中程度とされているが、その他の専門家はその可能性は高くないとみている。ただ、財団の報告書では、小程度または最小程度とされているのは、庁および連邦局のトップだけである。

 財団のM.ヴィノグラドフ理事長によれば、すべての大臣に退任のリスクがあることは、9月のタンデムによる表明からも確認でき、このように政府が全面的に入れ替えられる可能性は1991年秋以来なかったことで、ゆえに多くの政府高官は職探しの必要に迫られているが、もっともプーチンは政府の刷新が上手くいかなかった場合への予防線を張るために、12月5日に現チームの骨格は保持すると述べた、ということである。

 財団の報告は副首相レベルには触れておらず、I.セーチンおよびD.コザクに関しては留任論が出てくる可能性があると指摘するにとどまっている。本誌の情報によれば、I.シュヴァロフ第一副首相、N.パトルシェフ安全保障会議書記の退任の可能性もある。安全保障会議の権限が強化される可能性もある。プーチンが2月6日に評論家らに表明したように、大統領選の投票前に政権幹部の顔ぶれが発表される可能性も否定できない。

everlybrothers

 最近買ったCDの中で、一番良かったのが、このThe Everly Brothers, The Complete Cadence Recordings 1957-1960という2枚組。50年代後期のロカビリーを代表する兄弟デュオの、黄金時代に当たるケイデンス・レコードでの全作品を収録したもの。これまでエヴァリー・ブラザーズのCDは80年代に買った音が劣悪で曲数も少ないものしか持っていなかったので、今回のCDでようやくその魅力の全貌に触れることができた。

 今まで聴いたことがあったシングル曲では、無邪気なティーンエイジ・ポップという印象を受けていたが、シングルになっていないアルバム曲では、伴奏がアコースティックギターだけのものが多く、また結構無頼っぽい歌詞があったりして、抱いていたイメージ以上にアダルトおよびルーツ寄りだった。ただ、All I Have to Is Dreamや、Let It Be Meといったお馴染みのバラード曲の魅力は、やはり抗いがたい。

 こちらの記事によると、このほどロシア戦略研究所の主催でモスクワにおいて「ユーラシア経済連合:統合の新たな地平への道」と題する国際会議が開かれた。その会議にモルドバからの分離独立を唱える沿ドニエストル共和国のYe.シェフチューク大統領が出席し、同共和国は「ユーラシア経済共同体」「ロシア・ベラルーシ・カザフスタン関税同盟」に参加することに関心を抱いており、「共通経済空間」の枠内で活動し「ユーラシア連合」の形成に参加する用意があると述べた。

 これによれば、シェフチューク大統領は概略以下のように述べた。沿ドニエストル共和国にはそれらの統合に参加するために必要な法的基盤が形成されている。ソ連崩壊後の20余年ずっと、沿ドニエストルを団結させてきた最大の理念は、将来的にロシア・ウクライナ・ベラルーシと単一の経済・社会・文化・政治空間に有機的に組み込まれることが可能となるよう、自らの土地において文化・歴史的な独自性を保持するということだった。我々は、政治的な事情により、ロシア、ウクライナおよびその他のCIS諸国が沿ドニエストルの独立を承認できないということを理解している。沿ドニエストルの人々は、未承認による重荷を背負ってきた。沿ドニエストルにとって「ユーラシア経済連合」への統合は、発展、大多数の経済問題の解決、モルドバ・沿ドニエストルの関係を沿ドニエストル・モルドバ・ウクライナ・ロシア諸国民の利益に沿って平和裏に政治的に解決する条件を作ることを可能とすることである。「ユーラシア連合」の創設、効果的な統合は、参加国が21世紀の困難な経済情勢下でしかるべき地位を占めるための道である。共同で対処してこそ、我々諸国はグローバル成長と文明進歩のリーダーの仲間入りをし、成功と繁栄を手にできる。CIS諸国の経済的ポテンシャルを結集することによってのみ、21世紀の経済的不安定の新たなリスクに的確に対応できる。シェフチューク大統領は以上のように述べた。

 こちらのニュースによると、ロシアのM.ズラボフ駐ウクライナ大使は、ロシアとウクライナの両国は、近いうちにCIS自由貿易圏に関する協定を同時に批准することになると発言した。大使によれば、現在両国の政府、議会、外交は協定の同時批准に向けて準備を進めており、向こう数週間で実現するだろう、とのことである。

 一方、こちらのニュースによれば、ウクライナのヤヌコーヴィチ大統領は、ウクライナがロシア・ベラルーシ・カザフスタン3国関税同盟との関係で提案している3+1の枠組みは、やはり関税同盟との協力関係を模索している大多数の他のCIS諸国にとっても、現実的で興味深いモデルとなるだろう、と発言した。

 珍しく文化の話題である。HPロシア・コーナーのNo.0132の記事で見たとおり、2011年のロシア文化の最大の話題と言えば、ボリショイ劇場の改装工事が完了し、11月にそのこけら落としが行われたことだった。その演目には、バレエ「眠れる森の美女」が選ばれ、11月16日と20日に公演が行われた。今般、NHKのBSプレミアムでその模様が放送されたので、観てみた次第だ。

 個人的に、ロシア圏の仕事をしていながら、バレエはまったく不案内。恥ずかしい話、毎年何回かモスクワに出かけるのに、ボリショイ劇場に足を踏み入れたことはこれまで一度もない。ただ、以前ブログにちらりと書いたとおり、昨年12月にウクライナのリヴィウでバレエを鑑賞する機会があり、それが思いのほか楽しかったので、ようやく多少興味を抱いたところだった。そうしたなか、NHKがボリショイの新装開店公演を放送してくれるというので、たまにはロシアの文化的な側面も見ておかなければなるまいと思い、鑑賞した次第だ。5.1サラウンドで放送されたので、久し振りにサブウーファーまで使って自宅のホームシアターを稼働させた。なお、番組を制作したのは、ロシアではなくフランスのテレビ局のようだった。

 何しろ、予備知識がまったくないので、出し物自体へのコメントは差し控えておく。「赤い衣装を着た森の精(?)の踊りが、がきデカみたいだった」とか言うと、育ちの悪さがバレてしまうので…。私がロシア研究者として注目したのは、ボリショイ・バレエ団が初めて外国人をプリンシパルとして招聘し、今回のこけら落としでも主演を務めていたという点である。しかも、それが米国人だという。これは日本で言えば大相撲の横綱の座に初めて外国人が就くようなものではないかと想像され、個人的にその背景やロシア国内での反応に興味が湧いた。

 まあ、あんまり詳しく調べているヒマはないが、問題の人物は、アメリカ・バレー・シアター出身のデーヴィッド・ホールバーグという。ホールバーグのインタビュー記事が、こちらのサイトに出ている。この記事によれば、ボリショイが外国人をプリンシパルとして招くのは、19世紀末以来なかったことだという。ホールバーグ自身、芸術監督のセルゲイ・フィリンが米国人である私を招聘したのは、とても勇気のいる行為だったはずと発言している。インタビューでホールバーグは、米国でのキャリアには満足しているが新しい挑戦のためにボリショイに来た、自分はロシア文化の一部となるつもりで当然のことながらロシア語も勉強するつもりである、などと述べている。

 テレビの画面で観る限り、ロシアの観客がホールバーグを拒絶しているような雰囲気はなく、暖かく迎えている印象を受けた。


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 ロシアの有名な政治評論家で、「政治情報センター」の所長であるA.ムーヒン氏が、こちらのサイトで、3月の大統領選を経てプーチン政権の支配体制がどのように変容していくかについての分析を示しているので、以下のとおり抄訳しておく。

 メドヴェージェフはすでに政治の中心にはおらず、そのため彼の側近は意識的に話題作りに励んでいる。とくに、メドヴェージェフが副大統領に就任かといった観測が語られていることは、メドヴェージェフが実際に首相ポストを与えられるのかという点に関して、本人だけでなく、側近も心配に思い始めたということを、物語っている。

 2007年にプーチンはセルゲイ・イヴァノフに大統領選に出馬しないよう頼み、メドヴェージェフに白羽の矢を立てた。そして、今回はメドヴェージェフの番である。もしかしたら、プーチンは大統領当選後、同じような依頼をメドヴェージェフにするかもしれない。たとえば、現在の状況にかんがみて、現体制のために、つまりバランスを回復し政治情勢を安定させるために、首相のポストを自発的に断念する、といった具合である。2011年9月に「統一ロシア」の名簿の筆頭に立ち、一部の国民に強い不満を招いたのは、他ならぬメドヴェージェフであった。メドヴェージェフがこれを拒むことはあるまい。

 この間プーチンは、メドヴェージェフが始めた政策的なイニシアティブの取り下げを表明し始めた。たと冬時間への復帰などであり、今後は乗用車ドライバーを戸惑わせたメドヴェージェフ提案が対象となる。全体として、国民には、メドヴェージェフがわざと不人気な政策を導入して、その後プーチンがそれを成功裏に廃止するようにしているのではないかという印象が生じている。

 その関連で、プーチンが政権のチームを改造する決意を示すために、行政府および大統領府の大掛かりな人事が、3月4日の大統領選を待たずに始められると考えるべきだろう。

 プーチンが、来たる大統領職を政治的に単独で務めなければならないということを感じ始めているのは、明らかである。おそらくは3月4日が後戻りのできない日になるだろう。指導部を、入れ替えるか、ねじ伏せるか、どちらかが必要であり、それによって水平の関係は困難になる。水平は質的に異なる垂直に変容し、そこにはプーチンに忠誠を誓う人材がこれみよがしに配置されることになる可能性がある。このような権力構造は、「国民戦線」を軸とする大衆的な支持基盤を必要とする。

 かくして、プーチンの権力を保持するためには、権力構造の大幅な再構築が必要であり、現指導部の50%が生き残れれば良い方であろう。おそらく、エネルギー部門および鉱工業の仕切り役であるI.セーチンは残るはずで、首相の可能性も取り沙汰されている。ただし、首相候補はすでに他にも多いが。セーチンの権力強化は、すでに形成されたロシアおよび外国の投資家との関係メカニズムの保持を可能にするわけで、選挙の論理やプーチンの気分で変更が加えられることはあるまい。

 A.フルセンコ教育相の代わりに、A.ドヴォルコヴィチが起用されるという説がある。ドヴォルコヴィチが経済発展相にということも言われているが、それは考えられず、E.ナビウリナの留任の可能性が高い。I.レヴィチンがモスクワ州知事に転身するという噂があるが、以前にはB.グルィズロフがモスクワ州知事の候補とも言われていた。A.セルジュコフ国防相が退任し、代わりに現在関税局長官を務めているA.ベリヤニコフが後任の国防相になるともささやかれている。

 下院の状況も複雑であり、下院議長に就任したS.ナルィシキンはこれまでB.グルィズロフが上手く務めていた代理人的な役割に満足するつもりはなく、プーチンの構想を下院で実現する全権を自らの手中に収めようとしているようである。これまで下院事務局長というポストはあまり注目されなかったが、先日これにD.ポルィエヴァが就任しており、まさに彼女がV.スルコフに代わって議員団との関係を取り持ち、ナルィシキンの野心を支えることが意図されている。

 そのスルコフは、新任の副首相としてようやく活動に本腰を入れ始め、ロゴジンとともに、「イノベーション諜報」のプロジェクトの実現に着手し始めたと言われている(その基礎には合法的な産業スパイのコンセプトがある)。

 興味深いのはセルゲイ・イヴァノフが、メドヴェージェフが大統領から退任するための仕事に据えられたことである。すなわち、「拡大政府」の諸問題に関する作業グループが設けられ、イヴァノフがその長になったのである。その副長には、A.ドヴォルコヴィチ大統領補佐官、M.アブィゾフ大統領顧問が就き、後者がプロジェクトの調整役で、メドヴェージェフに進捗状況を報告することになっている。この副長の顔ぶれからして、メドヴェージェフが首相になったら行政府の多くのメンバーが失職するはずで、メドヴェージェフの首相就任への抵抗は近いうちに高まってくるだろう。

 以前も書いたように、私のHP(http://www.hattorimichitaka.com/)をスマホ(iOSおよびアンドロイド)で見ようとすると、いったん表示されるものの、すぐに「URLが存在しません」みたいな画面に切り替わってしまっていた。これではまずいと思い、iOSおよびアンドロイドからアクセスしたら、ブログ版(http://blog.livedoor.jp/httrmchtk/)の方に飛ぶように設定したわけである。

 ただ、その際に思案のしどころだったのは、iPadからの閲覧者をどう扱うかということ。iPadもiOSだから、iPhoneおよびiPodなどと同じくブログ版に誘導してしまってもいいのだけれど、ただiPadはそれなりの画面サイズがあるから、iPadユーザーは、普通にPC向けのフルバージョンのHPをご覧になりたいと思うのではないか。そのように理解していたので、私はとりあえず、「iOSからアクセスしたらライブドアのブログ版に飛ぶ、ただしiPadは除く」という具合に設定をしたのだった。しかしながら、iPadで私のHP(http://www.hattorimichitaka.com/)がきちんと表示されているのだろうかというのは、気になっていた(手元にiPadがないので簡単には調べられない)。

 昨日、家電屋のiPad売り場に出向き、初めてiPadで自分のHPを表示してみた。そしたら、恐ろしく崩壊した格好で、我がHPが表示されていた。見た感じ、どうもやはりフレーム割が悪いのではないかと思う。やっぱり、CSSでレイアウトしないと駄目なのか。でも、面倒臭いんだよなあ。とりあえず、iPadで閲覧した場合も、ブログ版に飛ぶように設定して、応急処置をしておくか。そう言えば、アンドロイド系のタブレットではどうなのかなあ?

 まあ、大して人気もないウェブサイトだから、どうでもいいと言えばいいんだけど。

 2012年2月9日付の『ヴェードモスチ』紙に、Synovate Comconという機関の調査によるロシアのネットにおける最新のソーシャルメディアの勢力図が掲載された。これは、2011年第4四半期に、ロシアの人口10万人以上の都市において、10歳以上のインターネット・ユーザー7,000人を対象に行った調査の結果であり、全ユーザーのうち1週間の間に当該ソーシャルメディアを利用したユーザーのパーセンテージを示したものである。

 その結果が下図であり、最大手のVK.comはネット・ユーザーの51%が利用しており、首位の座を確保している。ロシア市場の特徴は何と言っても、VK.com、Одноклассники(アドノクラスニキ、「同級生」の意味)という2大ローカル勢力が、凌ぎを削っている点であろう。ちなみに、ユーザー数でVK.comに抜かれたОдноклассникиが、最近また追い上げており、両者の差が再び縮まっているという。世界では王者のフェイスブックも、ロシアでは内容がよく似たVK.comに圧迫され、完全に劣勢となっている。先日、フェイスブックがIPOを行った際に、フェイスブックの進出が遅れ今後巻き返さなければならない市場として、日本などとならんで、ロシアの名前も挙がっていた。Google+は、登場して間もないのに、斬新な内容とアンドロイド端末の普及が奏功し、早くもロシア市場で4位に躍り出た(ただし、調査によってはもっと低い数字の場合もある)。一方、日本で人気のツイッターはプアなユーザー・インターフェイスが災いしてか、当国での浸透度は今一つ。

 ちなみに、2011年10月の調査によれば、ネット・ユーザーがソーシャルメディアを利用する平均時間という指標で、ロシアはアルゼンチン、イスラエルに次いで世界で3番目に長いという。


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 こちらの記事が、ロシア・ウクライナの新たな天然ガス紛争について報じているので、以下のとおり抄訳しておく。

 ロシアとウクライナは新たなガス対立に突入した。今回は、寒波の時期に、ロシアがヨーロッパに輸出しようとしていたガスが「不達」となってしまったことが原因である。ロシアのガスプロムは、ウクライナのナフトガス社がヨーロッパ向けのトランジットガスを無許可で抜き取ったと非難しており、「サウスストリーム」の稼働後はウクライナ経由のトランジットを完全にやめると表明している。サウスストリームの稼働は早くて2015年だが、「ノルドストリーム」が開通したことで、ウクライナは一部をすでに失っている。

 2月22日、ガスプロムのミレル社長がメドヴェージェフ大統領と面談し、2月の寒波の時期にガスプロムがヨーロッパ向けに輸出しようとしていたトランジットガスをウクライナが無許可で抜き取ったということを報告した。ミレルによれば、一部の日では、1日当たり4,000万立米に達した。合計でどれだけに上ったかは述べなかったが、前日に非公式で、2月最初の2週間で4億3,800万立米という数字を挙げていた。ウクライナは、2012年分のガス輸入を削減したいと表明していたにもかかわらず、割当分よりも多いガスを抜いてしまったことになる。

 メドヴェージェフ大統領はミレル社長に対し、契約と協定の枠内でウクライナ側と事態を精査することと、また黒海海底を経てEU市場に至る「サウスストリーム」の建設を急ぐよう指示した。その際に大統領は、サウスストリームの技術的設計はまだ最終版は完成していないものの、その最大の輸送能力である630億立米を念頭に計画する必要があると指摘した。会談後ミレルは、サウスストリーム開通後には、ロシアのガスの欧州向け供給地図から、ウクライナは完全に消えることになり、同国は年間30億ドルの収入を失うと明言した。

 サウスストリームの開通は2015年になるが、2011年秋にはバルト海海底を通ってEUに至る「ノルドストリーム」が稼働しており、それによりウクライナはより早い時期にトランジットの多くを失う可能性がある。ここ1週間、ガスプロムがノルドストリームおよびベラルーシ領のヤマル~ヨーロッパPLを優先的に稼働させているため、ウクライナのトランジットは1月のレベルに比べて17%低下していると伝えられる。

 ウクライナ側は抜き取りの疑惑を真っ向から否定しており、さらには、アザロフ首相は寒波の時期にはヨーロッパ向けの予定供給量を満たすためにウクライナが自ら貯蔵所のガスを供出したと述べている。ウクライナ・エネルギー省では、2月6日から17日にかけてウクライナは、トルコおよびポーランド向けの供給を1日当たり5,200万立米から7,000万立米に増やすために、自らの貯蔵所のガスを供出したので、ガスプロムに1日当たり2,500万立米の貸しを作った、としている。

 今回のロシア・ウクライナのガス紛争は、週の初めにナルィシキン・ロシア下院議長がウクライナを訪問したことを受けて発生した。これまで彼がガス交渉に関与したことはなかったが、今回彼は文書を携えて来たとされ、本人はそれが両国の新たなガス契約の新提案だとしていた。その準備に携わったロシア側の関係者は、これは契約などではなく、ウクライナ側に今後の対話を求める招待にすぎなかったとしている。ウクライナ側は、文書は中身が空っぽで、論じるに値しないとしている。ざっくり言えば、ガスプロムがウクライナのガス輸送網を単独でコントロールすること(ウクライナ側はそれにEUも加わることを主張している)、ウクライナが2012年の購入量を引き下げない代わりにガスプロムがウクライナに欧州向けの標準値引き10%を適用する、ということを提案しているようだ。

 ガスプロムとナフトガスの契約によれば、紛争が生じた場合にはストックホルム調停裁判所に持ち込むことになっているが、専門家によれば、今回はそこまでの事態にはならないであろうという。仮に無許可の抜き取りがあったとしても、ガスは関税なしでウクライナに輸出されており、値段も高いので、ガスプロムは損失を被らない。ガスプロムの収入に比べれば、4億3,800万立米という量は微々たるものである。今回のガスプロムのアピールはむしろ政治的なもので、ウクライナ向けの圧力に加えて、寒波でガス不足に直面しているヨーロッパに向け、サウスストリームを支持することの必要性を悟らせる狙いがあると、専門家は指摘している。

 前回のプロホロフに引き続き、『コメルサント』紙に連載されたロシア大統領選の候補者のプロフィールのうち、今回はセルゲイ・ミロノフ氏の回を取り上げ、以下のとおりその要旨を整理しておく。

 ミロノフが大統領選に出馬するのは、2004年以来のことである。彼は決選投票への進出を目標としており、「公正ロシア」の党内ではその可能性があると確信しているが、専門家は疑問視する。専門家によれば、現在「公正ロシア」は上昇気流に乗っており、たとえミロノフが大統領選で芳しい結果を得られなくても、彼のキャリアが損なわれることはないという。

 長くなるので、ブログ版では以下省略。詳しくはPCサイトをご利用ください

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 パナソニックモバイルコミュニケーションズが、欧州市場に向けに防水・防塵機能を備えたAndroidスマートフォン「ELUGA」(エルーガ)を4月に投入するということが、話題となっている。注目すべきことに、こちらのサイトによると、パナソニックはロシアでもエルーガ・ブランドのスマホを展開する予定とのことである。パナソニック欧州市場の幹部がハンブルグで開かれた年次コンベンションで明らかにした。ただ、ロシア市場での発売時期は未定の由。

 ロシアでも、スマホやタブレットの市場が、アップルとサムスンの2強に席巻され、ガラパゴス日本勢は見る影もないのは同じ。その意味でも、今回のニュースは心強い。ただし、ロシア人に「エルーガ」と言ったら、たぶんチョウザメ(ベルーガ)のことを連想するのではないか。

 アップル社のクラウドサービス「iCloud」と言えば、最近は「iTunes in the Cloud」が話題。要するに、1台のPCやモバイル端末のiTunesにある楽曲をダウンロードすれば、特別な同期の作業をしなくても、自分のすべてのPC・端末でその楽曲が楽しめる、というサービスのようである。

 で、今般私もiCloudをちょっと始めてみたのだけれど、iTunes in the Cloudの利用は考えていない。私の個人的な趣味から言うと、むしろ自動的に同期してほしくないのである。では、私がiCloudを何に使うかというと、iPod Touchで撮った写真をPCに自動的に転送するためである。私の理解している限りでは、iPod Touchで写真を撮っても、それをメールに添付して送付したり、ブログにアップしたりすることはできない。iPod Touchで撮った写真は、USBケーブルでPCに接続しない限り、ディバイスから外部に取り出すことはできないようなのだ。まあ、実のところそんなにiPod Touchで写真をたくさん撮っているわけでもないのだが、ディバイスの中にとどまったままというのもなんかこう心地が悪いので、iCloudでクラウド化することにしたという次第。今のところ、iCloudの使い道は、これだけ。

 こちらのニュースによると、ロシア下院のS.ナルィシキン議長はこのほど、「ユーラシア連合」創設に向けた統合を強化するために、「ユーラシア議会」を創設する必要があるとの見解を示した。

 これによれば、ナルィシキンは概要以下のように語った。近年、移民、関税同盟、共通経済空間など、様々な動きが見られる。我々はユーラシア連合の建設に向け原則的に重要は措置をとった。我々には透明で分かりやすい共通の経済法令が必要だ。すでにユーラシアの超国家機関が形成されつつある。ユーラシア経済委員会ができ、その他の機構も整備されている。ただ、これらの期間は議会の役割を果たすことはできない。ユーラシア議会の創設が、今後の課題となる。統合の議会にかかわる部分がこれほど重要性を増したのは過去20年なかったことであり、共通の課題の解決を進めるためにベラルーシおよびカザフスタンの代表と討議することがきわめて重要である。

 こちらのニュースによると、ウクライナで2月22日、V.ホロシコウシキー氏が第一副首相に任命された。ホロシコウシキー氏は1月18日に保安局長官から蔵相に転身したばかりだったが、22日付の大統領令で蔵相職を解かれ、新たに第一副首相に任命されたもの。2月14日にクリュエフ第一副首相が国家安全保障・国防評議会の議長に転身してから、第一副首相のポストが空席となっており、この座に就く者がアザロフ首相の後継候補になるとして、注目を集めていた。

 こちらのニュースによると、イテラ社によるミンスクの新都心開発が行き詰まり、ベラルーシ側は契約を破棄する構えであるという。これによれば、ロシアの石油・ガス会社「イテラ」は2007年、ミンスク市と、318haの新都心「ミンスク・シティー」を建設する契約に調印した。2020年までに50億ドルを投資し、350万平米の住宅、ホテル、オフィス、商業施設を建設するという予定だった。なお、イテラはベラルーシの他にも、トルクメニスタンでも不動産開発の実績がある。しかし、ミンスク・シティーの建設作業は遅れ、2011年9月にもルカシェンコ大統領が遅延につきイテラを批判する場面もあった。そして、2月16日、N.ラドゥチコ・ミンスク市執行委員会議長(市長)がルカシェンコ大統領と面談したあと、同契約を破棄する必要がある旨公表した。なお、ラドゥチコ議長は、イテラ以外にも本プロジェクトに関心を示している投資家は存在し、それらと新たなコンソーシアムを組むことも検討している旨述べた。

 こちらのニュースによると、メドヴェージェフ大統領のブレーンの一人がメドヴェージェフ氏に、来たるプーチン政権で首相に就任することを取り止めるよう、進言したとのことである。

 記事によると、「現代発展研究所」のイーゴリ・ユルゲンス所長は過去4年間、メドヴェージェフ大統領の知恵袋の役割を務めてきた。そのユルゲンス所長が今般、Bloomberg通信とのインタビューで、メドヴェージェフ氏はプーチン大統領の下で首相に就任すべきではないとの見解を示した。ユルゲンスによれば、クドリンの方が専門家としての定評があり、またプーチンにも信頼されているので、過渡期の首相としては理想的である。

 ユルゲンスの進言は、少なくとも3つの意味で衝撃的である。第1に、首相ポストはプーチンにより、統一ロシアの党大会で提示された。プーチンはそれ以来、一度も立場を変えておらず、メドヴェージェフも実質的に「拡大政府」での活動を始めている。今から首相職を断るとすれば、プーチンへの対応として不適切だし、メドヴェージェフが拡大政府に招いた人々に至ってはなおさらである。効率政治基金のG.パヴロフスキー所長は、メドヴェージェフは公の場で首相職を約束されたのであり、もしもそのポストを断ったら、メドヴェージェフに対する圧迫が強まり、職務をこなせなくなると指摘している。第2に、国家権力体系で首相に匹敵するポストはなく、仮に首相に就かないとなると、では何の仕事をするのかという問題が生じる。第3に、ユルゲンスはメドヴェージェフが首相職をクドリンに譲ることを提案しているが、両者の関係は2011年9月に損なわれ、それ以来悪化を続けている。

 ユルゲンスによれば、問題は首相としての能力ではなく、メドヴェージェフが大統領から退任したあとの、今後の政治的キャリアである。ユルゲンスはこれまでも、メドヴェージェフの大統領再選を支持する旨公言しており、メドヴェージェフが自立した政治家としてとどまるためには、プーチンによって任命されるのではなく国民に選出される必要があると訴えていた。ユルゲンスにとって決定的だったのは、プーチンが新聞紙上で発表している政策論文であり、これらはメドヴェージェフの立場と合致せず、メドヴェージェフが首相になったらロゴジン、セーチン、スルコフらの起草したこれらのプログラムを実施しなければならないことだったという。

 ただし、ユルゲンスが現在の政府の顔ぶれを問題視していることは、説得力が乏しい。2008年に大統領選に勝利したメドヴェージェフが、首相に就任するプーチンと、政府・大統領府の人事について双方納得行くように調整したように、現在も同じような調整が可能なわけで、メドヴェージェフが首相職を拒否したらむしろ人事に関与できなくなる。

 あるいは、政治家のB.ナジェジンが指摘しているように、現在は誰が首相に就いても不人気な政策を実施せざるをえず、ユルゲンスはそのことを問題視しているのかもしれない。評論家のYe.ミンチェンコも、メドヴェージェフは国民の支持率が下がることが請け合いの首相ではなく、別の形で政界に戻ってくるかもしれないと指摘している。一方、ヤブロコのS.イヴァネンコは、すべての指令は遂行される、あるのは1つのチームであり、現政権に多様な理念潮流があるというような幻想を抱くべきではない、3週間後には明らかになるように、メドヴェージェフはきっと首相になる、と述べている。

 UEFAチャンピオンズリーグ2011/2012シーズンの決勝トーナメントが始まり、CSKAモスクワは2月21日、ホームにレアル・マドリッドを迎えた。結果は1対1のドロー。得点源のヴァグネル・ラヴが抜けて得点力低下が懸念され、また長いウィンターブレークで試合勘が鈍っていることが心配されたたCSKAだったが、見た感じ、良い準備ができているようだった。ただ、相手陣までボールを運ぶことはできても、アタッキングサードに入るとレアルの強固な守備に跳ね返され、試合を通じて決定的なチャンスはほとんど作れなかった。対するレアルは、氷点下の人工芝の上で(大寒波が続いていたモスクワだったが、この夜はマイナス5℃くらいだったらしい)、本領を発揮するには程遠かったものの、スイッチが入った時の攻撃の鋭さは、やはりCSKAの比ではないなという印象だ。

 レアルが前半に挙げた1点を守りきるかと思われたが、後半23分に本田が投入されるとCSKAにビルドアップのリズムが生まれ、サイドからの攻撃がレアルを脅かし始める。結局、ロスタイムのラストプレーでCSKAに劇的な同点ゴールが生まれ、試合はドローに終わった。

 レアルにとっては、試合終了間際に同点弾を喫したのは精神的にショックだろうが、客観的に考えれば、アウェーゴール1つを奪っての引き分けは、2レグに向けて圧倒的に有利な状況。正直、スルツキー監督のチームに、これ以上の伸び代はなく、マドリッドではレアルが本領を発揮して完勝する可能性が高い。CSKAが波乱を起こせるとすれば、これは日本人としての贔屓目で言うのではなく、本田が完全復調して大活躍するようなケースに限られるだろう。

 テレビで観ていて、印象に残ったのは、モスクワのサポたちが随分行儀良くしているなということ。グループステージではロケット花火をピッチに向けて打ち込むような愚か者もいたが、UEFAから相当強力な指導が入ったのではないか。この日は、ルジニキ・スタジアムがほぼ満員の7万人の観衆で埋まったが、こちらのニュースによると、治安維持のために3,000人の警官隊が投入され、試合中に秩序を乱した観客が70人以上拘束されたということだ。

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